三重からの帰り、久しぶりに大阪城を訪れるためにJR環状線大阪城公園駅に下り立った。改札を抜け明るいコンコースに立つと、四つの壁面が陶板画になっているのに気がついた。南側にはなにやら文字が並んでいる。左端に司馬遼太郎の自筆らしき太い文字が目に入ったので、しばらく佇んで読んでみた。
大阪の歩みを実に簡潔に活写した格調高い名文である。1983年(昭和58年)10月1日 大阪城公園駅開業記念に、小説家の司馬遼太郎が開業を祝って書いたのそうだ。大阪で生まれ育ってそこを終焉の地とした司馬氏の熱い思いがひしひしと伝わってくる。毀誉褒貶の「毀貶」が目立つ最近の大阪であるが、こういう名文が遺されていることを羨ましく思う。
公園駅から見た風景である。
司馬氏は「夏、駅舎の前の森の露草の花の青さにおどろくとき、またたきの間でも茅渟(ちぬ)の海を思いかさねてもらえまいか。ひたにこのあたりまで満ちていたことを。」と記している。
「大阪城公園駅」全文は
http://ww2.tiki.ne.jp/~h-hidaka/newpage5.htm#siba