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人権報道

2006-10-22 14:15:21 | 社会・経済

今月ロシアと中国でショッキングな事件が起こり世界に波紋を投げかけているのに、日本では北朝鮮の核実験一色で殆ど報道してないニュースがある。ロシアでプーチン政権批判の記事を書いてきた著名な女性記者が自宅で射殺され、中国ネパール国境で亡命を試みた若い僧が国境警備隊に射殺された事件だ。

殺害されたロシア人記者はチェチェン共和国でプーチン政権の人権侵害を報じ世界的に評価されている記者で、世界のメディアはいわば身内がテロにあったという感覚があった。もう一つはネパール国境で無防備な子供が背後から撃たれ、当局は「正当防衛」と説明したと報じている。報道内容は残虐な事件を目撃した登山家の生々しい声を伝え、極めて衝撃的な内容だった。

日本のメディアが欧米に比べ海外の人権問題報道をしない傾向がある。ロシア人記者暗殺はそれでも即日事実報道をしたがその後のフォロウは無く、中国政府に都合の悪い情報となると抑制が利きすぎて全く報道されなかった(*)。これでは日本のメディアが国内問題で熱心に人権を説いても私には二重基準と見做し素直に信頼できない。

日本のメディアは基本的なところで欧米のメディアと価値観が同じではないのかもしれない。国籍を越えてジャーナリスト同志という会社や記者間の連帯感を感じない。しかし昔と違うのは、主要新聞に頼らなくとも日本語のGoogleYahooを見れば世界が何を問題にしているかリアルタイムで分かるようになったことだ。

読者はネットという代替メディアで何がイシューか確認が出来るようになった。特に英文なら世界中の報道を集約し、もう一度紙面編集したニュース・サイトがいくつか出来た。ファンド・オブ・ファンドのニュース版のようなものだ。日本語でも現存ニュース・サイトを充実させれば何時かそうなる。

欧米の主要メディアを見ると今世界の何処であっても、石油や貿易等ビジネス如何に係わらず、人権問題を重要視し報道しており、余り熱心で無い日本のメディアとのギャップの大きさに驚きさえ感じる。加えて中国の人権問題となると更に徹底し殆ど無視する。

ブログで展開される解釈・意見など個人報道は、既存メディアの恣意的なフィルターがかかっていない問題提起をする役割を果たしているが、多くは感覚的で規律に欠け深い洞察力で理解しているとは思えない。人権問題等で主要メディアが黙し極端な個人報道のみが横行する状況は決して健康的ではない。

主要メディア自身の急速な変化を期待することは出来そうもないが、記者がもっと自由な立場になり自分の名前で積極的にネットに発信し伝えていくことが改善の第一歩になると私は期待したい。メディアが全て変わる必要などない。記者が多様な視点で考えを発信し、読者とコミュニケートしていくメディア(例えばBBC)が一つだけでもあれば十分だ。■

(*)産経新聞は例外でかなり詳細に報じている。同社は逆に中国のネガティブ面を強調して報道する傾向がある。

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