ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

中津軒 @三重県津市

2024年04月15日 | 三重県

東海地方の100年を越すような歴史ある洋食店にしか残っていない不思議なメニュー「ミヤビヤ(ミヤベヤ)」。メディアでは現在残っているのは3軒(愛知・享楽亭、岐阜・あじろ亭、三重・中津軒)とするところが多いが、実際は他にまだあって、自分は岡崎の「安兵衛」、津島の「三すじ」でも食べている。ただ、もう閉店してしまった店も(名古屋「勝利亭」、瑞浪「満月」)。

今回は提供が確認出来ている店の中で、唯一まだ訪れていなかった三重県津市の「中津軒」へ。創業は明治44年(1911)で現在4代目とのこと。今回の津訪問はもちろんこの店が目当てだった。雨降る中、傘をさして店へ向かい、開店と同時に店に入った。同時に入った客は3組程。店内は天井高く、やや暗い照明のクラシックな内装で、建造年は分からないが床の具合からしても結構古いんじゃないかな(※戦後の建築だそうです)。ブラウン管テレビが置かれた店内はテーブル席がいくつもあるが、使っていないテーブルもある様子。厨房は全く見えなかったが、手洗いを借りた際に奥に入ったら遠い廊下の先にあった。途中に貴賓室と思われる部屋もあって気分が上がる。給仕を担当する女性は3人だったが、年齢的にいってご家族3代の女性かも。

メニューを眺める。古い洋食店のメニューほど興味深いものは無い。名前だけではどんなものか分からない品もあり、これを読んで色々想像するだけでお酒が呑めそう(笑)。悩んで悩んで選んだのは、まずもちろん”特別料理”と書かれた「メアベア」(※こちらの店でのミヤビヤの呼称)。そして「コキール」、ドリンクから「ポートラップ」。本当はもっと沢山選びたいのだが、それぞれの量が分からないし、この後も予定があったので控えめにしておいた。銘入りの紙ナプキンの上にカトラリーが用意される。厨房が遠いので、出来上がると奥から「ジリリーンッ」とベルが鳴って知らせが入る様子。

先に金属持ち手付きのグラスで「ポートラップ」が供された。少しハーブの香るホットワイン。中に沈んでいるのはクローブかな。アルコール度数はかなり低い(と思う)。あっさりとした味わいでなのでどの洋食にも合いそう。イイな、コレ。家でも試してみよう。

一度に数組入店したので出来上がりには時間がかかる。結局40分程経って「メアベア」が登場。グラタン皿でオーブン調理されていて熱々。中はチキン、大振りにカットした玉ねぎ、それにデミグラスソースの具材かもしれないがビーフも同居しているのが珍しい(←確認出来なかったが豚肉も入っているのだとか)。上には目玉焼が落とされている。デミソースにはしっかりとしたコクと独特の苦味があり、旨い。この料理はどの店も量は多くないが、こちらはほどほど。「ポートラップ」を啜りながら食べ進んだ。

遅れて「コキール」が登場。こちらは貝の形をした銀食器での提供。細かく刻んだチキン、海老、白身魚、玉ねぎが入っていてホワイト・ソースに合わせてある。こちらは控えめの量で、味付けも優しい。どちらも旨かった。まだまだ食べたい品が盛り沢山。やっぱりこの店だけで終わってしまおうかと悩んだが、グッと我慢して勘定してもらった。次は「オードウヴル」-「コンソメ」-「オムレツ(ビヤンド)」-「チキン・ア・ラ・キング」-「アスパラガス」-「エスカラップ」なんていうコースを組んでみたいなァ。(勘定は¥2,700)

 

 

レストラン 中津軒

三重県津市中央5−5

 

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