或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

朝日のようにさわやかに

2007-05-30 06:12:58 | 010 書籍
最近読むことが多いのが短編小説集。今日は”ジャケ買い”ならぬ”タイトル読み”した恩田陸の「朝日のようにさわやかに」(2007年)。ここ数年で執筆した短編をまとめたもの。タイトルが有名なジャズのスタンダードの曲名だったので、とにかく図書館で予約。実は彼女の小説を読むのは初めて。笑えるのが、何故か名前を“おんだ むつ”と勘違いしていて。略して“おむつ”。これが頭にこびりついていた。でも“おんだ りく”だと“おりく”。なんか時代小説で出てくる庄屋のご隠居っぽいかな。

14編もあるので出来不出来があるけど印象に残ったのが表題作。オランダのグロールシュというビールに始まって、ジャズトランペッターのW・M(ウィントン・マルサリス)、京都の寺にある蓮(ハス)、食べ物の心太(ところてん)、そして竹林からつながる緑色の壁、子供の頃に盗み見たオトナの秘め事の思い出と、奇想天外なつながりをみせる複雑系”風が吹けば桶屋がもうかる話”は圧巻だった。

彼女も人が悪いと思ったのがW・Mの話。彼はマウスピースを使わずにトランペットを吹く?だって。そりゃないよ。上の写真は「Live at the House of Tribes」(2005年)のジャケット。使っているマウスピースは、調べるとモネ製のヘビーモデル。普通おわん型をしているのに、細長い円錐型。だから確かに楽器の管の延長のように見える。

あとがきで、“・・・彼についての記述は実話 どこからが作り話かは、ご想像にお任せする”、だって。早稲田のハイソ出身の彼女がこう書くと本当みたいじゃん。うまいなあ、人をハメるのが。真に受けてマウスピースなしでトランペットを練習する人なんかが出てきたらどうするの?なんてそんな奴いるわけないか。マウスピースだけで練習する奴はいるけど。閑話休題。

表題曲はよく演奏したけど、コード進行がベタすぎてアドリブが演歌になるからやりにくかったなあ。アルバムを2枚紹介しておきます。ウィントン・ケリーとソニー・クラークのピアノトリオ。定番中の定番。久しぶりに聴いたけどゴキゲンですね。

朝日のようにさわやかに朝日のようにさわやかに

Kelly BlueKelly Blue    Sonny Clark TrioSonny Clark Trio

アジ

2007-05-28 06:06:31 | 400 釣り
昨日は今シーズン初のアジ釣りへ。本当は土曜日に行きたかったけど遊魚船が満員だったので、やむなく日曜日に変更。それにしても最近は暖かいというより暑いですね。こうなると防寒具を用意しなくて良いから楽。早朝でも寒くないし、いよいよ釣りシーズンの到来って感じ。

行き先は伊予灘。ここは愛媛県の松山市より更に南。片道2時間かかり、これまでに釣行した中では一番の遠征。瀬戸内海で釣りをすると、たいがい周りに島影が見えるけど、今回は全く見えなかった。四方のどこを見渡しても海、海、海。

それで釣果だけど、上の写真の24cmから42cmの平アジが17匹。行く前に船頭が、まだまだ食いが渋いとこぼしていたので、正直なところあまり期待していなかったけど、これなら十分。40cm以上が数匹混じったし。実は土曜日はさっぱりだったらしく、一日でこうも違うのかと船頭も頭をかしげていた。結果論だけど土曜日にしなくて良かった。まあ、釣りってそんなもの。

こうなると下の写真のように、船がどこからか自然に集まってくる。一番多い時には10槽ぐらいはいたかなあ。狭いポイントに集中してきて。船と船の間が数メートルしかなく、もうほとんど“渋谷”状態。でもよく釣れるからどの船の客も楽しそうだった。船体をチェックすると、愛媛県、山口県、広島県とホントいろいろ。魚がいるポイントとして有名な場所なんでしょうね。

一緒に行った友人が驚いたのが海の色。言われてみると確かに澄んでいる。その色の深さはエメラルドグリーンと呼ぶにふさわしい。やはり本土や島から離れているから。前に記事で紹介した映画「船を降りたら彼女の島」のメイキングで、主演の木村佳乃が、「海の色がキレイ」とコメントしてたのを思い出した。帰港した時に改めて海の色を確かめたら、こちらはうぐいす色。うーん、まったく違う。それにしても、こんなに汚かったっけ?と、ちょっと哀しくなったなあ。昔は海水浴とかしていたのに。


恋におちて

2007-05-25 06:22:53 | 350 映画
最近デイブ・グルーシンが音楽を担当した映画を追っかけています。サンドラ・ブロックの「微笑みをもう一度(Hope floats)」(1998年)、トム・クルーズの「ザ・ファーム法律事務所(The firm)」(1993年)、ロバート・レッドフォードの「ハバナ(Havana)」(1990年)、等等。どれもそれなりに彼の音楽を楽しめたけど、印象に残ったのが、そうとう昔の「恋におちて(Fall in love)」(1984年)。

なんたって、のっけから超ヒット曲の"Mountain dance"が流れてくるんだから。この映画のテーマ曲だと初めて知ったけど。主演はフランク役のロバート・デ・ニーロとモリー役のメリル・ストリープ。中味はW不倫の純愛モノ。何それ?と思いますよね。自分的にはあり得ないストーリー。まずは関係が先で、場合によってはそれに気持ちがプラスされていくのが常道だと思うから。

同じ通勤電車でマンハッタンへ通う二人が、クリスマスイブにふとしたきっかけで知り合い、互いに意識し始める。フランクがモリーにアプローチを開始。友人に借りたアパートで密会するが、後ろめたさからかどうしても関係を持てない。しかしどうしようもなく舞い上がった二人の気持ちは、互いに自分の伴侶にバレバレ。なんかヘタ。こういう人達は不倫をしてはいけません。

観終わって思ったのは、ケータイ電話って不倫において歴史的かつ画期的な発明だってこと。これがないと連絡を取るには会社に電話するぐらいしかないから。映画の中でもよく出てきたけど、当然制約を受けるしリスクも高い。その意味ではホント便利な時代になったなあ。

懐かしかったのが、モリーが乗っていたホンダのシビック。当時の自分と同じクルマ。映画の製作年を確かめると1984年で今から20年以上も前。自分が乗っていたのは赤。ちなみにこの後は、白、紺を経て、ここ10年来は全部黒。好みも変わったもんだ。ついでに思い出したのが当時の音楽。1980年前後と言えば、グルーシンやリー・リトナー、ついでにナベサダといったウエストコーストフュージョンの全盛期。自分もそんな音楽やってたし。ということで、なにかといろいろ楽しめた映画でした。


Mountain DanceMountain Dance    恋におちて恋におちて

リカーズハセガワ

2007-05-23 06:31:06 | 650 酒
今日はGW特集の第6回で最終回。東京3日目の夕方、広島行きの新幹線に乗る前に立ち寄ったのが八重洲の地下街にあるリカーズハセガワ。ここはシングルモルト・ウィスキーの品揃えが豊富で、利用し始めてから、もうかれこれ20年近い。地下街の大改装をやった時にローズロードへ場所を移動。ワイン中心の北口店もオープンしたらしい。

東京からの帰りに、ちょっと時間があれば立ち寄れるのが利点だけど、それ以上の”ウリ”が試飲できること。バーで注文すると1杯1000円から2000円ぐらい取られる品物が、ここではなんと100円から200円。さすがに1回2銘柄までだけど。今回は東京へ着いた日と帰る日の2回立ち寄って、計4銘柄を試飲。こんな酒屋は日本全国探してもなかなかないでしょうね。

試飲していて気づいたのがジャズがBGMとして流れていたこと。控えめな音量で。東京ミッドタウンと大違い。しかもオーソドックスなブルーノートが中心。狭い店内が、ちょっとしたハードボイルドな立飲みジャズバーの雰囲気。でも客が数人たむろしてチューリップ型のテイスティンググラスを手に昼間から酒を飲んでいる、その光景は通行人から見るとアヤシイだろうなあ。

その時に購入したのが、グレンモーレンジのシェリーウッドフィニッシュド12年とバルヴェニーのダブルウッド12年の2本。独特のクセのあるアイラモルトは別格として、メインストリームであるスペイサイドモルトの中ではお気に入りのブランド。どちらもラムレーズンやバニラエッセンスを感じさせる甘く芳醇なテイストが特徴。結局これらとグレンリベットをよく飲んでいますね。

さっそく帰りの新幹線の中でボトルを開けて、大丸で買ったこれまた定番のボールタイプ大型アイス入りカップに注いで飲んだけど、期待通りの味だった。たまたま隣に座った若い女の子からは変な目で見られたけど。まあでも、これも慣れっこだから。

グレンモーレンジ  バルヴェニー

東京藝大美術館

2007-05-21 06:16:38 | 300 絵画
今日はGW特集の第5回。東京3日目はカミさんと娘が名古屋へ行ったので、自分ひとりが単独で行動。友人と待ち合わせて渋谷で昼食をとった後で向かったのは、上野にある東京藝術大学 大学美術館。ここはJR上野駅から歩くと国立博物館や動物園の奥。実はこっそり一番楽しみにしていたかも。というのも、「創立120周年企画:パリへ―洋画家たち百年の夢~黒田清輝、藤島武二、藤田嗣治から現代まで~」が開催されていたから。

このブログで特集している佐伯祐三と小出楢重は、この大学の前身である東京美術学校の出身。彼らを調べていくと、必然的に黒田や藤島、藤田が出てくるわけで。いつかは行ってみたいと日頃から思っていたところにこの企画。ラッキーでした。

最初の展示の中心は黒田清輝。シロウトが言うのもなんだけど絵が上手い。次ぎが藤島武二。印象に残ったのが下の写真の「港の朝陽」(1934年)。輝いていたなあ。でもそれ以上だったのは「イタリア婦人像」(1909年)。これは自分の小説「フォーライフ」で登場人物の一人、貴美子のイメージとして使ったもの。むろん実物を見るのは初めて。ここで出会えるとは。まさにサプライズ。

次の展示室は、なんと佐伯、小出、藤田のそろい踏み。展示で共通するのは自画像。この学校の卒業制作として義務づけられている。3枚の自画像を比べてみると、各々の性格が見えてくるから不思議。それにしても、3人の絵に囲まれてソファーに座っていると、自分が大正や昭和初期にタイムスリップしたような気持ちに。うーん、この上なく幸せな時間だった。

それで美術館を出て駅の方へ歩いていると、子供の日に動物園に行った大勢の家族連れに遭遇。別にそれは当たり前なんだけど、美術館というのは行くまでや帰りのプロセスが、ある種の鑑賞のプロローグやエピローグにもなっているわけで。立地として少なくとも美術館関係は別の駅経由で別の場所にあったらいいのになあと。上野の森そのものが素晴らしいだけに。



アフターダーク

2007-05-18 06:24:55 | 010 書籍
前回はGWに東京への行き帰りの新幹線で聴いたアルバムだったけど、今日は読んだ本の紹介。村上春樹の書き下ろし小説「アフターダーク」(2004年)。先に言っておくけど、彼はたぶん小説の題名を考えるのが好きじゃない。おそらくジャズのLPかCDが並んだ棚を眺めながらそれを探している。「中国行きのスロウ・ボート」しかり、「意味がなければスイングはない」しかり。

都会の日が暮れてから夜が明けるまでを、複数の登場人物の話をスイッチバックさせながら進めるというストーリー。舞台は渋谷。主題をあえて散漫にしてトーナリティを持たせないところに、都会の空虚さを表現したかったんじゃないかと思うけど。コピーの“真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける”というのが、その雰囲気を伝えている。

読み終わった感想は、完成度はやや低いけどバリエーションとしてはありってところ。だって傑作ばかりじゃね、といって駄作でも困るけど。ただしフランシス・レイは余分。でも投げやりで読み手をはぐらかす書き口が、彼にしてはアウトローな雰囲気があって新鮮で面白かった。

登場人物で親近感が湧いたのが高橋という学生。ヒロイン?のエリの相手役。フツー小説に出てくる楽器と言えばトランペットやサックス、ピアノ、ドラムなんかが多いのだけど、彼は地味なトロンボーン。小説のタイトルは、ハード・バップの名盤「Blues ette」の最初の曲である"Five spot after dark”からパクったんでしょうね、最初に言ったとおり。これはトロンボーン奏者カーティス・フラーのアルバム。高橋が中学生の時にLPを中古レコード屋で買い、それに感激して楽器の練習を始めたのだとか。

特に目立った盛り上がりもなく読み終えたけど、印象に残ったののは、高橋がエリに語った、「僕にはそれほどの才能はない 音楽をやるのはすごく楽しいけどさ、それでは飯は食えないよ 何かをうまくやることと、何かをクリエイトすることのあいだには、大きな違いがあるんだ」という言葉。なんか分かる。自分のことみたい。そういう思いをずっと引き摺って生きているような。

Blues-etteBlues-ette    アフターダークアフターダーク

Dee Dee Bridgewater

2007-05-16 06:33:25 | 200 ジャズ
GWの東京滞在で、ひとつ残念だったのが夜ライブを聴きに行けなかったこと。まあいろいろ調べてぐっとくるのがなかったのも確か。ということで、行き帰りの新幹線でよく聴いたアルバムを紹介しておきます。ディ・ディ・ブリッジウォーターの「Keeping tradition」(1993年)。おそらく今年のお気に入りベスト5ぐらいには入るだろうなあ。パリでの録音。バックのピアノトリオは全員欧州人。中味はタイトル通り本格的なジャズ・ヴォーカル。この路線は里帰りライブの「Live at Yoshi’s」(1998年)へも続くけど。

実はジミー・ヴァン・ヒューゼン(Jimmy Van Heusen)が作曲した"Polka dots and moonbeams"のヴォーカルを探していて見つけたのがこのアルバム。この曲は歌詞が素晴らしい。「ダンスパーティーで、たまたまお尻がぶつかったことで知り合ったのが彼女。それが一緒に踊るきっかけに・・・。今二人は幸せに暮らしている。いつも想い出すのは、その夜に彼女が着ていた水玉模様の服と、照らしていた月の光」、なんて感じで、あたかも短い物語のような印象を与えてくれる。まさにノスタルジア。

他はどうだろうと聴いてみると、どれも工夫が凝らしてあって捨て曲がない。特に素晴らしいと思ったのが、イヴァン・リンスが作曲した隠れた名曲、"The island (Comecar De Novo)"。面白かったのが、米国アマゾンのリスナーコメント。この曲に対してextremely seductiveだって。日本語に訳せば、「ありえないぐらい誘惑的」ってとこ。高音の裏声が独特の強いビブラートによって震えてくると、もうたまりません。やはり男は同じような気持ちになるんだなあと納得。しかしその実力はずば抜けてるなあ。

ディ・ディは、有名になった日本録音の「Afro Blue」(1974年)でのデビューが鮮烈だった。でもその後フランスに渡り、すっかりジャズから足を洗ったと思っていたけど、どっこいやる時はやるんですね。彼女の歌だけでなく、バックのメンバーやジャケ、クレジットのセンスを含めて全てがハイレベル。派手さはないけど、これからもこんなアルバムを創り続けて欲しいものです。

Afro BlueAfro Blue

Keeping TraditionKeeping Tradition   Live at Yoshi'sLive at Yoshi's

東京ミッドタウン

2007-05-14 06:25:12 | 800 観光
今日はGW特集の第4回。東京2日目の午後は、カミさんと娘のお目当ての東京ミッドタウンへ。初日の新丸ビルに続くウィンドウショッピング。自分としては先に国立新美術館に行ったので、後は好きにしてください状態。一昨年のGWに六本木ヒルズを見ていたので、それとの比較が面白かった。その意味では、国立新美術館から遠目に見えるタワーに近づいていくと、茶色の高層ビルはおとなしい印象。

中に入って各フロアを、金魚の糞の如く息子と一緒に二人の後をついてまわったけど、ほとんどがレディスでしかも知らないブランド。歩きながら娘の話を聞くと、どうも価格帯が想像を超えていたらしく、彼女達もまるで購入する意欲が湧かないとか。行く前から薄々感じてはいたけど、コンセプトはやはり銀座と並ぶセレブの街なんでしょうね。庶民はお呼びじゃないみたい。

気になったのがモール内のBGM。軽めじゃなくて、こだわり系のジャズ中心。しかも音量が大き過ぎ。壁に埋め込んであるスピーカーの選択ミスなのか、周波数特性が悪く、出てくる音がボデボテ。サウンドプロデューサーまでいる割には冴えなかった。

結局ほとんど何も買わないまま屋外のガーデンへ。もう辺りは暗くなっていて。そのせいか、”ウリ”の芝生は、そんなに広い感じがしなかった。入っちゃいけないらしく整然とした雰囲気。やはりその辺も対セレブの格調を重んじているんでしょうね。

それで帰ろうとした時に目に入ったのがミッドタワー1Fの駐車場。普段見かけない外車が並んでいる。ベンツやBMVの方が少数派。これってもしやと思ったら、東京に進出した超一流ホテル「ザ・リッツ・カールトン」の駐車場。なる程ね、買い物客の出入り口とは逆の位置。調べると、今は開業記念特別料金プランが設定されていて、最も狭い部屋で1室6万円。ただし2人でも同じ料金だからカップルの勝負用として気合を入れれば使えるかも。いやあ、最後に対セレブの本領を見せてもらいました。


国立新美術館

2007-05-12 07:27:15 | 300 絵画
今日はGW特集の第3回。東京2日目の午前中は、なんと息子の部屋の掃除。せっかくの旅行がと文句を言っても、そのために来たんだからとカミさんに返されると二の句が出ない。二日酔いが解消されたのは良かったけど。

午後になり家族でまず出かけたのが、六本木にできた国立新美術館。初日にブリジストン美術館へも立ち寄ったけど、こっちが本命。お目当てのひとつはその建物。設計は東京都知事選に出馬した黒川紀章が中心。この人は一度成田空港で見かけたことがあるけど、思ったより小柄で、通路の混雑にいらついていて、典型的なエライ人タイプだなと思ったのを憶えている。

話が逸れたけど、最初は表参道ヒルズを設計した安藤忠雄かと思った。だって打ちっぱなしのコンクリートと薄いグリーンの窓のコントラストがそっくりだったから。でも曲線を多用した外観や内部構造には、さすがに黒川の強い個性が感じられた。

観たのは「異邦人(エトランジェ)たちのパリ 1900-2005 ポンピドー・センター所蔵作品展」と「大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産」の2つの企画展。ポンピドーはパリにある国立近代美術館で、ここの作品を生で見るのは初めて。モディリアーニ、ピカソ、藤田といった有名どころから抽象画のニコラ・ド・スタールやザオ・ウーキーまで幅広く揃えてあって楽しめた。

それ以上だったのがモネ展。100点近く展示してあったけど、年代、色彩、被写体といった様々な視点でバランス良く作品が集められていて、彼の画業を理解するのにピッタリ。その中で改めてぐっときたのが、印象派と呼ばれ始めた頃の初期の作品。下の写真はオルセー美術館にある「アルジャントゥイユのレガッタ(Regatta at Argenteuil)」(1872年)。初夏つながりでいい感じ。

3Fにあるレストラン「ブラッスリー・ポール・ボキューズ・ミュゼ」は、残念ながら時間的にクローズで入れなかったけど、2Fにある同じ造りのカフェ「サロン・ド・テ・ロンド」でお茶もしたし、正面玄関の前で記念写真も撮ったしで、みんなけっこう満足しました。



チェントルーチ

2007-05-10 06:18:25 | 600 グルメ
今日はGW特集の第2回。息子の新居が三軒茶屋ということで、東京に着いた最初の夜はその近くで食事をしようと。ネットで探していて見つけたのが、イタリア料理の「チェントルーチ(cento luci)」。場所は茶沢通りから太子堂中央街に入った商店街の外れ。息子のマンションからは歩いて数分の至近距離。事前に場所をチェックしておいてくれとメールしておいたのだけど・・・。

暗い中を地図を見ながら歩いたけど見当たらない。近所の人に聞いてようやくお店を発見。息子が見つけることができなかった理由が分かった。外からはレストランと分かりにくい。なんか昔の理髪店を改装したような地味な造り。目立った看板もないし。

驚いたのは店内に入ってから。こじんまりした店というのは分かっていたけど、4人用のテーブル席が2つと、4つぐらいのカウンター席だけ。メニューは、定番とおまかせの2つのコースだけ。値段はそんなに違わなかったけど、最初だしパスタとメインをいろんな種類食べてみようということで定番に。となりがキレイ系?の若い女性4人組だったので、自分的に雰囲気はグー。

実はこの店を選んだのはシェフつながり。ここの須賀シェフが西麻布にあった「アクアパッツァ」のチーフをしていたことを知ったから。何回か行ったことがあって、それなら間違いはないだろうと。今思えば、予約ができてラッキーだったかも。

それで味なんだけど、”ウリ"の有機野菜料理は美味しかった。香辛料の微妙な加減は、まさに都会のテイスト。本場というより東京ならではのお味。逆にメイン料理は、魚、鶏肉、牛肉のどれも素材がイマイチだったかも。家族の評価もフツー。まあ広島という田舎で安くて新鮮な素材を使った料理に馴染んでいると、シンプルな味つけの方がしっくりくるのかもしれません。

ということで、この店はこだわりのある通向けの店ですね。場所や店の雰囲気も極めてローカルな感じだし席数も少ないし。その意味じゃ、料理が出る毎にステキーとかオイシーとかキャピキャピ騒いでいた隣の女性客は、やや場違いだったような。