かぶれの世界(新)

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安倍首相の30日

2006-10-23 12:44:47 | 国際・政治

安倍内閣が発足し最初の30日が経過しようとしている。その評価は首相になる前の発言から内閣人事、経済・教育関連の委員会人事、日中韓訪問、北朝鮮核実験対応、核武装議論、格差問題対応、年金・増税関連にまで広範囲に亘っている。

結果を見ると、少なくとも最初の30日間は我国にとって考えうるベストの方向に向かって安倍丸は漕ぎ出した。昨日の神奈川と大阪の補選も勝利し、国民の支持をタイムリーに確認した。私は下記4つの点で新政権を高く評価する。

1.電光石火で日中韓歴訪し外交関係改善の端緒を開き、その後広範囲なレベルでの会話が復活、北朝鮮核実験国連決議に日本外交のリーダーシップを発揮した。福田氏が総裁選を降り内外で首相候補大本命と見られた時点から、中国との外交関係改善のシグナルが現実的な意味を与え、早速実を結んだ。

2.首相就任の前後で不安視されていた改革継続の方針を明確にし、市場の信任を得て景気回復のモーメンタムを維持した。最早小泉時代と異なり痛みに耐えるだけで支持を得ることは出来ない。経済成長の継続は政権の求心力を保ち、その為に海外投資家の支持は必須であるとの認識があったと思われる。

3.増税・格差問題・教育改革で拙速を避け、我国を混乱に陥るのを回避し、優先事項が何かプライオリティがしっかりしている印象を与え政権に安定感を与えた。

4.国家及び地方の官僚の汚職・談合を積極的に摘発していく検察の姿勢が小泉政権後期から安倍政権に移っても続いている。三権分立といっても時の政権の姿勢の反映している。穿った見方かもしれないが小さい政府・構造改革断行の前フリとして適切な動きのように見える。

メディアは「政治は結果論」といいながら安倍政権発足後の批判は過去の発言を攻撃するものが多く、ワシントンポストが指摘したように社会党と新聞の典型的な批判「過去にとらわれ現在に無責任」な姿勢を引きずった未来志向の無い批判の為の批判が多かった。

阿部氏はタカ派のナショナリストと言われており過去の発言に必ずしも賛成しないが、タカ派にしか出来ない歴史に名を残す首相になる期待感が私にはあった。首相就任後30日経った今その可能性はより高まったと感じる。とは言っても、今迄の所は順調過ぎる、これから本当の試練が来る。見守りたい。■

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人権報道

2006-10-22 14:15:21 | 社会・経済

今月ロシアと中国でショッキングな事件が起こり世界に波紋を投げかけているのに、日本では北朝鮮の核実験一色で殆ど報道してないニュースがある。ロシアでプーチン政権批判の記事を書いてきた著名な女性記者が自宅で射殺され、中国ネパール国境で亡命を試みた若い僧が国境警備隊に射殺された事件だ。

殺害されたロシア人記者はチェチェン共和国でプーチン政権の人権侵害を報じ世界的に評価されている記者で、世界のメディアはいわば身内がテロにあったという感覚があった。もう一つはネパール国境で無防備な子供が背後から撃たれ、当局は「正当防衛」と説明したと報じている。報道内容は残虐な事件を目撃した登山家の生々しい声を伝え、極めて衝撃的な内容だった。

日本のメディアが欧米に比べ海外の人権問題報道をしない傾向がある。ロシア人記者暗殺はそれでも即日事実報道をしたがその後のフォロウは無く、中国政府に都合の悪い情報となると抑制が利きすぎて全く報道されなかった(*)。これでは日本のメディアが国内問題で熱心に人権を説いても私には二重基準と見做し素直に信頼できない。

日本のメディアは基本的なところで欧米のメディアと価値観が同じではないのかもしれない。国籍を越えてジャーナリスト同志という会社や記者間の連帯感を感じない。しかし昔と違うのは、主要新聞に頼らなくとも日本語のGoogleYahooを見れば世界が何を問題にしているかリアルタイムで分かるようになったことだ。

読者はネットという代替メディアで何がイシューか確認が出来るようになった。特に英文なら世界中の報道を集約し、もう一度紙面編集したニュース・サイトがいくつか出来た。ファンド・オブ・ファンドのニュース版のようなものだ。日本語でも現存ニュース・サイトを充実させれば何時かそうなる。

欧米の主要メディアを見ると今世界の何処であっても、石油や貿易等ビジネス如何に係わらず、人権問題を重要視し報道しており、余り熱心で無い日本のメディアとのギャップの大きさに驚きさえ感じる。加えて中国の人権問題となると更に徹底し殆ど無視する。

ブログで展開される解釈・意見など個人報道は、既存メディアの恣意的なフィルターがかかっていない問題提起をする役割を果たしているが、多くは感覚的で規律に欠け深い洞察力で理解しているとは思えない。人権問題等で主要メディアが黙し極端な個人報道のみが横行する状況は決して健康的ではない。

主要メディア自身の急速な変化を期待することは出来そうもないが、記者がもっと自由な立場になり自分の名前で積極的にネットに発信し伝えていくことが改善の第一歩になると私は期待したい。メディアが全て変わる必要などない。記者が多様な視点で考えを発信し、読者とコミュニケートしていくメディア(例えばBBC)が一つだけでもあれば十分だ。■

(*)産経新聞は例外でかなり詳細に報じている。同社は逆に中国のネガティブ面を強調して報道する傾向がある。

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日本が核保有国になる日

2006-10-18 15:43:32 | 国際・政治

日本の核武装を懸念する世界

北朝鮮が核実験を実施すると発表以来、対抗して日本が核保有する懸念が世界で深まっている。自民党の中川政調会長の核保有議論を是認する発言に対し野党・マスコミは一斉に反発し、安倍首相は国会で非核三原則は国是と明言した。議論すら許さない感情的な反応だった。

報道によると韓国の世論調査では60%以上が核保有を支持したという。その理由が捩れていて先々日本が核武装するから韓国もという発想だそうだ。日本でも30%以上の支持があったというから一昔に比べれば増えたが、それでもまだ核保有論議をタブー視する世代が多い。

それなのに何故日本の核保有の可能性について世界で懸念が広がっているのか。勿論日本はその気になれば直ぐに核兵器を開発できる潜在能力を持った国であり、北朝鮮の脅威を直接受けている。しかし、政府が非核三原則を確認し日本人の多数が核保有を支持していない。

疑われる理由

一つは中川政調会長をはじめとする自民党のメインストリームの人達、傍系ではなく政策決定に影響力を持つ人達、が核保有の議論を口にし始めたことである。その発言の周囲に核武装を理論武装するブレインとそれを強く支持する層がいることを見ての報道である。米ソ、英仏、中印パと対抗する国が核武装した歴史がある。彼等は我が身を振り返って懸念している。

二つ目に米国は中国に責任ある大国としてもっと積極的に役割を果たさせる為に、日本核武装論を恣意的に発信し国際世論を誘導し中国に圧力をかけていると思われる節があるのも否定できない。過去数年の間に中国は失うものが大きくなった。

更にもう一つは日本の国民性がイマイチ信用できないと考えている人達がいる。それが懸念を100%否定できないと私自身思う理由がある。

民族主義の芽生え

そう思い始めたのは靖国参拝後小泉首相の支持率が上がった時からだ。一方で世論調査は大半が靖国神社のあり方を支持していなかった。このネジレを解く鍵が「誇り」であると首相参拝後の報道を見て私なりに理解した。別の言葉で言うと日本人の間に民族主義的感情が醸成されつつあるということだ。

戦後60年間平和国家であり続けた日本が、人権問題があり言論の自由の無い独裁国家の中国から内政問題について四の五の言われる筋合いではないという、国の誇りを傷つけられたという反発が世論調査に反映されたと考えるとネジレがよく説明できた。

メディアの姿勢に問題あり

この傾向を助長したのは我国のマスメディアである。最大の問題は北朝鮮からの核拡散であり、我国が核攻撃を受ける可能性は先ず無い。しかしメディアは核攻撃の脅威をこれでもかと煽り不安を掻き立てる一方で、中国が国連制裁決議やその履行に積極的でないと連日報じている。

これを聞いた国民は何と思うか、自らを守る為に何をすべきかと思うのが普通である。メディアは靖国神社参拝報道がもたらした世論の変化と同じシナリオで核武装支持者を増やす触媒になる可能性が高い。自分で煽っておいて、事態がそう動くと批判するパターンが目に見えるようだ。

核武装が現実になるシナリオ

別に北朝鮮が攻撃する必要はない。北朝鮮の崩壊を望まない中韓は金日成政権をぎりぎりのところで支え、核実験問題は形を変えながら続くだけで十分だ。現在の危機報道が何年も続くと若年世代を中心に国民は中韓を疑い、国連や米国に限界を感じるだろう。数年のうちに戦中世代が影響力を失い、若年世代の核武装支持が大勢を占めるシナリオが現実味を帯びてくる。

もう一つ可能性がある。最先端科学を駆使するとポータブル核爆弾が可能で、この爆弾がテロリストの手に渡る日が何時か必ず来る。そうなると核抑止力を前提とした現在の核拡散防止システムは機能不全になってしまう。この最悪シナリオの可能性は現実的で、どれだけ先か時期の問題だ。核爆弾保有の意味が全く違ったものになろう。

議論をタブーにするな

核武装をタブー化するよりあらゆる可能性を議論しその中で我国のあるべき姿を考えるべきである。議論をタブー化しそこで思考停止すると、現実から目をそらし状況の変化に気がつかず危機管理しようにもその知識も無く、決断を先送り慌てて誤った決定をする。これは日本人が過去に犯してきた過ちである。

この分かりにくさに世界は不安になり、執拗に核武装の可能性を報じている側面があると私は感じる。米国の中に、日本のリアクションを見て民族主義の芽が大きくなり始めたと感じている人達がいる。寧ろあらゆる可能性について議論し、透明なプロセスの中で国際世論の不安を取り除き支持を得るべきと信じる。■

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インターネット媒体の時代

2006-10-17 12:30:22 | 社会・経済

久しぶりに私の専門(だった!)のハイテックの話題。お正月にラスベガスでCES(家電の見本市)が開催された時、日本での報道とはちょっと違う見方を紹介した。日本の報道を読んでグローバル・マーケットの視点と、技術と商品を総合してビジネスとして見る姿勢に欠けていると感じた3つのテーマだ。10ヶ月たったところで、この3つのテーマに対して私の予測(懸念)が実際に起こる展開になった。

1)     グローバル市場で決め手は価格競争力、韓国勢が日本勢を上回る 

報道によると世界のフラットテレビ市場は前半ソニーの新ブランドが健闘したが最近は様子が変わったようだ。テレビは「モジュール生産」商品であり、品質はある範囲に作りこめる。従って平面テレビの世界市場への浸透度という点で価格競争力が決定的となる。

多少の画質差よりも圧倒的な供給能力を背景に価格競争力がある韓国勢が徐々にシェアを増やし予想通りシェア・トップに立ったのは自然な成り行きだ。日本メーカーが苦戦というわけではなく、韓国勢が上回ったということだ。

2) 戦いは「ブルーレイ対HDD」ではなく「光デスク対インターネット」になる

アップルとディズニーが9月半ば映画のダウンロ-ド販売を開始し1週間で12.5万本販売した。小売最大手のウォルマートは強硬に映画会社にねじ込んだが、その後流れは止められないと見て方針転換し、店頭ダウンロード販売に踏み切ると見られている。

音楽CDは既に販売激減、来年はDVD販売もピークを打ち、以後減少していくと調査会社は報じた。行方は映画会社の値付け方針次第であるが、少なくとも現在ダウンロード販売のほうが安い。次期DVD方式の戦いはメディアの好きなテーマだが、その間に全く別のインターネット媒体がビジネスの主流になるシナリオが現実味を帯びてきた。

3)     マイクロソフト・インテル家電連合は苦戦

CESで発表されたマイクロソフト・インテルの家電連合は基本コンセプトが欠けたその場限りのもので市場に浸透することはないと予想した。その後の展開は明らかだ。先週Dellはインテルの家電向けブランドViivのプロモを停止したと報じられた。

HPGatewayのパソコンには依然Viivロゴが貼られているというが、Viivの運命は決まった。直ちに中止することはないだろうが戦略の見直しは必須だろう。仮に優れた考えだとしてもWintel文化はパソコン以外で受け容れられることは非常に難しいだろう。

よく考えれば明らかだと思うことも、当事者になればなるほど大局とその中で自分の立つ位置が把握できなくなる。私も同じだった。多くの報道はそういう人達の声を伝えたということだ。それは非難すべきことでは決して無い。その中から予想もしなかったビジネスが生まれてくるのだから。後からなら何とでも言える。でもどうして心配したことがこうも易々と起こるのだろうか。■

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胡主席の国内向けメッセージ(補足)

2006-10-16 10:52:59 | 国際・政治

ロイターによると「年金に手をつけるな」というメッセージは、労働社会保障省が13日「基金の運用は銀行預金か国債の購入に限る」という新規則を発表し、具体的に発せられた。日本の厚生省・社会保険庁の年金濫用を他山の石にしているかも。ロイターの記事は以下の通り。

http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_4506_57700_89

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