今朝発表された9月短観は2期連続で景況感が改善され、テレビは史上最長の好景気が続く見込みと報じている。短観とは日本銀行が3ヶ月毎に実施する短期経済観測調査のことで、企業規模や業種に分けて調査し、中でも景気が良いと答えた企業の割合から悪いと答えた割合を引いた値を業況判断指数(DI:Diffusion Index)と言って頻繁に景気判断の指数として引用される。
言い換えるとDIとは会社を経営している人達が景気をどう見ているか人気投票みたいなものである。今回大企業製造業のDIが前回より3ポイント増のプラス24だったのが全体の景気拡大基調をリードした。円安下で輸出とデジタル家電など国内消費が好調だったのが理由とされている。
しかし日常生活から景気を感じるのは中々難しい。会社勤めの頃はよくタクシーの運転手さんに景気を聞いた。バブル崩壊後景気がよくなったと言う話は聞かない。企業は景気が良くなっても交際費などの経費節減を続け財布の紐は堅く景気指標にはならなくなった。
そのタクシーの運転手さんに聞いたのが高速道路を走るトラックの台数が景気の目安になる。景気が良くなると物が動く、つまり輸送が活発になるということだ。深夜都心でタクシーを拾い首都高速から中央高速に乗ると続々と都心に向かうトラックとすれ違う。物が動くのは交通量の少ない夜間だ。一昨年頃からトラックが増えてきた気がする。
最も簡便な指標は新聞の折込み広告の量だ。一時に比べ広告の量が増えた、最近は特にマンションの売り込み広告が多い。先日テレビを見ていたら森永卓郎氏は街頭で配られるティッシュの数が景気の目安になるという。私の周りではパチンコ、消費者ローン、飲食店関係が多いが、多分場所によるのだろう。
田舎に行くと少なくとも一度はその街の最も賑やかな商店街を歩くことにしている。かつては繁華街を歩く人達の数だったが、今はシャッターが閉まっている店舗の数が目安とは寂しい。しかし今年の夏帰省した時改装中の店舗が多く新たな兆候を見た。今は郊外の大規模店の駐車場の込み具合だ。歩道を歩く人達は見かけないが店の中には買い物客で混雑していることが多い。
今後日本経済はGDPの約6割を占める国内消費がどのくらい頑張るか、そのためには好景気を実感できる雇用増と労働分配率の向上が鍵になる。このところ世界経済成長減速の兆しが出てきており、今まで日本経済回復を牽引してきた輸出がどうなるかも景気判断に大きく影響する。
特に米国の景気がどうなるかが決定的で、GDPの7割を占める消費者市場の動向、中でも最近冷え込んで来た個人住宅市場(新規住宅着工件数など)の行方が気になるところだ。中国の消費者市場はGDPの4割弱で、輸出依存構造の経済は変わらず、大枠では世界経済を見ておけば景気判断が出来るであろう。■