かぶれの世界(新)

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06秋の読書

2006-11-30 16:47:06 | 本と雑誌

夏が終わり張り切って材料を仕入れたが、実は読み応えのある本は本棚の奥の方にしまってそっとしておいた。私には気合を入れないと読めない本がある。そういう本は精読しないと理解できず、精読すると疲れて根が続かないのだ。そういう時は息抜きの本を読むのだが、今回はそういう本の仕入れがうまくいかなかったせいにしておこう。

今回のお勧めは「パラサイト・シングルの時代」と「構造改革の先を読む」である。両書は全く違う分野であるが、着眼点がよくともに高いレベルでデータを分析して解釈し、優れた洞察力で自説を展開しているところに共通するものがある。

ハウツー物

2.0日本語練習帳 大野晋 1999 岩波新書 言葉は文化であると感じさせてくれる。特に後半の敬語の語源を辿ると大和言葉は遠近関係、漢語は上下関係から来ていると言うのは面白い。因みに練習問題の私の成績はB、縮約(要約のこと)を続けるともっと日本語力がつくという。

(評価なし)Writing Power 2002 Kaplan 英論文作成の基本を学ぶ参考書だが、上記書物と対比のために列記した。目的が違う本だとしても、本書は自分の意図を相手に伝える為やるべき手順を網羅し実用的で、英語が日本語の情緒的表現に比べ論理的と感じた。

(評価なし)Math Power 2003 Kaplan 微積分・関数論等が無く数論・線形代数・ユークリッド幾何までカバーされており、日本の数学レベルに比べると遥かに低いが記述は日本の教科書より分り易い。普段使わない数学用語の勉強をしたが中々覚えられない。これは別の問題。

1.5-図で考える人は仕事が出来る 久恒啓一 日本経済新聞 文章を読んで図を浮かぶのは理解を助け、コミュニケーションを良くし、創造的にするというのは合意、でもそれだけなら10ページで十分。

政治経済

1.5利権はこうしてつくられる 板垣英憲 1991 KKベストブックス 金丸信氏が絶頂時代に書かれた。要約すると新産業は全て利権のタネになる、しかし切り込み不足。

2.0+誰がケインズを殺したか WCビブン 1990 日本経済新聞 本の結論は「殺されてない、今も元気」と付け加えたい。期待した劇的な転換がなく物足りない。既に15年前マネタリストに対する失望があったという。失われた10年間、偽ケインジアンが跋扈し深刻な財政赤字になった今も、ケインジアン的発想が闊歩する日本の感覚は本書と同じ次元では語れない。

2.0+迷うマネー 2003 日本経済新聞 竹中蔵相が不良債権に大鉈を振る直前状況ライブ版。個人マネーがリスクを避けて金庫に向かう一方、ゼロ金利に嫌気をさし海外に向かい両極化。ゼロ金利は短期金融市場(銀行間取引)を衰弱させ、企業はキャッシュフロー以内に投資を抑え資金需要が冷え込み、金融機関は国債に向かう。当時の専門家の意見が金融政策から財政出動まで一致している訳ではなかったのが不思議だ。まだ記憶が生々しく読み物として面白い。

2.0格付けはなぜ下がるのか 松田千恵子 2002 日経BP 株主向けと債権者向けのIRは違うことを初めて知った。信用リスクの解説とリスク管理から見た日本の金融システムの歴史は説得力がある。後半実例の紹介は当たり障りの無い内容と前半の繰り返しで尻すぼみ。

2.5構造改革の先を読む Rフェルドマン 2005 東洋経済 時代におもねる本かと思ったが、筆者の論理的なアプローチ、特に前半部の日本経済の分析は説得力がある。著者はアナリストだからしょうがないのだが、優れたマクロ経済の分析がミクロ政策に繋がらないのは残念。

ジャーナリズム・社会

2.0日本経済新聞は信用できるか 東谷暁 2004 PHP 観測記事の癖があり、「もう」を「まだ」と言い換えるのが読み取るコツだそうだ。私のアメリカかぶれより筋金入りなのが日本のメディアに共通する症状。根拠の無い根無し草で熱狂的中国ファンとの指摘はその通り。振り返ると私は同社の刊行物ばかり読んでいるが、他に選択はなく海外ニュースで補間するしかない。

1.5+ジャーナリストの作法 1998 田勢康弘 日本経済新聞 ハウツー物と思ったら自慢話的自伝、読み進むと舌鋒鋭く的確な指導者評価。米国勤務経験で自己確立されたと感じる。上記東谷氏指摘通り逆三角形の基本を外してる。全編分り易い言葉で通しているのは流石プロ。

3.0パラサイト・シングルの時代 山田昌弘 1999 筑摩書房 事実(データ)を基にした分析の積み重ねで問題の本質を解き明かしていくスタイルには説得力がある。格差社会、少子化などに共通する問題指摘は鋭く、考えていくベースを与えてくれる。随分評判になった本らしいが、今までこの手の本を避けてきた。読んでみるとそう悪くない。

2.0地球環境報告 石弘之 1988 岩波新書 20年近く前の最も深刻な環境問題は後進国及び途上国の人口増に伴う自然破壊と食糧問題だった。この頃の指摘が何も解決せず、新たに温暖化が大問題化したことを思うと救いようのない愚かさを感じる。

経営

0.5トヨタ式 2005 日本経済新聞 材料は悪くないがメッセージがない、合成の誤謬の典型。

1.5クアルコムの野望 稲川哲浩 2006 日経BP 携帯ビジネス関係の親戚から頂き読んだ。典型的冠本。専門用語が良く分からないが携帯電話販売戦争を巡る技術とビジネスの最新状況が分かり意外と楽しめる。

フィクション

1.0+おじいさんの思い出 Tカポーテ 1988 文芸春秋 子供部屋で見つけて読んだ。村上春樹訳。評価は文学的なものではなく私の功利的な基準で。30年前死んだ父のことを思い出した。■ 

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e-mail最新事情

2006-11-30 00:42:12 | デジタル・インターネット

米国メール・セキュリティ社(U.S. email security company)の調査によるとスパム、いわゆる迷惑メールが最近急増し世界中のメールの9割に達したという。6月の2千500億通から11月は2.5倍増えて7000億通がスパムだったらしい。(ロイター)

発信国は米国・中国・ポーランドが8割を占め、家庭コンピューターに侵入して形成されたゾンビネットがスパムを世界に発信しているらしい。内容は偽バイアグラ、ローン、性補助の売り込みに係わるものが多いらしい。

私も最近スパムが増えたと感じていたので昨日1日の受信メールを調べてみると、私信6、販売勧誘22、投資勧誘22、メルマガ43、出会い系89、その他6、合計193でそのうち迷惑メールが12464%)にもなった。今年始めは3-4割だったと思う。

息子に聞くと迷惑メールはそれほど増えてないという。彼はメール・アドレスが外部に出ないよう日頃注意しているらしい。私は内外のニュース・メディアや業界紙のサイトに登録し毎日ニュースが来るようにしているからあちこちに足跡を残しているはずだ。

その他にもインターネット・ショッピングや懸賞に応募すると関連のメールが増える。出会い系サイトに面白がって返事を出して以来、同じニックネームを使ったメールがバンバン来るようになった。インターネットは国境を越えるグローバルな活動なので有効な法規制もないようだ。私の場合は43通が英文メールだった。

ネットワーク・システムが麻痺するまでになるのは困るが、今のメーラーはメールの分類が簡単に出来るから個人的には生産性が落ちることはない。■

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復党問題を考える(続)

2006-11-28 00:08:43 | 国際・政治

郵政民営化造反組の復党問題は私が予想した通り阿部政権を性格づける最初のテストになったようだ。一連の報道の殆どは永田町の論理で何が争点か見たもので、国民の目線での見た理解と洞察が不足していた。

小泉政治の残した問題の後片付け、中川幹事長と平沼議員の確執、政権が変わった、自民党は元々いい加減な政党だった、来年の参院選対策など、としか見ることの出来ない評論家先生たちは例によってとくとくと解説したが、それは永田町で何が起こっているかだけを見て考え付いたものだ。

小泉改革の意味とそれに対する国民の認識は、単なる劇場政治に反応したものでなかったことを未だに理解してない人達の言葉だ。永田町の政治家もメディアも私から見れば同じだ。幸いなことに国民の復党問題を見る目はもっとしっかりしていた。

このところのメディアの世論調査によると造反議員の復党に反対する声が圧倒的に多く、その反対理由も明確である。小泉改革以前の自民党の戻るなら支持しないということだ。国民は、郵政民営化は象徴であって旧来の政策決定プロセスを変える構造改革を支持したのだ。

これら的外れの報道のお陰で復党問題における青木・片山両参院議員が、昨年の衆院選の亀井・平沼氏の役割(こじつけて言えば悪役)と重なり分かり易く国民に演じて見せたことになった。対するヒーローが安倍首相の顔が見えず中川幹事長では迫力不足だったが。

安倍首相は平沼氏を除く11人の議員の入党に向かって手続きを進めるよう指示した。もう後戻りは出来ない。この結果、支持率の低下は避けられず逆風の中で政権運営を強いられることになるだろう。この思わぬ逆風にもう一波乱、二波乱あるのは間違いなくテストが続くだろう。■

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電飾復活

2006-11-27 14:04:40 | 日記・エッセイ・コラム

昨夜、二子玉川に出かけ久し振りに家族揃って食事した。調布でJリーグの試合があったので、試合が終った浦和レッズのファンで電車は一杯だった。府中本町駅で浦和方面の電車に乗り換える為どっと降りたと思ったら、今度は東京競馬場からの乗客がどっと乗り込んできて何時もの静かな週末の光景とは違っていた。

溝口駅で降りて田園都市線に乗り換える時、駅をつなぐ陸橋の周りが電飾で依然と全く印象が替わっていたのに気がついた。二子玉川駅前と高島屋の間の通りは眩しいばかりの電飾が続いており驚いた。そういえば先週から大国魂神社の前のケヤキ並木通りも電飾がかかった。よく見ると中央競馬会がスポンサーでメリー・クリスマスの飾りつけ、神社の参道でも大丈夫なのか。

原宿の表参道も8年ぶりに電飾が復活するらしい。明治神宮の参道だけにキリスト教色のある電飾ではないという。かつては豪華な飾り付けで見物の車の交通渋滞やゴミの始末が問題だったらしいが、今回スポンサーとゴミ掃除のボランティアを確保しケヤキ保護の為の対策を計画してOKとなったらしい。

ネットで調べるとあちこちで電飾が復活しているらしい。電飾はその地域の商店街の人達がスポンサーになる。中央競馬会という例もあるが。彼らがそういう意欲や気運が出始めたのは景気が良くなり始めたか、少なくとも何かやろうという前向きの気持ちが出てきたのではないかと手前勝手な期待をした。■

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夕張市民の選択

2006-11-24 22:45:45 | 社会・経済

大荒れの住民説明会

19日財政破綻し財政再建団体となった夕張市が開催した住民説明会が紛糾し、怒った出席者の大半が途中退席し説明会が打ち切られたと報じられた。再建計画では市職員の大幅削減、給与は全国最低レベル、高齢者へのバス運賃補助廃止は小中学校を1校に集約などサービスレベルも全国最低になるという。

説明会に出席された住民の方の怒りの発言は全国ニュースで流れ、その一端を聞くだけでも誠にお気の毒としか言いようがない。テレビに出演した評論家達は押なべて市長・議員の無茶苦茶な投資の非難と市民への同情のコメントをしていた。

鳥越氏の勇気ある指摘

主要メディアの報道は夕張市の財政規律が如何に酷かったか、第三セクター会計が市財政状況を不透明にした、無謀な観光事業への過剰投資、観光事業に市幹部の親戚など雇用し管理が杜撰だった、しかし特異な事例ではなく全国に共通する問題、770兆円の借金を抱える国の財政と同じだと指摘していた。

その中で鳥越俊太郎氏は、「住民が選んだ市長や議員がやった結果であり、住民はよくよく考えて投票し監視すべき」というような趣旨の発言をした。ポピュリスト的発言の多いテレビ・コメンテーターの中では珍しく筋の通った勇気ある発言だったが、何時もの自信に満ちたものではなくやや遠慮がちな印象があった。

集団的無責任が構造的原因

鳥越氏が指摘したような市民に責任の一端があると明確に指摘する記事は他に見つけることが出来なかった。しかし、宋文洲氏がもっと基本に戻って「赤信号皆でわたれば怖くない」式の「集団的無責任」が問題の底流にあると指摘した。

「政治家は地方に税金をばら撒くことで当選を狙い、住民は一票の権利を行使することで地元により多くの権益を要求する」、つまり北海道の高速道路や東京湾アクアラインと変わらない構造で夕張市は破綻したと。

市が市なら、市民も市民

大変お気の毒だがこうなったのは他の誰の責任でもない市民が選んだ代表者の判断と実行が起した。途中引き返す機会も何度もあったはずだが市長と議会に市の行政を任せ続けた結果である。再建団体申請前に平均75万円のボーナス支給した市も市なら、それに強硬にクレームしなかった市民にも驚く。バスの補助がなくなって初めて喚くのでは悲しい。

テレビ放送で流れた市民の声は局の考えで選んだ一部分だろうから、彼らに反省がないとは言えないが、少なくとも報道は市民を弱者としてのみ扱い、破綻が民主主義のプロセスとして住民の選択の結果であるという見せ方をしていなかった。大袈裟かもしれないが、ここに我国の民主主義が成長しない一因がある、自助精神よりもとにかく補助金を分捕るタカリの精神が醸成される土壌があると私は感じる。

国も国なら、国民も国民

安倍氏が首相就任演説で自ら給与の30%カットをすると述べたとき、彼に追随する政治家は皆無でメディアは人気取りのジェスチャーと冷淡な評価しかしなかった。安倍首相は国家財政が危機的状況にあるという認識のもとで率先垂範を示したはずなのに誰も後に続くものがなかった。多分夕張市にもこういう一瞬があったと思う。

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夕張市ほどではなくとも民間企業なら即社長の首が飛ぶ財政状態の自治体はゴマンとある。談合から裏金までスキャンダルが続いている。談合を徹底摘発していく検察の姿勢の先には「談合は日本の文化」の根絶にあるとすれば、夕張市の財政再建は民主主義における「集団的無責任」の改革と捉えるべきである。■

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