或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

フォーライフ(14)

2006-04-28 06:27:00 | 020 小説「フォーライフ」
◆隣室
真由美は、最近イライラしていた。亭主が浮気をしているのは間違いないと確信しているが、あのハートマーク事件以来、なかなかしっぽを出さない。取引先を旅行に連れて行ったり、そんな接待が社長の仕事の一つだと言われると、なかなかそれ以上突っ込めない。ええいシャクにさわる、こっちも遊んでやれと、忙しい片瀬を無理に誘ってハーバーランドに遊びにきた。

「ねえ、私最近ヘン?」「いや、別に、そうは思わんけど」「どうもね、亭主が浮気してるみたいなんだよ」「浮気かあ・・・」「片瀬さんて、浮気したことある」「浮気なあ・・・」「あるでしょ、普通。」「・・・」「それって、奥さんにバレたりしないの」「俺の場合はプロ相手で、その場限りだからな、それにほとんど外国だから」「東南アジアとか?よく聞くやつだね」「まあその辺だな」、そう答えながら、自分はずっと心は妻一筋、でもここには別の女がいる、と今さらながら、その状況に後ろめたさを感じていた。

「ねえ、あっちに白い建物が見えるでしょ、あれが前に話をしたリゾートホテルだよ、神戸メリケンパークオリエンタルホテル」「なんかいかにもって感じだな」「ねえ、あそこに行ってみようよ」「ああ・・・」、と奈緒美に言われるままにその方向へ歩き始めた。

ホテルに着くなり、フロントで真由美はツインの部屋をとり、片瀬を強引に連れて行った。もうあたりは暗くなり始めている。真由美は片瀬の腕を取りベランダに出ると、いきなり抱きついた。片瀬は突然のことに何もできないでいる。ぐっと抱き寄せれば話は早いのだが、こういう状況に慣れていないせいかそれができない。気まずい時間が流れ、真由美は何も言わず部屋に戻っていった。

片瀬は独りベランダにぼーっと突っ立っている。女がせっかく誘っているのに、それを分かってここまで来たのに、何を躊躇してるんだ。その時、隣りのベランダに人影が見えた。二人ともバスローブに身を包んでいる。何故かはっきりと男女の顔が片瀬の記憶にインプットされた。また別の場所で再びこの男の顔を見ることになるような予感がした。

隣人に刺激を受けたのか、もやもやした気持ちが吹っ切れた。部屋戻るなり、真由美をベッドに押し倒した。人生に一度ぐらい、男らしく決めてみろ、そう別の自分が話しかけてくる。普段真面目な片瀬にしては、珍しく興奮していた。

◆ウェスティン都ホテル京都
東山にある地下鉄蹴上駅から歩いてすぐの所にウェスティン都ホテル京都はある。敷地内には京都市文化財に指定された葵殿庭園を持ち、ホテルからは北山連峰、比叡山、東山連峰の山々の景色が楽しめる。市街地からは少し離れていて、閑静という意味では最高のロケーション。

高台寺を出ると、広之は美和子を車に乗せて、京都では老舗として有名なこのホテルに向かった。駐車場に車を止め、ロビーに立ち寄った後、3Fにある鉄板焼き「くぬぎ」へ。店に入ると、一番奥の目立たない場所に席がリザーブされていた。二人はそこでコース料理を堪能。ワインで頬が赤く紅潮した美和子が楽しそうに喋るのを見ながら、全て予定通りと広之は自分の手際の良さに感心した。

「実は今日は部屋をとってあるんですよ」「・・・」「いや、別に変な意味がある訳じゃないんだけど、ジュニアスイートが使えるってさっき分かったから」「ジュニアスイート?何ですかそれ?」「たまたま空いていると、ワンランク広い部屋を使わせてくれるらしいです、飛行機だとアップグレードとかよくありますよね」「どんなお部屋なんですか?」「いや、よく知らないけど、スイート程じゃないけど、広いのは広いみたい」「へえー、見てみたいわ」「でしょ、とにかく行ってみましょうよ」

広之は、こういう誘い方が恐ろしくうまい。ちゃんと女性に部屋に行く口実を与えている。まさに外堀から埋めていく。二人はレストランを出て、館内に見惚れて歩いているうちに部屋に着いた。ドアを開けると室内の広さにビックリ。普通のツインの倍以上。美和子が感激しているのがすぐに分かった。

「すごく広いわね、高いんでしょ、このお部屋?」「いや、普通のツインと一緒ですよ、気に入りました?」「ええ、広之さんは初めてじゃないんでしょ?」「いや、初めてですよ、でもすごいなあ」「なんだか新婚旅行に来たみたい」「そうそう、そんな感じ」

広之の言葉には少し誤りがあった。確かにホテルがこの名前になってから来るのは初めて。もともとこのホテルは「都ホテル」という名前だったが、数年前にスターウッドのウェスティンブランドの仲間入りをした後で大改装し、現在の名前に。広之は昔ここに来ていた。別の女と。部屋もその時と同じジュニアスイート。ただし微妙な嘘というのは、ほとんど誤りに近い。

音楽が欲しくなりFMをつけると、聞き覚えのある声が流れてきた。ジェームス・テイラーのヴォーカル。マイケル・ブレッカーのバラード集「Nearness of you」のタイトルチューン。ハービー・ハンコックのピアノが洒落ていて、気に入っているアルバム。いい夜になりそうな、そんな予感がした。

美和子は窓から遠くの京都市街の灯りを眺めている。広之は、後ろからゆっくり美和子に近づき、肩を後ろからすっと抱き寄せた。言葉のいらない時間が流れた。

翌朝、二人で遅い朝食を済ませた後、清算のため独りでロビーに向かう途中、広之の目に玄関から入ってきた女性の姿が飛び込んだ。うわっ。突然のことにかなり驚いた。妻だ。どうしてここに。とっさに通路を気づかれないように引き返す。柱の影に隠れながら、そうか、「Nearness of you」は、「Near-miss of you」の間違いだったのか、と昨晩の曲を思い出した。


Nearness of You: The Ballad BookNearness of You: The Ballad Book

フォーライフ(13)

2006-04-28 06:22:32 | 020 小説「フォーライフ」
◆芦屋「Left Alone」
植田と貴美子は芦屋のジャズクラブ「Left Alone」にいた。ここはJR芦屋駅から北に入った閑静な住宅街の一角。ひっそりとした佇まいは、まさに隠れ家。都会の喧騒から離れて静かな時間を楽しむにはもってこいの場所。

「そうそう、メール見たけど、旦那が出張するんだって?」「うん、今週の金曜日から土、日の3日間、東京なんだけど、なんか最近出張が多いんだよね」「そりゃちょうどいい、その岡山のジャグジー付きのホテルを予約しておいてよ?」「任せなさいって、もう予約済みだよ、だってジャグジー付きは2部屋しかないから、すぐに押さえておかないとね」「さすが、そういう所ホントすばやいんだから、天性の遊び人だよな」「それって、褒めてるの?」

二人が話をしていると、貴美子が注文したお気に入りのバーボンソーダがすっと目の前に。この店で普段使っているのは、「Jim Beam」と「Four Roses」。今日はレア物のバーボンが手に入ったと、マスターが特別にケッタッキーの高級ブランド、ブラントン(Blanton’s)を出してくれた。このバーボンはブレンドではなく、珍しい樽出し品。その濃厚な味わいは他に類を見ない。

一口飲み始めた時に、独特の金属質のヴォーカルが流れてきた。カーメン・マクレーの「The Great American Songbook」.。彼女の代表作として有名なアルバム。最初の曲、“Satin doll”を聴きながら、貴美子がしゃべり始めた。

「ねえ、”Satin doll”ってどういう意味か知ってる?」「知ってるよ、娼婦だろ?」「へえー、知ってるんだ」「そりゃ、ジャズには結構うるさいからね」「だからこのお店も知ってるんだ」「ここなら知り合いにまず合わないだろ?」「そうよねえ、娼婦と一緒の所を見られちゃねえ」「馬鹿、なんで娼婦なんだよ」、娼婦というところだけ大きい声を出した貴美子を見て植田は慌てた。

5曲目は、“What are you doing the rest of your life?”(これからの人生)。「なんかしっとりして、いい感じだね」「ミシェル・ルグランの曲で、私はこれからもずっとあなたと一緒っていう歌詞だったかな」「ねえ、これからどうするの?」「どうするって?」「私とどうするのかってこと?」「だって旅行にいくんだろ?」「そうじゃなくてその後よ」

6曲目は、”I only have eyes for you”(瞳は君ゆえに)。「そう言えば、この曲は古谷充のヴォーカルのオハコだったよなあ」「誰?その人」「関西のアルトサックスの重鎮だよ、ヴォーカルもなかなかでね、昔大阪のライブハウスでよく聴いたもんだ、そうそう、この店でも聴いたことがあるなあ」「へえー、うちのダンナも音楽好きだから、今度知ってるかどうか聞いてみるね」

7曲目は”The days of wine and roses/It's impossible”と続くメドレー。「酒とバラの日々かあ、貴美子ってさあ、バラみたいだよな、ピンクの」「どうして?」、「チャーミングだけどトゲがある、ハマったら後が大変そうってこと」「あはは、分かってるじゃない、でも私はハマらないわよ、それはインポシブル、だってダーリンを愛してるんだもん、ところでさあ、ティファニーのクロスでいいの見つけたんだけど、買ってくれない?、買ってくれなきゃ奥さんにチクっちゃうかもよ「ほら、言ったこっちゃない」

二人は、笑みを浮かべてそんな話をしながら、岡山の温泉への旅に胸を弾ませた。

The Great American SongbookThe Great American Songbook

◆ホテル・アイリス
奈緒美はいつになくそわそわしていた。朝起きてカーテンを開けると、明るい太陽が差し込んでいる。今日は洋菓子の展示会。待ちにまった土曜日。朝食はわざと抜いた。甘いものは別腹とよく言うが、今日はいつもと気合いの入れ方が違う。昼食代わりに徹底的に食べまくるつもり。いつもより入念に化粧をして会場のウェスティン都ホテル京都へ。

地下鉄を降りて、ゆるやかに道を登っていくと、眼前に大きなホテルが。つい最近読んだ小川洋子の小説「ホテル・アイリス」で出てくる、民宿に毛が生えたような小さいのとは、まるで違う。改装後に来るのは初めてだったが、中に入ると、そのゴージャズな雰囲気に圧倒された。催し物の案内板で会場を確認した後、すこし胸をドキドキさせながら会場へ。

「奈緒美さーん、来てくれたんですね」、と言いながら、スーツ姿の佐藤が小走りに近づいてきた。「ええ、お言葉に甘えて」「いやー、嬉しいなあ、ホントに来てくれるなんて」「なんかすごくオシャレな展示ですね」「そういってもらえると嬉しいなあ、昨日からほとんど徹夜で準備したんですよ」「それはお疲れ様です」、と佐藤と話すうちに奈緒美の緊張はすぐに和らいだ。

「今日はね、ケーキから焼き菓子まで新製品を全部揃えたんですよ」「へえー、私甘いもの大好きだから」「そうそう、あっちのテーブルに好きなだけ持っていって試食してみて下さいね、気に入るのがあればいいけどなあ」「ありがとう・・・」「僕は、まだ準備が残っているから、また後で来ます」「ええ、私のこと気になさらなくてもいいですから・・・」

奈緒美は好都合だと思った。ずっと一緒にいられると、遠慮して少ししか食べられないかもしれない。佐藤が去ると、早速生菓子コーナーへ行って品定めを始めた。もう目移りするぐらい、素敵なスィーツが並んでいる。本当は、端から端まで全部食べたいところだが、人目もあるし、少しずつ選んで食べているふりをして、回数を重ねて全部を網羅しようと意気込んだ。

試食を始めて約1時間。かなりの量を食べ終わった頃に佐藤が近づいてきた。「どうですか、うちの新製品、お気に召したかな?」「うーん、どれも美味しそうで目移りがしちゃって、あまり食べてないんですよ」「それはもったいない、まだまだ時間はあるから、しっかり楽しんでいって下さいね」「ええ、でも太るのいやだから、あと少しだけ・・・」

佐藤は、奈緒美のその言い方に可愛いらしさを感じた。確かに若干太ってはいるが、逆にそれが健康的な明るさを醸し出している。その素朴さは、自分の女房にはない所だなあとつくづく思った。

奈緒美は、それから残りのほぼ全ての新製品を食べた。どれにも満足したが、やっぱりアンリは、神戸に遊びに行った時に本店で食べたクレープ・シュゼットが一番だなあと思った。

小川洋子 ホテル・アイリス小川洋子 ホテル・アイリス

水谷川優子

2006-04-26 06:38:47 | 210 クラシック
先週の日曜日、カミさんと娘の3人で広島交響楽団のコンサートに行ってきました。まあだいたいどこの県にもありますよね、地元の交響楽団。ただしこの通称“広響”は、中四国唯一のプロオーケストラ。団員はあくまでこのオケでの演奏が第一優先。プロ意識が高いから、おのずとレベルも高まる、と期待してます。現在の常任指揮者は秋山和慶。オールドファンには懐かしい名前ですね。

今回の演奏会の場所は、広島市じゃなくて、お隣りの廿日市市。下の写真の新しいホールができて以来、ここで定期的に広響の演奏会を開催。実は自宅からはこちらの方が近くて、駐車場も使えるし便利。大ホールに初めて入ってびっくりしたのは、内装が立派なこと。木材で有名な所なので、壁とかイスとかに高級材がふんだんに使われていました。残響はやや長めで、ライブな印象。

プログラムは、モーツァルト・歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲、ドヴォルザーク・チェロ協奏曲ロ短調、ブラームス・交響曲第1番の3曲。上の写真はそのポスター。指揮は、仙台フィル、札幌響で活躍した円光寺雅彦。実はコンサートのことを知ったのが先週の土曜日で、開演前に当日券を並んで購入。ブラームスの交響曲をホールで聴いたのは初めてだったけど、とても良かった。

それと好印象を持ったのが、チェロ協奏曲のソリスト、水谷川優子(みやがわゆうこ)。しなかやで深みのある音色が、女性らしい流麗なフレージングといい感じでブレンド。彼女はHPを持っていて、それを見ると、なんと日本の交響楽団の祖、近衛秀麿のお孫さん。6歳の頃からチェロを始めたんだとか。桐朋出身でこれまで欧州を中心に活躍。そうか、サラブレッドなんですね。

それでコンサートの後でサイン会があると場内アナウンスがあって行ってみると、なんと写真撮影禁止。CDジャケットより実物の方が素敵だっただけに残念。CD購入者には、サインと撮影許可のサービスなんて企画だったら良かったのに。(笑)


歌の調べのように歌の調べのように

人生は楽しき集い

2006-04-25 06:23:30 | 010 書籍
今日はジャズ評論家でエッセイスト兼作家である久保田二郎の著書紹介の第6弾。今回は「人生は楽しき集い」(1984年)。雑誌「ブルータス」に1970年後半から1980年前半にかけて掲載されたエッセイをまとめたもの。目についたのが、単行本のカバーに載ってる彼の紹介キャッチコピー。「稀代のエピキュリアン、謎と伝説の人・・・、博覧強記、歩くエンサイクロペディア、酒を飲む百科辞典と讃えられる豊かな知識と、含蓄深い心優しき不良少年の感性をミックスして、世相風俗を語り尽くす・・・、第一級の社会啓蒙書」なんて感じ。最後はちょっと言い過ぎだと思うけど。(笑)

懐かしいのはエピキュリアン(epicurean)って言葉。快楽主義者のこと。享楽主義者とも訳されます。それで私のブログのタイトルの中にも「享楽的」。つながりましたね。そうなんです。つまり彼と私は同じエピキュリアン。自己中でひねくれたところもよく似てると自分でも思います。

前置きが思いっきり長くなりましたが、面白かったのはジャズ(Jazz)という言葉の語源。彼の理解によると、人名の変化だそうで、1900年に入った頃、南部のチャールストン地方にチャールスという名前のドラマーがいた。演奏していると、仲間から「ヘイ、チャース」と声を掛けられる。これが訛りと黒人独特のダミ声で変化して、チャーズ、ジャーズ、ジャズになったって話。

英語サイトSPACE ALCの“英辞郎”では、「定かではないが、当初売春宿で演奏することが多かったために、性的なスラングだったろうと考えられている。当初はjassと表記されることが多かった」、なんて説明が。リアリティがあって低俗でなんともいい感じ。ジャズとお付き合いしてウン十年になるけど、言葉の起源なんて考えてみたこともなかったなあ。いやあ勉強になりました。

ジャズで思い出すのが、かつてつけていたオーデコロン。上の写真のイブ・サンローランの「JAZZ」。つきあっていた女性を思い出す。なかなかいい匂い。また使おうかな。関係ないか。(笑)

人生は楽しき集い人生は楽しき集い

生け花

2006-04-24 06:27:09 | 900 その他
この休みに生け花の展覧会に行きました。場所は広島市の八丁堀にあるデパート。カミさんから、知り合いのお嬢さんの作品が展示されているから、近くに行くなら見てきたらと言われて。

まあ休日に街中に出て、用事を済ませてすぐに帰るのはもったいなと思っていたので好都合。会場に着くと、艶やかな着物を着たお嬢さんが数名、受付の外で笑顔で出迎えてくれて。なんかいい雰囲気。やっぱりこうじゃなくっちゃ。春ですもんね。

そこでポスターをみて展示会の概要を初めて確認。池坊の広島支部のイベント。正式名称は“いけばな池坊展”。春に全国で一斉に開催しているらしい。広島市の教育委員会や地元の新聞社、テレビ局等が後援。なんか大々的な催しなんだなあと改めて認識。いけばな教室の先生と生徒の作品がなんと300点ぐらい展示されてました。とにかく凄い数。

これだけ数が揃うと、素材も作風もバラエティに富んでいて、なかなか楽しめました。とにかく花と空間が作り出す美しさが素晴らしい。まさに日本の美。それで写真撮影可能ということなので、デジカメで作品を撮影。風格があったのは上の写真。家元?の作品なのかな、スペースも十分とってありました。その他で気に入った中から下の写真の3点。

それで帰る途中でよくよく考えてみると、生け花をキチンと鑑賞したのは初めて。こういうのもいいですね。異文化に触れるというか。ヘンな音楽が流れていないのも良かった。作品に集中できて。

暇があれば習ってみたいなと思います。でも無理だろうなあ、カミさんがクレームつけるの間違いなし。何が目当てなの?なんてね。確かに生徒とか、ほとんど女性なんだろうし。今は純粋な気持ちだけど、教室とか通い始めたら、どうなるか自分でも自身ないし。まあ、たまにこうやって鑑賞するぐらいがちょうどいいかもしれません。(笑)


占い

2006-04-21 06:40:37 | 900 その他
“自分バトン”のつながりから、きみ駒さんのブログの記事で占いコーナーを発見。占いはねえ、やらないですねえ。何故かって?あまりそういうのを信用してないから、というよりそういう遊び心がないんでしょうね。今回見つけたのは、色占い動物占い。生年月日をインプットするだけの簡単な奴なんだけど、やってみると、これがけっこう面白かった。

まずは色占い。自分を色に例えると?からのつながり。色はRed/Blueで、「起きて、進め」(Get up and go)。コピーは「正しい行いは調和と平和を導く」。解説は「生まれながらにしてエネルギッシュ」「顔が広く豊かな人間関係を築いていくことができる」「精神的な面と、物質的な面が調和したライフスタイルを持つ」「自分でも人生を最善のものにすることに努力を惜まない」。

うーん、これは違う。まあ鮮やかな赤と青と、その解説との関係は分かる。でもねえ、自分とはかけ離れているなあ。赤と青なんて、自分の身の回りじゃボールペンぐらいだから。

次が動物占い。自分を動物に例えると?からのつながり。動物は、ブラウンのコアラ。解説はたくさんあったけど、その中でピンと来たのが、「他人の言動を信じ切れない」「直感と実践を尊重する」「権威に従うことは嫌い」「社会的に一歩引いたところに身を置く」「自分には厳しいタイプ」。

なんかこの辺はけっこう当ってるかも。でもねえ、ブラウンのコアラはちょっと違うなあ。だって昨日会社の帰りに駅の売店で買ってみた上の写真のコアラのマーチ。こんなキャラってことでしょう?勘弁してよ。ちょっとガックリ。黒とか黒豹はどうして出てこないんだろ?

でも嬉しかったことがひとつ。動物占いで同じブラウンのコアラの有名人にキムタクがいたこと。おそらく半年たって憶えているのは、このことだけだと思います。(笑)

五嶋みどり

2006-04-20 06:21:08 | 210 クラシック
今日は久しぶりにクラシックの話。最近密かにお気に入りの演奏家が五嶋みどり。何を今さらって感じですが、恥ずかしながら聴き始めたのはごく最近。前に弟の五嶋龍の演奏をTVで見て、ひょっとしてお姉さんはもっと凄いのかと思って。

最初聴いたのは、1995年録音のチャイコフスキーとショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲。出だしを聞いた途端に気持ちが高揚してきて。アバド指揮のベルリンフィルが、彼の統制がうまいのか、特に管楽器をうまく抑えてますね。

正直なところソロヴァイオリンってそんなに好きじゃなかった。どうしてもピッチ、つまり音程のふらつきやビブラートが気になって。どんな巨匠がどんなにうまく弾いても。ところが彼女の演奏だけは、何故かスムーズに聞けてしまうから不思議。おそらくピッチがずれても、そのずれ方が私の感性に合ってるんでしょう。その意味では、同じ日本人で千住真理子のチャイコフスキーの演奏を聴いたけど、最初の数分で止めちゃいましたから。なんかビブラートに悪酔いしそうで。(笑)

それと女性だからと思うんだけど、艶やかで流れるようなフレージングがいいですね。例えるなら少女のほっぺたを手ですっと触っているような。確かに巨匠と比べると線が細かったり、ためが少ないとか欠点もあるんだけど、このなめらかさは彼女ならではのもの。シベリウス、バルトーク、メンデルスゾーン、ブルッフと続けて協奏曲を聴いたけど、どれも素晴らしい。っていうか、もう惚れてますね、これは。ハービー・ハンコックのピアノソロなら何でも好きというのと同じ感覚かも。

上の写真は2002年に録音したメンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲のアルバムジャケット。いい顔してますね。これまでは撮る角度を変えたりとか、これが本当に彼女?と思わせるのが多い中で、とても自然な雰囲気が感じられます。

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

自分バトン

2006-04-18 06:39:17 | 900 その他
とどさんから“自分バトン”を受け取りました。「チャコールグレー」という色でのご指名。このブログの配色がそのまんま。それと生地の張り替えを頼んでおいた上の写真のイスを受け取ったばかり。以前は茶だったけど、今回は私の好みで黒に近いグレーにしてもらって。これはつながったと思って。バトンはホント久しぶりだなあ。

■自分を色に例えると?
チャコールグレーも含めて黒。とにかく買うものほとんどが黒。服を中心に、バッグ、ベルト、靴、ケータイといった小物から、大物では車まで。何故かって?バンドマンっぽいから。それと楽だし。何も考えなくていい。まさにVSOP。

■自分を動物に例えると?
黒豹かな。っていうか願望。素早く鋭いけど、ライオンのような風格もないし、一匹狼。まあ痩せ型だし、黒好きだし、豹柄の服を着た女性もいやじゃないし。関係ないか。でもあの関西系のケバいのはダメですよ。あくまでシックな感じ。これ大事。

■自分を好きなキャラに例えると?
伊坂幸太郎の「死神の精度」に出てくる主人公の千葉。これも願望。ハードボイルドで渋くてカッコ良さそうなんだけど、実はミーハー。昔は奥田瑛二にあこがれたけど、現実的には、やはり大竹まこと、高田純次、この辺の路線なんでしょうね。

■自分を食べ物に例えると?
これは難しいなあ、ちょっと無理。最近は懐石料理が好きですね。量は少ないけど、一品一品、板さんの技とセンスが感じられるから。自分もそうありたい。

ということなんだけど、ブログをご覧になってる方、良かったらどうぞ。

社労士勉強会参加

2006-04-17 06:29:25 | 150 社会保険労務士
先月の進捗報告の中で、第1クールの基礎学習が終了したので、これからは勉強会に参加してモチベーションを維持したいという話をしましたが、一昨日の土曜日、早速参加してきました。きっかけは、社会保険労務士最速最短合格法というサイトの勉強会ネットワークの広告。東京、大阪、名古屋、広島、福岡の5ヶ所で活動していて、広島は“広島わしらの勉強会”。登録したら、まとめ役の方から案内のメールが来て。

場所は広島駅から歩いて5分ぐらいの所にある広島県立生涯学習センター。”生涯学習”なんて涙が出そうな名前だけど、来るのは初めて。集まったのは受験生15名と指導をしてくださる社労士のサポーターの方3名。練習問題を中心に、午後1時から5時までの4時間、密度の濃い勉強ができました。

それで驚いたのは皆さんのレベルの高さ。っていうか自分のレベルの低さ。まあ今年1月から3ヶ月しか勉強してないと言っちゃえばそれまでなんだけど、まさにカルチャーショック。へこみましたね。久しぶりに。これですよ、この雰囲気、これを味わうために来たんだから。狙いどおり。意欲がしっかり湧きました。早速帰りに隣の席の方に薦められた参考書を購入。

もっと驚いたのは、遠方からの参加者が多かったこと。憶えているだけでも、島根県の松江、鳥取県の境港、岡山県の倉敷、広島県の庄原。これにはビックリ。思ったのは、自分なんて家から30分ぐらいで、しかも会社の定期を使ってタダで来られるんだから、恵まれているし、こんなオポチュニティを利用しない手はないと。もちろんこれから毎月参加するつもり。

下の写真はセンターの外の銅像と、内に展示してあった彫刻。真ん中の写真に写っている女性像の題名は“風の音を聞く”。すぐに村上春樹の“風の歌を聴け”を連想。なんか自分が書いてる小説とつながってるなあと思ってしまいました。(笑)


フォーライフ(12)

2006-04-15 07:02:28 | 020 小説「フォーライフ」
◆B bar
貴美子は亭主と西梅田にいた。この辺りは最近ヒルトンプラザイースト&ウエスト、そしてハービスエントと大型商業施設が次々にオープン。かつてのビジネス街が、関西で最も洗練された大人の街へと変貌している。

大阪に住んでいる大学の同級生と、たまたま会う予定が昼間にあったので、亭主が京都出張から帰ってくるのに合わせて、久しぶりに外で夕食でもしようと、ここで待ち合わせをした。いざ来てみると、話には聞いていたが、駅周辺が再開発され、昔の面影がないぐらい様変わりしている。想像以上にモダンになった建物やディスプレイに、貴美子はいつになく興奮した。

「ねえ、同じブランドショップでも全然違うね」「ああ、僕なんて引いちゃうよ」「いいじゃない、めったに来ないんだから、楽しまなきゃ」と言いながら、ハービスエントの1Fにあるティファニーへ.。やけに多い警備員の数に驚きながら店内に足を踏み入れた途端、今までに感じたことがないような、まばゆい乳白色のライトと、それに照らされた宝石群が貴美子を圧倒した。

「すごいね、なんかゴージャス」「こんな店で買う奴いるんだよな」「あはは、そりゃいるんじゃない、世の中お金持ちなんて、いる所にはいるんだから」、と植田の顔を思い浮かべながらショーケースを見ていると、ひとつのペンダントが目に止まった。

「ねえ、これ素敵」「何だよこれ」「ダイヤのクロス、そんなに高くないよ、40万もあれば買えるじゃない」「冗談はやめてくれよ、僕みたいなサラリーマンじゃ到底無理、もう行こうよ」、と動揺する亭主に腕を無理に引っ張られながら店を出た。

そしてビルの中のレストランで食事した後に行ったのが、ヒルトンプラザイーストの2Fにある「B bar」。植田のお気に入りと聞いて貴美子は前から興味を持っていた。中に入るとなかなか洗練されたシックな雰囲気。まさにセレブ御用達って感じ。

「この店は3軒あって、東京の六本木ヒルズと丸の内、それとここだけなんだって」「よく知ってるなあ、誰から聞いたの?」「うん、お店のお客さん」「でもグラスとか、なんか高級そう」「だって”B bar”のBはバカラのB、この店はグラスだけじゃなくインテリアとかも全部バカラなんだよ」「へえー」

貴美子が、植田から薦められていたシングルモルトウィスキー、グレンリベット12年を、バカラのショットグラスで飲みながら亭主と話をしていると、天井のBOSEのスピーカーから、ヴァネッサ・ウィリアムスのヴォーカルが流れてきた。曲はバート・バカラックのバラード”Alfie”。かつてTVドラマの主題歌として聴いた憶えがある。バカラでバカラックなんて洒落のつもりかしらと独り言をつぶやきながら、さっきティファニーで見たダイヤのクロスを植田にねだって買ってもらおうと密かに考えていた。


Love SongsLove Songs

◆シュガータイム
奈緒美は佐藤に誘われた日から、洋菓子の展示会が気になってしょうがない。もともと無類の甘いもの好き。特にケーキには目がない。休日に友人と美味しいケーキを求めて店のハシゴをすることもしばしば。あの日以来、毎晩ケーキビュッフェで大量にケーキを食べまくる夢を見る。そしてこれ以上食べられないと、風船のように膨らんだお腹が破裂した瞬間に目が覚める。

そう言えば岡山での幼少時代、町内の“きびだんご大食い大会”に出場して優勝したことがある。弟が内緒で応募。いやだったが、祖父が町内会の副会長をしていた関係上、断る訳にいかなかった。

それからかどうか分からないが、普段そうでもないのに、甘いものとなると人が変わったようにたくさん食べるようになった。夫からは、そのうち取り返しがつかないぐらい太るよといつも冷やかされている。確かに年々体重が増えているのも事実。自分でもかなり気にするようになっていた。

そんな時、図書館で借りて読んだのが、小川洋子の小説「シュガータイム」。小川洋子は、その独特の感性がけっこう気に入っている。読み始めた途端、過食症の主人公が自分とダブったのでビックリ。ただし小説では甘いものだけじゃなく、肉から野菜までなんでも手当たり次第に食べるという設定。なあんだ私なんてまだましじゃない、と妙に安心した。

だが読みながら気になったことがひとつ。主人公の恋人が別の女と突然ロシアへ移住するくだり。まさか自分の夫がそんなことにはと、不安が脳裏をよぎった。そう言えば最近帰宅が遅かったり、出張で外泊する回数が増えていた。

シュガータイムシュガータイム