かぶれの世界(新)

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信条と現実:実践編

2006-10-10 13:08:16 | 国際・政治

安倍首相が日本の首相として5年ぶりに中国を訪問し首脳会談を実施、引き続き韓国に飛び日韓関係の修復にも第一歩を踏み出した。首相就任前後に指摘された安倍氏のタカ派的信条が更なる関係悪化になるという大方の懸念とは逆の方向に歴史の車は回り始めた。

私は安倍内閣が発足した時「信条と現実」の中で、安倍氏個人の信念の固さが政治の現実に直面するときが必ず来る、その時に真価が問われると予測した。ところが既に訪中韓を果たし、北朝鮮核実験に直面した。予想以上の速さで政治的現実が進んでいるように見える。

しかし、ここまでは安倍氏のプラン通りに物事が運んでいる、意図と予測が的中しその為に敷いた布陣が機能している、寧ろ順調に行き過ぎている感すらする。用意周到に準備した計画を首相就任後電光石火で直ちに実行した。ノムヒョン大統領はこの速度について行けてない様にも見える。韓国だけでなく日本の野党やメディアも置いていかれた。

中国は関係改善を切実に望んでいたのは明らかだ。靖国神社参拝を曖昧にしても未来志向の関係を作ろうと方針転換をしたのは、胡錦濤国家主席が江沢民の息のかかった上海系人脈の影響力を乗り越える確信をもったからだ。寧ろ首脳会談の前倒しは中国側の要請だった。やるなら早いほうが良い、首相交代直後がベスト・タイミングだった。

関連して主要新聞各社の社説の中では、日本経済新聞が日中両国の最新事情を踏まえ最もバランスが取れた見方をしていた。朝日新聞は見方が表面的で型通り、日中関係改善は十八番でもっと掘り下げられるネタもあるはずなのに、予想外の展開で切り替えられないのか。

しかし、安倍首相は想定内「政治の現実」に対する柔軟性を実践しているだけであり、まだ9.11のような以後の政権の決定的に性格づけるような想定外「政治の現実」には直面していない。言い換えると信条と政治の現実が相反する事態はまだ起こっていない。その意味ではまだ政権は走り始めただけだが、少なくとも良いスタートを切った。

同時代の歴史を生きてきた実感としてタカ派が歴史的仕事をする。ケネディがベトナム戦争を開始、ニクソンがベトナム戦争を終結させ共産中国を国際社会に参加させた。レーガンがソ連と東欧共産体制を解体させた。国内政治を見るとハトはダーティ(金)で信を失い挫折、クリーンなタカが改革をする事例を何度も見てきた。皮肉な現実だが、果たして安倍丸は何処に向かうか。

実は内政では新政権の性格が垣間見られた。総裁選では改革をスローダウンする印象があり市場が不安に思っているのを感知したのか、就任後の所信表明で小泉改革を継承することを明確にし、とりあえず市場の信任を繋ぎとめた。発言を修正したと私は推測する。

反応を見ながらこの種の修正をする柔軟な政権になるとすれば、安倍政権をウォッチしていくキーワード(テーマ:信条と現実)は変えたほうがいいかもしれない。■

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