かぶれの世界(新)

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けもの道を歩く

2020-10-22 12:05:41 | 日記・エッセイ・コラム
WORKMANの高耐久性が謳い文句の靴を買ったものの、試し歩きしたのは舗装された山道だけだった。昨日ついに本来目的の山道を歩いた。それは手頃な実家の裏山、物置小屋の横が登山口だ。子供の頃よく山に入って遊んだが、今では誰も山に入らず道とは言えない状態になっていた。

急坂を10mくらい登ったところで倒木が道をふさぎ、道の真ん中に竹や雑木が生えていた。当然こうなっていることを予想して、耐久靴を履き登山用の手袋と鉈(なた)を腰に山に入った。だが、予想以上に道は荒れていた。土砂崩れはないが竹や雑木が邪魔をして前に進むのに難儀した。

鉈で邪魔な木を振り払いながら裏山の尾根に出ると、隣の集落に続く西側の斜面は間伐されて明るかった。しかし、東に向かって尾根伝いに歩くと途中から高さ2-3mの細い竹や雑木が道を塞いでいた。不思議なことに竹は高さアーチ状に倒れ高さ1m程度のトンネルを作っていた。

登り始めて直ぐ道のあちこちに猪の足跡が残っており、時折水浴びした痕が残っていた。相当多くの猪がいるのは分かっていたが、トンネルを見てこの道は猪専用の完璧な「けもの道」になってしまったと思った。進むか退くか暫く考え、ここまで来て引き返すことはないと決めた。

けもの道を登って行くと道が徐々に狭くなりやがて消滅、谷の岩場の間を流れる川にぶつかった。耐久靴を履いてなければけもの道を歩けなかったが、この岩場で本領発揮した。足腰の老化は進んだが何とか足場を確保して、手がかりの細い木にぶら下がりながら恐る恐る渡り切った。

残念ながら、谷を渡った先に続く道は発見できずここでギブアップ、元来た道を戻り尾根の西側の手入れされている斜面の山道を通って隣の集落に下りた。こちら側の山道に猪の足跡は見えなかった。再び舗装した道を歩き始めて、この耐久靴は山道の方が歩きやすいことに気づいた。

実家側と隣の集落の山道は対照的だった。人が利用するかどうかで全く様子が違った。その理由は集落の誰も入山しないこと、薪拾いは不要になり60年前頃に見た山間部の畑は放棄されていた。本質的には裏山の所有者は関西の資産家と私の実家で、この両家が手入れをしなかったからだ。一方、隣の集落の墓地が尾根にあるのも不便だが幸いした。

2003年に早期退職しまだ元気だった母と山に入り境界確認した時は、裏山はこんなに酷い状態ではなかった。その頃買って貰ったマウンテンバイクの試乗をやってみようと思ったくらいだ。それから10年余りで実家は「獣に囲まれた家」になった。耐久靴の履き心地なんか吹っ飛んだ。■
コメント
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