創業が大正3年(1914)という郡上八幡の麺処「松葉屋」。建物のそばを歩いていると、出汁を引いている香りが漂っていた。その香りに誘われて暖簾をくぐる。歴史ある昔ながらの食堂の雰囲気そのままで、広い土間にテーブル席、奥には小上がりがある。昼時に近づいていたので、次から次へと客が入ってきていた。見た感じ観光客が多いのかな。壁にかかった黒い木札に書かれた品書きは、麺類とご飯物が並んでいるが、半分以上はひっくり返されていた。いつもならカツ丼か何かを選ぶところだが、他の客がこぞって中華そばを頼んでいるのにつられて「天ぷら中華そば」を注文。岐阜県の古い食堂にはなぜか、中華そばに天ぷらをのせる「天ぷら中華」を残しているところが多い。
しばらくして運ばれた中華そばは、うどんで使うような小さめの和丼ぶりに入れられている。チャーシュー2枚にカマボコ、ネギ、海苔、それに胡椒が最初から振られていた。胡椒が散らばらないうちにスープを口にする。もちろん和風出汁が強く、やさしい風味で旨い。麺は少し縮れの入ったもの。そして肝心の海老の天ぷら。大きいものではないが、花開いた衣がだんだんスープに散っていき、コクが増してくる。久しぶりに「天ぷら中華」を食べたが、こういう和風出汁の中華そばには合うが、最近の旨味過剰なラーメンにはあまり合わないだろうなァ。観光地とあって値付けはちょっと高め。地元の人は普段どこで食べているんだろう…。(勘定は¥800)
↓ 長良川鉄道「郡上八幡駅(旧・国鉄郡上八幡駅)」(昭和4年・1929・建造)。跨線橋(こせんきょう)もあり、旧国鉄時代そのままの姿で残る駅舎。
↓ ホーム横の梃子上屋に残る信号梃子(てこ)。駅舎はもちろん、これらの小屋やプラットホーム、跨線橋を含めて昨年に登録有形文化財に指定された。
↓ (写真下左)町中で見つけた立派な住宅。綺麗に維持されているが、近代建築らしい意匠を残している。(下右)店近くの元・自転車屋は、廃業して看板を外したら”らしい”姿が甦っていた。
松葉屋
岐阜県郡上市八幡町橋本町908
( 郡上八幡 ぐじょうはちまん まつば屋 まつばや そば処 麺類食堂 大衆食堂 中華そば ラーメン うどん そば てんぷら中華 越美南線 近代建築 国登録有形文化財 )
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます