花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

「政府が原発事故対応のメモを作成していないのは国民に対する背信行為だ」

2011年05月26日 18時12分41秒 | ちょっと気になること

政府は24日に福島第一原発事故の「事故調査・検証委員会」を内閣官房に設置することを

決定し、委員長には失敗学で有名な畑村洋太郎氏を起用、検証の対象は東京電力、及び菅

首相や各閣僚はじめ関係行政機関が対象、中間報告を12月中に行うこと等が新聞などで報

じられています。


情報隠しの疑いの強い政府が事故から2カ月以上も経ってやっと重い腰を上げました。

委員会がいかに国民の期待にこたえる結果を出せるか、見守っていきたいと思いますが、

事務局が内閣官房に置かれるので、政府の介入を完全に排除できるかはなはだ疑問です。

原発事故で行われた意思決定の過程を示す議事録(メモなど)がほとんど無いと言われて

いますので、政府の都合のいいいように記憶を作り直すのではないかと危惧します。


枝野内閣官房長官や原子力担当の細野総理補佐官が「原子力災害対策本部などについては

一定の議事メモは残っているが、危機管理対応で議事録をとる場がほとんどなかったのが

実態で、この間の記憶に基づく証言などを求められることになるのだろう」という趣旨の

発言していますので、調査・検証が公正に行われる保証がないと思います。


文書が無いために、「言った、言わない」という極めて次元の低いレベルのニュースが飛

びかっていますし、内容が発言者と受け取る側で異なって理解されていることも露見して

います。さらに、東京電力と政府、政府内部での情報伝達のあきれるようなお粗末さも明

らかになってきています。政府における内部統制は崩壊しているようです。


例えば、

・福島第一原発1号機への海水注入及び海水注入中断に関する情報伝達と意思決定過程の 不透明さ。

・本人と政府とで食い違う斑目原子力安全委員長発言。

・児童の被曝限度を年間20ミリシーベルトにした意思決定過程。

などなど、例をあげればきりがありません。


企業では、内部統制システム導入によりガバナンスの強化を図るとともに、国際規格であ

るISOや類似の様々な規格に沿った業務遂行が行われています。

・品質マネジメントシステム(ISO9001)
・環境マネジメントシステム(ISO4001)
・労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)
・リスクマネジメントシステム・並びにクライシスマネジメントシステム
・他


各マネジメントシステムは、勿論、企業の自主的な判断で導入されたものですが、

OSHMSは厚生労働省の指導により導入した企業が多いと思われます。これらはすべ

て、業務遂行の手順や意思決定のプロセスを「文書化・標準化」することが要求されてお

り、マネジメントシステムの監査の第一歩は、まず「文書の有無」、「手順に従っている

か」から始まります。 労働基準監督署の監査、原子力安全と産業保安を所管する保安院

の監査手順も、マネジメントシステムに沿ったもので、「文書化されているか」、「標準

化されているか」から始まります。 


今回、政府が非常時いうことで、意思決定過程のほとんどを文書に残していないのは、ク

ライシスマネジメント上の大失態と思います。

企業で大火災や大爆発などが発生した時に、「危機対応に取られていたので、議事録や

メモなどは一切ない」と言っても、政府機関が納得するでしょうか? 政府の対応はあま

りにも身勝手です。



そもそも、政府は代議制度を通じて国民の付託を受けて、国民になりかわって政治・行政

を行っているのであり、あらゆる事項について、意思決定までのプロセス、並びに決定事

項を国民に知らせる義務がありますし、国民は知る権利があります。原発事故関連で文書

を作成しなかったと言うことは、国民の知る権利を侵害するものであり、国民の付託を裏

切る背信行為です。 このような背信行為を平然と行う政府を国民は許すことができませ

ん。 即刻、内閣総辞職するべきです。



(2011年5月26日 ☆きらきら星☆)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする