物質・材料研究機構 (NIMS)は、大気に触れると、硫化水素や一酸化窒素などのガスをジワジワと放出する固体材料を開発した。
これらのガスは、低濃度では抗炎症や血管拡張など有用な生理活性があるが、濃度制御や保存が難しく、医療応用は限定的であった。安全・簡便にガスを放出できる本材料によって、ガスの医療応用が促進すると期待される。
硫化水素や一酸化窒素は高濃度では有毒だが、低濃度では抗酸化・抗炎症・血管拡張・インスリン分泌調節など有用な生理活性があり、体内でも微量に生成されて生体機能の制御に用いられている。
近年、これらのガスを用いた医療が注目されていて、例えば、低濃度の一酸化窒素の吸入により肺血管が拡張し、いくつかの重篤呼吸障害 (新生児遷延性肺高血圧症や急性呼吸窮迫症候群) が改善できる。
また、硫化水素を含む温泉が皮膚や循環器に効能があることは古くから知られていて、健康長寿医療への応用も期待される。(「物質・材料研究機構」ウェブサイトより)