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統計(学)のすすめ7

2010年06月19日 | Weblog
ランダムサンプリング

 菅内閣の誕生で、民主党内閣の支持率が一変し、60数%まで跳ね上がったことは周知の通りである。期せずしてこの国の有権者の無貞操な見識のレベルを示す数値ともなっていそうだけれど、都度都度騒がしいこの内閣支持率はどのようにして図られるのか。以前にも触れたけれど、ランダムに発生させた電話番号1600人程度に電話して、1100人くらいから有効な答えを貰い、その1100人程度の何人が支持しているかで、支持率を求めているのが一般的であるようだ。日本の有権者数は1億数百万人程度らしいけれど、その中の結果1000人余りの人の意見がなぜ全体を表すことになるのか。考えれば不思議な気がしないでもない。

 ここで重要なのが「ランダム」という言葉である。ランダムとは規則性がないということであり、作為的でなく無秩序にということである。逆に、規則的に作為的に秩序を持ってとはどういうことかと考えてみる。

 有権者にはまず、女性と男性がいる。20歳代の人から90歳を超えるような方もおられる。既婚者も独身者もいる。サラリーマンもいれば自営業もいる。お金持ちも貧乏人もいる。住んでいる地域も異なる。学歴格差あり、宗教、支持政党、趣味、政治への関心の度合いも違う。これら異なるグループ毎に何らかの共通性があって、考え方にも傾向がある可能性がある。すなわち、作為的にかどうかは別として、特定のグループを多く含む情報には偏りが生じるおそれがある。このことが規則的で、秩序があることになる。

 内閣支持率の場合、大きくは支持するかしないかの2者択一である。支持する人を紅い玉に、支持しない人を白い玉として考えると、グループ毎に紅い玉の多いグループと白い玉の多いグループがあったにしても、それらのグループ分けを完全に壊して、全体を均一に混ぜあわせたとしたら、どこを切り取っても、全体の紅い玉と白い玉の割合を表すと考えられる。

 現実問題として、完全均一に混合し得ないため、調査機関毎に多少異なる数値が発表される。千数百の抽出数にしたのは、調査の経済性と迅速性を重視することもあるが、経験的にこの程度の数値であれば、それ以上抽出した場合の精度と大きく違わないためと思われる。

 統計では、このように母集団(この場合国民の有権者全体)の中から一部をサンプリングして、全体を推測する作業をよく行う。これをランダムサンプリングということは良く知られていることだけど、このランダムサンプリングの考え方は統計の大切な基本となる。

 ランダムの対比としてあげた特定のグループはマーケティングのセグメント、すなわち消費者を属性で分類した同質集団となるし、問題解決の際の原因究明に使われる層別でもある。言われるまでもなく知っているようで、常にこれらの意識を持っていないと、統計データは信用性を損なうし、市場ターゲットを見失いまた問題解決を遅らせることになる。経営にとっても大切な基本であろう。
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