花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

「PC遠隔操作事件など刑事事件の弁護人職業倫理に思う」

2014年05月22日 11時38分48秒 | ちょっと気になること
PC遠隔操作事件で、2012年2月に片山祐輔容疑者が逮捕、起され、東京拘置所に勾留されていましたが、今年3月に保釈されました。著名な弁護団に支えられて、一貫して無実を訴えていましたが、本人が一連の犯行を認めたために、5月20日に保釈が取り消され、再勾留されました。 片山被告の逮捕・拘留については、多くの著名人から批判が相次ぎました。 ジャーナリストの江川紹子氏はその代表格で、3月の保釈時に次のようにコメントしています。
「 本当に長かったなと思います。それと、やっぱり検察側が少し異常じゃないか、という感じがしますね。ようやく高裁が保釈許可のまともな判断をしたけれども、やっぱり遅すぎた気がしますよね。」 
本人が犯行を公表した今、片山被告の逮捕を厳しく批判し、3月の保釈時にも検察批判のコメントを出した江川氏はどのような弁明をするのでしょうか?

それはともかく、私が一番注目しているのは弁護士のことです。 主任弁護人の佐藤博史弁護士は、「私は片山さんの無実をずっと信じていた。 『やっていない』という人を信じるのが職業倫理だが、完全にだまされたということにはなる。」と語りました。佐藤弁護士の触れている「弁護士の職業倫理」について、櫻井光政弁護士が次のようにツイートしています。
『凶悪犯罪の被告人から、「真実の犯人は自分だが無罪を主張してくれ」と言われたときに、無罪主張に最善を尽くさなければならないのが刑事弁護の倫理です。有罪主張したら懲戒を受けます。その場合に残された道は辞任しかないけれど、いずれにせよ誰かがこの被告人を弁護しなければなりません。的外れな批判・非難や嘲笑をする人は、刑事裁判のルールを知らない人です。』

法律の素人は、法律の専門家の判断に的外れな批判をするな、というなんとも傲慢な意見です。世の仕組みが複雑になった現在、法律の専門家に裁判をまかせずに、素人である一般国民の目線による常識的な判断を裁判に取り入れたのが、裁判員制度だったと思います。
櫻井光政弁護士は、裁判員制度の意義に反する発言を堂々としているのです。 刑事弁護人の倫理を突き詰めれば、裁判テクニックを駆使して「クロをシロにする」のが辣腕弁護士と思われても仕方ないでしょう。 「真実の犯人は自分だが無罪を主張してくれ。と言われた」ときに、唯唯諾諾と弁護を引き受け無罪の主張をするのは、佐藤弁護士の言う弁護人の職業倫理上は正しいのでしょうが、クロをシロにすると言ってわけですので、真実を捻じ曲げ、国民を欺くことになります。  一般国民の感覚では、真実の犯人だと打ち明けられた場合には、諄々と人の道理を説いて、真実を公表するように説得し、そのうえで、裁判では少しでも罪が軽くなるように弁護をするのが、弁護人としてとるべき道ではないでしょうか。 弁護士である前に人なのですから。

一連のPC遠隔操作事件では4名が誤認逮捕されましたが、家族や業務を妨害された自治体の職員からは「腹立たしい」「いまだに理解できない」といった声が上がった、と報じられています。 佐藤弁護士によれば、片山被告は、4人が誤認逮捕されたことについて「意外に簡単だった。逮捕されたと聞いて『やった』という気持ちになった」と話したと報じられています。明治大学の学生は逮捕後退学したと報じられていますし、他の社会人3名もそれぞれ、苦しい人生を余儀なくされたことと思います。 このような、他人を巻き添えにしたことへの心からの反省をしているのでしょうか?  

弁護団は、片山被告の精神鑑定を要求するとも報じられています。TVでの会見映像を見る限り、片山被告のような人は、多くいるように思われます。すべての人間は多かれ少なかれ、二面性を持った矛盾(?)に満ちた存在なのではないでしょうか。片山被告に精神鑑定が必要なのであれば、多くの日本人が精神鑑定を受けなければなりません。 
また、精神鑑定が実施されると、今後長期間、裁判は行われない可能性があります。 愉快犯・模倣犯予備軍が片山被告の取り扱いをジート見守っているような気がしてなりません。 模倣犯が出てくるのを抑制する意味からも、弁護団は精神鑑定要求を行わず、裁判を迅速にすすめ、早期の結審を目指すべきです。

一連の事件では、4名が誤認逮捕されましたが、その責任は警察・検察にあります。 冤罪事件でいつも思うことは、狂わされ失われた人生は、決して取り戻せないということです。 金銭の補償で済ませられることではないのです。 日本の社会はレールから外れた人間には冷たいように思われます。 誤認逮捕された方の生活復元や冤罪事件の被疑者の社会復帰を手助けするようなシステムを構築すべきと思います。


「キャリア30年以上となる刑事弁護のベテランツイート」
(弁護士ドットコムトピックス)
《凶悪犯罪の被告人から、「真実の犯人は自分だが無罪を主張してくれ」と言われたときに、無罪主張に最善を尽くさなければならないのが刑事弁護の倫理です。有罪主張したら懲戒を受けます。その場合に残された道は辞任しかないけれど、いずれにせよ誰かがこの被告人を弁護しなければなりません。》
《だから、自分は無実と言われた佐藤弁護士が被告人の無罪獲得のために全力を尽したことは、刑事弁護人として「見込み違い」「軽率」等と批判や揶揄されたりする理由は何もありません。的外れな批判・非難や嘲笑をする人は、刑事裁判のルールを知らない人です。もちろんそういう人でも批評は自由ですが。》


「PC遠隔操作事件「片山被告人の身柄拘束は懲役刑よりひどい」 江川紹子さんが批判。 (弁護士ドットコムトピックス)
――1年以上となった片山被告人の勾留について、どうお考えでしょうか?
江川紹子さん(以下、江川):「 本当に長かったなと思います。それと、やっぱり検察側が少し異常じゃないか、という感じがしますね。」
――保釈が決まったあとに検察が特別抗告し、いったん保釈の執行が止められたものの、検察側の手続きミスが判明し、結局、東京高裁によって保釈が許可されました。
江川: それは慣れないことをやるからでしょう。つまり、異常なことをやるから、こういうミスもするんじゃないでしょうか。ふだん、高裁が保釈決定を出しているのに、そんな特別抗告をするなんてことはあまり聞いたことがないですよね。弁護人が特別抗告するのは聞いたことがあるけど。そういう異常なことをやろうとするから、こういうミスをするんじゃないですかね。
――片山被告人の逮捕(昨年2月10日)と同じ時期でした。
江川: そうなんですよ。だから、あのケースとの差があまりにも大きい。やはり日本では、まだまだ「身柄拘束」を、検察が自分たちの有利に運ぶように使っている気がします。彼(片山被告人)なんかは接見禁止もついていましたから、弁護人以外、誰とも会えない、しかも新聞も読めないと。これって、懲役刑よりひどいですよ。
やはり日本の「人質司法」というか、長期間の「身柄拘束」って罰だと思うんですよね。だから、裁判をやる前から罰を加えるということを、もうちょっと改めるべきだと思うんですよね。
今回、ようやく高裁が(保釈許可について)まともな判断をしたけれども、やっぱり遅すぎた気がしますよね。今回の高裁の決定は非常に筋が通っていて、まっとうだと思うので、こういう判断をもう少し早くできるように、裁判所にやってもらいたいと思います。

(2014年5月22日 花熟里)
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