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企業再生を考える8

2010年08月22日 | Weblog
業務リストラ

 リストラには「業務リストラ」、「事業リストラ」および「財務リストラ」の3つがあることを先に述べた。これらのリストラは、企業活動においては日常心がけておかねばならない合理化策そのものであり、特に業務リストラは日常業務の一部であるとさえいえる。また、いざ倒産という事態になった際にも、その再生策の切り口としてこの3つがあると考えて良い。

 企業活動は日常管理業務と方針管理業務に分けることができるが、維持管理中心と考えられる日常管理業務にもしっかりと改善活動は含まれている。現行の仕事のやり方はベストか。売上向上策を現場レベルで展開することはできないか。これまで複数で行っていた作業は、従業員の熟練や作業環境の整備によってまたは機械化によって単独で行えるようになるのではないか。さらに在庫管理から購買先管理まで、経費削減策*11)や現場改善策はあらゆるところに眠っている。これらを掘り起こし改善してゆくことが、業務リストラ)といわれるものだ。

 『「夢は必ず形にできる」。「難しいことを考えがちだが、当たり前のことを当たり前にするだけだ」・・・「整理」「作法」「躾(しつけ)」などの6S運動もある。工場が汚くて社員の躾もできていないのに、株価が高くて成長している企業を紹介してもらえれば1億円を差し上げてもいい。傘下に収めた20社以上を再建したが、6Sができていなかった会社ばかりだった』。本稿昨年5月「いい話を尋ねて」に紹介した、73年に28歳で日本電産を設立して社長に就任した永守重信氏の言葉だ。

 癌などの成人病が生活習慣病と呼び名を替えたように、日常生活の不摂生が身体を大病に結び付ける。企業もまた日常管理の杜撰さによって、その業績を悪化させる。企業は常に業務リストラを心がけなくてはならないと同時に、自ら行う企業再生の第一歩も業務リストラである。当面のお金の手当だけで、仕事のやり方を変えなければ同じことの繰り返しとなる。全社あげて周辺を見つめ直してみる必要がある。





*11)換言すれば無駄取り。産能大学の西塚宏先生は、製造業における代表的な無駄を「7つの無駄」としてあげている。(1)作りすぎの無駄。(2)手待ちの無駄。(3)運搬の無駄。(4)加工そのものの無駄。(5)不良品を作る無駄。(6)在庫の無駄。(7)動作の無駄。 無駄取りをコストキーピング、やり方を変える改善をコストリダクションと分けて表現している本もある。
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