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●科学技術ニュース●三菱重工業、アルセロール・ミタルのゲント製鉄所で世界初となる排出CO2再利用の実証試験を開始

2024-07-23 09:34:19 |    ★炭素ニュース★
 世界有数の鉄鋼・鉱業企業であるルクセンブルクのアルセロール・ミタルと三菱重工業は、CO2再利用に関する先進技術を有するベルギーのディ・カーボン(D-CRBN)と協働し、回収した二酸化炭素(CO2)を鉄鋼や化学製品の原料となる一酸化炭素(CO)に変換する技術についての実証試験を、アルセロール・ミタルがベルギーに有するゲント製鉄所で開始する。

 これは、CO2排出量を削減するべく開発されたディ・カーボンのプラズマ変換技術を初めて実証する試験となり、ゲント製鉄所はこの一連のプロセスを実証する世界初の製鉄所となる。

 今回の実証試験は、三菱重工が関西電力株式会社と共同開発したCO2回収技術「Advanced KM CDR Process」の本格的な導入に向け、ゲント製鉄所で実施されているCO2回収実証試験の適用範囲を拡大するもの。

 ベルギー・アントワープを拠点とするディ・カーボンは、プラズマを用いてCO2をCOに変換する技術を有している。

 再生可能電力を利用し、炭素(C)と酸素(O)の結合をプラズマによって切り離すことで二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)に変換する。

 変換されたCOは、高炉で使用されるコークスや原料炭の一部代替として製鉄プロセスに利用されたり、ゲント製鉄所で化学品や代替燃料製造の原料にも活用できる。

 ディ・カーボンの変換技術に必要とされる高純度なCO2は、ゲント製鉄所において高炉ガスと圧延再加熱炉の排ガスからCO2を回収する実証試験に用いられている三菱重工のCO2回収装置から供給される。

 CO2回収装置とディ・カーボンのプラズマ変換装置は、7月1日に接続された。

 今回の実証試験は、鉄鋼生産の過程で発生するCO2に含まれる不純物がプロセスや製品ガスに悪影響を及ぼさないことを確認するという点において非常に重要な意味を持つ。

 アルセロール・ミタルは、2030年までに同社欧州拠点から排出されるCO2量を35%削減するといった脱炭素化目標の達成に向けた、いくつかの施策を打ち出している。

 その1つが、高炉で排出されるCO2の循環利用(CCU:Carbon dioxide Capture and Utilization)あるいはCO2貯留(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)を行う「スマートカーボン製鋼」。

 アルセロール・ミタルは、世界60ヵ国に拠点を置き、15ヵ国に製鉄事業を展開する世界有数の鉄鋼・鉱業会社。欧州・米州最大の製鉄事業者であり、合弁会社のAM/NS Indiaを通じてアジアでのプレゼンスも高めている。アルセロール・ミタルは、自動車、エンジニアリング、建設、機械業界を含む多様な顧客に製品を供給しており、2023年の売上高は683億ドル、粗鋼生産量は5,810万トン、鉄鉱石生産量は4,200万トンに達した。<三菱重工業>
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