或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

チョコラーテ

2008-03-31 06:19:44 | 600 グルメ
今日は大物の真鯛の写真を得意げにアップできるかと密かに楽しみにしていたけど、いろいろあってそれが何故かカステラになってしまった話。事の始まりは約半年前。かつての釣り仲間で今は長崎に住んでいる友人から釣りの誘いが。毎年春に70cm前後の真鯛がボンボンあがるからこっちまで遠征してこないかと。もちろん喜んで行きますと友人を含めて3人で快諾。

数週間前からネットをチェックしていると、確かに広島ではめったにお目にかかれない大物が続々と釣れていた。先週は事前準備会と称して飲み屋で日程の打ち合わせをやって気分は最高潮に到達。今週に入ってからは、そんなに釣れるといつものクーラーじゃ入りきれないかもしれないと、昔キャンプで使っていた大型クーラーを倉庫から引っぱり出したりもしていた。

ところが出発前日の先週の金曜日にケータイにメールが来て、ひょっとして中止になるかもと。日曜日に低気圧が入ってきて海が荒れ出航できない可能性があるとか。ええーっ?ここまで準備してそりゃないよと驚きながら気を揉んで待機していると、夜遅く最終的に中止の連絡が。がーん、こりゃ効いた。最高に盛り上がっていたテンションが急激に落ち込んだから。

それからはもう最悪。嫌味に感じる程やけに天気が良かった翌日の土曜日には、今頃は長崎に着いてプチ観光とかしている頃だよなと虚しい想像をしたりして。ほとんど放心状態でぼーっとしている時に届いたのが宅急便。包みを開けるとカステラが出てきた。お土産に買いたいと事前にメールでやりとりしていたもの。こちらの気持ちを察した心遣いが嬉しかったなあ。

一般的には文明堂と福砂屋が有名だけど、広島で売っていない人気品をと調べておいたのが松翁軒(しょうおうけん)のチョコラーテと清風堂のチーズカステラ。今回のは松翁軒でスタンダードと抹茶カステラ、それと自分が指名していたチョコラーテの3本セット。日曜日に早速食べてみたけど美味しかった。GWにリベンジすることになったので、ただいま気持ちを入れ替え中。

松翁軒 カステラ3本セット

社労士勉強進捗[3月度]

2008-03-28 06:10:01 | 150 社会保険労務士
暖かくなってきましたね。梅の花はもう散ったけど。3月に必ずやらなきゃならないのが確定申告。自分はサラリーマンだから基本的には関係ないのでメインは両親の分。やはり人間は年をとると急にもうろくしてくる。詐欺は悪徳商法には引っ掛かりそうになるし。だから数年前から納税を含めて親のお金の管理は全て自分がやっている。一番危ないのは自分だろうなあ。

助かっているのが国税庁のサイト 「e-TAX」 。いわゆる納税手続きの電子化で平成16(2004)年度より導入されている。データをインプットすれば控除や税率を計算して確定申告書を自動作成してくれるから楽チン。電卓片手はもう過去の話。ついでに電子申告までやろうかなと思ったけど、住民基本台帳ICカードや電子証明書、それと高価じゃないにしても認証用のカードリーダ&ライタの購入などが必要なことが分かって面倒臭そうなので断念。

リーダ&ライタ自体は3~5千円ぐらいで安いのだけど、お役所がやることだから導入してすぐはいろいろトラブルが発生するだろうと勝手に憶測して。それに税務署が家に近いから郵送する必要もないし、いざやろうとすると前年の申告書を見ながらになるのでハードコピーはどっちみち必要になるだろと思って。まあとりあえずは様子見ってところ。いつかはやりたいけど。

確定申告でいつも手間取るのが医療や保険の証明書や領収書の収集。年寄りというのはいくら口を酸っぱくして言ってもこういう細々したことがキチンとできなくなっている。何度再発行の電話依頼をしたことやら。まあ親孝行と思うしかないか。

ぐだぐだ言いながら良いこともあります。申告をするのに健康保険法や国民年金法、厚生年金法等の知識が役立つこと。座学だけだとなかなかだけど、こういう作業をやるとスッとルールや数字が頭に入るから不思議。つまり勉強の助けにもなっている。将来的には経営コンサルとして税務にも精通したいという願望もあるからよけいにモチベーションが高いのかも。

本題に戻るけど、社労士の勉強は法改正を含めてインプット作業が一巡したところ。順調です。

Alone again

2008-03-26 06:10:56 | 370 テレビ
この1月から始まったTVドラマで唯一ずっと見ていた「あしたの、喜多善男」が先週最終回を迎えました。前にも言ったけど、きっかけは単純で音楽の担当がジャズピアニストの小曽根真だったから。ずっとというとえらく熱心そうだけど、実はDVDに録画していて、最終回はその前の2回分を含めてトータル3回分を通して見たから大きなことは言えない。

回を追う度に面白くなっていて、その締めくくりとしての最終回は圧巻だった。とにかく脚本が素晴らしい。特にぐっときたのが、ラス前で小日向文世が演じる主人公が、警察署の前で小西真奈美が演じるかつての妻と出会うシーン。お互いに見つめ合いはするけど、何も言葉を交わさず静かに去っていく。フツーなら何かしらセリフを入れたいところだけどオ・ト・ナだなあと。

それ以上に感動したのがエンスー好みの物語の仕掛け。映像、セリフ、音楽が初回から最終回まで巧妙に絡んでいて。その中心となるのが意外にもギルバート・オサリバンが1970年代に歌ったヒット曲”Alone again”。初回に吉高由里子演じるアイドルとジャズクラブで死後の世界について語り合う時に、小曽根のピアノをバックにティファニーが唄っていたのがこの曲。そして最終回で塔に登る時に流れてきたのもこの曲。関係ないけど昔バイショーでよく弾いたっけ。字幕に写った歌詞を眺めていたらドラマのストーリーとつながっていることに気づいて。うーん、深い。

”・・・・・・And visit a nearby tower. And climbing to the top. Will throw myself off.・・・・・・As I did on my own. Alone again, naturally."。訳すと、「・・・・・・塔に登って、身を投げるのさ。・・・・・・僕はひとり。また孤独に戻っただけさ。」、なんて感じで続くのだけど、これがそのまま実際のシーンとして出てきたのには驚いた。

死に対する哲学的な匂いもビミョーにするこんな脚本を書くとはタダ者ではないなと調べると、他にTV「世にも奇妙な物語」、それと映画「らせん」や「アナザヘブン」の監督もしている飯田譲治。小曽根が好きだというところからして、おそらく全てが彼の頭の中に元々あったのだろう。いや、楽しませてもらいました。DVD-BOXが発売されるらしいから、その時に是非また通して見たいなあ。

サウンドトラック CDサウンドトラック CD   DVD-BOX(6枚組)DVD-BOX(6枚組)

黒い十人の女

2008-03-24 06:23:06 | 350 映画
故市川崑監督の「細雪」(1983年)を観ていてゾクっときたのが長女役を演じていたベテラン女優の岸恵子。その色香に魅せられたというか、いわゆるハマってしまった状態。ただし1932年生まれだから当時もう51歳。とりたてて熟女好きでもないので、次はもっと若い頃の作品をと思っていたら紹介されたのが同じ監督の「黒い十人の女」(1961年)。彼女が29歳の時の作品。

プレイボーイ役の船越英二はTV曲のプロデューサーで、目の前に現れる女と手当たり次第関係を重ねていく。その軽さが実に良い。ちょい役で出演しているクレージーキャッツのギャグも花を添えている。船越の演技もひょうひょうとして味があった。彼の正妻役が正統派美人の山本富士子。ホント久しぶりに見たけど、彼女ってこんなに演技が上手かったかなあ。

それで肝心の岸恵子だけど、ひょっとしたらこの映画での彼女が自分の求めている理想像、つまり知的で気が強いモダンな若いセレブに最も近いかもしれないなと。というのもレンタルした時に鶴田浩二と共演した21歳の時の作品「ハワイの夜」(1953年)とキネマ旬報ベストテン第1位を獲得した前年の作品「おとうと」(1960年)も一緒に見たけど、一番しっくりきたから。

つくづく感じたのが時の流れ。若き日の中村玉緒がその十人の一人として出演していて。彼女は1939年生まれだから当時22歳。ピチピチしていて洋服が良く似合っていた。同じ気の強さでもどこかコミカルな感じで今の芸風に通じるものを感じる。しかし70歳に届こうかという年で、これだけ長く現役を続けているところが素晴らしい。脱帽ですね。懐が広いのだろうなあ。

映画を観ながらふと思い出した友人の話をひとつ。彼には大勢女友達がいてマメにメール交換とかしていたけど、数が多いといちいち個別に打つのが面倒くさくなって、「今××にいます」とかなんとかの挨拶メールを一括送信した。そしたらそれ以降誰からも全く返事がなくなったとか。後で知ったのがケータイの新しい機種だと相手に他の送信先が分かるということ。うーん、後の祭りか。

黒い十人の女黒い十人の女

地御前

2008-03-21 06:30:27 | 600 グルメ
先日娘と自分の誕生日祝いを兼ねて、かねがね行ってみたいと思っていた日本料理店「鄙の料亭 地御前(じごぜん)」へ。開店が昨年の6月だから、もうすぐ1年になる。実はここがオープンしてすぐの時に試しに入ってみようと店の前まで行ったことがあった。娘と二人で夕食をと国道を通っていると、海岸沿いに妖しげな灯りを見つけたので。

通路を入っていくと茅葺の門があり、うろうろしながら車を止めると係りの人が出てきて。フツーの店じゃない圧倒的に高級そうな雰囲気が漂っていたので入ってからじゃ遅いと思い「すいません、料金はどのくらいですか?」と聞くと、「懐石料理が5千5百円からになります」との丁寧な回答。「そうですか、今日はやめときます」と早々と退散したけど、なんか恥ずかしかったなあ。

その意味では今回はリベンジ。年に1回あるかないかだから奮発するかと気合を入れて再訪問。勿論事前に予約を入れておいて。店内は敷地の広さから想像した通りゆったりとした造り。12畳ぐらいの個室に通されたけど、畳に机とイスという明治・大正の雰囲気。それから約2時間、仲居さんの対応もすこぶる良くて美味しい料理とお酒を堪能しました。店名の”鄙”というのは瀬戸内の田舎の風情をゆっくり楽しんで欲しいと”鄙(ひな)びた”からきているとか。ちなみに“地御前”はこの辺りの知名。

それにしてもこれだけ品格を感じるのは郊外では珍しい。料理のコースは種類が少なく、逆に日本酒、焼酎、ウィスキー、ワイン等の酒の品揃えが凄い。この手の店は市街に有名店が数軒あるぐらい。宮島の対岸にある石亭が有名だけど、あそこは宿泊メインだし。採算は取れるのかなと他人事ながら心配になったけど、割安の寿司料理を最近始めたと聞いて納得。

注文をつけるとすれば味付けがやや素直すぎるぐらいかな。素材を活かした広島でよくある薄味。でもこの雰囲気でこの値段をとるのなら、もうひとひねりが欲しい。ここでしか味わえないようなこだわりが。ちょっと贅沢を言いすぎかもしれないけど。


安井曾太郎(3)

2008-03-19 06:35:28 | 300 絵画
前回は安井の少年時代を紹介したけど、今回は1907(明治40)年から1914年(大正3)年までの渡欧時代。いわゆる”修行期”。フランスのアカデミー・ジュリアンに入学して、どっぷりと絵に浸かった日々を過ごしている。そしてその合間に頻繁に出かけたのが旅行。学校ではその突出したデッサンの力量がすぐに認められ、いろんなコンクール入賞の常連になっている。

この時代の彼の作品は、アカデミックな画法を基調にしながらもミレー、ピサロ、ルノワール、セザンヌなど当時の有名画家の影響がうかがえる。特に傾倒したのがセザンヌ。「何を見てもセザンヌの絵のように見えるので困りました。」と後に語った程。

この時代でとりわけ印象的なのが、帰国の直前に描いた作品で東京国立近代美術館にある「孔雀と女」(1914年)。ルネサンス時代へタイムスリップしたかのような気品と色気、それと共にある種の宗教的な雰囲気を感じる。これには前年のイタリア旅行中に見たギリシャ彫刻が強く影響しているとか。彼も若いし好奇心満々で出会うもの全てが新鮮で刺激になったのだろう。

でも感性に任せてこんな絵をずっと描き続けられないのが芸術の世界。帰国後に自己のスタイルの確立を目指してずいぶん苦悩することになる。彼のような言わばエリートが当然のように背負う宿命だったとは思うけど、時代が時代だけに特に。

絵画でみれば、モネは最後の地であるジヴェルニーで毎日のように睡蓮を描いて晩年を過ごしていた、フォービスムを始めたマティスはしきりに金魚を描いていた、盟友ブラックと共にピカソはキュビスムを追及していた。クラシック音楽でみれば、ドビュッシーはこの年に癌を発病し死期が近づいていた、ストラヴィンスキーは前年に「春の祭典」をパリで初演し音楽界に賛否両論を巻き起こした、シェーンベルクは十二音技法を完成させつつあった。まさに現代という時代が始まっていた、そんな時代。

その意味で時代の流れに取り残されたようなこの作品にはピュアな美意識を感じます。

山の見える町(1913年)下宿の人々(1914年)

さくら味

2008-03-17 06:22:10 | 600 グルメ
先週の金曜日はホワイトデー。娘からバレンタインにチョコをもらったので何か買わねばと会社の定時退社日に速攻で出かけたのが広島駅前にあるエールエール。広島のローカルな百貨店である福屋の広島駅前店の別称。この店の勝手はだいたい分かっていて、地下街を通ってB1Fの食品売場へ直行。すると思ったほど男性客がいなかったので少々拍子抜けしたかな。

もちろん特設コーナーは設置されていて、いろんなブランドのチョコやクッキーが多数並べられていた。そこで義理チョコ分も含めて自分好みの黒いケースに入ったアラカルトを数個購入。とりあえずこれでOKと思って帰ろうとすると派手な水色がいやがおうにも視界に入ってきた。そうだった、この売場で一番メジャーなのは資生堂パーラーだったと。気づくのが遅い。

ここの商品は前に一度買った時にチェック済みなので、ふむふむと知ったかぶりをしながらショーウィンドを眺めていると、その上にポップ付きで紹介されていたのが「春のチーズケーキ さくら味」。春季限定という文字が目に止まった。どうもこういう“・・・限定”とかいうのに弱い。というか簡単に引っかかる。話題性があって受けるかもと、ダメもとで試しに6個入りを1箱購入。

当日カミさんと娘に渡したら、この限定品を知らなかったので狙いどおりとホクホクしながらお裾分けしてもらって食べたら意外に美味しかった。チーズケーキの“洋”と“さくら”風味の“和”のテイストが不思議な感じでブレンドされていた。ネットで調べるとコピーが“、ほんのりさくらの香り漂うビスキュイ生地の中に、さくらのペーストを練りこんだチーズがお口の中でほどけます。”

それでケースを見ながら思い出したのが、天満屋のピンクのユニホーム。そう、北京オリンピックの女子マラソンの代表に選出された中村友梨香を擁する会社。今はそごうと三越もあるけど、自分が小さい頃百貨店は天満屋と福屋の二つだけ。だから地元感覚で応援してしまう。こうやたら“さくら”や“ピンク”づいてくると、もうすぐやってくる桜の季節が待ち遠しいなあ。

春のチーズケーキ さくら味

続・ブルックナー

2008-03-14 06:22:11 | 210 クラシック
今日は前回の記事の続編。村上春樹の短編小説集「回転木馬のデッド・ヒート」(1985年)の中のお気に入りである”プールサイド”に絡んだ話。この作品はいろんな意味で示唆に富んでいる。前回の歯みがきに続くネタは、オーストリア生まれの後期ロマン派の作曲家、アントン・ブルックナー。一般的には知名度はイマイチ低いけど熱心なファンが多い。

主人公が35歳の誕生日に青山のレストランで妻と食事をし、その後バーで酒を飲む。帰宅してセックスをしてシャワーを浴びると妻はもう先に寝ていた。一人でビールを飲んだ後ヘッドホンで聴いた音楽がブルックナー。引用すると、”夜中に一人でブルックナーの長大なシンフォニーを聴くたびに、彼はいつもある種の皮肉な喜びを感じた。それは音楽の中でしか感じることのできない奇妙な喜びだった。時間とエネルギーと才能の壮大な消耗・・・・・・”。なるほど壮大な消耗か、そういう見方もあるんだ。

読んでいてバタイユの”蕩尽”を思い浮かべたけど、それは置いておいて本題に戻ると、この小説の設定は3月末。自分の場合は冬場、特に1月と2月の一番寒い時期にこの種の音楽、つまりブルックナーやマーラーといった長時間退屈系交響曲を聴くことが多い。夏だと暑苦しくてダメだろうな、多分。寒くて外に出る気にもならず時間を持て余している時にピッタリなような。

この冬よく聴いたのがブルックナー。特にセンチメンタリズム溢れる3/4/7/9番。オケは東欧系が多いけど指揮者はシノーポリ、マタチッチ、ショルティ、ヨッフム、ヴァント、ベーム、ジュリーニ、カラヤン、ブロムシュテットと多彩。だから印象も千差万別。自分的には以前記事にしたマタチッチとチェコフィルに加えて解釈とオケが洗練されているショルティとシカゴ響が意外と好きかな。

それでいつも気になるのがウィーンフィルとベルリンフィルの弦の音色。生を聴いたことがないから大きなことは言えないけど、どうもマントヴァーニーやパーシーフェイスに聴こえてしまう。上手すぎて鳴り過ぎるため逆に綺麗すぎて安っぽいということ。同じウィーンフィルでもグラモフォンよりデッカの方がエコーを抑えた分だけ芯があるから、一概にオケのせいだとは思わないけど。

まあ”壮大な消耗”をお手軽に聴けているのだから文句を言っちゃいけないか。

ベーム指揮 第3番ベーム指揮 第3番 カラヤン指揮 第4番カラヤン指揮 第4番

ジュリーニ指揮 第7番ジュリーニ指揮 第7番 ショルティ指揮 第9番ショルティ指揮 第9番

歯みがき

2008-03-12 06:28:07 | 540 モノ
今日は村上春樹の短編小説集紹介の続きで「回転木馬のデッド・ヒート」(1985年)。この小説はいつもと幾分趣向が違っていて、それについて“まえがき”で説明している。なんでも事実に忠実なものを集めたとか。よりリアリティがあるということか。読んでみると、実際にあったらしい話を彼流にデフォルメした上で、エッセイの要素も取り入れて小説にしている。

いくつか気に入った作品があって、そのひとつが4番目の”プールサイド”。主人公はセレブで35歳。乃木坂のマンションに妻と二人で暮らしている。彼はある日鏡を前に自分の体を眺め、「俺は老いているのだ。」と気づく。そして既に人生の折り返し点を曲がっていることを認識する。それからというもの、食事制限とダイエットプログラム、体操やランニングに水泳をこなしシェイプアップに取り組み、その効果が表れた頃に恋人をつくる。クラシックのコンサートで知り合った9歳年下の美人。

なんて感じで最後はそこはかとなく哀しい物語なのだけど、彼の習慣の中でなるほどと感心したのが歯みがきの話。引用すると、“洗面所には三種類もの歯ブラシが並んでいて、特定の癖がつかないように、ローテーションを組んで一回ごとに使い分けるのである。”

いや参った。なんとなく自分がやりたいと思っていることをとっくの昔にされていたような。歯みがきには入れ込んでいると自負していたのに。数年前から毎日3回は必ず磨いている。昔は朝だけ。10年ぐらい前から昼食の後にも。それから家で夕食後にも磨くようになって。最近じゃひと月に1本ぐらいの割合で歯ブラシを交換しているし。新品のストックも常に5本ぐらいはあるから。

でもまあ家と会社では違う種類を使っているから近いといえば近いか。気に入っているのが、花王のクリアクリーン(パワフルヘッド/かため)とジョンソン&ジョンソンのリーチ(奥まで歯周ケア/コンパクト/かため)の2種類。クリアクリーンはその後発売された改良品も試してみたけど、結局最初のが一番しっくりくる。なんて言いながらこだわり始めたのは最近だけど。

でも安心しました。この小説の主人公のお陰で自信を持って歯みがきオタクになれそうだから。

回転木馬のデッド・ヒート(文庫)回転木馬のデッド・ヒート(文庫)

タチウオ

2008-03-10 06:25:08 | 400 釣り
先週の土曜日に友人と久しぶりの釣りへ。冬から春にかけては瀬戸内海といえども釣りをするには少々キツイ日が多い。2月のほとんどの土曜日がちょうどそんな感じだった。天気が良かったとしても風が強かったりする。だから出航できればそれでよしぐらいに思っていたら当日は最近ないぐらいの素晴らしい天気。しっかり晴れているし、何より風がないのが嬉しかった。

利用したのは今回が初めての弘福丸。この船はルアー・ジギング専用船。つまり餌釣りをしないということ。友人も自分も本格的なジギングは初めてだったので初物づくし。いつも利用しているのと比べてキャビンが広い。それに湯沸しポットや電子レンジまでついている。船体が大きいのでエンジン音が低いし振動も少ない。こりゃなかなかいいなと思いながら乗り込んだ。

いつもと違っていたのが出航時間。大抵6時から7時の間が多いのだけど、この日は午前10時。直前に船長から電話があって最近は朝より夕方のほうが良く釣れるので出航を遅らせると。狙いのタチウオもシーズンの終了が近くスレてきているのかなと。さらに途中で船長から今日は地震があったから釣れないだろうとの情報が。これには気持ちがかなり盛り下がった。

でもその不安はすぐに吹き飛んだ。初めからコンスタントに釣れ続いて。さすがに最盛期の爆釣モードはなかったけど終わってみると1m前後の良形が24本。サイズ的にはいわゆる指5本サイズはなく指4本が半分ぐらいだったけど、生まれて初めての本格的ジギングでこの釣果なら大満足。揃えたロッド(竿)やジグも感触が良くて想定通りの使い心地。いや気持ち良かった。

想定外だったのは体の疲れ。やはりジギングというのは常に立った状態で腕を動かしているから。終わり頃には腰は痛いし腕も腱鞘炎になるんじゃないかと心配になったぐらい。まあスポーツなんだから当たり前か。お陰でしっかり熟睡できたけど。下の写真は納竿直前に撮影したもの。船釣りをしていて夕日を見るのは珍しくて、朝日とはまた別の風情があったなあ。