5月17日付けの産経新聞に、福島第一原発事故の賠償費に充てるために、東京電力が所有
する尾瀬の土地を売却する案が浮上していると報じています。この記事によると、尾瀬国
立公園の4割、特別保護地区の7割が東京電力の所有地で、東電は湿原保護のために、年間
2億円を拠出、国が東電所有地も含めて国立公園として管理運営してきたとのこと。
福島第一原発事故のために、故郷を離れざるを得ない多くの方は、東京電力に対しては、
腸が煮くりかえる思いをされていると思いますし、また、風評被害等で製品が売れなくな
った方、観光客が激減して営業存続の岐路に立っている方なども、東京電力へは避難者と
同じような感情を抱いているものと思います。
他方で、東京電力の4万人の社員・及び家族もまた、原発事故でつらく苦しい毎日を送っ
ているものと思います。父親、又は母親が東京電力社員である家庭では、子供達が陰湿な
いじめを受けているのではないか、東京電力の社宅や持ち家に住んでいる方は、地域から
孤立しているのではないか、などど思ってしまいます。東京電力という組織体への憎悪と
は区別して、個人どうしは従来と変わらずにつきあえるような、寛容な社会になってほし
いと願っています。
さて、原発事故の賠償金問題に関連して、東京電力のリストラ案が不十分として政府から
強い不満が出されています。 東京電力の解体論(発送電の分離等)も検討の俎上に上が
るようです。
東京電力の発表したリストラ案は、役員や社員の給与の削減を主体にするものですが、極
度の経営不振に陥った一般の民間会社が行っているリストラに比べると、甘すぎると思わ
ざるをえません。 たとえば、大幅な人員削減を実施する、保有する有価証券を売する、
本社や全国の支社などのビルや土地など全国に所有する不動産をすべて売却する、数多く
の子会社も売却する、というようなことは検討されているのでしょうか? また、退職者
の企業年金や退職金の見直しも当然行うべきです。このようなことは、一般の会社のリス
トラではどこでも行っていることです。
尾瀬の4割が東京電力の所有地とはビックリしました。 東京電力には、よくぞ、いまま
で、尾瀬という貴重な自然を守って来ていただいたと感謝したいと思います。
この尾瀬は、早急に国が買い上げて、従来通り尾瀬国立公園として国が管理運営すべき国
民の財産です。 枝野官房長官が尾瀬の売却より前に処分するがものあると話しているよ
うですが、尾瀬のような貴重な自然は、政府が真っ先に買い上げるべきと思います。 一
般的な資産と尾瀬とでは価値が違います。枝野内閣官房長官の認識を疑います。
東京電力の責任が強調されていますが、政府の責任の取り方はどうなっているのでしょう
か。 菅総理と海江田大臣の報酬の一部削減だけでお茶を濁すつもりなのでしょうか。国
策として進められてきた原子力は、政府に東京電力と劣らぬ責任があります。単に総理と
経産大臣の報酬一部削減だけですませられるものではありません。総理や経産大臣の進退
は当然、原子力安全委員会、原子力安全保安院の責任者の進退も含めた責任が問われるべ
きです。
*全く別件ですが、民主党政権になって責任の取り方が全くあいまいです。たとえば、
・ユッケに見られる食用生肉の衛生基準への罰則作成を放置してきたことは、厚生労
働大臣の進退を問われるべきゆゆしき問題。
・専業主婦の年金問題は、あまりに不公平なので今見直しを行っていますが、これ
も厚生労働大臣の進退が問われるべき大きな問題。
「尾瀬国立公園内の社有地売却案浮上 東電が賠償財源捻出で」
2011.5.17 (産経新聞)
ミズバショウなどの美しい自然で知られ、群馬など4県にまたがる尾瀬国立公園(約3万7200ヘクタール)のうち、東京電力が保有する土地を国に売却する案が浮上している。福島第1原発事故の賠償費を捻出するためで、政府関係者は16日夜、「当然、国が買い取ることになる」と語った。
尾瀬は大正時代、水力発電の水源地として電力会社による取得が進んだが、計画が頓挫し、東電が設立時の昭和26年に引き継いだ。公園全体の4割、特別保護地区の7割を保有し、湿原保護などで年約2億円を拠出。国は東電所有地を国立公園として運営している。
東電は数千億円の資産売却を目指しているが、尾瀬の土地を民間に売るのは困難とみられていた。売却額などは未定だが、国が購入すれば、東電への直接支援と批判される恐れもある。
尾瀬の観光シーズンは5~10月で、平成22年度は35万人近くが訪れた。
〔2011年5月19日 ☆きらきら星☆〕