野田政権が関西電力大飯原子力発電所の3・4号機の再稼働に「go」を出したようです。
新聞等によれば、「暫定の安全基準をクリヤーしただけで、新しい原子力規制庁が厳しい安全基準を作成し、これにをクリヤー出来なければ稼働停止ありうる」とも伝えられています。即ち、新たな基準に適合しない場合には、大飯原子力発電所を含めて、すべての原子力発電所の稼働を認めないとしています。
法治国家であれば、現在有効な法令や基準に適合しておれば、正当に扱われるべきで、その後、法令や基準が厳しい内容に改正された場合には、期限を設けて改善を行うようにするのが自然な姿だと思います。
そもそも、九州電力玄海原子力発電所3号機が、国の定める定期検査を終了して、当時の海江田経済産業大臣が、再稼働を認めたにもかかわらず、菅総理が、ストレステストの結果を待って判断すると言いだして、混乱を深めました。 稼働中であった中部電力浜岡原子力発電所4・5号機は菅総理の法律を無視した独断の要請(実質指示)で稼働停止させられましたが、防潮堤工事完成後に、再稼働させるとの約束があったと中部電力社長は言っています。しかし、菅総理や海江田大臣は、“そのような約束はなかった”と言っています。 これも、おかしなことです。再稼働の保証なしで理不尽な停止命令に従うでしょうか。停止命令した菅総理は真相を明らかにすべきです。近隣の大国が“人治国家”と揶揄されますが、民主党政権は、この近隣の“人治国家”に親近感を抱いて、気に入られるように真似しているのでしょうか。
大飯原発をはじめ、定期検査が終了したにもかかわらず現在停止を余儀なくさせられている原子力発電所は、法令上は再稼働には何ら問題がありません。地震や津波などの自然災害や自然災害以外の事象によって、全電源喪失などの想定に対する現時点での安全裕度を確認するストレステストの結果、強化が必要と見なされる事項については、稼働していく中で、計画的に実施していくべき性格のものです。 現に欧米諸国ではそうしていると報じられています。 定期検査を終了した原子力発電所は、“巷の感情的な大きな声”に囚われずに、粛々と再稼働すべきです。
昨年の3月の事故から1年以上が経ちましたが、国として原子力を含むエネルギー戦略の明確な方針を出せていません。“原子力ムラ関係者の核燃料サイクルでの秘密会議”などどいう、いかにも反原発派やマスメディア受けのするようなキャッチフレーズが新聞紙上をにぎわしています。特定の業界を“ムラ”呼ばわりする感覚を疑います。 自動車ムラ、通信ムラ、鉄道ムラ、医療ムラ、医薬品ムラ、土建ムラ、etc.。 マスメディアには、『記者クラブ』なるものがあるそうで、フリーのジャーナリストなどを排除していると言われていますが、正に”メディア・ムラ“そのものではないでしょうか。どう説明するのでしょうか。核燃料サイクルの議論が事実上振り出しに戻ったことは、国家エネルギー大綱制定にも影響が出そうです。なにしろ、反原発派の委員の声が益々大きくなってきましたので。.業界関係者をはじめ、様々な立場の声を聞くのも大事なことだと思います。但し”秘密会“はあらぬ疑念を持たれやすいので、あくまでもオープンにすべきです。
(2012年5月31日 花熟里)