或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

The Thomas Crown Affair

2012-03-29 05:46:39 | 350 映画
遠距離の出張の場合、行きはたいていPCを利用して新幹線の座席で仕事をしていると何時間であろうとあっという間に時が経つのだけど、困るのは帰り。用事が済んだ後で疲れているのでゆっくりしたいし、逆に何もすることがないと時間がなかなかつぶれず退屈してしまう。その対策として有効なのがPCで映画のDVDを鑑賞すること。暇つぶしにもってこいって感じ。

それで先週TSUTAYAでレンタルしておいたのが「The Thomas Crown Affair」(1999年)。以前に記事にした映画「華麗なる賭け」(1968年)のリメイク。今回は主演のスティーヴ・マックィーンの替わりがピアース・ブロスナンで、相手役のフェイ・ダナウェイの替わりがレネ・ルッソ。実はフェイ・ダナウェイもチョイ役で出演しているのだけど、やめておいた方が良かったと思う。

投資会社の切れ者経営者、彼の裏の顔が美術品泥棒で、メトロポリタン美術館からモネの作品を盗み、それを捜査するのが、保険会社から派遣された女捜査官という設定。リメイクというのは、あまりにストーリーに忠実だと逆にシラけてしまいがちだけど、この作品は泥棒と捜査官、そして男と女というあたりまでは同じだけど、その他がまるっきり異なっていて楽しめた。

だけど1ヶ所だけ不満だったのが、唯一両者に共通だった2人でグライダーに乗るシーン。旧作では、この場面がひとつの見所で、ここで音楽を担当したミシェル・ルグランの名曲”風のささやき(Windmills of Your Mind)”が流れた。ところが新作では音楽は流れず。結局メインテーマであるこの曲が流れたのは、なんと物語が終わった後のエンドロール。おいおい、そりゃないだろとダメ出しをしてみたものの、スティングによるカバーのアレンジが現代風でシャレていたので良しとしたけど。

そうそう、フィクションだからしょうがないのかもしれないけど美術館に展示されていた作品がデタラメだった。ほとんどが他の美術館の作品の寄せ集め。特に盗まれたモネの「San Giorgio Maggiore at Dusk」(1908年)は、英国にあるカーディフ国立美術館の所蔵品。メトロポリタン美術館が保有している作品で雰囲気が近いのは、写真の「The house of parliament(effect of fog)」(1903年)かな。まあ美術館での撮影を拒否されて、セットで撮影したらしいから仕方ないか。

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フレッツ光ネクスト

2012-03-27 06:00:33 | 540 モノ
ひと月ぐらい前の話だけど、休日に自宅へ電話がかかってきて。受話器を取るとNTTの関連会社から。この手の電話は憶えているだけでも、ここ数年で20件以上はあったかな、それくらいしつこくて。用件は決まっていてADSLから光への乗り換えの勧誘。大抵がバイトとおぼしき若者が担当していて、まさにマニュアル通りの説明。その時も、またかよとため息をついたけど。

インターネットをISDNからADSLへ切り替えたのが2003年だから、今年で9年目。今じゃ光が当たり間になっているから、自分としても機会があればと思っていたのは確か。だけど運が悪く、いくら普及が進んでも自分が住んでいる地域の周囲だけは対象区域にならなくて。なのにそれを知らずに勧誘してくるからタチが悪い。ちゃんと調べて電話しろよと電話を切るのがいつものパターン。

ところが今回は少し様子が違っていて、おそらくNTTのローラー作戦だったと思われるけど、担当の若い男性が状況を完璧に把握していた。しかも質問にもすばやく的確に対応してくれたので、その流れで自宅へ来てもらうことに。別にADSLのスピードに大きな不満を持っていた訳ではなかったけど、ようやくまともな勧誘に出会った嬉しさから、相手の言われるままに契約をしてしまった。

電柱から屋内への配線をしてもらったのがこの土曜日。プロバイダーはヤフーから変えるつもりがなかったので別途光BBユニットをレンタルしておいた。今回NTTが設置して帰ったのが写真のPR-400NE/GE-ONUという型番のONU一体型ひかり電話対応ホームゲートウェイ。ガイドに沿ってセッティングすると一発で接続が完了。疑問を持ち始めたはその少し後。

NTTとヤフーのガイドをじっくり読むと、無線LANは別ルーターでまかなっているし、IPフォンはNTTひかり電話を利用するから、ヤフーから送付してもらった光BBユニットが不要なのかもしれないことに気づいて。若干トラブったけど、光BBユニットを外しても問題ないことを確認。早速日曜日に使っていたADSL用トリオモデムと一緒に返却したけど、事前にキチンと調べておけばよかったと後悔したかな。

Koussevitzky Music Shed

2012-03-21 07:20:34 | 870 米国紀行
米国旅行現地4日目の、タングルウッドでの夜。いよいよメインステージにおいてコンサートを鑑賞。場所はクーセヴィツキー・シェッドと呼ばれる大ホール。クーセヴィツキーと言えば、かのバーンスタインが師事したことで有名。ここはテントの屋根の下の地べたにイスを並べた指定席と、その後ろの自由席に別れていて、後者は無料。というか席ではなく芝生の上だけど。

夜の8時半から始まった当日のプログラムは、プロコフィエフの交響曲第1番、シューマンのチェロ協奏曲、そしてブラームスの交響曲第1番という馴染みの曲ばかり。演奏はもちろんボストン交響楽団で、指揮はドホナーニ、チェロがヨー・ヨー・マ。野外だけに音響はイマイチで、自分の席はやや後方であったせいか、ボリューム不足は否めなかった。まあそれもお愛嬌。

演奏を聴きながら脳裏をかすめたのが、いわゆる五嶋みどりの”タングルウッドの奇跡”。1986年に彼女が14歳のとき、タングルウッド音楽祭でバーンスタイン作曲・指揮によるバイオリン協奏曲セレナーデを演奏中に、弦が2度も切れたにも関わらず楽団員と楽器を交換して演奏を続けた。その年にして信じられないような冷静さ。この逸話が「タングルウッドの奇跡」として米国の小学校の教科書にも掲載された。

今自分は、まさにその場所にいるんだなあと、しばし感激。2曲目ではヨー・ヨー・マが登場。さすがに巧い。そうこうするうちに、何かしら気になり始めたのが伴奏をしている第1ヴァイオリンの第2プルトで演奏していた東洋人。そのアップした髪、弓使い、表情、それら全てに”女”としての魅力が溢れている。音楽そっちのけで彼女の挙動に釘付け状態になってしまった。

帰国して調べると、彼女の名前はルシア・リン(Lucia Lin)。米国籍の韓国人。有名なボストン・ポップス・オーケストラの常任指揮者であるキース・ロックハートと結婚したが7年後に離婚。ボストンではかなりの話題になったとか。やはり魅力があるんだなあと。彼女は大学の先生として、また米国の様々な室内楽のメンバーとして活躍しているらしい。ということで、いろんな意味でとても充実した時間を過ごして深夜にホテルへ帰ったけど。とにかく一生の思い出になるタングルウッドの1日だった。


ホワイトデー

2012-03-19 05:42:47 | 600 グルメ
バレンタインデーという行事が自分にとって、なんだかはるか彼方なイベントであったような気がしている今日この頃だけど、カミさんと娘からは一応義理チョコをもらっている。それで出張先でチェックアウトする前にTVをつけたら、今日はホワイトデーなのでバレンタインデーにチョコをもらったひとはお返しを忘れないようにとのアナウンサーの声が耳に入ってきて。

帰りの新幹線の中でそれをずっと憶えてはいたのだけど、何せ広島駅に着いたのが夜の9時前。夜だし体は疲れ果てているしでお返しを買う時間も気力も残っていなかった。帰宅するとカミさんが、今日会社の人からもらったけど美味しいよとこれみよがしにお菓子を差し出してくれたけど、夕食を食べて風呂に入ると睡魔が襲ってきてお菓子どころじゃなくなってベッドへ直行。

そのせいでもないけど、お返しがどうも気になっていたのは確か。そこへ絶好の機会が。神戸へ日帰りの出張。まあ神戸といっても市街地じゃなくて山手の方なのだけど、仕事が終わって写真の新神戸駅に着いたのが夕方の4時前。新幹線の発車時刻まで30分以上あったので、これはチャンスとお土産売場へ。さすがに神戸だけあってお菓子のブランドが勢ぞろい。

じっくり時間をかけて選んだのが3品。お返し用としてモンロワールのチョコアラモード。カミさん用に6個セットと娘用に4個セット。加えてデザート用として神戸魔法の壷プリン4個セットと神戸六甲牧場のホワイトチョコチーズケーキ。買い終わると、なんだかずっと気になっていたモヤモヤが晴れて気分爽快だったなあ。内心ニコニコしながら帰路についたけど。

帰宅した翌日の土曜日におすそ分けしてもらって食べてみたけど、自分的にはチーズケーキが美味しさではダントツ。ホワイトチョコの甘さとチーズケーキの酸っぱさが程よくブレンドされていて、これまでに食べた中でも秀逸。プリンは男性向けとしてはやや甘すぎた感じ。チョコはごくフツーってところ。それはともかく、2日遅れだったにせよ義務を果たせたのが良かった。


Seiji Ozawa Hall

2012-03-17 07:13:28 | 870 米国紀行
米国旅行現地4日目に、タングルウッドへ到着し腹ごしらえも済ませ、向かったのがセイジ・オザワ・ホール。言わずと知れた日本が世界に誇る指揮者である小澤征爾の名前を司ったメモリアルホール。77歳という高齢で世界を股にかけ精力的に活動している彼も、ここ数年は体調不良で仕事をドタキャンすることもしばしば。ゆっくり静養して復活して欲しいと願うばかり。

その夜のコンサートは、日本でWEBから予約しておいたもの。入口で予約ページのコピーを見せると、棚から取り出したチケットを渡してくれた。料金はドネーション10ドルを含めて71ドル。日本円で約5千円ちょっと。お目当てのコンサートの第1部が、夕方6時からセイジ・オザワホールで開催された若手演奏家によるピアノ五重奏。

この第1部のコンサートは、第2部のコンサートの予約をしていると無料。どこから集まってきたのか、開演前には1F席の座席はほぼ全て埋まっていた。しばらくすると、地元の音大生と思しき5人の可愛い女性達が登場。さすがにプロではないので技量的にイマイチの部分はあったけど、皆暖かい眼で見守っていた。自分的には音楽よりもルックスが印象に残っているけど。

このホールは練習場のすぐ傍にあり、1994年に建てられたもの。長い間ボストン交響楽団の常任指揮者を務めた小澤の功績をたたえ、多額の出資者であったソニーの大賀会長が名付けたとのこと。プレートに刻まれた名前を見た時には、小澤の偉大さ痛感したかな。とにかく彼が、これまで、そして今後も世界で最も有名な日本人というのは疑いのないところ。

このホールまでの道のりは、まさに森の中の散歩。そしてホールは外壁にレンガ、内壁に木材を使用しており、自然に溶け込こんで周囲とうまく調和している。1200人程を収容でき、主に室内楽を中心としたコンサートが開催されているということだったけど、肩を張らずにカジュアルに音楽を楽しむには絶好のホールって感じがしたなあ。音響もすこぶる素晴らしかった。


Tanglewood

2012-03-15 06:22:17 | 870 米国紀行
米国旅行現地4日目の夕方に、いよいよ今回の旅行の目玉のひとつであるタングルウッドへ。目的はその夜に開催されるクラシックコンサート。それは別の記事にするとして、初めての場所だし、どれくらい混むのか分からないので、とりあえず早めに行ったほうが無難かなと。夜は予想以上に冷えるかもしれないと、夏なのにフリースまで用意して準備は万端。

車で走ること約20分で会場に到着。そうそう、切符を予約するまでの話を。せっかく渡米するからには、フルオケのコンサートぐらい聴きたいなと思ってネットでメジャーオーケストラの予定をチェック。だけどサマーシーズンは長期バケーションや長期ツアー期間中が多かった。諦めかけた時に眼に飛び込んだのがボストン交響楽団のタングルウッドでのサマーキャンプ。

こりゃ行くしかないなと早速予約したまでは良かった。ところでタングルウッドってボストンのダウンタウンに近いのだろうかと地図で調べていくと、ダウンタウンどころか、とんでもない山奥。おいおい、やっちまったと気づいた時には後の祭り。キャンセルしようかとも考えたけど、タングルウッドが超有名な場所であることが分かって、行ってやろうじゃないかと最後は開き直った。

なんて経緯もあったにせよ、現地に着いてしまえばそんなのはどうでもよくなっていて。とりあえず駐車場へ車を止めてゲート付近のベンチへ。ついうとうとしていると、目を覚ました頃にはかなりの客が集まっていた。テーブルやイス、ウォータークーラー等のキャンプ用品を携帯しているグループも多くて。コンサートというより野外で遊ぶために来た的な雰囲気だったなあ。

ゲートから入場すると、そこはまさに高原の公園。寝そべったり、遊んだりと、皆がいろんなスタイルで楽しみ始めて。日が暮れてきた頃に腹ごしらえをと、売店の列に並んでビールとワインとピザを注文。芝生の上に座って飲んで食べてまったりくつろいだのだけど、悲しいかな、なにせ独り。ほとんどの客がグループ、家族、カップルだったのでちょっぴり寂しかったかな。


Oyster Harbor

2012-03-09 05:43:21 | 600 グルメ
先週の土曜日に、いつもの美容院でカットを。そこには広島のローカル情報雑誌がいつも置いてあって。普段見ないので、最近オープンした新しい店とかをチェックするのがつかの間の楽しみになっている。しばしページをめくっていると、自宅に程近い安芸の宮島の近郊で牡蠣を食べさせる特集が眼に入って。その中で興味を引いたのが今日紹介する”Oyster Harbor"。

おいおい、なんか米国の西海岸によくありそうな小粋な名前じゃないかと。こりゃとりあえず行くしかないなと、翌日の日曜日の昼過ぎにカミさんとドライブがてらに。最近とんと走らない国道2号線を大竹市方面へ。するとけっこうすぐ道路脇の看板が見えてきて。雨の中をとりあえず駐車場に止めたまでは良かったものの、建物に”Oyster Harbor"の名前が見当たらない。

おかしいなとキョロキョロしてみても状況は同じ。半信半疑で建物の中へ入ると、雑誌に写っていた見覚えのあるテーブルが。そこには「14番目の月」という看板が掲げてあって。案内されて座ったのがバーベキューのグリル付のテーブル。メニューをチェックすると、ウリは牡蠣の殻焼きで、サイズによって10個千円から4千円までバリエーションが豊富だった。

カミさんと相談して10個二千円のカキフライ、それにノンアルコールワインを注文。笑えたのがその後。店長と思しき初老の男性が牡蠣を運んできたのだけど、入れてある容器がピンクのプラスチックのバケツ。しかも横に少女マンガのイラストが。店自体は何処かの有名な業者に頼んだふうで内装もそこそこのセンスなのに、これはいけません。せっかくの雰囲気が台無し。

牡蠣は自分で10分ぐらいかけて焼いて食べるのだけど、焼き方マニュアルが充実していてとても美味しかった。ノンアルコールワインは初めて飲んだのだけど、意外にいけたし。それだけに惜しいなと。カミさんは、田舎なんだし別にそこまでこだわらなくてもいいじゃないと呆れていたけど、どうもね。帰りに充実した店頭販売でアサリを買って、なんとか気を紛らわしたかな。後で分かったことだけど、”Oyster Harbor”というのは、レストランや店頭販売を含めた複合商業施設全体の名称だった。


雪国

2012-03-05 05:44:25 | 010 書籍
とんと本を読まない毎日が続いていて、転職して余裕がない自分が少々情けない。図書館へもめっきり足が遠のいていて、久しぶりに借りたのが今日紹介する川端康成の名作「雪国」(1935年)。日本でノーベル文学賞を初めて受賞した作家ということで超有名なのだけど、自分の中では山口百恵が出演した映画「伊豆の踊り子」(1974年)の原作者ぐらいの認識。

きっかけは新潟への出張。そのために、この冬は何度か上越新幹線を利用したのだけど、東京から高崎あたりまでが快晴であっても、三国山脈を抜けると周囲が雪景色に豹変するというシーンに出くわして。その時に脳裏をかすめたのが、”国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。”という小説の冒頭部分。

「おそらくこういうシチュエーションを描いたのだろうな」と想像したのだけど、まさか同じ場所とは。小説の舞台はJR上越線の清水トンネル。ちょうど谷川岳あたり。新幹線はその3kmぐらい西にある別のトンネルを通っている。写真はトンネルを抜けた越後湯沢辺りの景色。同じ場所と判った時は、なんかとても不思議な気持ちになったなあ。観光地巡りの時のような。

そんなこんなで、大いに期待して小説を読んだのだけど、印象的にはガックリ。よくある湯治客と温泉芸者のぐだぐだ話。興味を引く展開もなければ、ラストの意味もよく分からなかった。ストーリー的には面白みが全くなし。皆はどう感じているのだろうかとネットでチェックしてみると、自分と五十歩百歩。どうも、散りばめられた川端の文章表現を楽しむべき小説らしい。

そう言われて読み直してみると、確かにいくつかはそういう箇所があった。心にゆとりのない自分には向かなかったということか。話は逸れるけど、川端がこの小説を執筆した時に滞在した部屋が今も残っていることを知って興味を持って。越後湯沢市にある。「高半」旅館。いつか冬に訪れてみたい。そうそう、その時までには岸恵子が主演した映画を見ておきたいなと。

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損保ジャパン東郷青児美術館

2012-03-02 05:49:31 | 300 絵画
東京国立近代美術館に続く、出張帰りの東京での美術館巡りの第2弾。水道橋から新宿へJR中央線で移動して、西口から歩くこと約5分。新宿の高層ビル群が立ち並ぶ一角に損保ジャパンの本社ビルが。その42階にあるのが東郷青児美術館。いつだったか行ってみると改装のため休館になっていて、えらく落胆したのを憶えている。そのリベンジがようやく叶うことに。

玄関から入ると係員にエレベータへ案内されて。なんか美術館というより高層ビル見学へ行く時のような雰囲気。館内へ入ると展示室へ続く通路から東方向の景色をパノラマ的に眺められるように工夫してあった。こんな景色は六本木ヒルズの大展望台以来のこと。すっかりミーハーになって、あれは何のビルだったっけ等、東京の都心の建物探しにしばし我を忘れたかな。

その景色の中でひときわ興味を引いたのが今話題のスカイツリー。防衛省の電波搭の左側後方に大きなタワーが遠目に見えた。実はそれまでスカイツリーが何処に建設されているのか知らなかった。えらく北にあるなとは感じたけど、墨田区とは。浅草のすぐ傍。てっきり山手線内と思っていたけど大きな勘違い。なんか外観イマイチ。金属調で、無機質な印象だった。

本題に戻ると、当日は企画展として”東日本大震災チャリティー企画 日本赤十字社所蔵アート展”が開催されていて、関係者と思われる客でけっこう混雑していた。新幹線の発車時刻まで時間が押していたので、駆け足で鑑賞したのだけど、最も印象に残ったのが東山魁夷の「晴れゆく朝霧」(1979年)。これまで見た作品の中では出来が突出して素晴らしかった気がする。

そしてお目当ては、最後のフロアに常設展示してあるゴッホの「ひまわり」(1889年)。1987年に当時の安田火災が約58億円という高額で落札したことでつとに有名。驚いたのが絵のサイズ。40号と、やけにでかい。これまで見てきたのは30号程度だったので、その大きさに圧倒された。後で調べると、このサイズがゴッホのサインがないことに相まって贋作疑惑が生じているのだとか。シロウト眼には筆致はまぎれもなくゴッホ。まあ真贋はともあれ、一度見ておいて損はない作品だと思うけど。