語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】「老けない食品の王様」 ~100%カラダにいい食品(3)~

2018年09月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 <牛肉、豚肉と聞くと警戒する人がいるかもしれません。これまで牛肉や豚肉に多く含まれる飽和脂肪酸は、動脈硬化や血管系疾患を招く「悪玉」と考えられてきたからです。しかし最近、「ランセット」にこの常識を覆す論文が掲載されました。
 「ランセット」に掲載された大規模な追跡研究「ピュア・スタディ」は、世界五つの大陸、18の国の約13万5千人を対象として、世界的な話題を呼んでいる研究の一つです。
 昨年11月に発表された「ピュア」によれば、飽和脂肪酸を含む総脂肪の摂取量が多ければ多いほど総死亡率が低下することが分かったというのです。これだけで十分衝撃的な結果ですが、さらに脂肪は心筋梗塞など心血管病での死亡リスクと関連性がなく、脳卒中のリスクに限って言えば、飽和脂肪酸の摂取量が増えるほどリスクが低下したのです。
 脂肪を「悪玉」と考えるのはお腹に付いた脂肪からの連想でしょう。ところが脂肪は人体におよそ37兆個あるとされる細胞の膜や、生体を調整する様々なホルモンなどの元となる重要な役割があります。お腹の脂肪の原因は炭水化物の摂りすぎ。牛肉や豚肉を敵視するのは間違いなのです。
 ただし、鶏むね肉と同様、ここでも重要となるのが調理方法です。
 今年5月、「ダイアビーティス・ケア」が発表した研究によれば、赤身肉を直火で加熱調理した場合、糖尿病リスクが23%、肥満リスクは44%も上昇したという。また、オーブンで長時間加熱した場合も、同様にリスクが上がりました。つまり、牛肉や豚肉も「焼く」のは避けたほうがいいのです。
 私は牛肉や豚肉を食べるときは、しゃぶしゃぶにすることにしています。糖尿病や肥満のリスクを防ぎ、AGEの発生も抑えてくれます。
 ただ、そうは言ってもたまには焼き肉やステーキを食べたくなるものです。その場合は、フライパンなどで調理して絶対に直火を避けてください。つまり網焼きやバーベキューは良くない。先ほどの「ダイアビーティス・ケア」の研究では、フライパンで調理した場合、糖尿病リスクは15%下がったと報告されています。
 それと焼肉の際には、ぜひお酢(★★★)を活用してください。
 お酢にはAGEの発生を未然に防ぐ効果があります。肉を焼く前にお酢に浸してマリネにする。そのひと手間でAGEの発生量が2分の1以下になります。
 また、お酢には血圧と血糖値を下げる効果もあります。クエン酸やアミノ酸など疲労回復に効果がある成分も多く含まれますから、夏には積極的に摂って欲しい調味料です。
 お酢が苦手という方には「自家製ドレッシング」で摂ることをオススメします。お酢はオリーブオイルとの相性がいい。私も自宅で実践していますが、オリーブオイルにお酢、そして少量の塩と胡椒を混ぜるだけで立派なドレッシングになります。
 注意点としては、天然の醸造酢を選ぶこと。加工酢には、砂糖や甘味料が多く添加されています。
 オリーブオイル(★★★★★)は「老けない食品の王様」です。その健康効果は、「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」などで繰り返し裏付けられており、非の打ち所がない。
 主成分であるオレイン酸は強力な抗酸化作用があり、動脈硬化も防ぎますから、脳梗塞や心筋梗塞の予防にもつながる。また、前出の「ダイアビーティス・ケア」が2015年に発表した研究によれば、地中海食にオリーブオイルを多めに加えると、糖尿病リスクが40%も低下する。
 私は患者さんに必ず食後に血糖値を測るように指導しています。
 この結果がじつに面白い。油の少ない和風パスタとオリーブオイルをたっぷり絡めたペペロンチーノを比べると、ペペロンチーノの方が血糖値の上昇が明らかに緩やかです。パンについても同様で、パン単体で食べるよりもオリーブオイルを付けて食べた方が血糖値の上昇は緩やかになります。これは、オリーブオイルがパスタやパンをコーティングすることで、消化の速度が緩やかになるからだと考えられます。
 オリーブオイルは酸化の度合いによって格付けされています。なかでも酸度が低く、加熱されていないエクストラバージンオイルはとり強い抗酸化作用、抗AGE力があります。
 私も調理用油に浸かったり、サラダにたっぷりかけたりして積極的に摂っていますが、そのまま飲むこともオススメします。毎日、新鮮なエクストラバージンオイルをおちょこ一杯程度飲むことで、アンチエイジング効果が期待できるからです。ただしエクストラバージンは高価なものも多いので、直接飲むものをエクストラバージンにして、調理用油は安価なものを使うようにしてはどうでしょうか。>

□牧田善二(AGE牧田クリニック院長)「100%カラダにいい食品(18品目リスト付き) 世界最高峰の医学雑誌が保証する 一週間に一回は摂って欲しい」(文芸春秋 2018年9月号)から一部引用

 【参考】
【食】「焼く、揚げる」に要注意 ~100%カラダにいい食品(2)~
【食】酸化・糖化・AGE ~100%カラダにいい食品(1)~

 100%カラダにいい18品目(1) (クリックして拡大)
 

 100%カラダにいい18品目(2) (クリックして拡大)
 



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