【今日の 昭和】
赤外線コタツとは何か。
すでにそれを知らぬ人が人口の半分以上になってしまっているかも知れぬ。
炬燵である。
それまでコタツといえば、木材で作った立方体の格子状の箱の中に炭火を入れて布団をかぶせてあっただけのもの。
その周りに坐り足を温めるというものであった。
◆
昭和に入ると(30年ごろからか)電気炬燵(こたつ)と言うものが売り出された。
電気で温めるためのシステムはニクロム線で、通電するとそのニクロム線が発熱するというもの。
その後改良されてニクロム線から、赤外線を発するという電球に変わったのだ。
健康に良いものになったのだ。そういう触れ込みを松下電機はした。
◆
電気炬燵は炭式と異なり、テーブルの裏面に装備できるのでテーブルの下の空間が空き、自由に足を差し入れることができるようになった。
写真はコタツの上下をひっくり返した状態のもの。これの四隅にネジ式の木製の脚が付く。
中央の網目で保護されている赤いものが電気炬燵の中心部である。
◆
この度これを処分することになった。これは我が家にワシの中学か高等学校の頃に買ったものだ。ナショナル製。
覚えでは電気炬燵の(我が家では)2代目である。
網のガードを外すと
赤外線炬燵と言うわけは、上の写真、上下にラグビーボールを細長くしたような暗い赤色の電球があるのがお分かりか。
この暗赤色のものが電球で、赤外線を発射するものである。
コントロール部である
赤外線の光の中に足を入れるとなんとしもやけが治ってしまうのである。と言われていた。本当にワシのしもやけが治ったのである。
不思議な文明の機器である。
今考えると、実は暖められて血行が良くなったせいであると思うが・・・・
炬燵布団をめくると中が赤くなっているのだ。この赤色のせいで実に暖かであるし「おお!赤外線」と有難味が増すのである。赤外線は目に見えないから赤外なのに。
しかもこの電気炬燵から、この上にテーブル板が載るようになったのだ。
うちのはピンクの花柄、余計に家があたたかくなる。
裏は当然のこと、麻雀ができるようにビロードが張られているのだ。これ標準装備。
あああ、分解してしまった。(この炬燵はワシの下宿に付き合って名古屋まで行っている)
作業中も終わった今も「ああ、もったいないっきやあ」と後悔の念が芽生えている。
でも使わなかったからねえ。何年も。
我が家の一つの昭和が終わったのである。