かぶれの世界(新)

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10-Day MBA

2005-08-25 13:56:52 | 資格・転職・就職
田舎に帰る前に国分寺の古本屋で手に入れ、夏休みの読書用に持って帰った。1993年にS. Silbiger氏がPIATKUSから出版したものでAmazon.comで調べると99年に改定されている。毎日1科目づつ読んでいけば10日でMBAの知識を得られるという。能書きが本当ならコスト・パフォーマンスは凄い。古本屋で更に安い値段で手に入れたのだから、効果がなくとも文句をいえない。

MBAが米国のビジネスの世界で大活躍していると聞いていたが、95年米国に赴任して以来一人もMBAを雇うことはできなかった。マーケティングや外部のコンサルタントは珍しくなかったが工場で働きたいと思うMBA等いなかった。この本によると当時MBAの働き場所は金融関係かコンサルタント会社で、オペレーション関係はたった2%だったので無理もない。現在は分からないが、2000年頃も同じ状況だったように思う。私が会った限り彼等は概して自信満々で格好いいビジネス用語を連発し、非常にクリアカットというか断定的に喋るスタイルをとっていたような気がする。

この程度の本でも読み終わると、MBA教育がマーケティング、組織論、財務・会計、オペレーション、戦略と広範な領域に亘り、特に量的分析からマクロ経済に亘る所謂お金の意味を重点的に教えているという印象を受けた。当時、多くの米国コンサルタント会社は毎年トップレベルのビジネススクールから大量にこういう教育を受けたMBAを雇用し、コンサルタントを受ける企業の経営の中枢に送り込み力をつけさせキャリアを積ませるシステムが既に当時出来上がっていた。

数年で普通の社員の数倍の速さでキャリアを積む機会が与えられるが、一方で数年で振り分けされ会社を去る人も多かったようだ。私の職場に来た若いコンサルタントを可哀想だが力不足だとして取り替えてもらったことを記憶している。その後エンロンやワールドコムの会計疑惑にコンサルタント会社が深く関ったことを反省として企業倫理のクラスが強化されたが、そのような気配を若干感じさせ居心地の悪い思いをしたコンサルタントもいた。

この本を読んでみようと思ったのは、私が日米の事業運営に関わった時ベストとは思えない意思決定をした自覚があり、もしMBAの知識を持っていたら違った風に判断しトラブルを避けるか和らげることが出来たかもしれないと思った為である。又、退職後都内のある中小企業のコンサルタントを短期間やり、その時MBA的手法の知識があればもっとうまく問題点を指摘し良いコンサルがやれたかもと思ったからである。

私は米国と日本で理由は異なるが棚卸を急増させ苦労した事がある。MBA教育においてオペレーションの人気は低く充実してない印象を持っているが、経営全体を見る訓練をされたMBAの目があれば優先順位の感度が高まりもっと早く手を打てた可能性があると実感した。しかし、一方であらゆるビジネス活動が透明でないとMBAの力を発揮できない、論理だけでは片付けられない日本的情緒の理解が不足していた部分もあったと思っている。

全体として、この本を読んでみてバブル崩壊までの日本の大企業の社内教育は大したもんだったと今頃実感した。私が勤めていた会社で30年間に渡り断続的に受けた管理職教育は「金融・マクロ経済関連」を除きこの本のかなりの部分をカバーしていた。残念なのは初めから知っていたのではなく、失敗をして始めて学んだことが多かったのだけれども。いずれにしろ、何も知らない田舎者の電気技術者だった私がグローバル・ビジネスを経験し一通りのビジネス知識を得たのも、仕事を通じて学んだことがベースになっている。

Amazon.comの書評によると入門書のような位置付けであり、これでMBA全てを知っているかのごとく語るのは無理があるが、主要なトピックが網羅的にカバーされているので、MBA教育がどんなものか予想がつく。今まで私の中でばらばらにあった知識が少しはシステマチックに整理された感じがする。実は正直に言うともう一度勉強して海外でMBAの資格をとることを考えていたが、残された人生の限られた時間を考えると無駄かもしれないと思い始めた。しかしこれからMBAを取得しようと思う若い人はこの程度の本を読んで土地勘を持って臨むのは悪くないと思う。■


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コンサルタントの値打ち

2004-11-08 11:40:34 | 資格・転職・就職
今年の春首都圏にある中小企業の経営コンサルタントを初めて行った。以前勤めた会社では世界トップのコンサルタント会社から日本の中規模なソフトウェア会社まで多くのコンサルテーションを受けた。コンサルタント会社にはそれぞれ得意領域があり、その成果が期待通りの時もあればお金をどぶに捨てたような結果になったこともある。仕事柄コンサルタントの良し悪しについて何度も同僚と議論、評価した。実際やってみると口で言うほど易しくないと言う当たり前の体験をした。コンサルタント会社経営の友人の話を聞き、書物を紐解いて両方の立場から改めてコンサルタントの価値を考えてみた。

コンサルタントとは顧客に提案し、合意に基づき調査・分析し、その結果を整理して最終報告として経営改善の提案書を出すまでの作業である。最初に調査を提案する時は適切なテーマを提示する業界知識が必要で、顧客にアピールする個人的魅力が望まれる。この段階でコンサルタントはその企業が抱える課題・機会に対しある仮説を持っておく事が非常に重要で、調査・分析をこの仮説に当てはめ見直し整理し、顧客のフィードバックを得て最終的な経営改善の提案をする。この最終提案書の提出でコンサルテーションが終了すると言うのが私の理解であった。

大手のコンサルタント会社は継続して提案を実行に移す仕事を請負い、かつこの領域で殆どの収益をあげている。従って、最終提案書の提出自体はコンサルタントの値打ちの1割しかないと主張している。4割は顧客の会社の能力と不足分のアウトソースを総合して細部にわたって実行可能な計画を作る所にあり、更に残りの5割が顧客の会社全体が経営改善実行に燃える環境作りをすることにあると説明している。経営改善を成功させる為には当然のことで、経営改善プロジェクト実行を請け負うコンサルタント会社の考え方は顧客のニーズと一致している。私にとり提案書提出は終りだが、彼らにとっては始まりで、後がなければ失敗なのである。

10年前米国で使っていた世界最大手のコンサルタント費用が月3万ドルと聞いて驚いたが、この定義通りであれば異存はない(定義通りとはとても言えなかったが)。今考えると私の初体験は、次ステップのプロジェクト実行を必ず受注するという迫力に欠けていたかも知れない。現在この会社は経営改善プロジェクトの一環として専門家の助けを得てIT導入を開始している。時々社長に様子を聞いているが、私の提案がどう貢献しているか未だ評価できる段階にはない。残りの9割の価値がゼロであったと言われるのはつらいが、皮肉にも収入はその近辺だった。


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