今回の彦根散策のきっかけとなったと言っても過言ではない店「スイス」へ。創業は昭和47年(1972)。彦根市民のソウルフードといっていい店だそうで、ずっと以前からその人気の程は伺っていたのだが、前回彦根訪問時は時間が合わず叶わなかった。念願の訪問。こんなに交通量の多いロードサイドにある店だとは思っていなかった。聞きしに勝る外観(笑)。夏は緑に覆われるんだろうか。開店時間前に店に着いたが、すごい並びかと思いきや車が1台停まっていただけだったので、時間を潰そうと隣のコンビニに寄って戻ると次々と車が駐車場へ。それでも並びはまだ10人程。自分も列に加わる。開店時間になり店内へ。建物の構えの割にこじんまりとしたスペースで、カウンターは5席程、テーブル席が7卓程。もちろんすぐに満席になった。テープで補修してあるがたついた椅子(笑)に座り、メニューを眺める。並んでいる時も何にしようか最後まで迷っていたが、結局定番と思われる「ハンバーグステーキ」と、店名を冠した「特製スイス丼」を注文した。
目の前の調理場の中にはご夫婦と、若い給仕が2人。年季が入った店内は煙で燻されて焦げ茶色に染まっている。こんな狭いスペースで調理しているのかとびっくりするほど。次々と入る注文はやはりハンバーグが多く、大きなボウルに入ったタネを主人がその場で軽く丸めて焼いていく。カウンターに隠れて手元までは見えないのでどこで作っていたのかも分からないオムライスなども次々と魔法のように出来上がっていく。キョロキョロと店内を見回したりしているうちに自分の注文した「スイス丼」も出来上がっていた。
楕円のカレー皿に盛られた「スイス丼」はメニューの説明通り”豚肉と玉ねぎを特製のたれで炒め煮にした肉丼”。よそでは焼肉丼なんて呼ばれることもあるタイプのご飯物だ。味付けはソースとケチャップを混ぜたような感じ。たっぷりの玉ねぎと豚バラ肉の脂で甘さも感じられる。いい意味で想像通り。パクパクとやっていると熱々の鉄板にのった「ハンバーグステーキ」が登場。こちらにはいわゆるソースはかかっておらず、味付けはごくシンプルに塩胡椒といった感じ。本当に軽く丸めただけという感じなので不格好だが、大きめに刻んだ玉ねぎがたっぷり入っていてふわっとした焼きあがり。しっかり肉の旨味が味わえて旨い。添えてあるのはやや強めに焼きあげられた目玉焼きとスライスした玉ねぎ。黄身はちゃんと軟らかいので途中で潰して肉と合わせたり、卓上のウスターソースを少したらしたりして楽しんだ。昭和54年のオイルショックから値段を変えていない(どころか内税なので消費税が上がると実質値下げ)という安さのバイアスもかかるが、この値段でこの味。彦根の若い学生の胃袋を支えてきたという人気に納得。次は最後まで迷っていた「オムライス」「カツサンド」「カツカレー」あたりを食べてみたい。(勘定は¥900)
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↓ 彦根城のお堀端に建つ「滋賀大学講堂(旧・彦根高等商業学校講堂)」(大正13年・1924・建造)◇。この日は試験で門扉が閉じられ、残念ながら近づくことは出来ず。国登録有形文化財。
↓ 同じく滋賀大学の構内にある「滋賀大学陵水会館」(昭和13年・1938・建造)◇。裏の路地から撮影。正面から見てみたいなァ。ヴォーリズ建築事務所による建築。こちらも登録有形文化財にも指定されている。
↓ 「彦根地方気象台」(昭和7年・1932・建造◇)を再訪。改修工事で綺麗になった外観。あまりに整い過ぎて古さを感じさせないが、窓や玄関周りに近代建築の雰囲気を感じることが出来る。
↓ 中央町の「金亀会館(旧・藩校「稽古館のち弘道館」)」(寛政11年・1799・建造、大正12年移築)◇。傷みが激しいのかロープが張られて立入禁止となっていた。
喫茶・食事 スイス
滋賀県彦根市中藪町598-2
※令和4年5月を以って閉店されました
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