或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

ノッティングヒルの恋人

2011-07-29 09:06:00 | 860 英国紀行
英国旅行8日目の最終日の午後の話。というか英国旅行を締めくくる最後の記事。いやあ、今回も長かった。旅行したのが昨年のGWだから1年以上も経っている。もう記憶が薄れている部分も多々ありはするけど、写真とか予定表を眺めながら振り返り記事にしていくのも楽しかった。最終日にいろいろと悩んだ末に最後に選んだのが人気映画のロケが行われた場所。

その映画とは「ノッティングヒルの恋人[Notting Hill]」(1999年)。ノッティングヒルはグロスター・ロードのホテルからは真北の方角で、距離的に近く、地下鉄で2駅ほど。この映画に出会ったのは劇場ではなくDVD。情けない話だけど、ジュリア・ロバーツの名前と顔がしっかり頭に刻み込まれたのがこの映画。劇中では主人公の2人が夜中にデートした庭が強く印象に残っていた。

物語は、ロバーツ演じるハリウッドのスター女優が、ヒュー・グラント演じる、しがない旅行専門の本屋の主人と恋に陥るというラブストーリー。この本屋がノッティングヒルに実在していた。ということで、映画のストーリーに沿ってロケ地を探して廻るという典型的なミーハー観光客に。実際に行ってみると、街自体は当時とそんなに変わっておらず懐かしい思いに浸れて。

探すのに苦労したのがお目当ての庭。この庭というのが英国でよく見かけるプライベート・ガーデン。メインストリートの裏手にある住宅地の一角にあるのだけど、似たような庭だらけで、ロケに使われた場所と見分けがつきにくくて。それでも辿り着けた時は嬉しかった。迷ったのは、庭を取り囲む樹木が様変わりしていたから。欲を言えば庭の中に入りたかったけど。

このノッティングヒルというのは、日本で言えば自由が丘ってところ。こじんまりしていて、人々の生活の匂いもするし、お洒落でもあるしで、さらにはすぐ裏に閑静な高級住宅地もあったりして、こういう場所をのんびり散策できたのは、英国旅行の締めくくりとしてとても良かった。帰国してDVDを改めて鑑賞したのだけど、自分がそこにいるかのような心地良さを感じたかな。



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Fish & Chips

2011-07-18 05:59:16 | 860 英国紀行
英国旅行8日目の最終日は、英国式庭園の聖地とも言えるシシングハースト・キャッスル・ガーデンへ向かう予定だった。ところがあいにくの雨模様。それも強め。こりゃ諦めるしかないなと。事前に相当下調べをしたし期待していたのに。その意味ではグラスゴーでグリーンバンク・ガーデンを訪問しておいて良かった。そうでもしていなかったら相当悔やまれただろうから。

それで何処にするか思案の末に決定したのが、とりあえず大英博物館。なんかミーハーだと自分でも恥ずかしいけど。かなり前に訪問したことがあるけど、すっかり忘れてしまっていて。ロゼッタストーンを始めとして、定番の見所をそれなりに。感心したのは、とにかく世界中から観光客が集まっていたこと。とにかく経験したことがないくらい様々な人種がるつぼ化していたのは間違いない。

それにしても英国の戦利品のスゴさに改めて感心したかな。特にエジプトとギリシャもの。とにかく学校の歴史の教科書に掲載されている写真から抜け出たような展示品がずらり。ヘンな教育をするより、ここに連れてきた方が話が速そうな気がした。個人的にサプライズだったのが時計コーナー。懐中時計や腕時計を含めて貴重なアンティークがズラリと展示されていた。

それで午後からは、とある場所へ。これは最後の記事にするつもり。そして英国最後の夕食は、ホテルに程近い地下鉄の駅のすぐ傍にあるファミレスで。ちょっと情けないか。そこで注文したのが有名なフィッシュ&チップス。まあこれも英国の定番。なんかアイラ島だけだったかな、そこそこの料理を食べたのは。後はファーストフードか日本食だったから。

お味の方だけど、フツーに美味しかった。日本ではお目にかかれないぐらい大きな白身魚のフライが圧巻。これに大量のフライドポテトがつくのだから、もうそれだけで腹一杯。グラスワインを2杯飲んで、お手軽夕食が終わったけど。


Royal Festival Hall

2011-07-13 07:56:50 | 860 英国紀行
英国旅行7日目のロンドンでの夜は、今回の旅行で2度目となるフルオケによるクラシックのコンサートの鑑賞。オケはロンドンフィルハーモニー管弦楽団。場所は本拠地であるロイヤル・フェスティバル・ホール。事前にネットでチケットの販売状況を調べたら、マニアックな選曲のプログラムのせいか席に余裕があったので、あえて予約をせずに当日券を会場で購入。

フロアがフロントとリアという名前で区分されていたので不思議に思ったけど、会場に入ってその理由が分かった。サイドは別として正面は奥が深いワンフロアだった。自分の席はそのほとんど最後尾。さすがに舞台が小さく見えた。たまたま隣りは女性ひとりで、彼女が話しかけてきたので演奏の合間に雑談を。パキスタン出身の先生でイングランド北部で教えているとか。

それでプログラムが初めて聴く曲ばかりだったので、正直あまり期待していなかったのだけど、これが嬉しい誤算。曲目、演奏共に素晴らしかった。アルトのアンナ・ラーソン(Anna Larsson)をフューチャーしたブラームスのアルト・ラプソディは、彼女のまろやかな歌声がしみじみと癒しを感じさせてくれた。そして圧巻だったのが最後に演奏されたリストのファウスト交響曲。

曲が進むにつれて、好みの曲に出会った時の気持ちの昂ぶりが自分でもよく分かった。それにしてもロシア生まれのウラディーミル・ユロフスキ(Vladimir Jurowski)という指揮者は名前を聞くのも初めてだったけど、そのクールで計算された緻密な指揮ぶりが実に自分好み。旋律の歌わせ方がお気に入りのシノーポリに似ているし。後で調べると、彼は2007年からこのオーケストラの首席指揮者を務めている。なるほどね、だから呼吸がピッタリなんだ。ルックスも良く、将来の大物の予感がしたけど。

そうそう、このホールは音響が悪いとの評判だったけど、弦と管のバランスは良いし、特に弦の音色が際立って美しかった。惜しまれるのは絶対音量が小さかったこと。かなり大きなホールだし、自分の席が後ろだったのでやむなしといったところ。しかし素晴らしい曲に素晴らしい演奏。久しぶりに上質のコンサートに出会えた気がしたなあ。帰国してCDを買い漁ったような。



ファウスト交響曲ファウスト交響曲 Faust/ Dante SymphonyFaust/ Dante Symphony

               ファウスト交響曲ファウスト交響曲

アルト・ラプソディ作品53アルト・ラプソディ作品53 Symphony 3 / Alto RhapsodySymphony 3 / Alto Rhapsody

キング通り

2011-07-07 07:37:47 | 860 英国紀行
英国旅行7日目のオスカー・ワイルドの足跡巡りの続編。チェルシーを後にして向かったのがボンド・ストリートにあるカドガン・ホテル(The Cadogan Hotel)。ここは彼が16歳年下の文筆家、アルフレッド・ダグラスとの猥褻罪に問われ、1895年に逮捕された場所。その時にまさに彼が居たと言われる118号室は”Oscar Wild Room"として特別なデザインが施されているとか。

彼がアルフレッドと親しくなったのが1891年で、その年パリで有名な「サロメ」をフランス語で書き、1894年にはダグラスの英訳で「サロメ」が出版された。この前後にダグラスと各地に旅行したらしい。息子を気遣うクィンズベリー侯爵であるダグラスの父から告訴を受け、逮捕、投獄され破産。翌年には母を失い、ついに破滅の道へ。うーん、まさに絵に描いたような波乱万丈。

本来ならここで足跡巡りは終了だけど、気になったのが前の日にセントジェームス劇場を探し出せなかったこと。リベンジしておかないと一生悔やまれると思い立ち、再びピカデリー・サーカスへ。それにしても人が多い。そこからビジネス街のキング通り(King Street)にあるセント・ジェームス・ハウスの周囲をうろうろ。すると「The Golden Lion」という名前のパブの横に通路が。

そうか昨日は金曜日の夕方だったからパブの客がごった返していて分からなかったのか。そして"Angel Court"と呼ばれる通路に入ってすぐに見つけたのが壁の彫刻と黒いレリーフ。「これだよ、これ」と嬉しかったこと。やはりここがかつて劇場だったんだと納得。戯曲「ウィンダミア卿夫人の扇」や「真面目が肝心」が初演された場所と書かれているのを読むと感慨深かった。

思えば昨年のパリから2年越し。なんか充実したなと。もちろん彼の足跡はいたるところにまだまだ沢山あるだろうけど、自分的にはひとまず終了。この間、映画も「理想の夫」が原作の「理想の結婚」、「ウィンダミア卿夫人の扇」が原作の「理想の女」等を鑑賞したりして。その感想はまた別の記事で。思い出されるのが映画「パリ・ジュテーム」の中の短編のひとつである”ペール・ラシェーズ墓地”の話。その中で出てくるのが有名な彼の墓。エスプリの効いたシナリオに彼のイメージが重なるなあ。


チェルシー

2011-07-05 05:51:56 | 860 英国紀行
英国旅行7日目は、いよいよ本格的なオスカー・ワイルドの足跡巡り。まずは彼がコンスタント・ロイドと結婚し新居を構えたアパートがあるチェルシー(Chersea)。地下鉄のグロスター・ロードからそんなに遠くなかったので歩こうかとも考えたけど、とりあえずスローン・スクエアまで行くことに。この辺りは有名ブティックが並んでいる高級住宅地。テムズ川方向に歩くこと約10分。

いかにもロンドンらしい赤レンガの家々の中に、1884年から1895年までの約10年間住んでいたアパートを発見。青いプレートの目印があるので分かり易かった。彼はここでかの有名な小説「ドリアン・グレイの肖像(1891)」や戯曲「ウィンダミア卿夫人の扇(1892)」等を書いている。一方で彼の人生を変えた同姓の愛人、アルフレッド・ダグラス卿との関係を始めたのもこの頃。

閑静なタイト通り(Tite Street)からテムズ川の河畔をしばらく歩くとオークリー通り(Oakley Street)へ。ここにはオスカーの母スペランザが住んでいたアパートがあった。彼女もまた作家だったらしい。そこからさらに歩いてチェルシー・オールド・タウンホール(Chersea Old Townhall)へ。ここでとてつもなく面白いドラマが。おそらく今回の旅行で一番かな、起承転結の度合いが。

玄関を入るとすぐ左手に市民図書館があったので、中に入り受付で「オスカー・ワイルドの壁画があると聞いたのですが何処ですか?」と質問。すぐに答えが返ってくるかと思いきや、分からないから2Fで聞いてくれと。2Fに行くと地区担当員が数名。ネットで調べてもらったけど分からずじまい。30分近く経ち、こりゃだめだと諦めて帰ろうとすると、誰もいなかった受付にひとりの老人がいるのが見えた。

「壁画はありますか?」と聞くと、ニコニコしならが通路奥のホールへ案内してくれて。そこでは女性用の衣服の展示会が開催されていて、多くの女性客で賑わっていた。周りの女性達から変な目で見られながら中に入ると、老人が上方の壁を指差しながら「あれだよ」と。それが写真の壁画。1辺が3m程もある大作で、絵の中の左下に描かれている男性は、まぎれもなくオスカー。「おいおい、ここにあるなら館員も知ってろよ」とダメ出ししたくなったけど。良かった、見つかって。老人様様だったなあ。


アデレード通り

2011-07-02 06:19:14 | 860 英国紀行
英国旅行6日目の午前中に、有名観光地とクイーンズ・ギャラリーをこなした後で、今回の旅行の大きな目的のひとつである”オスカー・ワイルドの足跡巡り”を開始。アイルランド出身の彼が、栄光を手にしたのがロンドン。スキャンダルの後に没落して最後に辿り着いたのがパリ。この旅行の前の年に、彼が最後に移り住んだ2つのホテルを訪ねたのが今となっては懐かしい。

まずはバッキンガム宮殿からグリーン・パークを抜け、栄光の場所のひとつ「セントジェームス劇場(St James's Theater)」を目指してビジネス街へ。ところが目的地付近にいるはずなのだけど劇場が見つからない。再三地図を調べてみたものの結局見つからなくて。通行人の何人かに尋ねてみたけど手がかりなし。これには後日あっと驚く解決編があるのでお楽しみに。

後ろ髪をひかれる思いの中、とりあえず昼食をとるためにチャイナタウンへ。前回探せなかった日本食の「misato」をようやく発見。定番のとんかつ定食を注文したら、やたら量が多かったなあ。味は評判通りで納得したけど。食後に次ぎの目的地であるアデレード通り(Adelaide Road)へ。歩くこと約5分ですぐに見つかった。それが写真のオスカーのブロンズ像というかベンチ。

1998年に設置されたらしいけど、ベンチとして周囲に馴染んでいて、観光名所的な雰囲気は全くなかった。逆に写真を撮っている自分がじろじろ見られたりして。このベンチに刻まれているのがオスカーの、”We are all in the gutter, but some of us are looking the stars"という言葉。翻訳すれば、「我々はみんなドブの中にいるが、中には星を見ている者もいる」ってところ。

日本語の”ドブから這い上がる”という比喩は、ここから来たのかなとも思ったりして。皮肉たっぷりで変化球中心の彼にしては、珍しい直球。”星”という言葉がいいですね。そう言えばジャズのスタンダードにも”星”がつくタイトルのものが多いような気がするけど。ということで帰りにテイト・ブリテンにも立ち寄ったけど、今思えばどうも気分がすっきりしない一日になってしまった。


The Queen's Gallery

2011-06-28 05:51:29 | 860 英国紀行
英国旅行6日目の唯一の美術館巡りは、バッキンガム宮殿の傍にあるクイーンズ・ギャラリー(The Queen's Gallery)。お目当てはひとつの作品のみ。それが写真のフェルメール「音楽の稽古(The Music Lesson)」(1663年)。入口で厳重な持ち物チェックが。さすがに王立だけのことはあるなと。それで案内書にいたおじさんにすかさず質問。「フェルメールは何処ですか?」と。

すると何とも残念そうな顔をして「今は展示していません。それと夏の数ヶ月だけ、ここじゃなくてバッキンガム宮殿の中に展示されますよ」との返事が。「ええーっ、そりゃないよ」と自分にダメだしをしたけど全て後の祭り。後で調べると、エリザベス女王が避暑に出かける7月末から9月末の3ヶ月にバッキンガム宮殿が一般公開されるらしい。ということでガックリきたかな。

思い出したのが、旅行の初日にナショナル・ギャラリーで見た2作品。「ヴァージナルの前に立つ女」 と「ヴァージナルの前に座る女」。晩年の1670年から1673年に描かれた、小ぶりながら有名な”フェルメールブルー”が存分に味わえる作品。一方で「音楽の稽古」は初期の作品で、雰囲気が異なることから、是非とも実物に出会いたかった。それで仕方なく館内見学へ。

絵画には興味を引くものが少なかったものの、驚いたのがロイヤルコレクションと呼ばれる装飾品の数々。ダイヤの王冠やネックレス等のジュエリーものが特に凄い。目がくらむという言葉の意味が初めて理解できた。もう絢爛豪華そのもの。以前にウィンザー城でも同じような展示を見たことがあったけど、こちらの方が格段にゴージャス。厳重な警備の理由がよく分かった。

話しは変わるけど、今回この記事を書くにあたってネットで調べている途中に見つけたのがフェルメール専門サイト。2011年設立ということで、公開されたのはごく最近。これには彼の全作品と所蔵元が記載されていて、フェルメール愛好家にはたまならい。現存する作品数が少ないだけに、全作品を制覇したいと思うのは自分だけ?またうずうずしてきたような。


ウェストミンスター寺院

2011-06-26 09:53:46 | 860 英国紀行
だいぶ間が空いたけど、今日から昨年の英国旅行におけるロンドン観光の後半。具体的には6日目からの話。アイラ島から帰ってきた翌日。今回の旅行では美術館巡りに加えて、パリに引き続き”オスカー・ワイルドの足跡を訪ねる”という大きな目的があったのだけど、途中に観光名所も沢山あったので、まとめて面倒みようと欲張りな気持ちがあったのも確か。

最初のターゲットは、とりあえず美術館巡りの一環としてのクイーンズ・ギャラリー。それで普通なら地下鉄のセント・ジェームス・パークで降りるところを、あえて次ぎのウェストミンスターで降りたあたりにミーハーな気持ちが表れていた。出口を上がるとテムズ川沿いに観光客がごった返し状態。眼前に飛び込んできたのがビック・ベン。とりあえず観光しちゃおうかなと。

その後がウェストミンスター寺院。ここは強く記憶に残っていた。というのも前回1998年1月に訪問した時に、門の前に信じられないくらい沢山の献花が飾られていたから。調べると、ダイアナ妃が亡くなったのが1997年8月。翌9月に彼女の国民葬が行われたのがこの寺院。今思えばそれから4ヶ月後なのにあの献花の数。余程英国の人々に慕われていたんだなと、改めて感じたけど。だから自分の中ではウェストミンスター寺院と聞けば、彼女のイメージしか湧いてこなかった。

最近驚いたのは、彼女の息子のウィリアム王子と妻のケイトさんの結婚式が、今年の4月29日にこの寺院で行われたこと。おいおい、それはないんじゃないのと。確かに歴代の英国の君主の戴冠式やエリザベス女王の結婚式等はここ。一方でチャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚式はセント・ポール寺院。噂では、ウィリアム王子に、母親と同じセント・ポール寺院での結婚は縁起が悪く、逆にウェストミンスター寺院で亡き母に結婚式を見てもらいたいという気持ちがあったのだとか。

なんて話を今知った訳だけど、当時は将来そんな事が起きるとは予想だにせず、セント・ジェームス公園を抜けてお決まりのバッキンガム宮殿へ移動。そこで大規模なパレードが開催されていた。周囲に咲き乱れるチューリップが綺麗だったなあ。


Avni Kensington Hotel

2011-04-20 05:35:36 | 860 英国紀行
英国旅行の初日における美術館巡りの後は、ロンドン交響楽団のコンサートを聴きにバービカンホールへ。翌2日目の朝には空路でグラスゴーへ。そして延べ4日間のアイラ島巡りを経てロンドンへ戻ったのが5日目の夜。この辺りまでを既に記事にしている。今にして思えば、アイラ島だけで1週間ぐらい確保しておくべきだったと少し後悔しているけど仕方ないか。

6日目の午前中はロンドンの定番になっている観光地巡り。主目的であるアイラ島巡りを終えてようやく気持ちに余裕が出てき頃だった。そうそう、宿泊したホテルは地下鉄のグロスター・ロード(Gloucester Road)から西へ歩いて5分程度のところにある「Avni Kensington Hotel」。アールズ・コート(Earis Court)からだと10分ぐらい。閑静な住宅地にあるお手頃価格のホテル。

このホテルをチョイスした理由は幾つかあるのだけど、まずは場所。地下鉄の便が良いところにしたいなと。特にオイスターカードを利用する上で割安なゾーン1の区画であること。次はアイラ島へのアクセスを考えるとヒースロー空港と市街地の間ぐらいにあること。これで日本食のレストランがあること等を加味すると自然と決まったって感じ。おっと忘れていた。ホテル全域でWiFiが完備されていること。これはもう絶対に外せない条件。シングルの部屋は狭かったけど、独り旅には十分な広さだった。

ホテルで思い出したのが朝食。地下にある食堂にパンとドリンクプラスアルファ程度の簡単なものが用意されていた。最初はこれで良かったのだけど、流石に旅行の後半になると日本食が恋しくなって。それを想定して日本から持って行ったのが味付のりと梅干しとサトウのゴハン。幸い食堂の奥にキッチンがあって、頼むと電子レンジでゴハンを温めてもらえた。

ホテルを出て地下鉄の駅まで歩いていく途中に見つけたのがプライベート・ガーデン。ロンドンではいたるところにこの手の庭があって、街並みに程よいアクセントをつけている。これにはつながるお話があるのだけど、そればまただいぶ後の記事で。


Courtauld Gallery

2011-04-18 05:50:16 | 860 英国紀行
英国初日の美術館巡りを締めくくったのがコートールド美術館。この美術館のことを知ったのは、随分前にNHKの教育テレビとBSで放映されていた世界の美術館という番組で紹介されいたのがきっかけ。よくある大富豪の個人蔵系なんだろうなとは想像していたけど。結論から言えば、今回の英国旅行での最大のサプライズがここ。それくらい素晴らしかった。

場所はロンドン中心部で、チャリング・クロス駅の近くにあるサマセットハウスの一角。入口は分かりにくいし、玄関もやや奥まった所にあり、探すのに時間がかかった。館内に入ると風格のある階段と吹き抜けが眼前に。脇の受付には気品のある若い女性が。何とも言えない荘厳な雰囲気に圧倒されたのだけど、パリにあるマルモッタン美術館と同じ感覚だったかな。

館内には印象派を中心とした有名画家の作品の目白押し。最大のお目当てはマネが描いた上の写真の「フォリー=ベルジェール劇場のバー(Le Bar aux Folies-Bergere)」(1882年)。言わずと知れた最晩年の傑作。画題となったこの劇場は1869年に開店したパリで最も古いショーホール。そこで働く女給の醒めた表情と、後ろの華やかな喧騒とのコントラストは、まさにマネ。この絵はこの美術館で最も広い広間の中央に展示されていて、その豪華な内装がひときわこの絵を引き立たせていた。

他にもルノアール、モネ、セザンヌ、ボナール等々の佳作が揃っていて訪れた者を飽きさせない。絵画以外に装飾品が展示されているのだけど、それらも気品があり素晴らしかった。加えて階の移動に使われる螺旋階段の、そのデザイン、その装飾のシブイこと。このサマセットハウスが、18世紀に行われた建築プロジェクトの産物ということを知って納得したけど。

この美術館は1932年に実業家のサミュエル・コートールドのコレクションを元に設立されていて、当時印象派の作品はまだあまり注目されていなかった。その意味では自分の好きな絵を好きなだけ集めた彼の趣味の良さに脱帽って感じだなあ。