「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

幼保一元化 実現可能なイメージを持ちました。

2007-10-23 23:13:45 | 教育
本日10・23から三日間、行政視察中です。
診療時間は、表題のごとくになっています。
ご注意ください。

さて、まず第一日目、幼保一元化の施設を見学。
愛知県豊田市立渡刈保育園
まさにトヨタのお膝元の市の保育園で、
幼保一元化が実現されていた。
ひとつの施設に、幼稚園と保育園が二つ存在するという
ものではなく、
ひとつのカリキュラムを、
子ども達が共有した幼保一元化なのである。

渡刈保育園が実施にいたった
ポイントをあげたい。

一時中断
(行政視察をともにしている福祉保健委員会の委員の議員、福祉保健関係の部長ら、議会局の方と一緒に、夕食をしてきました。委員会では、議員が質し、理事者が区の姿勢、行政サービスの実施を説明する、真剣勝負を行う関係であるが、向く方向は、中央区民に最大限、よりよいサービスを提供していくことであり、区民の目線に立つ点で同じです。日ごろ見せないご自身の生活、趣味などを話しながら、和やかに食事をしました。)

話をもどします。

豊田市の幼保一元化 実施内容
①基本的な保育時間 平日8:30~15:00

②早朝保育 7:30~8:30
 延長保育 15:00~19:00
 土曜日保育 8:30~15:00
 夏休み(7・21から8・31)期間保育あり
(利用者は、別途料金追加)

③配置基準 保育士一人が担当するこどもの数
 0歳児3人 1・2歳児5人 3歳児15人 4歳児28人 5歳児30人
参考:国の基準
保育園
0歳児3人 1・2歳児6人 3歳児20人 4歳児30人 5歳児30人
幼稚園
              3歳児35人 4歳児35人 5歳児35人

④保護者負担は、幼稚園であった人も、保育園であった人も、同じになるように。
(利用時間がちがっても、公平になるように、利用時間に応じ負担する部分がある。)

⑤職員は、保育園・幼稚園で同じ給与体系



さて、
豊田市は、なぜ、幼保一元化を実現しえたのか。
そのポイントを述べたい。

ポイント:1(おそらくこれが、一番重要)
「独自に幼稚園と保育園の一体的な運用を進めてきた経緯がある」
①昭和40年から保育園に“保育に欠けていない児童(4・5歳児)”を受け入れる
②昭和40年代から保育園と幼稚園の人事交流を行う
すなわち、給与体系も同じに
③平成3年から、保育園と幼稚園の保育カリキュラムを統一
午前8時30分から午後3時を共通保育時間として実施してきた。
④平成13年から保育園と幼稚園の所管部署を統一

ポイント:2
「外部有識者からなる幼保一体化検討部会の開催」
平成17年10月から平成18年3月までに計6回、上記部会を開催。
構成は、有識者、公募市民、保育園・幼稚園経営者ら。
この会議が、有効に機能したのであろうと私は、類推する。

ポイント:3
「先日の平成19年9月議会で一体的運用のための条例改正案の可決」
施設名称の変更、保育料の統一に関わる関係条例の一部改正議案を上程し、可決。
その議案は、以下の3点からなる。
①施設名称を「こども園」に統一
②保護者負担を統一し、あわせて負担の軽減
③職員の配置基準(クラス編成)を統一
幼稚園と保育園の保護者の利用料負担を平等にしたことに伴い、18億円の負担料が入るところが、14億円になり、4億円の減額。


以上が、私が説明を受けて、考えたポイント。

説明を受けて、私は、以下3点の質問をした。
①幼保一元化をしようとした理念
回答⇒本日担当の職員が考えるに、保護者の就労形態から子どもを見たら、保育園児・幼稚園児と子どもが分かれるが、子どもの方から見るとだれもが、同じである。子どもの側から見て、施策を実施していった。

②幼保一体化検討部会の経過の中で実施したパブリックコメントで、得られた意見を聞かせて欲しい。
回答⇒18の意見があった。料金に関することが主なものであった。

③独自の一体的運用を実施した際の、「学校教育法」「児童福祉法」の法律の壁は、どのようなものがあったか。
回答⇒それら法律の適応の中で、独自の一体的運用はできた。とくに保育園は8時間預かりが、共通預かり時間が6.5時間になることは、何も言われなかった。一番の壁を感じたのは、保育園で“保育に欠けていない児童”を預かる点。

他の委員からの質問
④私立幼稚園も、「こども園」に名称を変えたのか?
回答⇒変えない園2園あり。

⑤保育時間変更に抵抗は?
回答⇒早朝保育、延長保育を実施し、問題の声はあがらなかった。

⑥カリキュラムの特徴は?
回答⇒地域の方も一緒に入ってきて、カリキュラムを行っている

⑦人員配置で、4歳児保育園では、豊田市は独自の配置基準25人に一人の保育士であったが、こども園では、28人に一人の保育士と緩和されているが。
回答⇒4歳児幼稚園では、豊田市の配置基準は32人に一人であった。これを一機に、7人減らすのは無理があり、28人とした。



結局、ここ豊田市では、幼保一体化の流れがスムーズに生まれたということ。
私は、幼保一元化が達成できた要因は、以下のように類推する。

流れを阻む要因、
①幼稚園と保育園の職員の違い
②幼稚園と保育園の利用者の負担を同じにすることに伴う財政負担

流れを生む要因、
①幼保一体化の理念
②たいへん広い地域で幼稚園や保育園を効果的に、効率的に運用したいという考え
③「認定こども園」制度を実施という国の流れ

結局、流れを生む要因が、流れを阻害する要因より強く豊田市では働き、
流れが生まれたということであろう。


さて、中央区では、流れが生まれるであろうか。
①幼保一元化で実現したいものがはっきりし、理念として謳われること
②その理念に共感し、流れを生みたいと言う中央区民の思い、それを代表する区長の強いリーダーシップが存在すること
③その区民の思いに応えるがための、幼稚園、保育園の現場での意識改革

これらが合致したとき、幼保一元化は本区でも実現できるであろう。

まずは、理念。
幼保一元化で何がしたいのか?
子ども達のために、何ができるのか?
それが、現在の幼稚園・保育園の枠組みの中では、本当に実現できないことなのか?
よくよく考えねばならないと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医師不足に臨む

2007-10-23 05:41:53 | 医療
国会でも、先日の銚子市の市長・議長とのお話でも、
また、友達の市議との話の中でも、
医師不足が、争点の一つに上がってきています。

病院レベルでは、何が出来るのでしょうか。

①病院内の医師不足解決に向けたプロジェクトチームの設置
 初期研修医が勉強、研修したくなるシステム作り、医療者の生活環境、労働環境整備などを、行政と病院経営陣と現場の医師が、いっしょに考えていくことが大切だと思います。
 特に、現場の医師の声が十分反映されることが大切だと思います。経営陣と現場の意見の乖離が、問題を生んでいることが多いと思います。

②研修医の生活環境の改善
 研修医にとっては、病院近くに寮のようなものがあると、非常に助かりますので、それだけで、研修医が集まりやすくなると思います。研修医は病院に結局、寝泊りするので、近くに家がほしい。

③女性医師の働きやすい環境づくり
 近年、女性の医師も増えてきています。特に女性医師が多いのは、小児科、産婦人科、麻酔科などでしょうか。女性医師が仕事を続けづらいことをよく聞きます。子育てと仕事の両立が可能なように、保育園(病児保育も含めた)など職場環境を整える必要もあると思います。

④研修プログラムの充実
 ここ中央区には、聖路加病院があります。多くの研修医が研修を希望する病院です。指導医が研修医を評価するだけでなく、研修医も指導医を評価するシステムがあると聞きます。お互い切磋琢磨しているようです。
 初期研修医が多く集まる研修プログラムを作ると共に、後期研修医も、病院に多く残るようにプログラムを充実させる必要があります。後期研修医が、病院の一番の現場での戦力になりますから、多く残れば残るほど、その病院は活気付くと思います。その後期研修医が残るには、どれだけ指導体制がきっちりしているか、どれだけ資格を取れる病院であるかがポイントになります。
 医師の研究用の図書館機能の充実も必要です。

⑤周辺の開業医・中小病院・大学院との連携
 開業医と病院との連携、病院と中小病院、大学院との連携も大切です。病院が、開業医・中小病院・大学院の先生方のスキルアップできる場(例えば、週に一日または夜間帯、病院への研修を受け入れる。慣れてくると、実際、診療に携わる。)を提供すると、その先生自身の研修になると同時に、マンパワーの補充になると思います。

⑥チーム医療の一層の強化
 医師が、事務や要らない書類を書いていることがあります。医師が、本来の医療業務に没頭できるように、病院内の事務処理担当などのクラークを増やしたり、医師の研究の助けをする助手を増やしたりして、医師の医師としての能力が十分発揮できる環境を整備します。医師以外のスタッフの増強です。

⑦適切なIT活用
 電子カルテなど医療分野にもITが入ってきています。ITが単に作業量をましただけという話も残念ながら聞きますが、効率的な医療が行えるためのITシステム開発、導入をしていく必要があります。

等等でしょうか。

国レベルでは、
*医学教育の見直し(地域枠の増加)
*米国のように学士入学制度(他学部を卒業したものが医学部に編入可能にする)枠の拡大、
*大学院制度の見直し、
*医療事故原因究明調査の充実、
*無過失保障制度の充実、
*社会保障制度への十分な予算配分、
*社会保障分野こそ雇用創出の分野であることの発想の転換、
*適切な医療資源配分(ホームドクターと中小病院と高度医療センターの役割分担とネットワーク)
などをし、根本から取り組む必要があります。


私の友達の市議が、
熱心に医師不足に取り組んでいるので、
私も考えてみたところのものです。


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする