●科学技術書・理工学書＜新刊情報＞●「『現代優生学』の脅威」（池田清彦著／集英社）

＜新刊情報＞

書名：「現代優生学」の脅威

著者：池田清彦

発行：集英社（インターナショナル新書）

　戦後、一度は封印されたはずの「優生学」が奇妙な新しさをまとい、いま再浮上している。これまで人類は、優生学的な思想により「障害者や移民、ユダヤ人といったマイノリティへの差別や排除、抹殺」を繰り返してきた。日本では「ハンセン病患者の隔離政策」がその典型といえる。現代的な優生学の広がりに大きく寄与しているのが「科学の進歩」や「経済の低迷」、そして「新型コロナウイルスの感染拡大」である。優生学の現代的な脅威を論じる。

●科学技術ニュース●三井住友海上、米NEXT社へ出資し保険契約をAIで自動化

　三井住友海上火災保険は、米国のインシュアテック企業である NextInsurance,Inc.（NEXT社)へ出資した。

　NEXT 社は、小規模事業者向けにカスタマイズされた保険を提供する次世代デジタル保険会社。同出資を通じて、NEXT 社の事業戦略や商品・サービスの知見を得ることで、さらなる顧客サービス向上につなげていく。

　NEXT 社は、多数の販売チャネルを有しており、小規模事業者向けのオンライン販売のほか、保険代理店やソフトウェアパートナーを通じた販売を行っている。優れた UI/UXにより、顧客ニーズに合致したシンプルな商品・サービスをスピーディーかつ柔軟に提供し、市場で高い評価を得ている。

　小規模事業者向けの賠償責任保険や労災保険のオンライン販売を得意としており、会計事務所、レストラン、小売店など約 1,300 におよぶ業種の引受が可能で。

　AI が、業種や経営戦略等からリスク分析し、顧客ごとに適した保険料を数分で提供する。（三井住友海上火災保険）

●科学技術ニュース●JAMSTECなど、石油と同等の炭化水素を合成する能力を持つ植物プランクトンを世界で初めての発見

　海洋研究開発機構（JAMSTEC）地球環境部門の原田尚美部門長らは、豊橋技術科学大学の広瀬侑助教、生理学研究所の村田和義特任教授とともに、植物プランクトンDicrateria rotunda (D. rotunda)が炭素数10から38まで一連の飽和炭化水素を合成する能力を持つことを発見した。

　2013年、海洋地球研究船「みらい」による北極海の研究航海が実施され、チュクチ海の海水から採取された。植物プランクトン群集の中からD. rotunda北極海株ARC１が単離培養された。

　北極海株ARC１の炭化水素組成を調べたところ、ガソリン（炭素数10から15）、ディーゼル油（炭素数16から20）、燃料油（炭素数21以上）に相当する炭素数10から38までの一連の飽和炭化水素が含まれていた。

　また、微生物株保存機関に保管されている他10種のDicrateria属を調べたところ、すべての株が同様の合成能力をもち、本種に共通した能力であることが明らかとなった。

　このような石油と同等の炭化水素を合成する能力を持つ生物は、世界で初めての発見。

　本種の飽和炭化水素の合成能力は、環境条件により増加する結果も得られており、今後のバイオ燃料開発につながる可能性が期待される。（海洋研究開発機構＜JAMSTEC＞）

●科学技術書・理工学書＜新刊情報＞●「現代量子力学入門」（井田大輔著／朝倉書店）

＜新刊情報＞

書名：現代量子力学入門

著者：井田大輔

発行：朝倉書店

　シュレーディンガー方程式を解かない量子力学の教科書。量子力学とは何かについて、落ち着いて考えてみたい人のための書。グリーソンの定理、超選択則、スピン統計定理など、少しふみこんだ話題について詳しく解説。