kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

再編期待で株高は幻

2021-06-08 05:08:42 | 日記
6日付の経済紙には「日生や第一、地銀株売却 」という記事が掲載されて
いました。また明治安田生命保険も削減の検討を始めた。と伝えています。
この動きは生保業界全体に広がりそうです。

売却の背景にあるのは地銀株の多くは長らく株価が低迷しており生保の
資産運用成績を下押しする面があったということです。要するに保有し
ていても株価低迷が続き今後も回復が見込めず投資効率が悪いからです。

また地銀株を安定的に保有してきた大手生保による売却が進めば地銀の
再編につながる可能性がある。とも伝えています。このニュースを受け
市場では生保の売却で需給悪化から株価低迷とという見方と再編期待で
株価上昇という二つの見方が出てくるでしょう。

地銀の再編期待が株高に繋がる経緯は次の通りです。まず合併など再編が
起こればプレーヤー数が減少して過当競争から解放される。合併で間接部
門中心に合理化が進み経費削減から収益が押し上げられる。

もっとも再編期待の株高効果にはこれまでのケースでは持続力がないよう
です。例えば国内石油元売り業界はエネオスと出光興産の大手2社にほぼ
集約されました。エネオスは日本石油と東燃ゼネラル石油が合併して誕生
しました。

日本石油の前身は日本石油と三菱石油が合併その後興亜石油および東北石
油を子会社化、九州石油とも経営統合)と新日鉱HDが経営統合して誕生し
ました。東燃ゼネラル石油は東燃とゼネラル石油が合併して誕生しました。
石油元売り業界はもともと民族系とメジャーが親会社の外資系で二分され
ていました。

石油の川下部門(精製や小売り)はガソリンの取り扱いシェアが高かった
外資系が民族系に比べて収益力が高いという状態でした。しかし将来的な
人口減で車の保有台数の減少からガソリン消費の低下と販売自由化でガソ
リンの利幅が低下したため石油メジャーは相次いで日本市場から撤退しま
した。

再編の引き金は石油メジャーの資本撤退でした。しかし石油元売りの再編
が進んでも株価上昇は一次的でした。10年チャートを見れば一目瞭然です。
合併で確かに間接部門の削減は進みましたが、市場縮小の前では収益改善
効果は市場が期待していたものとは大きく違っていたようです。

地銀銘柄も既に再編で誕生したふくおかFGやコンコルディアFGの10年足
を見る限り株高は一時的です。やはり市場が縮小する業界では合併で生き
残ることはできても明るい将来は手に入れられないということを株価は示
しているようです。投資する場合はお祭りに参加する感覚で賞味期限は短
いということを肝に銘じるべきです。
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