或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

松居慶子

2015-06-27 08:00:00 | 200 ジャズ
あれは先週の火曜日のこと、”夢番地”というコンサートのチケット販売のサイトからメールが来て。このサイトへ登録した記憶がないけどと思いながら読むと、コンサートモニター招待の案内で、そのアーチストというのが松居慶子だった。翌日が電話の受付日で、昼過ぎに忘れていたことに気づき、すぐに電話してみると、まだ間に合ったみたいだったので2名分を予約。

彼女は日本ではあまり馴染みがないかもしれないけど、全米ビルボード誌コンテンポラリー・ジャズ部門において日本人初の第1位を獲得したこともある、世界的に有名なコンテンポラリーピアニスト。彼女のルーツはクラシックであり、ジャズマインドは良くも悪くもほとんど感じられず、自分の好みではないのだけど、活躍は昔から知っていてずっと気になっていた。

本番の木曜日に友人を誘って会場である広島ゲバントホールへ。あいにくの雨模様だったけど、客席はほぼ満員。楽員構成がちょっと変わっていて、彼女のピアノとベース、ドラム、そしてチェロという組み合わせ。でもプログラムが進むにつれてその意図が理解できたかな。アメリカンな曲調であっても、やはり彼女のルールであるクラシックの風味が感じられたから。

実は彼女との出会いは古くて。20代に、今のAKBのような”COSMOS"というキーボードトリオの一員だった頃、ヤマハの仕事で知り合った。当時は旧姓の土居慶子だったけど。メンバーの中では一番オトナっぽくて色気があったのをよく憶えている。それから数十年後、まさか2000年に、全米スムースジャズ賞最優秀女性アーティスト賞を取るなんて。サプライズは、それから15年後に、まさか広島で実物の彼女と会えるなんて。1961年生まれだから今は53歳ってことか。出会ってから30年以上。

それでコンサートのアンコールで最後に弾いてくれたのが「Deep Blue」という曲。とても女らしく叙情的でピュアな作風で、そのしっかりしたタッチに、彼女の長年の音楽生活が強く感じられ素晴らしかった。しみじみした気持ちで会場を後にしたけど、なんていうか、学生時代の恋人に再会したような、そんな切ない気持ちに包まれたかな。後で買ったCDは自分の宝物になりそう。

水の妖精/「Deep Blue」ソロピアノ・バージョン水の妖精/「Deep Blue」ソロピアノ・バージョン

望厳の湯

2015-06-22 07:09:46 | 890 広島
先週の日曜日は友人とプチ変則日帰り旅行へ。もともと船で海へ出たいというのが彼女のリクエストだったけど、梅雨で前日の天気予報が降水確率50%だったので、天気が良ければクルージングという目論見は諦めて、どこかランチへでもしようかとひらめいたのが安芸グランドホテル。というもの昨年だったかな、貸切露天風呂がオープンしたらしかったから。

このホテルは宮島の対岸から西へ車で数分走ったところにあって、カープの大野練習場と隣接している。かつては広島初のリゾートホテルというウリで、10年以上前に一度立ち寄ったことがある。ネットで調べていると、貸切露天風呂とランチのパックが企画されていて、ランチを食べると貸切露天風呂の料金が45分3,800円から半額の1,900円にディスカウントされることを発見。

これは使えるなと。貸切露天風呂がオープンした頃は確か5,800円で、誰がそんな流金払うのか不思議でしょうがなかったけど、ここまで安くしてくれるとは。12時過ぎに到着して館内へ入ると、客がほとんどいなかったのにビックリ。なんか寂れちゃったのかなと。1Fの和食屋に行くと、それでも数組客がいて、事前に注文しておいたコースを食べたけど、味はごく普通だった。

それから館内を探索したのだけど、ゆったりとした造りはまずまずだし雰囲気は悪くなかった。建物は海のすぐ傍にあり、桟橋もあったので、これは船で来て停泊しても良さそうだなと係の人に確認すると、ホテルの利用客ならOKとのこと。14時半になったのでフロントへ行くと、女性の係の方が離れに案内してくれて。そこが“望厳の湯”という名の貸切露天風呂だった。

「弥山(みせん)」と「紅葉谷」という名前の風呂が隣接していて、自分達が案内されたのは宮島に近い側の「弥山」。眼の前に瀬戸内海が拡がって正面遠方に宮島名物の大鳥居が見え、眺めは最高。特筆すべきは、近所の宮浜温泉から湯を引いている、いわゆる源泉かけ流し。海と湯面の際がないような設計になっているところが憎い。連れの友人も大喜びで、あっという間に45分が過ぎたかな。十分に堪能した後で自宅に戻り、夜は宮島口の「他人吉」へ。プチ宮島旅行気分が最高だった。


白為旅館

2015-06-21 08:03:07 | 600 グルメ
先週の日曜日は、久しぶりに会うことになった友人と昼食へ。今年の正月に予定にしていたのだけど、異例の積雪で彼女の方が帰省先で足止めをくらってしまい、結局はお流れ。お互いのスケジュールがなかなか合わず、ようやく調整できてみれば、最後が昨年の10月だったから、半年振り以上。せっかくだから美味しいものが食べたいなと、直前だったけど探してみた。

すると岩国の錦帯橋のすぐ傍に、全くこれまで知らなかった店を発見。これが「白為旅館」。HPで宿の写真を見ていると、そういえばこんな外観の建物があったかなとぼんやり思い出して。当日は、梅雨の合間でやや薄曇りながらまずまずのお天気。およそ30分のドライブで現地へ到着。紫陽花が咲き、大きな鯉が庭に。歴史を感じさせる鄙びた雰囲気が良かった。

中に入ると2Fの角部屋へ案内されて。すぐ眼の前が有名な錦帯橋。窓がちょうどTV画面のような形で開いていて、部屋からこの眺めというのは、なんとも贅沢だなあと。宿泊がメインだけど昼食だけでもOKで、この日は8千円のおまかせ会席を事前に注文しておいた。年老いた愛想の良い和服姿の仲居さんが1品1品料理を部屋へ運んでくれて、これがなんとも贅沢。

先付けから始まった料理が、どれも美味しくて、これは想像以上にアタリだったなと。サプライズは鮎。ちょうど錦帯橋の下で、鮎狙いの釣り人が錦川に入るのを眺めていたので、「すぐそこで取れた鮎なんですよ」と仲居さんが”背ごし”を膳に並べてくれた時には嬉しくなってきて。もう10年振り以上かなあ、それくらい久しぶり。親父の田舎で鮎が捕れなくなったから。

そういえば鮎の解禁が6月だから、今年もシーズンが始まったんだなあと。なんて感動していたら、今度は”塩焼き”が。これには参った。鮎をふんだんに使った料理を十二分に堪能し、時計を見るともう1時間半も経っていて。二人とも大満足で店を後にしたけど。これはねえ、鮎のシーズン中にもう1、2回は来たいなと。その時はお酒をお供に。それくらい素晴らしかった。


美女と野獣

2015-06-15 05:17:56 | 350 映画
先週の日曜日の昼間、友人と広島市内の上野学園ホールへ。とりあえず広島駅前の「叙々苑」に11時の開店と同時に入ってランチを。眼の前に梅雨の合間の晴れ間が拡がり、広島駅周辺が上層階からぐるりと見渡せ良い眺め。それからタクシーを拾って会場へ。ここは旧郵便貯金ホールなんだけど、おそらく自分にとって初めてだったような。

ひと月前ぐらいだったかな、友人から劇団四季の「美女と野獣」を見たいから予約して欲しい」と頼まれたのは。調べると4月から7月までの、およそ3ヶ月の長期公演。土日はけっこう席が埋まっていて。なんとかこの日の連席を予約できたって感じ。いざ中へ入ると、ロビーは客でごった返していた。女性が9割ぐらいで子供から老人まで年齢層は幅広かったなあ。

それで開演前5分ぐらいになって、「ちょっと聞くけど、これってミュージカル?」と質問すると、連れの友人が「そうだよ」と、呆れたような表情で答えてくれて。ミュージカルなんて20年以上も前にニューヨークのブロードウェイで観たきり。席は予約が遅かったせいか1F席の前が空いておらず2F席の2列目。ステージ全体が見回せて自分的には良かったような。

気に入ったのが劇中いろんな場面で歌われるメインテーマ。この「美女と野獣」というのは、フランスの民話を元に1991年に制作されたディズニーの長編アニメーション映画とのことで、メインテーマ”Beaty and the Beast”は1991年アカデミー歌曲賞を受賞。YouTubeにアップロードされていたのが、セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンのデュエットによるラブバラード。

なんて素敵な曲なんだろう。物語のストーリーにピッタリ。久しぶりに感動したかな。そう言えば、観ていてこの曲が流れた時に目頭が熱くなったのを思い出した。劇団四季はたくさん演目を持っていて、「Cats」や「West Side Story」等、有名どころが満載なのだけど、たまたま「美女と野獣」に巡り合えて良かった。こんな機会を与えてくれた友人に感謝しなきゃね。

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BASEL

2015-06-09 08:28:28 | 830 パリ紀行
フランス出張2日目の夕方、ニース・コート・ダ・ジュール空港からユーロエアポート・バーゼル・ミュールーズ空港へ。この空港には面白い特徴がある。というのもバーゼル自体がスイスとフランスの国境に位置していてドイツにも近い。だから空港にはスイス側の出口とフランス側の出口が両方あった。空港コードはフランス国内線はミュールーズ(MLH)、スイス国内線はバーゼル(BSL)、そして国際線がユーロ・エアポート(EAP)。1つの空港で3つの空港コードを持つというのは珍しい。

今回利用したのがフランス国内線のミュールーズ。そこからタクシーでおよそ1時間程度走ってその日の宿へ。やけに陰気な街だなあと感じながら部屋の鍵を開けて中へ入ると、消耗品は石鹸1個だけ。レトロでとてもシンプルな造りだった。欧州にはこの手のホテルが多く、シャンプー・リンス・ボディーソープ、さらにはヘアードライヤーまで持っていって大正解だった。

この時期の欧州は日が暮れるのが遅く、だいたい夜の9時頃。日中は暑いものの、夕方ぐらいから涼しくなってきて、屋外で食事を取るには最適な季節。この日も、ホテルから歩いて10分ぐらいのレストランで食事をしたのだけど、ほとんどの客が屋外のテラスで食事をしていた。ビールやワインを飲み、ライトアップされた古城の城壁を眺めながら、というのもおつだったかな。

それで、この景観は何処かで経験したようなと思い出したのが、ドイツのロマンティック街道。古城や街並みの雰囲気がよく似ている。そう言えばホテルが中世にタイムスリップしたみたいに古風なところもよく似ていた。おそらくこのメルヘンチックなテイストは、日本の若い女性に特に喜ばれるだろうなと思いながら、翌日の朝ホテルを後にしたけど。

午前中に仕事を済ませ、昼食を取った後で出発かと思っていたら、発車時間まで余裕がないからと直接TGVの駅へ。このTGVというのはフランス版新幹線。今回初めて乗ったけど、日本の新幹線とほぼ同じ幅なのに席は横に3列だけ。乗り心地も良く、快適な2時間を過ごすことができた。ということで夕方パリへ戻ったけど、ホント慌しかったなあ。


NICE

2015-06-08 05:49:21 | 830 パリ紀行
フランス出張の2日目は、早朝7時のフライトでパリのシャルル・ドゴール空港からニース・コート・ダ・ジュール空港へ。フランスへは幾度か出張しているけど南仏は初めて。お気に入りの画家達とゆかりがあるだけに、いつか行ってみたいと常々憧れていた。それが現実となりワクワクしたのは確か。だけど結果的にそんな妄想は甘くバケーションはなし。

すぐ前が地中海で、東側にニースの街並みを望む空港に降り立ち、感慨に耽る暇もなく同行したフランス人が借りたレンタカーへ乗り込み、高速道路A8を一路西へ。しばらくするとアンティーブの看板が見えてきて。アンティーブと言えば、晩年のピカソが暮らしたアトリエがある場所。地中海を見下ろしながら、このままアトリエへ行ってしまいたいという欲望に駆られて。

暫くすると今度は車窓にカンヌの街並みが見えてきて。もう気分は完全にコート・ダ・ジュール。だけど浸っている間もなく、車はル・カネで高速道路を降りてD35を北上。それから30分ぐらいで目的地であるグラースへ到着。現実に戻り、けっこうハードな打ち合わせを2時間以上こなすと、休憩を兼ねて打ち合わせの訪問先が近所のレストランへ昼食を招待してくれた。

今振り返れば、たった1時間だったけど、今回の出張で最も癒された時間と空間だったような気がする。レストランの名前は、「Le Moulin du Sault」。外観はいかにもフランスの田舎町といった風情にもかかわらず、店内の装飾や食器、料理がモダンで、その組み合わせが洒落ていて。おまけに店を取り仕切っている美人マダムの服装や化粧が洗練されていた。

大満足で事務所へ戻り、打ち合わせが終了したのが午後4時。せっかくコート・ダ・ジュールだから1時間ぐらい観光できないかと連れのフランス人に頼んでおいたのに、たった10分だけ、それも空港へ戻る途中に高速道路の展望台で。すぐに次の目的地であるスイスのバーゼルへ。上の写真は空港で撮ったニース市街。いつか絶対にリベンジしてやると誓ったかな。


PARIS

2015-06-07 09:26:36 | 830 パリ紀行
先々週は急に中国へ出張となり、南京、上海と過密スケジュールをこなし、最後は昼食の弁当を浦東国際空港へ向かうタクシーの中で食べなければならないハメに。あいにくスーツケースに飲料水を入れたままだったので、車中でがっついていて、ご飯を喉に詰まらせてしまい、死にそうになるくらいつらかった。なんでわざわざこんな目に会うのかと情けなかったなあ。

なんて愚痴っている暇もなく、先週月曜日から、今度はフランスへ出張。欧州への出張なんて何年振りだろう。プライベートでは5年前に一人旅をしているので、それ程久し振りって感じでもなかったけど。ヤバイと思ったのは、先々週の中国と同じか、それ以上の過密スケジュールだったこと。結果から言えば、予想通り。まあ、景色に癒されたのが唯一の救いってところ。

月曜日の早朝に家を出て、新大阪、関西空港と乗り継いでAF291便でパリへ。さすがに慣れているのか、12時間のフライトも、特に苦痛に感じることもなくシャルル・ドゴール空港へ到着。そこで成田から来た関係者と合流してモンパルナスにあるホテルへ。それにしても渋滞がひどかった。その日の夕食は現地の駐在員と一緒に近くのカフェへ。雰囲気はまさにパリだった。

それからニース、スイスのバーゼルと仕事をこなしてTGVでパリに戻ったのが水曜日の夕方。19時半から会食だったので、それまで2時間ぐらい、ようやくプライベートな時間ができて。すかさず地下鉄に乗って向かったのが、シャンゼリゼ通りにあるルイ・ヴィトンの本店。目的は最近の日本とフランスのバッグの値段の比較。5年前は1ユーロ115円ぐらいで、そこそこ安かった記憶があるけど、1ユーロ140円にもなった今は、日本とほとんど変わらなかった。ということであえて現地で買わないことに。

夕食は予約しておいてくれた15区にあるビストロ「Le Troquet (ル・トロケ)」へ。もちろん初めてだったけど、いかにもビストロっといったカジュアルな風情。開店と同時にすぐに満席になって。帰国して調べると、バスク料理で有名な人気店ということで納得。場所が場所だけに、客のほとんどが現地人。美味しかったけど、現地でずっと洋食だったので感動はなかったかな。