或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

鑑定士と顔のない依頼人

2015-09-23 05:26:44 | 350 映画
TSUTAYAで見つけて気になっていた映画。全部で10本ぐらい置いてあったけど、いつも全巻レンタルになっていた。それから数ヶ月、ようやくDVDを借りて観てみると、なんというか、久しぶりに映画を鑑賞して感動したという満足感に浸れた。こんな感覚は久しぶり。既にそれから2週間ぐらい経っているけど、未だにその余韻が消えていないから。

2013年のイタリア映画で、原題は「The Best Offer」。ミステリーでありながら恋愛でもある。監督・脚本は、ジュゼッペ・トルナトーレで、音楽はエンニオ・モリコーネ。主人公は、地位も名声もある63歳の美術品の鑑定士で、オークションでハンマーをふるうオークショニアでもある。ただし異常な潔癖症で、人生で一度も女性とつきあったことがないという重度のオタクでもある。

ただし単にオタクというだけでなく、知り合いの画家とグルになって、本物の作品を偽物と鑑定し、安く自分で手に入れては不当な荒稼ぎをしているというワルでもある。そんな彼の唯一の楽しみが、著名な画家による女性の肖像画の収集。豪華な自宅の一室を隠れ部屋にし改造し、数百点を超える作品を四方の壁いっぱいに並べている、それが上の画像。

物語は、両親の遺品をオークションで売却して欲しいと連絡してきた若い女性と出会うところから始まるのだけど、監督の腕が良いのか、飽きることなくラストまで連れて行ってくれて。素晴らしかったのがモリコーネの音楽。親しみやすいメロディー等は皆無で、いわゆる玄人向け。特に琴線に触れたのがメインテーマ[YouTube]で、マーラーを意識した音造りが渋かった。

余韻が消えていないのは、今の自分との共通点がいくつかあるから。独身、独り暮らし、絵画が趣味、頑固、友人が少ない、極めつけは60歳を超えているのに20代の若い女に溺れる、そしてその結末は...。なんかねえ、でも不思議に悲哀は感じなかったなあ。逆にほのかな幸福が匂ってきたりして。まあ、単なる自己肯定かもしれないけど。この作品に出合えて良かった。

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美女と野獣

2015-06-15 05:17:56 | 350 映画
先週の日曜日の昼間、友人と広島市内の上野学園ホールへ。とりあえず広島駅前の「叙々苑」に11時の開店と同時に入ってランチを。眼の前に梅雨の合間の晴れ間が拡がり、広島駅周辺が上層階からぐるりと見渡せ良い眺め。それからタクシーを拾って会場へ。ここは旧郵便貯金ホールなんだけど、おそらく自分にとって初めてだったような。

ひと月前ぐらいだったかな、友人から劇団四季の「美女と野獣」を見たいから予約して欲しい」と頼まれたのは。調べると4月から7月までの、およそ3ヶ月の長期公演。土日はけっこう席が埋まっていて。なんとかこの日の連席を予約できたって感じ。いざ中へ入ると、ロビーは客でごった返していた。女性が9割ぐらいで子供から老人まで年齢層は幅広かったなあ。

それで開演前5分ぐらいになって、「ちょっと聞くけど、これってミュージカル?」と質問すると、連れの友人が「そうだよ」と、呆れたような表情で答えてくれて。ミュージカルなんて20年以上も前にニューヨークのブロードウェイで観たきり。席は予約が遅かったせいか1F席の前が空いておらず2F席の2列目。ステージ全体が見回せて自分的には良かったような。

気に入ったのが劇中いろんな場面で歌われるメインテーマ。この「美女と野獣」というのは、フランスの民話を元に1991年に制作されたディズニーの長編アニメーション映画とのことで、メインテーマ”Beaty and the Beast”は1991年アカデミー歌曲賞を受賞。YouTubeにアップロードされていたのが、セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンのデュエットによるラブバラード。

なんて素敵な曲なんだろう。物語のストーリーにピッタリ。久しぶりに感動したかな。そう言えば、観ていてこの曲が流れた時に目頭が熱くなったのを思い出した。劇団四季はたくさん演目を持っていて、「Cats」や「West Side Story」等、有名どころが満載なのだけど、たまたま「美女と野獣」に巡り合えて良かった。こんな機会を与えてくれた友人に感謝しなきゃね。

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夢売るふたり

2013-10-29 05:05:44 | 350 映画
本当に久しぶりの映画ネタ。前回は去年の暮れだったので、ほぼ1年ぶり。それじゃ見ていないのかの質問に対しては、昔と比べるとTSUTAYAにほとんどいかないからそうなんでしょうね。映画を見る機会としては出張の新幹線の中がほとんど。何かと忙しくて、自宅で映画を見るという気分にならないというのが正直なところ。心にゆとりがないのだろうなあ。

そんな中で、これだけはとずっと思いつづけていたのが写真の西川美和が監督の「夢売るふたり」(2012年)。彼女の作品は、「ゆれる」、「ディア・ドクター」と面白い作品が続いていたし、キャスティングが松たか子と阿部サダヲ、しかも結婚詐欺の話というのに強く興味を持って。この映画のキャッチコピーが、”人間最大の謎は、男と女”なんていうのも面白いし。

いつだったか新幹線の中で初めて再生した時のこと、のっけから短いけど想定外の過激なセックスシーンが出てきたので、こりゃ自宅じゃないと無理だわと断念。それから数ヶ月、ようやく最近になって自宅で続きを最後まで通して観た。結論としては、なんかイマイチで期待ハズレ。前半がいつも以上に面白かっただけに、後半の単純さというか、ひねりのなさにガッカリした。

居酒屋を火事で失った夫婦が、店を再建するために結婚詐欺を仕掛けていくストーリー。鈴木砂羽が酔っ払って駅のホームでゲロを吐いたり、松たか子が演じる女房が亭主に怒って風呂場の蛇口を足でひねったり、さらには詐欺でどんどん女が騙されていく中で、”夢を売る”という言葉の意味を説明したナレーションが入るあたりは、もう最高の出来じゃないかと感動した。

だけどねえ、その後がいけません。亭主が女の家に住み着くようになった以降があまりにも平凡。特に子供が包丁で探偵を刺したり、それをかばって刑務所に入ったり、この辺りから、これって西川美和の映画なのかとマジで感じ始めて。最悪だったのがラスト。全く意味が分からない。こんな当たり前の結末を誰も彼女に期待していないはず。いやあ、がっかりだった。

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La buche

2012-12-24 05:50:47 | 350 映画
今日はクリスマス・イブ。天皇誕生日の振替休日なので絶好のデート日和だろうな。自分の場合は、祝祭日などはほとんど関係がなく、かたくなに土日休みを貫いている会社なので関係なし。まあこの年になってクリスマスなんて、休みであろうが出勤日であろうが、そんなことはまるで関係ないのだけど。とは言え今日の記事は、この日のためにとっておいたもの。

秋風が吹く頃になると、フランスの作曲家ミシェル・ルグランの曲を自然と聴きたくなる。彼は良い曲をたくさん書いていて、このブログでもいろいろと紹介しているけど、近年の作品となると自分もよく知らなかったりする。そこで半年ぐらい前に調べてみた。するとフランス映画の「La buche」(1999年)、日本語題「ブッシュ・ド・ノエル」の音楽を担当していることが分かって。

DVDが発売されているのを知って、早速TSTAYAでレンタルしようとしたのだけど、マイナー過ぎて置いてなかった。そうなるとムショウに観たくなるというもの。それでヤフオクで落札したのが今年の9月末。実際に観たのは、たしか11月の東京からの出張帰りの新幹線の中だった。エスプリが効いていて、哲学的でもあり、久しぶりにオトナの映画に出会った気がしたなあ。

クリスマスを目前に控えたある家族の物語。監督はダニエル・トンプソン。三姉妹を中心とした人間模様が描かれているのだけど、皆が淋しさを抱えていて。全編を通して共通しているテーマは愛と孤独。シチュエーションとしては、浮気、不倫、別居、離婚といったどろどろしたものばかり。これでもかというぐらいのオンパレードなのだけど不思議に嫌味を感じさせなかった。

そんな映画のバックにさりげなく流れるのがミシェル・ルグランのメインテーマ”La Chanson De Louba”[YouTube]。渋い編曲がちりばめられていて楽しませてくれる。クライマックスはラスト近くで、イブの夜に不倫相手の禿げたおっさんが、身籠っているダンサーの長女に会いにくるシーン。映像的には全く盛り上がらないのだけど、美しすぎる音楽と男と女のやりとりとのギャップがやけに渋くて感動してしまった。

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M:I Ghost Protocol

2012-11-05 05:44:33 | 350 映画
この間の海外出張時に、帰りのフライトで観た映画が「Mission Impossible ghost protocol」(2011年)。デルタ航空はこの数年でサービス設備を全面的に更新したみたいで、エコノミー席であってもディスプレイが個人用に設置されているし、加えて放映される映画の種類も実に多彩で、日本、米国、欧州、韓国、中国各々の国でのヒット作を、およそ100本程度揃えていた。

暇に任せて何本も鑑賞したのだけど、最初がこれ。若い人は知らないだろうなあ、元祖の「スパイ大作戦」を。調べると、1960年代後半から1970年代前半までフジテレビ系列で放映されていた。マッチに火がつくところから始まるテーマ映像と音楽がとても印象的だった。しかし、マッチって最近見ない。墓参りでロウソクに火をつける時も100円ライターしか使わないし。

実は今回は4作目にあたるのだけど、1作目はTUTAYAでレンタルして見た記憶がある。1996年の作品だから、もう16年も前かあ。2作目と3作目も観たいなと思いながらできずじまい。その意味では4作目にたまたま出会えてラッキーだった。シリーズにまた興味が湧いてきたから。内容的には昔の「スパイ大作戦」と比べると、圧倒的にアクションシーンが多いのが特徴。

今回も、ロシア、ドバイ、ムンバイと、イーサン・ハントとそのチームが世界狭しと活動するという定番のストーリー。自分的にはアクションはどうでもよくて、最先端技術を駆使して不可能な場所へ果敢に侵入していく、その緻密なトリックが面白くて。だけど、これだけスマホ等のエレクトロニクス技術が発達した現代になると、昔のような”あっと驚く”ことがなくなったかなあと。

それでぐっときたのがチームメイトでヒロインのジェーン・カーターを演じていたポーラ・パットン。ムンバイの御殿で開かれたパーティーへ乗り込んだ時のエメラルドグリーンのドレスが何とも言えずセクシーで。官能をそそるようなインド音楽が妙にシーンを盛り上げていたりして。頑強でもあり妖艶でもあるという、役どころの要素を兼ね備えていて素晴らしかった。

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死刑台のエレベーター

2012-10-01 05:44:45 | 350 映画
前回の映画ネタがジャズがらみだったけど、今回もそれ。ジャズ界の大御所であるマイルス・デイヴィスが劇伴を担当した唯一の映画が「死刑台のエレベーター」(1957年)。この映画を初めて観たのはつい最近の話。実はリメイク(2010年9月)にお気に入りの女優である吉瀬美智子がヒロインで出演していたので、TSUTAYAでレンタルDVDを借りるついでにこれも一緒にと。

オリジナルはルイ・マル監督の出世作となったフランス映画。いわゆるサスペンスなのだけど、古き良きジャズのカッコ良さが劇中に存分に散りばめられている。ハードボイルド、退廃、クールなんていう言葉がかつてのジャズに対する代表的なイメージだけど、まさにその王道を行っているなと。ジャズとしては、いわゆる典型的なハードバップ。50年も前の音楽なんだなと。

不倫相手に夫を暗殺させたまでは良かったけど、殺した後で突然の停電に遭遇し、エレベーターの中に閉じ込められてしまう。それを知らない妻が、約束した待ち合わせ場所に来ないので、あーでもないこーでもないと様々な想いを巡らせながら街をさまよい歩くというストーリー。真っ暗なエレベーターの中からライターの火を頼りに何とか外に出ようとするシーンが見もの。

それで新旧2つの作品を見比べながら感じたのだけど、やはりリメイクは厳しかったなと。この設定は現代だとちとつらい。というのも今は皆ケータイを持っているから。閉じ込められた時点で、とりあえず電話かメールをするだろうし。この程度の密室で電波が届かないのは無理がある。逆に男と女の感情という意味では全く違和感はなかった。いつの時代も変わらない。

しかし吉瀬美智子って美人だなと。本当はもう少し年配で40代ぐらいが役柄としては似合っていたと思うけど、映画の中味ではなく、彼女が目的で観たので全く問題なし。最近ではTVCMで爽やかなイメージで売っているけど、自分的には「ライアーゲーム」や「ブラックマンディ」のような悪女役が似合う気がして。見るだけでドキドキしてしまう数少ない女優さんのひとり。

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マンハッタンの哀愁

2012-06-04 05:44:53 | 350 映画
東京からの出張帰りに新幹線の中で観たのが映画「マンハッタンの哀愁」(1965年)のDVD。きっかけは女優のアニー・ジラルド。映画「パリのめぐり逢い」(1967年)が細切れながらYouTubeに全編投稿されていて、フランス語がチンプンカンプンながら、若きキャンディス・バーゲンと不倫する夫役のイヴ・モンタンの妻を演じていた彼女が魅力的で、別の作品も観てみたいなと。

それでウィキで調べて驚いたのが、彼女が出演したひとつ前の作品が映画「マンハッタンの哀愁」(1965年)だったこと。おいおい、これって黒人ジャズピアニストのマル・ウォルドロンが音楽監督を務めたやつじゃなかったっけ?と、大昔の記憶が蘇ってきて。この手のマイナーな作品がTSUTAYAに置いてあるはずもなく、アマゾンでDVDが2千円で販売されていたので即購入。なるほどマルのソロピアノによるヒット曲”All alone”が、アニーのフェイバリットソングとして登場していた。

内容は、ニューヨークで出会ったフランス人同志が、お互いの淋しさを紛らわせるために安ホテルで一夜を共にするところから始まり、後はあーだこーだとぐだぐだやり合いながら、最後は互いの愛情を確かめ合い、二人で新しい人生を始めるというラブストーリー。正直なところ、映画の中身そのものは、古臭さが感じられるだけで、とりたてて見所はなかったような気がする。

だけど音楽が素晴らしかった。まるでこの時代のNYのジャズシーンのドキュメント。マルが音楽担当ということで根暗な感じに終始しているかと思いきや、なんのなんの。それなりのスコアによるビックバンドやヴォーカルが最初から最後まで十二分に楽しめた。これは嬉しいサプライズだった気がする。特に上の画像のナイトクラブでのシーンは、なかなか洒落ていたなあ。

映画の中でやけに眼についたのがタバコと酒。とにかく二人とも四六時中バーでタバコを吸ってはウィスキーのストレートをあおっている。やけにそんなシーンが多くて、こりゃ体に悪いだろうなと。そういえばマル・ウォルドロンもかなりのヘビースモーカーだったような。話は変わるけど、120本もの作品に出演した大御所アニー・ジラルドは、昨年2月に79歳で他界していた。

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Never say Never again

2012-04-06 05:45:13 | 350 映画
遠距離出張で見たDVDの第2弾は、ショーン・コネリー主演の「Never say Never again」(1983年)。これをTSUTAYAでレンタルした理由は、第1弾と同様に音楽をミシェル・ルグランが担当していたから。おそらく過去に幾度かはTVのロードショーかなにかで見たことがあるはずだけど、悲しいかな全く記憶に残っていなくて。この作品は、有名な007サンダーボール作戦のリメイク。

こういう映画は自分にとってはストーリーとか、そういうのはどうでも良くて。とにかく適度なアクションと美女が大勢出てくればそれでOK。その意味では期待を裏切らない出来だった。今回も多数のボンドガールが出演していて、とりわけ相手役のキム・ベイシンガーがひときわ目立っていた。とにかくプロポーションが抜群。ドイツの血を引く角ばった顔と何故かマッチしていて。

改めて感じたのが、ショーン・コネリーの復活は、興行的にはミスマッチじゃなかったのかなと。撮影当時が52歳ぐらい。それ以上に老いぼれてみえたけど。でも逆にこんなジイさんでも若い娘といちゃつけるという希望を与えてくれていると考えれば、それはそれで良いのかなと。特にラストでリゾートのプールで楽しそうにしている2人を眺めていると、しみじみそう感じたかな。

嬉しかったのは、冒頭からいきなりメインテーマ[YouTube]が流れてきたこと。もちろんこの曲は昔から知ってはいたけど、どこか懐かしいなと。思い浮かべたのが1980年代のセルメンサウンド。そうか、ラニ・ホールが歌っているのかと途中で気づいて。調べると、彼女ってトランペッターのハープ・アルバートと結婚していた。なんか業界って狭いなと。まあどうでも良いことだけど。

しかしセルジオ・メンデスとミシェル・ルグランの関係って面白い。セルメンがルグランの"Watch what happens"をカバーしたり、逆にルグランがセルメンのヴォーカリストを使って"Never say never again"を歌わせたりと。その意味では1960年代から1980年代くらいまでは、素晴らしい曲が目白押しだったなと。その頃に青春時代を過ごせた自分は幸せだったなと。

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The Thomas Crown Affair

2012-03-29 05:46:39 | 350 映画
遠距離の出張の場合、行きはたいていPCを利用して新幹線の座席で仕事をしていると何時間であろうとあっという間に時が経つのだけど、困るのは帰り。用事が済んだ後で疲れているのでゆっくりしたいし、逆に何もすることがないと時間がなかなかつぶれず退屈してしまう。その対策として有効なのがPCで映画のDVDを鑑賞すること。暇つぶしにもってこいって感じ。

それで先週TSUTAYAでレンタルしておいたのが「The Thomas Crown Affair」(1999年)。以前に記事にした映画「華麗なる賭け」(1968年)のリメイク。今回は主演のスティーヴ・マックィーンの替わりがピアース・ブロスナンで、相手役のフェイ・ダナウェイの替わりがレネ・ルッソ。実はフェイ・ダナウェイもチョイ役で出演しているのだけど、やめておいた方が良かったと思う。

投資会社の切れ者経営者、彼の裏の顔が美術品泥棒で、メトロポリタン美術館からモネの作品を盗み、それを捜査するのが、保険会社から派遣された女捜査官という設定。リメイクというのは、あまりにストーリーに忠実だと逆にシラけてしまいがちだけど、この作品は泥棒と捜査官、そして男と女というあたりまでは同じだけど、その他がまるっきり異なっていて楽しめた。

だけど1ヶ所だけ不満だったのが、唯一両者に共通だった2人でグライダーに乗るシーン。旧作では、この場面がひとつの見所で、ここで音楽を担当したミシェル・ルグランの名曲”風のささやき(Windmills of Your Mind)”が流れた。ところが新作では音楽は流れず。結局メインテーマであるこの曲が流れたのは、なんと物語が終わった後のエンドロール。おいおい、そりゃないだろとダメ出しをしてみたものの、スティングによるカバーのアレンジが現代風でシャレていたので良しとしたけど。

そうそう、フィクションだからしょうがないのかもしれないけど美術館に展示されていた作品がデタラメだった。ほとんどが他の美術館の作品の寄せ集め。特に盗まれたモネの「San Giorgio Maggiore at Dusk」(1908年)は、英国にあるカーディフ国立美術館の所蔵品。メトロポリタン美術館が保有している作品で雰囲気が近いのは、写真の「The house of parliament(effect of fog)」(1903年)かな。まあ美術館での撮影を拒否されて、セットで撮影したらしいから仕方ないか。

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東京原発

2011-03-21 08:48:12 | 350 映画
この3連休の初日に独りで船釣りへ。独りなんてことはまずないのだけど、このところ予定していた釣行が2回連続で取り止めになったから。理由は、2月が海外出張、そして3月は東北地方太平洋沖地震発生。3月については、実は当日の朝までは行くつもりで準備をしていた。しかし地震の翌日で津波注意報が取り下げられず、船長から中止の連絡が入ってやむなく断念。

だけど結果として良かった。というのも地震が思った以上に大規模だったことがTV報道で分かってきたから。もしそのまま行っていたら、周囲から白い眼で見られていただろうし、自分自身も楽しい訳がなかっただろうから。その意味では被災者の方々にはあまりに気の毒な天災だったなと。あれから1週間。後ろ髪を引かれながらも我欲に勝てず遊魚船の予約をしてしまった。

2ヶ月ぶりの釣行の目的地は愛媛県の伊予灘で、狙いはハマチ。驚いたのは船長からポイントが原発の周辺にあると聞いた時。なんか背筋がやや寒くなったかな。原発と言えば、地震がらみの福島で今や大問題になっている真っ最中。なんかいやなつながりだなと。それに反して釣行の当日はこれ以上ないぐらいの絶好の日和。到着した魚場はまさに原発の真ん前だった。

だけど天罰が当たったのか結果はボウズ。やっぱりねえ、釣りなんかやってる場合じゃなかったんだなあと。それで記事を書きながら調べていると、この原発は四国電力の伊方発電所。写真の右から1号機、2号機、3号機で古い順。そのうち気づいたのが”プルサーマル”という言葉。簡単に言えば、原発で使用済みの核燃料であるウランとプルトニウムの原発での再利用。

現在日本でプルサーマルを実施しているのは、この伊方発電所3号機を含めて全国に4ヶ所あり、なんと福島第1の3号機もそのひとつ。専門家じゃないからよく分からないけど、プルサーマルで使用されるMOX燃料に含まれるプルトニウムの毒性がやけに強く、漏れるとヤバイらしい。なんて話に首を突っ込んでいると、かつてカミさんと一緒に観にいった映画「東京原発」(2004年)を思い出した。

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