かぶれの世界(新)

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調整が続く世界市場

2007-03-30 14:52:03 | 社会・経済

社会問題化した住宅ローン焦げ付き

先月末に始まった世界同時株安という名の調整はまだ続いているようだ。このところの話題は、サブプライムローンの焦げ付きが実は根深い問題を孕んでおり米国経済に影を落としているという趣旨の報道を多く見かける。

サブプライムローンとは云わばサラ金のように信用力が低い低所得者層向けの高利の住宅ローンで、将来の資産価値を見込んで殆ど無審査で貸し付けられていた。頭金ナシとか最初の数年は低金利とか借り易い条件でバンバン貸し付けられていた。

住宅価格が上昇している間は低所得の黒人層にも住宅が手に入り、数年で転売することにより資産を増やせる住宅バブル饗宴に参加できた。しかし、バブルが萎んだ瞬間からローン返済が滞り、これらの人達の殆どが低所得の黒人達でなけなしの家を失ったから社会問題化したのだ。

1998年から2006年の間にローンが返済できないで失われたマイホームが260万軒、新築をあわせてトータルで持ち家の数が100万軒減少しているとCRLCentral for Responsible Rending)は報告したという。(CNNMoney3/27

典型的なパターンは返済が焦げ付くと更に条件の悪いローンをし、これを繰り返して借金地獄に入る。元々初めて住宅を買う人の為といわれたサブプライムが実は初めて借りる人が10%にも満たないのだそうだ。これは正に日本で問題になったサラ金地獄と同じ構造だ。

サブプライムローンの構造

一方、何故こんな危険なローンが成立したのかといえば勿論日本で問題になった住専のような住宅ローン専門会社の節操もない貸付が問題だが、それを許したもっと構造的なものがある。前にも紹介したように、リスクがあると必ずそれを証券化した金融商品が出て来る仕組みだ。

最近話題のREITがその類だが、サブプライムローンは云わばハイリスク・ハイリターンの金融商品に証券化され、これをおなじみヘッジファンドが大量に買い込んだ。つまり元手の資金はヘッジファンドの投資で金融機関に返却され、高利の住宅ローンの返済は住専とヘッジファンドが山分けする。

貸付が焦げ付くとリスクが分散されていた為金融システムがそれほど痛手を被らず、当初大騒ぎにならなかった。しかし上記のようにヘッジファンドへの同情はないが、問題が黒人低所得者層のなけなしの家を奪う社会問題となるだけでなく、米国経済自体の先行き不透明感を強めている。

結局のところ住宅不況が米国GDPの70%以上を占める消費を0.5%から0.7%押し下げ、設備投資が弱含みに推移している為、GDP成長が2%半ばまで低下するという見通しから、アナリストの中には1%台に低落するという弱気の予測まで現れてきた。そこまで低下すると世界経済への影響は大きい。

火種は他にもある

実はこの構造は米国だけではない。不動産バブルは中国上海を筆頭に世界中にある。イギリス、アイルランド、スペイン、オーストラリアなど住宅価格が高騰している国は枚挙に暇がない。これらの国は同じ金融システムかどうか知らないが、共通しているのは過剰流動性つまり金余りだ。

一旦リスク回避に向かい始めたグローバルマネーの流れの変化(調整)は依然続いている。227日中国株式市場暴落のようなきっかけでその流れが突如速まる可能性は依然高い。そういう視点から米国住宅市場の波紋はまだ目が離せない。

世間での議論は1)世界同時株安は終わり今後上昇に向うのか、2)依然調整局面が続きその後上昇に向う、3)今後も調整が続き今年後半から来年にかけて谷を迎えると分かれている。当分この議論が続くのではないか、つまり2)か、3)という気がする。■

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奇妙な共通点-希望入団枠と天下り

2007-03-28 22:56:56 | 国際・政治

このところ話題になっているプロ野球ドラフト制度と公務員制度の改革に奇妙な共通点がある。どちらも明らかに問題があることが分かっているのに中々改革が進まないことだ。

当事者達が散々議論しているがちっとも纏まらない、自己解決能力というか自浄能力がないのだ。彼らは何とか先送りしよう、2年後とか5年後にやれば良いだろうという先送りの発想だ。問題があるのなら即修正しようという姿勢がない。これが我国を世界から遅れさせてしまう悪癖なのだ。

それでも日本プロ野球組織の根来コミッショナー代行は急転直下本日緊急記者会見を開き希望入団枠の廃止を今年から廃止すると発表した。しかし、当事者の自己解決ではなく世論の高まりに抗し切れなくなった結果だ。コミッショナーのリーダーシップも全く無かった。

残念ながら天下り防止の為の公務員制度改革については、今のところプロ野球ほどの世論の高まりがない。霞ヶ関が大反対し自民党の意見が割れている。何故か野党は静観している。しかし、これも世論が後押しするかどうかが決め手だと考える。

ところが天下りに関しては奇妙なことにメディアの意見が一致してないようだ。あるブログは産経は支持、毎日は中立、読売は慎重と分析していた。朝日は毎日に近いようだ。これほどバラバラなのも珍しい。職業選択の自由に微妙に係わるからだろうか。

しかし事は最終的に税金を如何に効率よく使うかに繋がる。公金の無駄使いさせないシステムの実現は国家の最優先事項の一つであり議論の余地はないと思うのだが。公団を渡って高級官僚が巨額の公金(退職金)を手に入れるシステムなどあってはならない。

読売が公務員制度改革に慎重なのは、配下の巨人の利益を守ろうとして希望枠入団枠を出来るだけ存続させようとしたのと奇妙に一致する。偶然だとは思うが奇妙な共通点がここにもあった。

長年天下りの弊害が指摘されながら改善されることも無く続いてきたのは、考えてみれば誠に奇妙だ。安倍首相が決断したとしても世論の後押しが無ければ骨抜きになる可能性が高い。その為にはメディアの役割は極めて大きい。

職業選択の自由を含め論点を明確にし、誰が何を主張し賛成もしくは反対しているか、背景は何かまで分析し、その上でこの件で世論を高めるべきだ。個別に議員の意見を確かめ参院選に反映させるべきマターにすべきだ。

誰かの言葉を借りると結局公務員制度の見直しは「この国の形」を決める選択であり、安倍首相の問題認識とその優先順位付けの健全さを示すものだと私は考える。■

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100円ショップ

2007-03-26 23:23:25 | 社会・経済

充実してきた100円ショップ

昨年頃から100円ショップをよく利用するようになった。品質は悪くないし、品揃えも充実してきた。近所に新しいお店が出来、日常生活に必要な生鮮食品まで扱うようになった。

生鮮食品は100円で買える量に小さく纏めてあるので小家族には便利だ。しかも予想以上に鮮度がいい。先日家内に頼まれて林檎を100円ショップで買いに行った。手にとって見るとデパ地下に乗り入れているスーパーの林檎(フジ)と比べ新鮮で安かった。

お客の買い物籠を覗くとスーパーで買うような商品が入っている。客筋はスーパーに比べやや若い人、男性が多いような気がするが、主婦や中年サラリーマン風の人も見かける。スーパーとコンビニから客が流れてきているように思われる。

私は文房具、パソコン用媒体、クッキーなどの嗜好品、ちょっとした家具・飾り・インテリア等結構色んなものを買う。値段が決まっているので余り考えないで気楽に買えるのが良い。古本を買うのと同じ感覚だ。

100円ショップが話題になり始めた頃はまがい物で信頼できないとの先入観があったが、今迄いい加減な品質の商品にあたったことはない。この数年デフレが進行した結果消費者の意識も変わったのかもしれない。商品タグを見ると生鮮食品以外は殆ど中国産か韓国産だ。

最近見た記事によると100円ショップの先駆者「大創」の倉庫では、コンテナ1個には商品1種類しか入ってないそうだ。今までの常識を超える量を一括購入し全国の店で捌くらしい。棚卸管理とか最適化・キャッシュフロー管理という発想ではないらしい。

確かに100円ショップではトヨタのカンバン方式とかジャストインタイムなどの管理方式はやったら手間ばかりかかって使い物にならないだろう。

100円ショップは「ローエンド破壊」を起す

いまや100円ショップは市民権を獲得してメインストリームになる可能性が出てきたと私は思う。最近コンビニと100円ショップが提携して商品開発・仕入れするとのニュースが流れた。100円ショップの正統性を証明したといってよい。客筋が被っているし違和感はない。

100円ショップがメインストリームになると予測するのは、二つの必然性があるからだ。100円ショップが最近話題の格差問題が指摘する低所得層の生活を支える役割を果たすようになると私は予想する。それは明確な社会ニーズである。

もう一つは90年代末にC.M.クリステンセン氏が主張した「壊滅的技術」(Wikipedia「ディスラプティブ技術」参照)による「ローエンド破壊」を100円ショップは起す可能性が高いからだ。

日本電機業界の携帯電話や半導体事業はハイエンド市場に集中して投資したため、ローエンド商品の品質が改善された時壊滅的インパクトを受けた。日常生活用品の小売の世界でも同じことが起こる可能性は十分ある。■

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それは前兆か

2007-03-24 18:11:38 | 国際・政治

国のメディアが20日興味深いニュースを流した。ビデオブロガーのPhillip de Vellis氏が民主党のオバマ上院議員などのウェブサイト業務を代行する会社Blue State Digital社から解雇されたというもの。解雇の理由はクリントン上院議員を攻撃するスポット動画を作った為という。

YouTube」に投稿された74秒のスポット広告を見ると、これが中々良くできている。既に100万以上の人に見られ大変な人気だそうだ。1984年にアップルが作った広告を下敷きにして自宅のアパートのパソコンを使って休みの日にたった1日で作ったものだという。

1984年アップルはIBMの大型計算機をジョージ・オーウェルの人気SF「1984」の圧政者「ビッグブラザー」に見立てパソコンを宣伝した広告を作り評判になった。これを使ってクリントン上院議員を既存政治体制の代表に見立て、オバマ氏を圧政から解放するアップルに喩えたというもの。

この内容を見ると具体的な内容で反論するのが難しいが、全体としてクリントン氏の印象を悪くするよう巧妙に作られており、上院議員は直ちに訴訟する積りはないらしい。オリジナルのアップルもダンマリを決め込んでいるという。しかし、一見して映像のインパクトはかなりあった。

者の中に、これは2008年の大統領選の風景を一変させるほどのインパクトがあるとの見方がある。大金を使ってテレビ広告を打たなくとも普通の人が1日で作ることが出来、しかも内容にインパクトがあればテレビに取り上げられ全米に放送、更にそれで興味を引きサイトアクセスが急増した。

今まで大統領選には巨額の選挙資金が必要とされ、資金の殆どはテレビコマーシャルに投入された。長いキャンペーンの途中で候補者は資金が続かず降りていく。有力候補といえども接戦州を選んで重点的にスポット広告を打ち、選挙資金の有効活用を図る必要があった。

今回YouTubeはテレビ等に限られた政治的な映像メッセージ発信を個人の手に取り戻す手段(Vehicle)として極めて有効であることが証明されたことになった。

米国の後を追う日本は果たしてどうだろうか。CNET3/22)によるとYouTubeの国内利用者がついに1000万人を超したそうだ。先日書いた「ネチズンの世紀」で我国でもネチズンの政治的影響力の高まりを予測した。ネットワークの高速化が進み映画音楽などの娯楽だけでなく、動画を含む政治経済ニュース記事が増えて来た。

しかし個人レベルがメッセージ、主義主張を動画で発信するのを見たことがない。米国ほど技術やセンスを持った政治的クリエータがまだそれ程いないのではないだろうか。都知事選や参院選でYouTubeもしくは類似の動画サイトが何らかの役割を果たすかどうか、可能性は低いと私は予測する。■

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「あってはならない」けどある話(2)

2007-03-22 15:54:07 | 社会・経済

このテーマにピッタリのニュースが毎日のように流れてくる。共通するのは明らかにオカシイことを開き直って責任を果たさず、もっと大きな物を失っている人達がいることだ。連日の報道でこういう人達が溢れているようで寂しい。かつて恥の文化といわれた国は恥知らずになったのか。

岡勝利農相の事務所経費の空虚で恥知らずの言い訳を最初に取り上げる。たった500万円余の事務所経費の内訳を説明できなくて安倍内閣全体の信頼性を傷つけている。彼が守ろうとしている物は何か、彼を選出した熊本県の選挙民はどう考えているのか。500万円で随分高い値打ちの買い物をしている。

西武球団の裏金事件はバレるまで隠蔽を続け、バレた後も細部の隠蔽工作をした。小事を隠して球団の信頼を損なった。それを説明する太田社長は、プロ球界の信頼を保つ為に西武球団自体が球界に残れるかどうか問われているという発想がなかった。発想の次元が低い点では現場と大差ない。

ところが今度はプロ野球界全体も同じ発想だった。ドラフト制度の「希望枠廃止改革」をめぐって議論は迷走、プロ球界全体の信頼が問われているのに球団次元の利益でしか物事を考えられない。既にアマチア球界のプロ野球機構に対する信頼は全く無くなった。

危機管理の鉄則である初動を誤ると、その後何をやろうと信頼の回復は難しい。今何が問われているのか大局を理解できないまま現場レベルの発想での決定が傷口を広げ、しかもそれに気付かない。正にこういうのを悲喜劇という。

人は何故、小さい利益を守るため必死の努力(隠蔽)をし、大きな利益を損なってしまうのか。大きな利益とはいっても規制や仕組みで守られた既得権益の場合の不祥事が多いのだが。逆説的に守る価値がないのか!何れにしろ、この必死の努力が「あってはならない」ことをやってしまう。

北陸電力の原発臨界事故隠蔽、不二家の賞味期限偽装、愛知県地下鉄工事の談合、うんざりするほど不祥事の枚挙に暇がない。当事者は小さい利益を守るための確信犯だが、結果は屋台柱を揺るがし数千億円のビジネスを危機に曝すことになる。

多くの場合は直接手を下さずともそれを許す環境を組織全体が作っているので、全体の被る損失は自業自得ともいえる。プロ野球機構の場合、その極めて常識的な道筋すら理解してない向きがあるのは哀れとしか言いようがない。

その意味では官僚の天下りも全く同様だ。あってはならない酷い例が山ほどあるのに官僚は自浄能力を持たず、一部政治家はあからさまに利益誘導天下り規制に反対する。首相が退路を断ったといわれる裁定といえども骨抜きにされる可能性がある。野球のドラフト制度と似た構図だ。

しかし事態は悪い方向に向っているとは私は思わない。検察や公取委が動けるよう法が整備されたからこそ不正を見逃さず内部告発が増え、談合が摘発されたのであって、不正が増えたわけではない。最近の金融庁や経産省の消費者側に立った姿勢は一時的なものとは思えない。

とは言っても長い間に培われた談合・隠蔽・タカリの構造は国民の精神を貶めライブドア事件等より余程根が深い。官僚から地方役人、経営者から従業員、大人も子供まで恥を恥とも思わない人達が生まれた。小泉改革を引き継いだ安倍政権の役割が、「あってはならない」ことを「普通にない国」にして活力を取り戻し、それを「美しい国」というなら100%支持する。■

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