逮捕のあと、勾留がなされます。
弁護人として、何ができるか。
0)勾留は、逮捕前置主義である。
逮捕の適法性(理由 刑事訴訟法199条 + 必要性 刑事訴訟法規則143の3)及び時間的制約が厳守されているかをよく見ておくこと。
逮捕に違法性があると、そのとき収集された証拠は、裁判で使えないものとなる。
1)検察官の勾留請求前に、検察官に対しての働きかけ
不当な勾留請求をしないように理由を述べてお願いをする。
現実的には、電話やfaxになろうかと思われるが、訴える内容には、気をつける。
すなわち、将来的には、法廷での相対することも可能性とがあるわけであり、訴える内容には、気をつける。
2)裁判官の勾留決定前に、裁判官に対しての働きかけ(勾留請求があると、原則勾留状を裁判官が発する 刑事訴訟法207条4項)
不当な勾留決定をしないように理由を述べてお願いをする。
そのためには、裁判官とあって説明をする必要がある。
裁判官が弁護士に会うのは、勾留決定の際に調査できるという裁量の範囲であるが、誤った勾留決定を避けるとするならば、判断材料を集めることが当然求められ、アポイントをお願いする弁護士の依頼を断るとは言い難い状況から会ってもらえると期待する。
勾留決定の前に、裁判官は、被疑者とあって勾留質問をすることになるが、一般的に勾留質問の前がよいと言われる。
なぜなら、勾留質問後、勾留決定の是非を判断する場合があり、勾留質問後会ってもすでに決定が出されていて遅い場合がある。
3)勾留決定がなされたなら、「勾留理由開示請求」(刑事訴訟法82条~86条)
制約があっての開示請求であるが、法廷でなされるため、被疑者家族や支援者が、法定で被疑者本人を見ることができるというその機会のために有意義である。
制約があるというのは、捜査が始まった段階での、実質的な理由が開示されえないから。
よって、裁判官の理由開示は、例えば、「事案の性質、罪質、供述経過、捜査の進捗状況、被疑者の身上関係より勾留を決定した。」という程度の開示となる。
弁護人側は、捜査状況、証拠がわからない段階だが、裁判官への質問で、情報が出される場合もある。
この際に、弁護人も10分の範囲で、意見陳述ができる。(刑事訴訟法規則85の3)
4)勾留決定に対する準抗告
勾留の要件(刑事訴訟法60条を引用する刑事訴訟法207条)が該当しないことを理由に訴える。
訴えは、「1)勾留決定を取り消せ、2)勾留請求が却下しろ」の二つを理由をつけて訴える。
2)を忘れると、勾留請求だけがいまだ残ることになり、別の裁判官が、その請求をもとに再度、勾留決定することが理論上考えられるため、勾留請求自体をなくしておく必要がある。
勾留の要件を以下、具体的理由をつけて訴える。
ア、罪証隠滅のおそれがないことの具体的理由
例えば、すでに正直に警察に対応している。
イ、逃亡のおそれがないことの具体的理由
例えば、家族関係、前科前歴の有無、定職の有無から理由づけが可能になる。
ウ、勾留をとくことの必要性
例えば、父が介護がたいへんで、被疑者も手伝ってあげる必要がある。
5)勾留取消し請求 刑事訴訟法87条
6)勾留延長決定がなされたなら、勾留延長決定に対する準抗告
勾留期間の延長の要件 刑事訴訟法208条2項「やむを得ない事由」
7)接見等禁止決定に対して、準抗告や一部解除の申立て (弁護人との接見の問題ではない。)
ア準抗告
接見等禁止の要件:刑事訴訟法81条「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」
イ一部解除申立て
例えば、奥さんと小一時間会わさせてあげてほしいなどのお願いをする。
以上、
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