ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

か茂免 @名古屋市東区・清水口

2019年12月07日 | 名古屋(東区・北区 老舗)

名古屋屈指の料亭、昭和3年(1928)創業の「か茂免(かもめ)」を訪れる機会が出来た。もちろん料亭なので普段1人では予約しようにも出来ないし、平日でも3名以上なので嫁を誘ったとしてもまだ無理。だれか接待で呼んでくれれば良いがそんな機会はなかなか無いし、2回目のウエディングも今のところ予定は無い(笑)。今回は若女将の案内による館内の案内と会席料理を戴くという企画物にのった形での参加となった。こちらの建物や、庭、料理の評判は耳にしていたし、自分の好きな近代建築(洋館)もいつも外から眺めるだけだったので、この機会を逃す手は無いと予約を入れ、万難を排して平日の昼に白壁地区へ。少し早く着いたので近隣の近代建築を歩いて再訪。この近辺はその昔、尾張藩の武家屋敷が並んでいた所。もちろん現在も”やんごとなき”方々の大邸宅が並んでいて、商店などはほとんど無いので通りはとても静か。ブラブラしたのちに、こちらの土地の名前”白壁”を象徴する「か茂免」の敷地に足を踏み入れる。番頭さんが出迎えてくれ建物の中へ。

 

まず通されたのは「かようの間」と名付けられた控えの間(写真下1枚目)。いきなり圧巻の光景に目が奪われる。この部屋は大正時代に作られた一番古い部屋とのこと(大正8年・1919・建造)。質素に見えるが、床柱、柱、天井などの木材は、専門家が見ると目を瞠る程の物が使われているそうだ。磨かれた昔のままの歪みガラスを通して目の前に広がるのは作庭家・植治の作という名古屋唯一の庭だそうで、素晴らしい景色に最初から心が揺さぶられる。眼福。ちょうど紅葉も見ごろ。こちらで茶と菓子を戴いた。参加者が全員集まったところで主催者と若女将の挨拶があり、若女将から店の歴史、部屋の意匠や掛軸の説明がある。長く複雑な廊下を通って食事が行われる部屋へ移動。1000坪もある敷地に客用の部屋は8つしかないというのだから凄い。

 

 

 

 

 

 

移動した広い「すずかの間」では先附から始まる日本料理(会席料理)を堪能。もちろん自分は酒(燗酒は「菊正宗」、冷酒は「金鯱」)を追加。徳利と袴(はかま)の間に松の葉が忍ばせてあるのが心憎い(※濡れて袴がひっつくのを防ぐため)。椀物で出てきたこちらで有名な「紅葉椀」はトマトスープと西京味噌を合わせたもの。最近作られた創作料理かと思いきやずっと前からある品だそう。そういう進取の気風があるのだろう。八寸ではいくらでも酒が進みそう。箸休に出された「聖火巻」はオリンピック開催にちなんで作られた料理だそうで、サクサクの皮でいくらとアボカドが聖火のトーチのように巻いてある。立て掛けられていた陶器も市松模様のオリンピック・カラー。なかなか楽しい。蒸物を挟んで、やや甘めの味付けの人参の入った炊き込みご飯。そして自家製だというとろとろの食感のわらび餅で、了。企画の為の”平民向け”(笑)の特別値打ちな料理だろうとは思うが、充分に楽しむことが出来た(酒はこれでも随分我慢したゾ)。総料理長から話を聞くことが出来たり、ちょっとしたお遊びもあって大満足。若女将は老舗、名門に嫁に来てさぞかし大変だろうとは思うが、それを笑い飛ばすくらい明るくざっくばらん。とてもチャーミングな女性だった。

こちら「か茂免」も「志ら玉」や「河文」と同様に一般の人が参加しやすいイベントや企画が、年間を通じていくつもあるようだ。また機会があれば是非参加してみたいナ。さあて、か茂免の「三段重おせち」でも注文するとするか…(←ウソ、壱拾萬圓アップなので無理)(勘定は¥11,000)

 

 


 

食事後、見学予定には入っていなかったが若女将に洋館を見てみたいと願い出ると、快く案内してくれた。外壁の色はこんなに濃かったっけと思っていたら、数年前に耐震の問題から解体して元のように組み直したのだとか。赤いドレープ・カーテンが印象的な部屋は思いのほか広くなく、元から応接室として建てられたものだそう(大正8年・1919・建造、かつてここは京都の紙問屋の名士、中井巳次郎の名古屋別邸だった)。たぶん建て増しだろうと思っていたので、建築当初からあるというのは意外。

 

 

 

 

 


 

 

料亭 か茂免

愛知県名古屋市東区白壁4-85

 

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