“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「量子力学の100年」(佐藤文隆著/青土社)

2024-04-09 09:41:38 |    物理



<新刊情報>



書名:量子力学の100年

著者:佐藤文隆

発行:青土社

 第一人者がみた量子力学の軌跡。その魅力と不思議。1920年代、ド・ブロイ、ボーア、ハイゼンベルク、シュレーディンガー、ディラックなどが現在の量子力学の礎となる成果を続々と発表した。そして1926年、ボーアの手によって「コペンハーゲン解釈」がなる。ユネスコは2025年に量子力学百年を記念する取り組みを行うことを決議した。この間の量子力学の道のりは、アインシュタインの反対などに代表されるように紆余曲折ありつつも、不思議と魅力にみちたものだった。しかしいまや量子コンピュータから生成AIまで、あらゆるところに量子力学は存在している。はたしてそれは何故か、そもそも量子力学とは何で、そしていまどのような姿をしているのか。日本を代表する物理学者が、自らの目でみてきた量子力学の歴史を詳述する。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「2023年版 電気事業便覧」(経済産業省資源エネルギー庁編/経済産業調査会)

2024-04-09 09:41:11 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:2023年版 電気事業便覧

編者:経済産業省資源エネルギー庁

発行:経済産業調査会

 電気事業便覧は、1954年(昭和29年)の創刊以来、日本の電気事業の現状と累年的推移の概要を統計的に集録し、電気事業に携わる方など、電気事業関係者の参考に資する書籍として活用されてきた。そして、60年ぶりの抜本的な電力システム改革が進められる中で、新規参入事業者や卸電力取引所の動向、小売全面自由化の進捗状況、海外主要国の電気事業の概要などを追加し、電気事業についてより広く俯瞰できるような内容に刷新した。また、毎年、より充実したものとなるよう検討して、更新している。
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●科学技術ニュース●理研と京都大学、量子もつれの伝達速度限界を解明しボーズ粒子系における新たな理論的発見と量子計算へ道

2024-04-09 09:40:32 |    物理
 理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センター 量子複雑性解析理研白眉研究チームの桑原 知剛 理研白眉チームリーダー(開拓研究本部 桑原量子複雑性解析理研白眉研究チーム 理研白眉研究チームリーダー)、ヴー・バンタン 特別研究員、京都大学 理学部の齊藤 圭司 教授の共同研究チームは、相互作用するボーズ粒子系において量子もつれが伝達する速度の限界を理論的に解明した。
 
 同研究成果は、多数のボーズ粒子が相互に作用することで生じる量子力学的な動きを理解する上で新しい洞察を提供すると同時に、量子コンピュータを含む情報処理技術における根本的な制約を解明することにも寄与すると期待される。

 量子力学で現れる最も基本的な粒子であるボーズ粒子が相互作用を通じてどのくらいの速さで量子的な情報を伝達できるのか、という問題は長年未解決であった。

 同共同研究チームはリーブ・ロビンソン限界と呼ばれる概念を考察し、情報伝達速度の持つ限界を理論的に解明しました。

 その結果、もう一つの基本粒子であるフェルミ粒子と異なり、ボーズ粒子は情報伝達の加速という現象を起こすことを明らかにした。

 同研究の応用として、リーブ・ロビンソン限界を活用して、量子コンピュータ上で相互作用するボーズ粒子系をシミュレートする新しい手法を開発した。

 量子多体系では、多くの量子力学的な粒子が複雑に相互作用しており、これを従来のコンピュータで正確かつ効率的にシミュレートするのは難しい課題。ここで量子シミュレーションの技術が重要な役割を果たす。

 同共同研究チームは、量子コンピュータを使用して量子ビットを操作し、目的の量子系をデジタル的に模倣するデジタル量子シミュレーションに焦点を当てた。

 このプロセスでは、ボーズ粒子の動きを模倣するために、時間を細分化して区間ごとに適切な量子演算を実行する必要がある。量子もつれの生成量、つまり時間内にどれだけの量子もつれが生じるかは、必要な量子演算の量を決定する鍵となる。

 同研究で得られたボーズ粒子系のリーブ・ロビンソン限界により、量子もつれの生成量を定量的に評価することが可能になった。

 これにより、ボーズ粒子のデジタル量子シミュレーションを、高い精度を保ちながら最も効率的に実行するための方法が確立された。この進展は、量子シミュレーションの分野における大きな一歩となり、複雑な量子系の研究や量子コンピューティングの応用範囲を広げる可能性を秘めている。<理化学研究所(理研)>
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●科学技術ニュース●日清紡マイクロデバイスと金沢工業大学、マイクロ波方式のワイヤレス電力伝送に最適な高周波整流器ICを開発

2024-04-09 09:40:02 |    電気・電子工学
 日清紡マイクロデバイスと金沢工業大学 工学部 電気電子工学科 伊東健治研究室は、マイクロ波方式のワイヤレス電力伝送(WPT:Wireless Power Transfer)に最適な高周波整流器ICの研究開発を開始した。

 近年マイクロ波方式WPTの高性能化の研究が進められている中、2022年の電波法省令改正により920MHz、2.4GHzおよび5.7GHzにおいて実用化が始まっている。

 マイクロ波方式のWPTは、送電器から発した高周波電力を、離れた場所の受電器で受ける。この受電器で受けた高周波電力は、高周波整流器を介して直流電力に変換され、この受電器に接続されたIoTセンサーやFA機器等を動作させる。

 受電器に入力される高周波電力は、送電器の距離に応じて変化するため、様々なユースケースに対応可能な整流器が求められている。

 また、現在のIC市場において、マイクロ波方式WPTの用途に特化した整流器IC製品が未販売であることから(日清紡マイクロデバイス調べ)、WPTに関連した研究者は汎用途向けのダイオード製品を利用しているケースが多く見受けられる。

 そのためWPTとして十分な性能が得られない等の問題があり、WPTの広範な社会実装に向けての課題となっていた。

 金沢工業大学では2016年よりJST CREST「微小エネルギーを利用した革新的な環境発電技術の創出」により微弱電力対応の高効率整流技術、2018年より内閣府SIP「IoE 社会実現のためのエネルギーシステム」(管理法人:JST)によりワット級の大電力対応の高効率整流技術を培ってきた。

 このような背景から、日清紡マイクロデバイスと金沢工業大学では、円滑なWPTの社会実装に貢献すべく量産化を視野に入れたマイクロ波方式のWPTに最適な高周波整流器ICの研究開発を開始した。

 今回発表の高周波整流器ICは、砒化ガリウム(GaAs)を材料とし、HJFET(ヘテロ接合電界効果型トランジスタ)をベースとしたダイオードで構成されている。

 日清紡マイクロデバイスが培った低オン電圧かつ高耐圧のダイオードを実現する独自のGaAsウェハプロセス技術と、金沢工業大学が培った最先端のアンテナおよび整流回路技術を融合することで、従来に比べて小電力から大電力まで高効率で動作する整流器ICを実現する。<日清紡マイクロデバイス>
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