日本の音声合成技術が世界に卓越しており、歌うことや声の出ない患者への応用で、日本国内はもとより世界で活躍している日本の技術者の様子がTV報道されました。 日本のアニメや漫画が世界中で読まれるようになって久しく、日本の新たな文化として世界の人々に受け入れられています。
そういえば、漫画の殿堂を作ろうと呼びかけた総理大臣もいました。 当時は、総理大臣の独特の個性もあってか、はたまた、野党の痛烈な批判にさらされて陽の目をみませんでしたが、今になって考えると、時代の先を読んだ斬新な提案だったのかも知れません。
音楽の分野でも一時 J―POPが東南アジアで旋風を起こしました。 東南アジアのカラオケではJ―POPが歌われ、現地の若い女性には日本人歌手や俳優のおしゃれが流行していました。今や、歌は完全にK-POPに取って代わられています。 TVドラマは韓流だらけです。 韓国はK-POPやドラマなど韓流を国家として支援しています。
ソフトや音楽、芸術などでは世界の潮流の変動が激しいので、アニメや漫画なども、韓流の勢いで日本を追い落とそうとしており、うかうかしておれないと思います。 日本で漫画やアニメが、日本の新しい文化として政府に認知されるのは何時でしょうか。 あくまでもブームとして終わってしまうのでしょうか。
半導体大手で、DRAMの生産で世界3位の「エルピーダメモリ」が会社更生法の申請を行いました。負債総額は、4480億円だそうです。そもそも、日本の半導体業界は、世界シェアの80%を占めていましたが、韓国や台湾メーカーの追い上げを受けて、縮小や撤退を余儀なくされ、2009年に日立・NECのDRAM部門を統合して、エルピーダメモリが発足し、2013年には三菱電機も合流、日本の唯一のDRAMメーカーとなりました。現在の世界のDRAM市場のシェアは、サムスン(韓国)45%、ハイニクス(韓国) 22%、エルピーダメモリ(日本)12%に過ぎません。
大量生産品の世界では、絶えざる設備投資に耐える豊富な資金力が必要です。どうしてもトップ・シェア、それもダントツのトップを占めるメーカーが圧倒的に有利です。2位、
3位のメーカーは価格競争に敗れて、脱落の危険にさらされています。「1位でなければダメ」の、まさに、仁義なき価格競争の世界です。
コスト競争に敗れて、日本の製造業が昔日の面影を無くし経済規模が縮小している今日、このようなソフトの面で日本が世界を牽引しているということに、精神的な安心感を感じます。 日本人は“独創力に欠けているが、応用力に優れている”とはよく言われてきました。このような日本人の応用力とあくなき追求の精神が、音声合成技術などソフト面で開花したものでしょう。
製造業では外国で発明された技術を日本人のきめ細かさと粘り強さなどで応用・改良し、製造方法を工夫しノウハウを蓄積して、実用的な製品を作り上げてきました。この応用の中から、世界に類を見ない多くの新しい製品が生まれてきました。 大量生産・大量消費の商品が世界市場を席巻しましたが、いまや、ほとんどの分野で昔日の面影はありません。
然し、今でも世界で唯一のメーカーであったり、トップシェアを保っているところも多くあります。 これらの製品は、大量生産されるというよりも、どちらかと言えば、特定分野で使われる少量生産品が多く、それだけに、なくてはならない製品です。航空・宇宙や医療など最先端分野で使用されている技術、製品に日本製が多いのはこのためです。 また、従来の基幹産業の中で、特定製品は日本だけしか製造できないものもあります。 半導体を支える部材類は勿論、日本中の厳しい視線にさらされている原子力分野でも、世界シェアのほとんどを占め、他の追随を許さない製品も多くあります。
大量生産品は、労務費の安価な中国や発展途上国にはどうしても太刀打ちできませんが、独自の技術とノウハウを使った特定分野向けの少量生産品は今後とも日本の強みです。 大手企業に劣らず、むしろ多くの中小企業がこの分野を担っていますし、さらに底辺では、零細町工場が支えています。 円高、電力代の値上げや不安定な電力供給などは中小企業や町工場の経営を不安に陥れるものです。 政府はこれら中小・零細企業の経営が不安定にならないような支援策、貴重な技術継承を進めるための施策を進めるべきです。
大量生産品は、海外生産にシフトするなり、中国や韓国や発展途上国に任せて、日本国内では地道にキーテクノロジーを温存、さらに育成して、中国や韓国などから、“大事なところの技術は日本”と言わせる存在になるべきではないでしょうか。
<世界シェア・断トツの日本製品例>
★クラレ:液晶偏光膜用フィルム「クラレビニロンフィルム」世界シェア100%。
★クリーンテクノロジー:液晶用カラーフィルター 世界シェア90%
★東洋インキ製造:液晶のカラーフィルタ用レジストインキ)
★津田駒工業:高性能ウオータージェットルーム。世界シェア80%。
★栗田工業:超純水製造技術。世界シェア65%。
★堀場製作所:エンジン排ガス測定装置。世界シェア80%
★岡野工業:世界初のプレスによる超極細の注射針、米軍のステルス戦闘機のカーボン加
工技術等。
★日本製鋼所:原子力発電所を作るための部品や設備で世界シェア80%
★岡本硝子:歯科医用デンタルライトミラー。世界シェア80%。
★オリンパス:医療用内視鏡、世界シェア70%
★三鷹光器:脳外科手術で使われる顕微鏡
★根元特殊化学:夜光塗料 世界シェア80% 時計用では世界シェア100%
★沼澤製作所:女性が使うビューラーで世界一。
★ポーライト:携帯電話用バイブモーターの軸受け 世界シェア80%
★日本バイリーン:精密不織布。世界シェアほぼ100%。
★昭和真空:水晶デバイス製造装置。 世界シェア80%
★島精機製作所:縫い目のないニット編機
★日本電産:HDD用ドライブモーター 世界シェア75%
★アルプス電気:レーザー光源用の非球面ガラス
★ファインパーツ:極小バネ(携帯電話やボールペンに使われている)
★エルム:DVD修復装置 世界シェア100%
★金型
日本の2005年度の年間金型生産額は、1兆7,304億円。2位米は遙か及ばない。
高度な熟練技能、「品質優先」のモノづくりへの姿勢が世界から歓迎されている。
★工作機械
世界シェアも30.%超。
他
(2012年3月3日 花熟里)