兵庫県小野市が2月27日、市議会に提出した「小野市福祉給付制度適正化条例」
新聞では、「行き過ぎた監視社会を招く」と批評されているのが目に留まります。
条例案原文を自分は読んでいませんが、報道によると、条例案では、市民には、不正受給や、生活への支障を常習的に起こしている浪費をみつけた際には、市に情報提供することを「責務」とし、通報があった場合には、警察官OBなどの「推進員」が調査し、事実なら市が指導したり、是正させたりする。改善されなければ支給を止めることもあるという内容とのこと。
どうも、私は、この条例に引っかかりがあります。
「市民」が、誰が、生活保護受給者かわからないはずなのに、生活保護受給者の行動を監視し、市役所に通報するという仕組みが特に引っかかる部分です。
どのように市議会で議論され、制定になるのか、廃案になるのか、まずは、注目したいと思います。
条例が明らかになった段階で、趣旨、目的と目的達成の手段を含め条例全体を見たのち、改めて考えることにさせてください。
東京新聞解説図(2013/02/28)

*****朝日新聞(2013/2/27)*****
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130227-00000021-asahi-soci
生活保護の人がパチンコ→市民に通報義務 小野市条例案
朝日新聞デジタル 2月27日(水)16時34分配信
【広川始】生活保護や児童扶養手当の受給者がパチンコやギャンブルで浪費しているのを見つけた市民に通報を義務づける条例案を、兵庫県小野市が27日、市議会に提案した。市は「不正受給防止のための、全国的にも例のない取り組み」という。市には「全国に広げるべきだ」「相互監視社会になる」と、賛否の声が寄せられている。
名称は「市福祉給付制度適正化条例案」。受給者が給付されたお金を「遊技、遊興、賭博などに費消」することを防ぎ、「福祉制度の適正な運用と受給者の自立した生活支援に資すること」を目的に掲げる。
パチンコや競輪、競馬などによる浪費により「生活の維持、安定向上に支障が生じる状況を常習的に引き起こしている」と認められたり、不正受給の疑いがあったりする場合、市へ情報提供することを「市民の責務」と明記した。保護が必要な人を見つけた場合も、通報を義務づけている。受給者に対しては勤労と節約を求めている。
国は8月から生活保護について生活扶助の支給額を引き下げる方針。市には、給付額が絞られる中で受給者の自立支援を一層図らなくてはならない、という考えがある。蓬莱(ほうらい)務(つとむ)市長は27日の市議会で「福祉給付制度の信頼確保と受給者の自立した生活を支援することを目的とする。監視強化ではない」と説明した。
*****J-CASTニュース*****
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130225-00000003-jct-soci
小野市の「生活保護でギャンブル禁止」条例 「なんて素晴らしい」「監視社会化が進む」の賛否両論
J-CASTニュース 2月25日(月)19時19分配信
「なんて素晴らしい条例なんだ……小野市やるな!!! 」
「生活保護バッシングの再燃、監視社会化が進む危険が!」
兵庫県の小さな町で生まれる条例案をめぐり、ネットの声は賛否両論、真っ二つに割れている。
議論の的となっているのは、小野市が市議会に提出予定の「小野市生活給付制度適正化条例」だ。生活保護受給者がパチンコなどのギャンブルで浪費することを明文的に「禁止」する珍しい内容で、さらにそうした人を見つけた市民には市への「通報」も求める。
■パチンコ・競艇・競馬などでの浪費を「禁止」
2012年4月のいわゆる「ナマポ河本問題」以来、生活保護受給者による「ムダ遣い」に対して、世間から厳しい目が注がれている。特に槍玉に挙げられやすいのがパチンコなどのギャンブルで、たびたびメディアを騒がせたほか、国会質問の俎上にまで上がった。
一方で法律上、生活保護費の使途は限定されておらず、「法の趣旨上望ましくない」(厚生労働省)とされるものの、事実上「野放し」に近い状態だった。
さて、そんな中で登場した小野市の条例案とはどんなものなのか。問題の第3条第1項にはこうある。
「受給者は、偽りその他不正な手段を用いて金銭給付を受けてはならないとともに、給付された金銭を、パチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消し、その後の生活の維持、安定向上を図ることができなくなるような事態を招いてはならない(後略)」
罰則があるわけではなく、「一度そういうことがあったからと言って、給付を止めるということは考えていない」(小野市)とはいえ、受給者のパチンコを始めとするギャンブルによる浪費を、「受給者の責務」として明確に禁じている。また小野市によればギャンブルのみならず、極端な飲酒や買い物などにも、この規定が適用される予定だという。
そして、もうひとつも議論を呼んだ、「市民の責務」を定めた第5条第3項だ。
「市民及び地域社会の構成員は、受給者に係る偽りその他不正な手段による受給に関する疑い又は給付された金銭をパチンコ、競輪、競馬そのほかの遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、その後の生活の維持、安定向上を図ることに支障が生じる状況を常習的に引き起こしていると認めるときは、速やかに市にその情報を提供するものとする」
この条例案の内容が報じられると、反響は大きかった。生活保護自体に批判的な人が多い2ちゃんねるやツイッターなどでは、支給の厳格化を目指すものと受け止められ賞賛の声が強かったが、識者からは第5条第3項を問題視し、「監視社会を招く」と懸念する声も上がった。
■「これに代わるものがあるなら、具体的に出してほしい」
しかしこれらの批判に、小野市の担当者は反論する。
同市の場合、生活保護受給問題が相当深刻なのかと思われるが、実際の受給者数は人口5万人中149人(0.29%)と県内2位の少なさで、全国平均(1.38%)も大きく下回る。また不正受給の例もごく少数だという。ではなぜあえて条例案制定に踏み切ったかのか。
「社会保障費の負担が次の世代、さらに次の世代にまでのしかかる中、市としての姿勢を明らかにしたい、自らの襟を正したいという思いがあった。またこうした義務指針を公にすることで、『小野市の生活保護受給者は不正をするような人たちではない』と知らしめたかった」
「監視強化」の方策というよりは、小野市としての理念を示すという性格が強いようだ。
現状でも、11年度には不正受給に関して2件の市民から通報があるなど、生活実態を知る「身内」からの声を不正把握に活用してきた実績があると担当者は胸を張る。それを監視社会だといわれるのには心外なようだ。
「学者の方々の論評はありがたいご指導とは考えておりますが、私どもは私どもとして、対策と理念を示したつもりです。これに代わるものがあるなら、具体的に出してほしい」
生活保護をめぐる実態を誰より目の当たりにしているだけに、担当者の丁寧な口調にも力がこもった。
さらにあまり報じられていないが、「通報」を求めているのは不正やパチンコだけではない。第5条第2項では、苦しんでいる「要保護者」に気づいたら、こちらも速やかに通報することを求めている。「条例がもし可決されれば、むしろ受給者は増えると思います」と担当者は語り、いわゆる「受給の厳格化」とは考えを異にしている様子だった。
「一過性の議論ではなく、本当の支援とは何かを考えていきたいと思っております」