かぶれの世界(新)

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心の友

2020-10-03 19:27:49 | 日記・エッセイ・コラム
散歩の途中で印象に残ったことが続けて起きた。出会う人たちの半分は犬を連れて散歩している。その殆どは中年女性だがたまに男性もいる。私の印象では概して女性は可愛い小型犬、男性は私と同年齢と思われる老人で中型犬を連れて散歩している。

私は自らスケベと認めるが男性にも声をかけ話をする。ブログに投稿しないのは男性では面白い記事が書けないからだ。ところが昨日会った犬を連れた男性は違った。犬の歩き方が少し違和感があったので、年齢を聞くと14歳だという。人間でいえば80代半ばで老化の為かと思った。

この会話をきっかけに彼の話は止まらなくなった。犬は癌にかかっており獣医によると半年も持たない命なのだという。犬の下半身に馬鹿でかいボールをぶら下げていた。癌の塊でテニスボールよりでかい。よく見ると二つ目の小さなボールがぶら下がっていた。

「14歳か、もう十分生きたんだね。でも寂しくなるでしょう。」というと、彼も辛いのをこらえて平静を装ったようにうなずいた。獣医に連れて行った時はもう手遅れだったという。昔なら犬の平均寿命は10歳以下だったけど、今は長生きする犬は17,8歳まで生きるという。

その数日前に会った老人も同じような中型犬を散歩させていた。犬は頭部に大きな怪我をした痕があった。飼い主は癌の手術で目から頭部にかけて摘出手術をした後だという。犬の治療に20万円かかった、人の医療費よりよっぽどかかっていると笑いながら教えてくれた。

聞くと犬は11歳だそうだ。私には見かけは頭部の傷跡だけで元気そうに見えた。そう言うと彼は「もう片目は見えないんだ、もう少しで死ぬ」と寂しそうな声で言った。「そりゃー、寂しくなるね」というしかなかった。彼は黙ってうなずいた。そういえば、最近新興商店街の獣医が増えた。

二人の老人にとっては犬が「心の友」みたいに感じた。彼のカミさんもそう思ってくれてるのか邪推した。天邪鬼らしい私の嫌味な感想だった。というのも、「動物は飼わない、自分で面倒見ないでしょう」と家内に言われ、全くその通りで反論もしなかった。実は子供の時から前科がある。■
コメント
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