かぶれの世界(新)

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山口県民のメッセージ

2008-04-28 21:26:04 | 国際・政治

昨日実施された衆院山口県2区の補欠選挙は民主党候補の平岡氏が圧勝した。お年寄りが岸信介・佐藤栄作の二人の首相を生んだ保守王国の地盤を崩したという。争点の道路政策、消えた年金記録に加え、後期高齢者医療制度が決定的な役割を果たしたという。

読売新聞によると山口2区は全国でも有権者に占める高齢者の割合が高く、同社の出口調査では有権者が最も重視すると答えた政策は「年金・医療」だったという。新聞各社は保守王国のお年寄りが保守離れして民主党を勝利させたと伝えている。

私も高年齢の有権者の民意が選挙結果を左右したと思う。だが何か違和感が残る。

お年寄りが大勢を決め、それに迎合する政治家やメディアがいる国に未来があるだろうかと思う。TV報道は高齢者の苦情を大々的に取り上げているが、全体像が見えない。急速に増加する高齢者の医療費を国家としてどう対応するか、限られた原資の中で優先順位を決めて誰が負担するか全国民レベルで考えるという姿勢が感じられない。

連日報じられている米国大統領選では若者が積極的に参加し、「変化」を合言葉に新しいトレンドを作り出している。若者が政治を変える原動力になっている。一方日本では高齢者が政治を変えている。若者が立ち上がって高齢者を含む政治を変えようというならまだ救いがあるのだが。

もう一つの違和感は評論家・新聞・自治体首長・与野党等の言う事と、世論調査や選挙結果が示す民意にズレを感じることだ。

最も典型的なのが、より生活者に近いはずの自治体首長が強く主張する道路暫定税維持が、世論調査や選挙結果が示す民意では支持されていないことだ。「中央から地方へ」という声があるが、自治体が民意を吸収する仕組みがあるのか重要な問題提起がされたと認識すべきだ。

福田首相が追い込まれて日銀総裁候補や道路特定財源の一般財源化を打ち出したとき主要新聞は大手を広げて支持し、民主党が協議に入るべきと説いた。実は私も一般財源化提案に乗るべきと主張した。だが、今のところ民意はそれほど明確でもないように見える。メディアを含めた我国のメインストリームに対する信頼感が傷ついている為ではないかと感じる。

もっと単純な理由かもしれない。福田首相にビジョンが感じられず、問題が起こると皮肉屋で他人事のような発言をし、官僚の作文(的)説明で事態が悪化したころで踏み込んだ新提案をするが、最早手遅れで評価されないという悪循環を繰り返すため民意が「じれている」のかもしれない。■

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私的・生活の構造改革

2008-04-25 21:25:54 | 日記・エッセイ・コラム

99年に米国から帰任して暫らくたって毎月来る請求書が気になりだした。凄く高い気がするが、総合すると一体幾ら消費しているのか、費目別に幾らかかっているのか殆どわからなかった。直感的に無駄な消費が多い気がしたが、何をどう改善すべきか具体的なプランが必要だった。

かつて管理者教育を受けた時、「経営管理の要諦は費用構造に始まり費用構造に終る」と聞かされその場面にも立ち会ってきた。ところが自分の生活の費用構造は全くわからなかった。将来の老後に備えて無駄の無い生活にするには、費用構造分析し節約しなければと思った。

ということで家計簿と資産管理を統合管理するマイクロソフト社の「Money」を購入し、買い物のレシートを集計し入力、併せて預金や株など投資状況も取り込んだ。そのうち銀行やクレジットカードから海外市場までオンライン接続して、手間隙かけなくともデータ収集できるようにした。

1年後の2001年暮には我が家の費用構造がどうなっているか詳細が明確になった。殆どのカテゴリーの費目が水膨れしている様に私の目に映った。安定した収入が保証される会社勤めはあと何年も続かない。退職後も持続可能なレベルまで生活を何とかしなければと思った。

改革はやり易い所から

最初に手をつけたのは通信費だった。当時インターネット接続は従量制のISDNで、電話料金を含め月約4万円弱支払っていた。これを定額料金のADSLに、次に安価になった光に切替えた。平行して電話も安価な契約に都度切替え、最後にIP 電話にし、昨年には通信費が半額になった。

次に保険料だった。社会保険を含め年間150万円以上の支払いがあった。当時は会社勤めだったので報酬比例の厚生年金等が含まれているが、それでも異常だった。生命保険と損害保険を見直し一本化、国民年金支払いが不要となり、昨年保険料はトータルで1/3以下に減った。

自動車保険もネットで条件の良い保険に切替えた。ネット見積もりはその他にも最大限活用、例えば安い車検に切り替えた。大きい買い物は必ずネットで調べて安価に購入、ネットでなくても相場を確認して納得してから購入した。読書はなるべく古本か図書館で済ませるようにした。

その次は水道・光熱費の削減だった。熱効率の悪い都市ガスの暖房を中止、エアコンと石油ストーブか扇風機で過ごすようにした。36万円かかった光熱費が昨年は26万円になった。ガス風呂が壊れたのを機に先月風呂と台所のエネルギー源を電気に切り替えた。深夜電力の活用でトータル20万円程度まで下がると期待している。

痛みを感じる改革へ

この辺まではある程度計画通りに経費削減することが出来た。だが、これ以外の費用削減は家族に今までの生活の仕方を変えさせる必要がある。ある意味今までの生活を否定することになり、家族の理解なくしては実行不可能な領域に入った。

先ずは家族の意識改革から始めることが必要だった。というのも、自宅は結婚する数年前に父の支援で建てたためローンなど住宅に関る苦労も無く、消費の殆どは銀行口座から自動的に支払われる。支出総額の上限を決めて家計を管理するというメンタリティが無かったからだ。

50歳になった頃会社から退職後の生活について夫婦で聞くセミナーの案内を受けたが、生活設計は自分で考えると断った。収入が大幅に減る退職後の生活に如何にアジャストするか奥様に覚悟してもらう為のセミナーだったと後で聞き、参加すべきだったと後悔したが後の祭りだった。

「聖域無き」といいたいところだけれども、これをやったら強烈な反発が帰ってくるというアンタッチャブルな領域が次に控えていた。構造改革を掲げた小泉首相の苦闘ぶりが家計レベルで始まったと共感した。国や自治体は赤字で借金できても、個人の家庭では赤字はそうは行かない。

私と同年代の同じような家族構成の同僚に相場を聞き、それを根拠にして当時同居していた子供達には決まった金額を家計に入れさせるところから始めた。子供達は不満だったかもしれないが、不承不承でも協力してくれた。だが、更に困難な障壁が待ち受けていた。

聖域無き改革

これ以上家計の見直しを進めるためには説得できる公平な基準が必要だった。ネットで見つけた2001年初めに発表された総務省の家計支出動向調査が参考になった。税金と保険料を除いた全国平均の消費支出と比べ、相当に高い支出費目を見せて家内に節約を説得した。

だが、「家庭には夫々事情がある、一律に押し付けられても納得できない」という猛烈な反発が返ってきた。必要な支出は止められない、「総論賛成各論反対」だ。私は総支出抑制を主張。互いに譲らず必ずしも納得していないが一方で節約を続けてくれ、7年間で総支出が4割減となった。

家計の見直しを始めた翌年に1年間の生活の見直しに報いる積りで、節約した金額を使って銀座で買った首飾りを家内にプレゼント、残ったお金で息子とカナダに旅行しロッキーの山々を歩いた。毎年そうするわけにも行かなかったが、ここは粘り強くやるしかなかった。

現在の家計のポジションは2007年第3四半期の総務省の家計調査より3割多い所に到達した。家内は何かと文句言いながらも協力してくれ、ここまで来た。これなら通常生活は年金でやりくりし、事故や住居維持などで予定外の支出が生じた時に保険と蓄えを取り崩せば何とかなる水準だ。

余談

「世帯を車」に「お金をガソリン」に例えると、年金等の定期収入で家計を賄える燃費の車に改造したといえる。燃費の良い、だが余り性能は落ちないハイブリッド・エンジンの世帯になった。たまの遠乗りや故障・定期点検のための資金は近所のガソリンスタンドに預けてあるというところか。

引用した総務省の家計調査は2001年と2007年でまるで変わってなかった。デフレが続き物価も収入も変わらなかったことを考えると至極当然だが、同じ時期に中国やインドの収入が数倍増えているニュースを聞くと、経済停滞した日本で年金や保険の負担で大騒ぎの空しさを感じる。■

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伝えられない「埼玉の奇跡」

2008-04-22 23:01:50 | ニュース

橋下大阪府知事が5兆円の財政赤字解消の為「財政再建プログラム試案」を説明し、府下の市町村首長の強烈な反発を受けて涙したと報じられ話題になった。公の席で涙を流して訴えるという従来なら醜態とも見られかねない事態も、府民には概ね好意的に受け取られているとの事だ。

ところで、同じように財政危機に陥った埼玉県が上田知事の下で行財政改革を着実に実行して静かに成果を挙げていることは余り知られてない。私自身、先月日経ビジネスが上田知事をインタビューした下記の記事を読んで初めて知った。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20080321/150775/ 

かいつまんで説明すると2.8兆円の債務を抱える埼玉県知事に20039月に就任した上田清司氏は、人員削減、天下り廃止、出資法人の黒字化、中小企業向けの融資強化し貸出残高全国一、創業支援制度により企業誘致推進など、多くの指標で全国トップクラスの業績を上げた。

注目されるのは天下りをすべて廃止し出向にしたことだ。出向先で成功し業績を上げると復帰して昇進する道を作ったことにより、公務員が出向先でお荷物にならず業績を上げる動機付けとなっていることである。これによってお荷物だった出資法人が活性化されたという。

昨年再選された時、対立候補は上田県政の下で福祉や教育が切り捨てられたと訴えたが、県民は行財政改革や経済振興の実績を高く評価したようだ。これだけの傑出した業績を上げているのに埼玉県で何が起こっているか私は何も知らなかった。何故注目されないのだろうか。

その後注意して新聞やネットを見たが主要なメディアは一切取り上げていない。上記記事は注目度が高く多くのネチズンのコメントが紹介されていた。だが、引用記事はあっても更に突っ込んで調査したような記事は見かけなかった。

何を報じるかより、何を報じないかが、メディアの基本姿勢を的確に表す場合がある。

宮崎や大阪のタレント知事だけをもの珍しさもあってメディアは取り上げるが、視聴率が取れそうも無い埼玉県のことは無視されている。上田知事がショック療法を取らずアメとムチでじわじわと市町村に改革を受け入れさせる手法を採ったため、ニュースになりそうな劇的な場面がなかったからかもしれない。

だが、「埼玉の奇跡」はもっと国民に伝え政府や自治体の行財政改革の比較・参考にすべきだと私は思う。宮崎県や大阪府知事の奮闘振りを面白おかしく伝えるだけでなく、例えば埼玉県が達成した各種指標を数字で比較してクールに評価し視聴者や読者に伝えるべきだ。■

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金融技術規制は必要か

2008-04-20 14:51:49 | 社会・経済

想定内に落着いた米銀の損失と今後の見通し

先週続いた米銀各社の13月の業績報告の「トリ」はシティバンクで、巨額の損失が報告された。だが凄い損でも予想の範囲内に収まった為、市場はプラスに反応した。金融機関の損失が予測以上に大きかった場合、市場が大暴落すると内心恐れていたのでホッとした。

結果として、先月のベア・スターンズ救済劇の後感じた「潮の目の変化」がまだ続いているようだ。

今後の米国経済の回復の道には2つの節目があるといわれている。

先ず5月以降は景気刺激策の小切手が米国家庭に渡り消費が間違いなく活発になる。刺激策の効果がなくなる夏以降消費の勢いが保てるかが最初の節目、次に年末から来年春にかけて低金利の効果で設備投資など企業活動の勢いが付くかどうかが第2の節目になると見られている。

もしサブプライム問題が最悪期を過ぎたとしたら朗報には違いないが、それが為に今までに表面化した種々の問題への根本的な再発防止策が中途半端に終ることが心配される。だが、果たして根本的な再発防止たるものは何か、報道を見る限り明確な形になって現れてないように私には思える。まだ整理されている訳ではないが、ここで考え方について論じてみたい。

時価会計が混乱に拍車をかけた

16に日米国財務省がヘッジファンドの規制強化を提案したと聞いた。詳細は不明だが情報開示の強化、保有資産の時価評価など金融商品に対する会計基準の見直し、流動性リスク管理強化、法令順守手順書の策定、ヘッジファンド投資に関する透明性などについて言及があったという。

一方で、バーナンキ議長は上記救済発表後に「取引が無い為に価格の付けようのなかった債務担保証券(CDO)などの金融商品が、一旦売りに出ると帳簿上の取得価格から大きく値を下げ巨額の評価損が計上され、投売り状態になった」と指摘したと報じられている。

言い換えると相場が急降下している危機的状態のとき、時価会計を厳格に適用すると却って市場を不安的にするというもので、今回の問題対処の難しさを示したといえる。日本でもバブル崩壊時に同じ現象が見られたというが、当時は敗者の言い訳のように見做されたと記憶している。

時価会計の運用の問題が今回世界的に共有された。日本がバブル崩壊後一人負けのときは無視された時価会計の問題が、この後欧米でもう少し現実的で弾力的な運用を許容するようになる可能性がありそうだ。しかし、それは時価会計に抜け穴を作ることに通じないとは限らない。

金融技術の目的と問題

次のテーマは、最新の金融技術で作られた金融商品のもつ不透明性がサブプライム問題を世界に拡散させた主因であったという非難だ。大前研一氏がCDOは金融の「ミートホープ商品」といったように、サブプライムが証券化され化粧(優良格付け)されて世界中に売られ毒を撒き散らした。

だが、そもそも金融技術は投資対象の多様化とリスクをヘッジして、投資家を守りながら市場に参加させ、リスクが大きくて従来資金が回らなかった領域に資金を流し成長の機会を与えるものだった。もっと具体的には、途上国の成長のために必須の流動性と情報の質をもたらした。

換言すると金融技術は、世界のリスクマネーを米国金融市場にかき集め、それを世界に再投資させる手段を提供した。金融技術なくしては財政赤字と低貯蓄率に悩む米国はやっていけなかったし、世界経済を活性化することも出来なかった。トータルするとその貢献度は極めて高い。

金融技術の修正のあるべき方向

冒頭で説明したようにサブプライム危機により時価会計のメカニズムが市場を暴落させた。だが、金融技術そのものが市場の脆弱性を高めたといえるだろうか。めちゃくちゃな貸付慣行が生んだサブプライム問題は論外だが、一般の住宅ローンの証券化が全て悪とは言えない。

リスクを分散させて世界の隅々まで資金を行渡らせるグローバル金融システムは最新金融技術なくしては成り立たない。サブプライム問題から生まれた金融危機の修正として、投資家保護のための規制強化や情報開示ルールの厳格化、リスクヘッジのために必要な投資手段の改善などに留めるべきだ。

修正の目的は規制強化というよりも、金融改革を更に促進するような創造的な方向で考えるべきである。耐震偽装事件の結果規制を強化して住宅建設が激減し建設業界を苦境に陥れた。良かれと導入した時価会計が市場暴落に火を注いだように、極端な状況でも常に普遍的な解があるのか知恵が試されている。■

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飢餓のグローバリゼーション

2008-04-15 23:54:25 | ニュース

世界的な食料価格高騰を受けてブッシュ米大統領は14200億円の緊急食糧援助を行うと発表したと伝えられた。

ブッシュ政権下で国務副長官を務めたゼーリック世銀総裁がIMFとの合同開発委員会で「世界33カ国が食糧問題による社会不安に懸念を示し、世界食糧計画(WFP)に5億ドルの緊急食料援助を要請し、ブッシュ大統領が直ちに呼応した形だ。

実態は、世界の食料価格が過去3年間で83%上昇、中でも主食の小麦は181%上昇したという。ここに来て食糧価格はまさに前代未聞の速度で上昇、例えばコメは2ヶ月で75%上昇、小麦は昨年来120%上昇した。(産経新聞415

食料不安でハイチ首相は解任され、他の途上国にも飢餓や政情不安の拡大が危惧されているという。この実態を聞かされるに付け我国の食糧や燃料価格上昇など可愛いものだと思わずにはいられない。

食糧価格高騰の構図

その原因は原油価格高騰と全く同じ構造的なものである。オーストラリアなどの異常気象による不作、中国など新興国の急成長と食生活の変化による需要増、ガソリン転用によるバイオ燃料ブームなどにより需要に供給が追いつかなくなったからだ。

しかし需給逼迫だけが原因ではない。食料価格が需給関係以上に急騰したのはサブプライム問題で低迷する株式市場から逃げ出した膨大なリスクマネーが、原油やレアメタルから食糧などあらゆるコモディティに向かい価格を上昇させた。

悪いことに、サブプライム問題は金融不安を起した為欧米の先進国は利下げや量的緩和など金融緩和を続けざるを得ず、結果的に投機に向うリスクマネーを膨張させ食糧価格高騰に火を注いだ。異常な価格高騰はまさにこの投機資金のターボ・チャージャーが点火した結果といえる。

グローバリゼーションは色々なものの国境をなくした。情報は世界を駆け巡り、資本、仕事、テロ、資源、何でも価格がつきリアルタイムで取引され膨大な額の富の移転が続いている。そしてついに「飢餓のグローバリゼーション」が始まったというのが私の解釈だ。朝日新聞は市場の暴走というのも理解できる。

応分の役割が求められる

事態の深刻さは日本では余り報じられていない。例によって日本に直接関係の無いことは全く関心をもたれない。メディアも無視していないとアリバイ程度に小さい扱いで伝えるか、全く無視する。だが、米国大統領の突然の緊急食糧援助発表にも少なからず違和感がある。

この問題のかなりの部分は米国に原因がある。「よく言うよ、お前のせいだろう」と言いたくなる。米国は自分で問題を起し世界中に問題を巻き散らしながら、その問題解決を世界に提案しリーダーとして振る舞う。それ以上の説得力のある解決案は出てこない場合が多いのも事実だが。

いずれにしろ、世界は日本が積極的な役割を果たすことを求めるだろう。ホワイトハウスによると、米国は2007年度に21億ドル、250万トンの食糧援助を行った世界最大の食糧援助供給国であり、日本にも積極的な援助を求めるだろう。

ブラウン英首相が7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)議長を務める福田康夫首相に書簡を送り、国際社会が協調してこの問題に取り組むよう求めたという。

根本解決策はあるか

食糧価格上昇は構造的なもので、もう元には戻らないというのが世界の認識になっているという(ファイナンシャル・タイムズ(FT3/18)。確かに国籍不明の投機マネーが食糧に群がるのを抑制する手段は難しいかもしれない。お金に道徳を求めても無駄だろう。

だとしても、構造的な部分を見直して価格の上昇を抑え歯止めをかける方法はいくつかある。先ずはエネルギー問題と食料問題の政策レベルでの衝突を早急に止めるべきだ。欧州政府や世界銀行内にも米政府がガソリン消費削減のため掲げたバイオ燃料増産計画は有害と指摘する声が高まりつつあるが、最大の資金拠出国に対する遠慮があるという。

ペリーノ大統領報道官は14日の定例会見で、「大統領は食糧不足に責任を感じているか」と追及され、「需要増とエネルギー高、干魃など多くの異なる要素によるものだ」と反論したと報じられている。

だが上記FTの記事によれば、米政府が近々国内産エタノールへの51セントの税還付を減らすか、ブラジル産エタノールにかけている54セントの関税を減らす可能性ありと見ている。実行されれば米国バイオ燃料産業の急拡大を減速させることが期待される。

もう一つは農業の生産性を改善することだろう。手っ取り早いのは遺伝子組み換え技術を活用した品種改良による農産物の増産と効率的な農場経営だ。特に欧州ではバイオ作物に対する反発は依然残っているが、事態が深刻になれば選択の余地が無い時代が来ると専門家は見ているようだ。

農業改良技術は日本が貢献できる分野でもある。しかし、日本国自体が賞味期限など食糧危機国にとって見れば、壮大な食糧無駄遣いを国家レベルでやっている。これを止めるだけで数千万人を飢餓から救えるという事実をかみ締めるべきだろう。■

コメント (3)
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