高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、4月26日午前0時38分に初めての電子・陽電子の衝突を観測した。
これは、これまでの世界最高記録の40倍のルミノシティ(衝突頻度)を生み出す電子・陽電子の衝突型加速器SuperKEKBと、衝突点に設置した新生Belle II 測定器により、新しい物理法則の探索を行う国際共同プロジェクトによる成果。
SuperKEKB加速器は、小林誠・益川敏英両博士のノーベル物理学賞受賞に結びつく成果を残したKEKB加速器(1999年から2010年まで運転)を大幅に改良したもの。
衝突点に設置された新生Belle II 測定器の中心部で、電子と陽電子を衝突させ、対生成されるB中間子・反B中間子、D中間子・反D中間子、τ+・τ-などの崩壊を、KEKB/Belle時代の50倍 (B中間子対500億事象に相当) も生み出し、その様子を詳しく分析することを計画している。
SuperKEKBプロジェクトは、KEKがホストし、25カ国・地域の研究者750人以上で組織するBelle II 実験グループで運営されている。実験グループは今後、今年7月までフェーズ2運転を継続し、SuperKEKB加速器の調整とBelle II 測定器でのデータ収集を続ける予定。
また、夏から秋にかけ、Belle II 測定器の中心部に搭載中のビームバックグラウンド測定装置 (BEAST)から、本番用の崩壊点位置検出器(VXD)への交換作業などを行い、2019年2月から予定されているフェーズ3運転(本番の物理ラン)に備える計画。