本年4月1日にも発足予定だった原子力規制の新組織の「原子力規制委員会」と事務局となる「原子力規制庁」を9月19日に発足させると政府が発表しました。 国会同意人事である規制委員会の委員長・委員合計5名の候補者名簿は7月26日に国会に提出され、8月1日に候補者の所信表明が行われましたが、その後、政府は国会の同意の採決を行わず、9月8日の国会の閉会を迎えました。 原子力規制委員会設置法の特例規定により、野田総理が規制委員会委員長と委員 合計5名を任命することで、発足させます。
原子力規制委員会設置法付則第2条には、「最初の委員長及び委員の任命」について総理大臣の特例任命権が規定されています。
☆付則第2条第3項:国会会期中で原子力緊急事態での特例
☆付則第2条第5項:国会閉会中又は、衆議院解散中の特例、
今回は、付則第2条第5項を理由に総理の特例権限で任命するものと新聞等で解説されています。国会の事後承認が必要ですが、同第6項では、原子力緊急事態宣言が発せられている場合には、同宣言の解除後に速やかに国会同意を得るようになっています。 逆にいえば、原子力緊急事態宣言が解除されなければ、これを理由に国会同意をズルズルと引き延ばせば、事実上国会同意は不要になります。
たしかに、現時点では原子力緊急事態が発せらたまますが、法に言う「原子力緊急事態宣言が発せられている場合」の趣旨は、“政府が事故対応に必死になって取り組んでいるような混乱時“を想定していると考えるのが自然であり、事故の収束宣言がだされ、しかも、事故後1年半経過しているような状況は想定していないと思われます。 その時の政府の都合のよいように諮意的に適用するのは、法に定める「委員長・委員人事の国会同意」を姑息な解釈で有名無実化するものです。 政府は、原子力緊急事態の解除の条件(事故収束宣言との関係も含めて)を国民に明確に説明する必要があります。
東京電力福島原子力発電所での「原子力緊急事態宣言」の動きは次の通りです。
☆2011年03月11日 19時03分 福島第一原発「原子力緊急事態宣言」発出
☆2011年03月12日 07時45分 福島第二原発「原子力緊急事態宣言」発出
☆2011年12月16日 福島第一原発「事故収束宣言」
同 上 福島第二原発「原子力緊急事態解除」
福島第一原子力発電所について、政府は、『原子炉は「冷温停止状態」に達し、不測の事態が発生した場合も、敷地境界における被ばく線量が十分低い状態を維持することができるようになった。安定状態を達成し、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断』して、事故収束宣言を出しました。 他方、原子力緊急事態宣言は、現在(2012年9月12日)でも解除されていません。
原子力安全委員会が「原子力緊急事態の解除を行う際の技術的な基本的な考え方」(平成17年10月4日)、及び「放射線防護の線量の基準の考え方」(平成23年4月11日)を示しています。 これらを素直に解釈すれば、「事故収束まで」は緊急事態であり、「事態のこれ以上の悪化、拡大はない」と判断され、「収束宣言」を出した場合には、緊急事態も解除されるべきなのです。 原子力安全委員会の資料(基準の考え方)に従えば、緊急時とは『事故継続等』の状態であり、現在は(c:『事故収束後の経過』)の状態と言えます。 現在でも緊急事態が解除されていないと言うことは、政府の収束宣言が早すぎた、または、緊急事態の解除を失念していた、と言うことでしょうか。なぜ現在も原子力緊急事態なのか、について政府の丁寧な説明が必要です。
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「原子力緊急事態の解除を行う旨の公示等に係る技術的助言の基本的考え方について」
(平成17年10月4日 原子力安全委員会)
『第2章 原子力緊急事態解除宣言に関して考慮すべき主な事項』
原子力緊急事態解除宣言を行う際は、原子力緊急事態宣言した際の条件を十分に下回り、再び原子力緊急事態に至ることがないよう以下の項目について確認を行い、総合的に事故の終息を判断する必要がある。
☆当該原子力施設等が制御可能な状態であり、異常事態が終息する方向にあること
☆当該原子力施設等からの放射性物質や放射線の放出が、核原料物質、核燃料物質及び 原子炉の規制に関する法律上の規制レベルに回復されたこと、もしくはその回復が確 実に見込まれること
☆当該原子力施設等からの放射性物質や放射線の異常な放出が再び生じない及びその兆 候が見られないこと
<官邸ホームページから引用 >
平成23年12月16日、原子炉は「冷温停止状態」に達し、不測の事態が発生した場合も、敷地境界における被ばく線量が十分低い状態を維持することができるようになった。安定状態を達成し、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断。
1、圧力容器底部及び格納容器内の温度は概ね100℃以下になっていること。
2、注水をコントロールすることにより格納容器内の蒸気の発生が抑えられ、格納容器 からの放射性物質の放出が抑制されている状態であること。また現時点における格 納容器からの放射性物質の放出による敷地境界における被ばく線量は0.1ミリシー ベルト/年と、目標とする1ミリシーベルト/年の目標を下回っていること。
3、循環注水冷却システムの中期的安全が確保されていることが確認できたこと。
☆設備は故障や事故に備え何重ものバックアップにより信頼性を確保。
☆異常が検知でき、設備の停止時には復旧措置、代替手段を確保。
☆万一事故が発生した場合においても、敷地境界における被ばく線量が十分低い ことを確認。
敷地内での作業は依然厳しい状況にあるが、原子炉以外の課題についても以下に示すとおり目標を達成し、「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」というステップ2の目標達成と完了を確認。
今後、新たに設置する政府・東京電力中長期対策会議により中長期ロードマップを決定し、廃炉に向けた現場作業や研究開発を行う。
『原子力緊急事態宣言』
平成23年(2011年)3月11日16時36分、東京電力(株)福島第一原子力発電所において、原子力災害特別措置法第15条1項2号の規定に該当する事象が発生し、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施知る必要があると認められるため、同条の規定に基づき、原子力緊急事態宣言を発する。
(注)
現在のところ、放射性物質による施設の外部への影響は確認されていません。したがって、対象区域内の居住者、滞在者は現時点では直ちに特別な行動を起こす必要はありません。あわてて避難を始めることなく、それぞれの自宅や現在の居場所で待機し、防災行政無線、テレビ、ラジオ等で最新の情報を得るようにしてください。
繰り返しますが、放射能が言に施設の外に漏れている状態ではありません。落ち着いて情報を得るようにお願いします。
<緊急事態判断基準(15条事態)>
国は、原子力災害対策特別措置法第10条にもとづく原子力事業所からの通報後、引続き原子力事業所の状況、放射線量などに関する情報を入手し、原子力災害対策特別措置法第15条に該当するかどうかの判断を行う。また、該当すると判断した場合には、緊急事態宣言を発出し原子力災害対策本部を立ち上げる。
緊急事態判断基準(15条事態)は以下に示すとおりである。
1、原子力事業所または関係都道府県の放射線測定設備により、事業所境界付近で
500μSv/hを検出した場合
2、排気筒など通常放出場所、管理区域以外の場所、輸送容器から1m離れた地点で、
それぞれ通報事象の100倍の数値を検出した場合
3、臨界事故の発生
4、原子炉の運転中に非常用炉心冷却装置の作動を必要とする原子炉冷却材の喪失が発
生した場合において、すべての非常用炉心冷却装置の作動に失敗すること、等
(2012年9月12日 花熟里)
原子力規制委員会設置法付則第2条には、「最初の委員長及び委員の任命」について総理大臣の特例任命権が規定されています。
☆付則第2条第3項:国会会期中で原子力緊急事態での特例
☆付則第2条第5項:国会閉会中又は、衆議院解散中の特例、
今回は、付則第2条第5項を理由に総理の特例権限で任命するものと新聞等で解説されています。国会の事後承認が必要ですが、同第6項では、原子力緊急事態宣言が発せられている場合には、同宣言の解除後に速やかに国会同意を得るようになっています。 逆にいえば、原子力緊急事態宣言が解除されなければ、これを理由に国会同意をズルズルと引き延ばせば、事実上国会同意は不要になります。
たしかに、現時点では原子力緊急事態が発せらたまますが、法に言う「原子力緊急事態宣言が発せられている場合」の趣旨は、“政府が事故対応に必死になって取り組んでいるような混乱時“を想定していると考えるのが自然であり、事故の収束宣言がだされ、しかも、事故後1年半経過しているような状況は想定していないと思われます。 その時の政府の都合のよいように諮意的に適用するのは、法に定める「委員長・委員人事の国会同意」を姑息な解釈で有名無実化するものです。 政府は、原子力緊急事態の解除の条件(事故収束宣言との関係も含めて)を国民に明確に説明する必要があります。
東京電力福島原子力発電所での「原子力緊急事態宣言」の動きは次の通りです。
☆2011年03月11日 19時03分 福島第一原発「原子力緊急事態宣言」発出
☆2011年03月12日 07時45分 福島第二原発「原子力緊急事態宣言」発出
☆2011年12月16日 福島第一原発「事故収束宣言」
同 上 福島第二原発「原子力緊急事態解除」
福島第一原子力発電所について、政府は、『原子炉は「冷温停止状態」に達し、不測の事態が発生した場合も、敷地境界における被ばく線量が十分低い状態を維持することができるようになった。安定状態を達成し、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断』して、事故収束宣言を出しました。 他方、原子力緊急事態宣言は、現在(2012年9月12日)でも解除されていません。
原子力安全委員会が「原子力緊急事態の解除を行う際の技術的な基本的な考え方」(平成17年10月4日)、及び「放射線防護の線量の基準の考え方」(平成23年4月11日)を示しています。 これらを素直に解釈すれば、「事故収束まで」は緊急事態であり、「事態のこれ以上の悪化、拡大はない」と判断され、「収束宣言」を出した場合には、緊急事態も解除されるべきなのです。 原子力安全委員会の資料(基準の考え方)に従えば、緊急時とは『事故継続等』の状態であり、現在は(c:『事故収束後の経過』)の状態と言えます。 現在でも緊急事態が解除されていないと言うことは、政府の収束宣言が早すぎた、または、緊急事態の解除を失念していた、と言うことでしょうか。なぜ現在も原子力緊急事態なのか、について政府の丁寧な説明が必要です。
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「原子力緊急事態の解除を行う旨の公示等に係る技術的助言の基本的考え方について」
(平成17年10月4日 原子力安全委員会)
『第2章 原子力緊急事態解除宣言に関して考慮すべき主な事項』
原子力緊急事態解除宣言を行う際は、原子力緊急事態宣言した際の条件を十分に下回り、再び原子力緊急事態に至ることがないよう以下の項目について確認を行い、総合的に事故の終息を判断する必要がある。
☆当該原子力施設等が制御可能な状態であり、異常事態が終息する方向にあること
☆当該原子力施設等からの放射性物質や放射線の放出が、核原料物質、核燃料物質及び 原子炉の規制に関する法律上の規制レベルに回復されたこと、もしくはその回復が確 実に見込まれること
☆当該原子力施設等からの放射性物質や放射線の異常な放出が再び生じない及びその兆 候が見られないこと
<官邸ホームページから引用 >
平成23年12月16日、原子炉は「冷温停止状態」に達し、不測の事態が発生した場合も、敷地境界における被ばく線量が十分低い状態を維持することができるようになった。安定状態を達成し、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断。
1、圧力容器底部及び格納容器内の温度は概ね100℃以下になっていること。
2、注水をコントロールすることにより格納容器内の蒸気の発生が抑えられ、格納容器 からの放射性物質の放出が抑制されている状態であること。また現時点における格 納容器からの放射性物質の放出による敷地境界における被ばく線量は0.1ミリシー ベルト/年と、目標とする1ミリシーベルト/年の目標を下回っていること。
3、循環注水冷却システムの中期的安全が確保されていることが確認できたこと。
☆設備は故障や事故に備え何重ものバックアップにより信頼性を確保。
☆異常が検知でき、設備の停止時には復旧措置、代替手段を確保。
☆万一事故が発生した場合においても、敷地境界における被ばく線量が十分低い ことを確認。
敷地内での作業は依然厳しい状況にあるが、原子炉以外の課題についても以下に示すとおり目標を達成し、「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」というステップ2の目標達成と完了を確認。
今後、新たに設置する政府・東京電力中長期対策会議により中長期ロードマップを決定し、廃炉に向けた現場作業や研究開発を行う。
『原子力緊急事態宣言』
平成23年(2011年)3月11日16時36分、東京電力(株)福島第一原子力発電所において、原子力災害特別措置法第15条1項2号の規定に該当する事象が発生し、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施知る必要があると認められるため、同条の規定に基づき、原子力緊急事態宣言を発する。
(注)
現在のところ、放射性物質による施設の外部への影響は確認されていません。したがって、対象区域内の居住者、滞在者は現時点では直ちに特別な行動を起こす必要はありません。あわてて避難を始めることなく、それぞれの自宅や現在の居場所で待機し、防災行政無線、テレビ、ラジオ等で最新の情報を得るようにしてください。
繰り返しますが、放射能が言に施設の外に漏れている状態ではありません。落ち着いて情報を得るようにお願いします。
<緊急事態判断基準(15条事態)>
国は、原子力災害対策特別措置法第10条にもとづく原子力事業所からの通報後、引続き原子力事業所の状況、放射線量などに関する情報を入手し、原子力災害対策特別措置法第15条に該当するかどうかの判断を行う。また、該当すると判断した場合には、緊急事態宣言を発出し原子力災害対策本部を立ち上げる。
緊急事態判断基準(15条事態)は以下に示すとおりである。
1、原子力事業所または関係都道府県の放射線測定設備により、事業所境界付近で
500μSv/hを検出した場合
2、排気筒など通常放出場所、管理区域以外の場所、輸送容器から1m離れた地点で、
それぞれ通報事象の100倍の数値を検出した場合
3、臨界事故の発生
4、原子炉の運転中に非常用炉心冷却装置の作動を必要とする原子炉冷却材の喪失が発
生した場合において、すべての非常用炉心冷却装置の作動に失敗すること、等
(2012年9月12日 花熟里)