ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

アミー @岐阜県恵那市

2016年04月29日 | 岐阜県(東濃・老舗)

岐阜県恵那市明智町にある「日本大正村」。こちらは犬山市の明治村のように古い建物が集められているのではなく、古い建物が現存する地域を指す。近辺でひと休みするために寄ったのは喫茶「アミー」。入口にある看板には「SNACK & CAFE アミー」とあり、ガラス戸にはうっすらと「喫茶・軽飲食 アミー」、その上には「TEA SNACK BAR RESTURNT〔ママ〕AMI」とある。もう怪しい雰囲気たっぷりだが、こちらは明治40年創業の「割烹旅館笹乃家」(※残念ながら営業を止めてしまった)の地階にある喫茶・バーで、大正9年頃(1920)に「キャバレーヒノデ」として開業した店なのだとか。和風旅館の地階にあるバーというだけでグッとくる。この土地は旧街道が重なる交通の要衝で、製糸産業が盛んになっていた時代には多くの宿泊者が居たのだろう。しかもこの街を歩くと、とても地下があるような街でなく、ガラス戸を開けて階段を降りていくというアプローチだけでワクワクする(写真上)。見どころ満載。

↓ アミーの入口。ガラス戸を押すと地下への階段が現れる。(下右)アミーがある「笹乃家旅館」の玄関先。

 

真っ赤なセルロイド板がはめ込まれた扉を恐る恐る開けてみると…、天井の低い店内にはカウンターとソファ席、まさにバーが出現した。暗い店内にはクラシックな照明や布張りスツールが並び「大正ロマン」なんて言葉が頭に浮かぶ(想像だが…)。そのカウンターはなぜか老齢のお姉さま達に占拠されている。カウンター内の主人も年輩の女性。「へぇー、人気だなー。憩いの場になってるのかなァ」なんて思いつつ、井戸端会議の声を聞きながらソファ席に座り、コーヒーを注文した。(色んな意味で)濃いなァ、この店(笑)。店ではハヤシライスなんかも食べられるよう。

その時に外から地元の中年男性客が2人入ってきた。「久しぶりー」なんてカウンターのお姉さま達と喋っているところを見ると旧知の間柄のよう。でも男性客がすぐに「えーっと…、また来るわ」って帰っていったのを不思議に思っていたところ、すぐにコーヒーが運ばれ、小さい豆菓子が2袋置かれる。正直言ってシャバいコーヒーをひと口啜った途端…、埃をかぶっていた大きなスピーカーから耳をつんざくような大音量で演歌のイントロが流れ、カラオケが始まった! 運悪くスピーカーの近くに座った自分に容赦なく降りかかるお姉さまの歌声…。爆音。そこでようやく逃げるようにして帰った男性客の意味が分かった。きっと恒例のカラオケ・タイムなんだろう。歌いだした途端に曲の途中で店を出るのも失礼かな、と我慢して(笑)1曲を聞き終え、すばやくお勘定に立つ。「(うるさくて)ゴメンね」と言う主人に、いくらか訊くと「500円ね」と言われ、ズッコケそうになりつつも(えらく高いなー・笑)、店からの脱出に成功。

いやー、面白い体験だった。今思えば、店先の看板が「レーザーディスク」(古っ!)だったことに気付くべきだった(苦笑)。ちなみに、この後に行った先で飲んだコーヒーは、こだわりの豆でじっくりと時間をかけて淹れられ、モダンな建物と素晴らしい景色とを共にいただいて450円。でもどちらが面白かったかと尋ねられれば圧倒的にこっち(笑)。

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↓ 店の中に入って初めて分かったが、店には裏通りに出られる裏口もある。入口にある店名が入った味のあるステンドグラスもなかなかの見もの。

 

 

↓ 裏口に面した狭い通り(旧・中馬街道)は「うかれ横丁」なんて名前が付いている。昔は旅人に酒や食べ物を売る店が並び、賑わったのだとか。酔っぱらっていい気分で歩いた御仁がたくさん居たんだろうナ。道路を跨ぐ珍しい渡り廊下があり、その昔は反対側にあった置屋から芸妓が料亭のお座敷に出る為に利用したのだとか。(下右)側溝の上に斜めに張り出した「笹乃家旅館」の旧料亭(と思われる)。

 

↓ うかれ横丁にある昭和9年創業の元カフェーで、のち洋食屋の「グリル田中」。外壁がきれいにリフォームされているが現在営業はしていない。以前はデミグラスソースのカツ丼が有名で、店内も往時の雰囲気を残していたのだとか。中を見てみたかったなァ。残念。この近辺おもしろ過ぎる。

↓ 素晴らしい佇まいの洋館「旧・保母歯科醫院」(昭和初期頃建造)。残念ながら文字看板がいくつか落ちてしまっている。ちゃんとこのまま維持されるだろうか?

 

 

↓ 平成初めまで開業していたという元産婦人科の「旧・大塩医院」(明治43年・1910・建造)。玄関先の看板やポスターが無粋だが、現在は「明智回想法センター」別館として利用されている。

 

↓ 大塩医院の住居部分。裏庭もきれいに手入れされている。(下右)「明智回想法センター本館(旧・大塩医院病棟)」(昭和26年・1951・建造)。まるで小学校の校舎のような造りで、中には懐かしい家具や玩具、食器から文房具など懐かしい物が展示されている。

 

 

喫茶 アミー(AMI)

岐阜県恵那市明智町1270-2 B1F

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