kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

孫氏の試練

2019-10-02 05:30:50 | 日記
ソフトバンクグループ(SBG)が出資する米シェアオフィス大手の
ウィーカンパニーが上場申請取り下げました。当初予定していた
9月の上場が延期されてからも年内の上場を目指していました。
ウィーが早期の新規公開に尚も目指していたのは積極的な事業拡
大を続けるために成長資金が必要だったからです。

当初ウィーはIPOで30億ドルの調達と上場成功を条件に米大手金融
機関から最大60億ドルの融資を引き出せる契約を結んでいたからで
す。上場計画の取り下げで合計90億ドルの資金調達が難しくなり資
金調達計画の狂いがウィーを厳しい状況に追い込みこのままでは
「20年の早い時期に資金不足に陥る可能性がある」との見方も出て
いるようです。

創業者でCEOだったニューマン氏の退任でウィーの新経営陣は拡大
路線を改め生き残りに向けた縮小均衡にカジを切りましたが、それ
でも成長投資の再開には外部からの資金調達が欠かせません。そこ
で急遽浮上しているのが筆頭株主であるSBGの存在です。

SBGは既に本体とファンドの合計でウィーに日本円で1兆円以上の
投資をしています。IPOを果たせなければ巨額な資金の回収はおぼ
つきません。最悪の場合破綻などという結果になれば巨額な損失
が出ます。

ウィーは成長資金確保のために30億ドルの増資を計画しているよ
うです。また増資に成功すれば大手金融機関は30億ドル規模の融
資を検討するというニュースも伝わっています。SBGが新たな増資
を引き受けるのかどうか市場でも注目されているようです。

もっともビジョンファンドではウィー株評価損価損計上のリスク
が高まっており追加投資にはファンド出資者の反対を招く可能性
も指摘されています。ビジョンファンド出資先で今年IPOに進ん
だスラッグは公開初日には公開価格を5割近く上回る好調なスタ
ートを切りましたが足元の株価は逆に公開価格を1割下回ってい
ます。

一時はユニコーン銘柄最大の評価額だったウーバーは更にいいと
ころなしで6月には公開価格(45ドル)を上回ったものの直ぐに
息切れし足元の株価は公開価格を3割弱下回っています。一時は
飛ぶ鳥を落とす勢いだった孫氏率いるSBGでしたがただいま逆風
の真っただ中にいます。

経営者の簡単な面談だけで投資先を即断即決すると言われアリバ
バ株への投資ではSBGに巨額な含み益をもたらした孫氏の投資手
法が今回は批判されています。ウィー株への投資では創業者の資
質を見誤り今回のIPOを巡る一連の騒動は筆頭株主であるビジョ
ンファンドを実質的に運営しているSBGへの責任を問う動きもあ
ったようです。

これまでも数々の修羅場をくぐり抜けてきた孫氏の事ですから
いずれ反転攻勢に転じる時が来るかもしれませんが、当面逆風
が止むことはないようです。
コメント
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