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日本が核保有国になる日

2006-10-18 15:43:32 | 国際・政治

日本の核武装を懸念する世界

北朝鮮が核実験を実施すると発表以来、対抗して日本が核保有する懸念が世界で深まっている。自民党の中川政調会長の核保有議論を是認する発言に対し野党・マスコミは一斉に反発し、安倍首相は国会で非核三原則は国是と明言した。議論すら許さない感情的な反応だった。

報道によると韓国の世論調査では60%以上が核保有を支持したという。その理由が捩れていて先々日本が核武装するから韓国もという発想だそうだ。日本でも30%以上の支持があったというから一昔に比べれば増えたが、それでもまだ核保有論議をタブー視する世代が多い。

それなのに何故日本の核保有の可能性について世界で懸念が広がっているのか。勿論日本はその気になれば直ぐに核兵器を開発できる潜在能力を持った国であり、北朝鮮の脅威を直接受けている。しかし、政府が非核三原則を確認し日本人の多数が核保有を支持していない。

疑われる理由

一つは中川政調会長をはじめとする自民党のメインストリームの人達、傍系ではなく政策決定に影響力を持つ人達、が核保有の議論を口にし始めたことである。その発言の周囲に核武装を理論武装するブレインとそれを強く支持する層がいることを見ての報道である。米ソ、英仏、中印パと対抗する国が核武装した歴史がある。彼等は我が身を振り返って懸念している。

二つ目に米国は中国に責任ある大国としてもっと積極的に役割を果たさせる為に、日本核武装論を恣意的に発信し国際世論を誘導し中国に圧力をかけていると思われる節があるのも否定できない。過去数年の間に中国は失うものが大きくなった。

更にもう一つは日本の国民性がイマイチ信用できないと考えている人達がいる。それが懸念を100%否定できないと私自身思う理由がある。

民族主義の芽生え

そう思い始めたのは靖国参拝後小泉首相の支持率が上がった時からだ。一方で世論調査は大半が靖国神社のあり方を支持していなかった。このネジレを解く鍵が「誇り」であると首相参拝後の報道を見て私なりに理解した。別の言葉で言うと日本人の間に民族主義的感情が醸成されつつあるということだ。

戦後60年間平和国家であり続けた日本が、人権問題があり言論の自由の無い独裁国家の中国から内政問題について四の五の言われる筋合いではないという、国の誇りを傷つけられたという反発が世論調査に反映されたと考えるとネジレがよく説明できた。

メディアの姿勢に問題あり

この傾向を助長したのは我国のマスメディアである。最大の問題は北朝鮮からの核拡散であり、我国が核攻撃を受ける可能性は先ず無い。しかしメディアは核攻撃の脅威をこれでもかと煽り不安を掻き立てる一方で、中国が国連制裁決議やその履行に積極的でないと連日報じている。

これを聞いた国民は何と思うか、自らを守る為に何をすべきかと思うのが普通である。メディアは靖国神社参拝報道がもたらした世論の変化と同じシナリオで核武装支持者を増やす触媒になる可能性が高い。自分で煽っておいて、事態がそう動くと批判するパターンが目に見えるようだ。

核武装が現実になるシナリオ

別に北朝鮮が攻撃する必要はない。北朝鮮の崩壊を望まない中韓は金日成政権をぎりぎりのところで支え、核実験問題は形を変えながら続くだけで十分だ。現在の危機報道が何年も続くと若年世代を中心に国民は中韓を疑い、国連や米国に限界を感じるだろう。数年のうちに戦中世代が影響力を失い、若年世代の核武装支持が大勢を占めるシナリオが現実味を帯びてくる。

もう一つ可能性がある。最先端科学を駆使するとポータブル核爆弾が可能で、この爆弾がテロリストの手に渡る日が何時か必ず来る。そうなると核抑止力を前提とした現在の核拡散防止システムは機能不全になってしまう。この最悪シナリオの可能性は現実的で、どれだけ先か時期の問題だ。核爆弾保有の意味が全く違ったものになろう。

議論をタブーにするな

核武装をタブー化するよりあらゆる可能性を議論しその中で我国のあるべき姿を考えるべきである。議論をタブー化しそこで思考停止すると、現実から目をそらし状況の変化に気がつかず危機管理しようにもその知識も無く、決断を先送り慌てて誤った決定をする。これは日本人が過去に犯してきた過ちである。

この分かりにくさに世界は不安になり、執拗に核武装の可能性を報じている側面があると私は感じる。米国の中に、日本のリアクションを見て民族主義の芽が大きくなり始めたと感じている人達がいる。寧ろあらゆる可能性について議論し、透明なプロセスの中で国際世論の不安を取り除き支持を得るべきと信じる。■

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