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会社における「取締役」に関する着目点。

2012-12-23 22:33:52 | シチズンシップ教育
 取締役に関する考え方、その注意点を書きます。
 
 あくまで、ひとつの考え方です!
 ご参考までに。

*役割のちがい:街の個人商店と、大会社とでは、「取締役」の役割が全く違います。「機関」かそうでないかという点で。

 街の個人商店は、取締役会非設置会社であります。

取締役会非設置会社:独任性の「機関」

取締役会設置会社:業務執行の意思決定機関である取締役会の構成員にすぎない。取締役自体は、会社の「機関」ではない。


*取締役を何人置くか:取締役会非設置会社 一人にすべし

 会社法上の規定では、

 取締役会設置会社:3人以上(会社法331条4項「取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。」)

 取締役会非設置会社:一人でも可(会社法331条4項の反対解釈及び326条1項)

 よって、取締役会非設置会社では、重い責任を負う人は、一人で良いのかもしれません。
 万が一、会社が倒れたときに、取締役へのきつい責任追及がありえます。


*取締役 選任の方法:「累積投票」で選ぶべし(少数派から取締役を出すことができる投票制度)

 株主総会で選任されます。(会社法329条1項)
 それは、普通決議によります。(309条1項。ただし、341条に注意)
 多くの会社は、「累積投票」(会社法342条)を排除しています(定款で排除規定を置くことが可能ゆえ)が、この「累積投票」を可能にしておくと、少数派から取締役を出すことを可能にすることができます。
 

 「累積投票」とは、例えば、三人選ぶ場合、一議決権に三票をもたすやりかたです。三人の枠のひとりひとりを各枠全て多数決にすると、多数派の通りの専任になります。
 少数派が、その三票をひとりに集中すれば、選任可能なはず。

****会社法342条*****
(累積投票による取締役の選任)
第三百四十二条  株主総会の目的である事項が二人以上の取締役の選任である場合には、株主(取締役の選任について議決権を行使することができる株主に限る。以下この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、株式会社に対し、第三項から第五項までに規定するところにより取締役を選任すべきことを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、同項の株主総会の日の五日前までにしなければならない。
3  第三百八条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、取締役の選任の決議については、株主は、その有する株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の株式)につき、当該株主総会において選任する取締役の数と同数の議決権を有する。この場合においては、株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。
4  前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとする。
5  前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。
6  前条の規定は、前三項に規定するところにより選任された取締役の解任の決議については、適用しない。



*取締役 解任

 株主総会の決議によって解任可能(339条、341条)

 解任の理由に制限はありません。理由のない解任も可能ということです

 ただし、339条2項で、「正当な理由」なくして解任した場合、会社は、損害賠償を支払う必要が生じます。

 ちなみに、「正当な理由」とは、
○背信行為が有った
○無為無能である
○違法行為
○故意の信任義務違反
○任務懈怠
○はなはだしい不適任
○取締役の地位そのものと相容れない作為・不作為がある

 経営に失敗したことが、「正当な理由」となるかは、争いの有るところ。これを許すと、危ない橋を渡らなくなる。ただ、認めないとよい経営をしようとするサンクションにならない。

****会社法339条****
(解任)
第三百三十九条  役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2  前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。



*取締役 解任の訴えは、854条で可能

 株主総会で解任できなくとも、裁判で解任することも可能。

*****会社法854条、855条*****
(株式会社の役員の解任の訴え)
第八百五十四条  役員(第三百二十九条第一項に規定する役員をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第三百二十三条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。
一  総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
二  発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該株式会社である株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
2  公開会社でない株式会社における前項各号の規定の適用については、これらの規定中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3  第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。
4  第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。

(被告)
第八百五十五条  前条第一項の訴え(次条及び第九百三十七条第一項第一号ヌにおいて「株式会社の役員の解任の訴え」という。)については、当該株式会社及び前条第一項の役員を被告とする。




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判決の既判力の及ぶ範囲について、一部請求後(特に前訴で敗訴後)の残額請求の可否

2012-12-23 16:59:20 | シチズンシップ教育
 前訴の既判力が及ぶ範囲の問題です。

 一部請求後の残部請求の可否は、いかに判断すれば良いのでしょうか。

 申立事項が、金銭その他の不特定物の給付を目的とする債権に基づく給付訴訟において、原告が債権のうちの一部の数額についてのみ給付を申し立てる請求(一部請求)が認容され、確定された場合、その後、別訴を提起して残額を請求することが許されるか。
 全体と一部の関係の明示が有る場合に限って、別訴提起が可能であるとするのが、最高裁が取る立場です。

 では、逆に、認容ではなくて、一部請求が棄却された場合は、どうか。

 既判力を持ち出して、判断するのではなく、信義則の考え方で、最高裁は判断していますが、私もそれが妥当であると考えます。
 


【事案】
 Xは、不動産売買を目的とする会社である。Xは、YからA市所在の本件土地を買収すること及び同土地が市街化区域に編入されるよう行政当局に働きかけを行うこと等の業務委託(以下、「本件業務委託規約」という。)を受けた。そして昭和57年10月28日に本件業務委託契約の報酬の一部として、Yが本件土地を宅地造成して販売造成するときには造成された宅地の1割をXに販売または斡旋させる旨の本件合意がなされた。
 しかし、結局、Yは宅地造成を行わず、平成3年3月5日、A市開発公社に本件土地を売却した。
 また、Yは平成3年12月5日、Xの債務不履行を理由として本件業務委託契約を解除した。
 そこで、Xは、Yからの業務委託契約に基づいて本件土地の買収等の業務を行い、3億円の報酬請求権を取得したとして、うち1億円の支払を求める訴え(前訴)を提起したが、平成7年10月13日、上記請求を棄却する旨の判決が確定した。
 Xは、前訴判決確定後、平成8年1月11日、本件合意に基づく報酬請求権のうち前訴で請求した1億円を除く残額が2億円であると主張してその支払を求める(後訴)を提起した。

(最高裁判例 平成10年6月12日、『民事訴訟法主要判例集』199事件)



 一部請求後の残額請求の可否の問題で、一部請求が棄却された場合の考え方。

(1)本問における法的問題点。
 一部請求訴訟で敗訴した後に残額請求を行うことは許されるかどうかが法的問題点である。

(2)(1)における問題点の指摘の根拠となる事実の事案の中からの指摘。
 Xは、YからA市所在の本件土地を買収すること及び同土地が市街化区域に編入されるよう行政当局に働きかけを行うこと等の業務委託(以下、「本件業務委託規約」という。)を受けた。
 しかし、結局、Yは本件業務委託契約を解除した。
 そこで、Xは、Yからの業務委託契約に基づいて本件土地の買収等の業務を行い、3億円の報酬請求権を取得したとして、うち1億円の支払を求める訴え(前訴)を提起したが、上記請求を棄却する旨の判決が確定した。Xは、前訴判決確定後、報酬請求権のうち前訴で請求した1億円を除く残額が2億円であると主張してその支払を求める(後訴)を提起した。
 裁判所は、後訴について本案の審理をし、判決を下すことができるかどうかが問題である。

(3)民事訴訟法の第何条、または、いかなる理論の適用が問題であるか。
 民事訴訟法114条1項、既判力の及ぶ範囲が問題となっている。

(4)(3)で挙げた条文のどの文言の解釈、あるいは、理論の要件が問題となっているか。
 申立事項が、金銭その他の不特定物の給付を目的とする債権に基づく給付訴訟において、原告が債権のうちの一部の数額についてのみ給付を申し立てる請求(一部請求)が棄却され、確定された場合、その後、別訴を提起して残額を請求することが許されるかという問題に関して、前訴の既判力が及ぶことで、遮断されるかどうかが問題となっている。

(5)この問題について、自分と反対の結論となり得る考え方。
 一部の債権が存在しない以上、論理的に債権全体の不存在が確定され、残部請求は既判力によって遮断されるとして、一部請求訴訟で敗訴した後に残額請求を行うことは否定するという見解。

(6)上記の自分と反対の結論となり得る考え方の問題点。
 あくまで、既判力は、訴訟物に及ぶものであり、この場合は、一部請求の1億円のはずである。
 残額2億円にまで既判力が及ぶということは、前訴の訴訟物でないものにまで、既判力を及ばせており、審判は求められた訴訟物たる権利についてなされ、そのことに既判力が及ぶということと矛盾することとなる。

(7)この問題についての自分の結論と根拠。
 1個の金銭債権の数量的一部請求は、当該債権が存在しその額は一定額を下回らないことを主張してその限度で請求するものであり、債権の特定の一部を請求するものでないから、このような請求の当否を判断するためには、おのずから債権の全部について判断することが必要になる。すなわち、裁判所は、当該債権の全部について当事者の主張する発生、消滅の原因事実の存否を判断し、債権の一部の消滅が認められるときは債権の総額からこれを控除して口頭弁論終結時における債権の現存額を確定し、現存額が一部請求の額以上であるときは請求を認容し、現存額が請求額に満たないときは、現存額の限度でこれを認容し、債権が全く現存しないときは、請求を棄却するのであって、当事者双方の主張立証の範囲、程度も、通常は債権の全部が請求されている場合と変わるところはない。数量的一部請求を全部又は一部棄却する旨の判決は、このように債権の全部ついて行われた審理の結果に基づいて、当該債権が全く現存しないか又は一部として請求された額に満たない額しか現存しないとの判断を示すものであって、言い換えれば、後に残部として請求しうる部分が存在しないとの判断を示すものにほかならない。したがって、この判決が確定した後に原告が残部請求の訴えを提起することは、実質的には前訴で認められたかった請求及び主張を蒸し返すものであり、前訴の確定判決によって当該債権の全部について紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し、被告に二重の応訴の負担を強いるものというべきである。以上の点に照らすと、金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは特段の事情がない限り、信義則に反して許されない(民事訴訟法2条)と解するのが相当である。
 これを本件についていると、Xの請求は、前訴で数量的一部を請求して棄却判決を受けた各報酬請求権につき、その残部を請求するものであり、特段の事情の認められない本件においては、残額請求に係る訴えの提起は、訴訟上の信義則に反して許されず、したがって、その訴えを不適法として却下すべきである
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民事訴訟において違法収集証拠に証拠能力を認めるべきか

2012-12-23 14:33:17 | シチズンシップ教育
 刑事訴訟法では、許されない話であるが、民事訴訟において違法収集証拠に証拠能力を認めるべきか。

 ひとつの考え方をご紹介します。

【事案】
Xは、Yに対する損害賠償請求が1審で敗訴したのは、Yの被用者Aの不利な供述によるものと考え、Aから有利な証言を得ようと企て、Aに酒食を提供した席上で、同人に秘して、同人との会話を録音した上、第2審において、その録音テープ及び反訳書を証拠として提出した。
 これに対して、Yが、上記録音は、被録音者Aの人格権を侵害し、詐欺的に録取されたもので、信義則、公序良俗に反し、証拠能力を有しない違法証拠であるなどとして争った。

(東京高裁判昭和52・7・15、『民事訴訟法主要判例集』判例425)

 刑事訴訟では、一切認められない話ですが、民事訴訟では、どのように考えるべきでしょうか。
 以下、民事訴訟における違法収集証拠の問題の考え方。


(1)本事案における法的問題点。
 いわゆる違法収集証拠である無断録音にも証拠能力を認めて、証拠調べの対象とすべきかどうかが法的問題点である。

(2)(1)における問題点の指摘の根拠となる事実を、事案の中からの指摘。
 第1審で敗訴したXは、敗訴の原因が、Y側の証人であるAの証言にあると考え、知人でありAの友人であるBを利用し、Aに酒食を饗応して、誘導的な質問等によってXに有利な会話をするように仕向け、それを別室から密かに録音した。その上で、Xは、控訴を提起し、当該テープを録音証拠として申請した。この録音テープ(以下、「本件録音テープ」という。)に証拠能力を肯定することが許されるかどうかが問題点となっている。

(3)民事訴訟法の第何条、または、いかなる理論の適用が問題であるか。
 民事訴訟法247条、自由心証主義の制限についてが問題となっている。

(4)(3)で挙げた条文のどの文言の解釈、あるいは、理論の要件が問題となっているか。
 裁判所が、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果を自由に評価し、これによって形成された心証に基づいて判決の基礎となる事実を認定することができるという原則(自由心証主義)が、民事訴訟法247条に、規定されている。
 心証形成のための資料の範囲は、証拠の方法の無制限と弁論の全趣旨の斟酌からなされ、証拠方法は、無制限とされている。
 しかし、自由心証主義にも制限が有り、証拠方法の制限のひとつとして、違法収集証拠をどのように制限すべきかが問題となっている。

(5)この問題について、自分と反対の結論となり得る考え方の紹介。
 証拠方法の取得や使用に実体法上の違法があっても、損害賠償の問題を生じるだけで、訴訟法上の評価は自由心証に委ねられるとする見解。

(6)自分と反対の結論となり得る考え方の問題点の指摘。
 無制約に証拠方法が認められるとすると、違法な方法を含め、裁判に勝つためならなりふり構わぬ証拠収集がなされることになり、その証拠収集から人格権を侵害される被害が多発することが考えられる。
 人格権侵害を起こさない一定程度の制限は必要であると考える。

(7)この問題についての自分の結論と根拠。
 民事訴訟法は、いわゆる証拠能力に関しては何ら規定するところがなく、当事者が挙証の用に供する証拠は、一般的に証拠価値はともかく、その証拠能力はこれを肯定すべきものと解すべきことはいうまでもないところであるが、その証拠が、著しく反社会的な手段を用いて、人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって採取されたものであるときは、それ自体違法の評価を受け、その証拠能力を否定されてもやむを得ないものというべきである。そして、話者の同意なくしてなされた録音テープは、通常話者の一般的人格権の侵害となり得ることは明らかであるから、その証拠能力の適否に当たっては、その録音の手段不法が著しく反社会的と認められるか否かを基準とすべきものと解するのが相当であり、これを本件についてみるに、本件録音は、酒席におけるAらの発言供述を、単に同人ら不知の間に録取したものであるにとどまり、同人らの人格権を著しく反社会的な手段方法で侵害したものということはできないから、本件録音テープは、証拠能力を有するものと認めるべきである。

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