ほなさんの汗かき日記

かくれ肥満の解消に50歳を超えてはじめた健康徒歩ゴルフ。登場する個人名、会社名、内容はフィクションである。

初遠征(4)

2007年02月23日 | 日記
木曽川沿いに走る車の中は、仕事モードはどこかへ
消し飛び観光モード一色だ。最後のカーブを右に曲がり
観光バスの停まる駐車場へ入るなり、管理人がやってき
た。
「あと5分で天守閣の受付が閉まる。走っていけば間に
合うから」すぐに行けという。
それで三人は走った。

侍たちが出てきそうな石の段を駆け上り、息せき切って
天守閣に通じる門へ飛び込んだ。500円の入場料を
払い、靴をぬいで、1階部分に入る。そこには、おごそ
かとは違う、異質の空気が流れていた。

犬山城は現存する天守閣で最古のものといわれ、驚くこ
とに3年前まで個人が所有する国宝であったそうな。
1537年織田家によって築城された。徳川幕府へと続
く、動乱の戦国時代が織田信長を中心に回っていたこと
を想えば、この地域は日本歴史の中心だったことがわか
る。

急角度の階段をのぼりつめると、日本ライン木曽川の上
流に沈もうとする太陽がみえた。天守閣の外側に50cm
ほど突き出た観覧部分があり、外側の景色をぐるっと一
周できるようになっている。観光客はお殿様になった気
分で、天守閣から見える景色楽しんでいる。

だが、ほなさんは高所恐怖症だ。最上階の部屋の中央部
分の手すりにつかまりながら、そっと外の景色を盗みみ
る。周りの観光客は、天守閣からの360度のすばらし
い眺めに圧倒され、ほなさんの不信な行動にもきずかな
いでいてくれる。
最上階はかすかに揺れていた。恐怖症にはそれが何倍に
も感じられる。よくわかるのだ。ほなさんは静かに階下
へ降りた。腰が半分抜けおり、このまま降りられなくな
ったら困ると思ったのだ。

階下には天守閣の模型が展示してあったが、天守閣は木
を組んで作ってあるようで、風や人々に影響されギシギ
シと音を立て揺れている。戦のおり城主は、鎧兜を
きて、威風堂々とこんな風に居たよと展示もあった。
ほなさんにはとてもできない芸当だ。

芭蕉は「月日は、、、行き交うときもまた旅人なり」と
奥の細道に書いた。長久手の合戦では、秀吉はこの犬山
城に陣取り、12万の兵士を引き連れ、家康と戦った。
時間の流れを生きる人々を、歴史に翻ろうされた人々も、
すべて見てきた犬山城には、これが事実だという説得力
があった。
木曽川はそのそばを、とうとうと、そしてやさしく流れ
ていた。時は違っても、同じ流れだといっているようだ。

仲間ふたりを駅におくる。城下町風情の町並みがつづき
間もなく、名鉄犬山駅についた。ふたりは喜びの声を残
し犬山を去っていった。名古屋まで30分弱らしい。

NARASETUさんのとってくれたホテルへ向かう。
さあいよいよ、見知らぬ人たちとの出会いだ。