或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

東京国立近代美術館

2012-02-28 05:46:54 | 300 絵画
少し前の土曜日、出張帰りに東京で美術館のハシゴを。まずは竹橋にある東京国立近代美術館。前回訪れたのが、6年前の“生誕120年 藤田嗣治展”。その時は地下鉄の駅を出た頃から相当な人混みだったし、館内でも、おしくら饅頭状態だったのをよく憶えている。それが今回は”所蔵作品展「近代日本の美術」”という地味な企画だったためか、恐ろしく人が少なかった。

話はそれるけど、東京におけるJRの乗車券の使い方が最近ようやく分かってきて。東京駅から一方通行で乗り継げば、山の手線や中央線の範囲であれば何度でも乗り換えができる。今回も東京駅から水道橋まで中央線で行って、そこで地下鉄に乗り換えて竹橋へ。竹橋から水道橋へ戻って新宿へと。さすがに有人駅で切符をチェックしてもらわなければならないけど。

話を美術館に戻すと、ほとんど貸切のような感じでゆっくり眺めて周ったのだけど、何点か琴線に触れる作品が。まずは佐伯祐三の「ガス灯と広告」(1927年)。彼の代表作なのは間違いないところ。他とは全く異なる次元の圧倒的な迫力でこちらに迫ってくる。自分が絵の前に行った時に、美大生と思わせる若い男の子が同じ目線で眺めていて。よほど気に入った感じだった。

だけど自分的に最も印象深かったのが安井曾太郎の「金蓉」(1934年)。その鮮やかなブルーのチャイナドレスが何ともいえない色気を醸し出している。モデルは小田切峰子という上海総領事の令嬢で、当時の政財界では有名人だったとか。彫が深い顔立ちに派手な化粧がよく似合っている。安井のパトロンだった熊本細川家の当主・細川護立に依頼されて描いたもの。

渡欧時代にセザンヌから影響を受けた彼が、帰国後は極度のスランプに陥って。佐伯同様に、欧州と全く違う日本の風景を前に思うような絵が描けない時期が長く続き、1930年頃になってようやくたどりついたのが「安井様式」と呼ばれることになる独自のリアリズムの世界。帰り道に、久留米の石橋美術館で観て感銘を受けた最晩年の作品群を思い出したっけ。


Matrox Millennium G550

2012-02-22 05:46:27 | 540 モノ
先週の土曜日の朝、とんだハプニングが発生。いつものようにPCの電源を入れてWEBを閲覧していると、突然画面からマウスポインタが消えて、なにやら変な黒い四角の影が発生し、そのままフリーズ。まあ、よくあることと強制でシャットダウンをさせて電源を再投入。ところが起動中にディスプレイのイネーブルランプが点滅して、画面には”No Signal”の表示が出るだけ。

あれーっと思いながら何度か繰り返してみたけど、症状は変わらずWindowsが立ち上がらない。こりゃ何か起きたなと悟り、どうしようかと思案し、とりあえずあれやこれやとドライバを再インストールし、はたまた親父が使っていたVGAタイプの別物ディスプレイを持ってきて接続。すると画面は一応見えるようになった。ところが起動中にどうしても”No Signal”状態に変わり、Windowsは起動しないまま。

セーフモードでは立ち上がるから、システムの復元等をあの手この手でトライしてみたものの症状は同じ。こりゃだめだとデル(DELL)のサポートへ電話。するとサービス契約が切れているとのコメント。そう言えば数年前にサービスを継続するかどうかの確認メールが来たっけ。まあ、2006年に購入してかれこれ6年目だから仕方がないのだけど。

PCが復旧しないと何もできなくなるので、その電話で特別サービスに申し込み。同一不具合が条件で1ヶ月間有効で約5千円。ところがQ&Aをしていると、「セーフモードで復元できなければシステムを入れ直すしか方法がない」との返事。おいおい、これまでしこたまインストールしたアプリケーションがパーかよとと背筋が寒くなり、とりあえず保留。

それからは再びネットで解決策を探索しまくり。結局考えて抜いて出した結論は、システムではなくビデオカードのハードウエアに問題がある可能性が高いということ。それで日曜日の朝、電気屋へ新品を買いに行こうと準備していた矢先に思い出したのが、昔ヤフオクで落札していたビデオカード。それが写真のMatrox Millennium G550 PCle。バルクで確か1万円ぐらいだった。久しぶりにデスクトップの本体を開けてPCI Expressカードを装着すると、何とあっさり動くじゃないの。5千円は無駄になったけど、早く直ったから良しとしよう。

BAR 25ans

2012-02-20 06:00:39 | 650 酒
先日は会社のつき合いで広島市街へ。会員制という、いかにも隠れ家的な日本料理屋で旬の食材を楽しんだ後、2次会のカラオケのお誘いを丁重にお断りして別行動を。カラオケはとんとご無沙汰。完全にジジイ化してきたなと。だけどカラオケに行った面子が皆自分より年上なので、ジジイ化でもないような気もするけど。それでまだ時間が早かったのでどうしようかと。

こんな状況ですぐに思い浮かぶ店がないのが情けない。それに拍車をかけているのが最近のオーディオ熱。お気に入りのスピーカーJBL4429を購入してからというもの、これを聴くのが一番の楽しみ。酒についても、シングルモルトの品揃えがヘタな店より格段に充実しているから始末が悪い。つまり自宅が音楽と酒を堪能できる最高の場所になってしまっている。

なんて言い訳は置いといて、その夜に向かったのがBAR「25ans」。フランス語でヴァンサンカンと読むというのを知ったのはつい最近。どういうきっかけだったかは憶えていないのだけど、このところ自分が利用している数少ない店のひとつ。入り組んだ雑居ビルの2Fにあるので、看板を見逃すと迷ってしまう。メインはカウンターで、後はテーブルが数席のこじんまりした店。

この店をひいきにしている最大の理由は、バーテンダーの女性がシングルモルトに詳しいこと。一昨年にアイラ島へ蒸留所巡りに行って帰った後に現地の話題で盛り上がって。しかし実際に訪問した自分以上に蒸留所に詳しいのには驚いた。それからは、訪れる度に彼女のオススメの品を注文することが増えているかな。言わばシングルモルトの師匠的な存在。

だけどそんな店なのに前回がいつだったか思い出せない。半年前ぐらい前かな。つき合い以外で市街に出ること自体がなくなりつつあるし。どうも自分の中でBARという文化が過去のものになっているなと。思えば煙草の匂いが嫌になり始めた頃からかもしれない。最近では禁煙の居酒屋が流行っているぐらいだから、禁煙のBARでもあれば嬉しいのだけど。

メバル

2012-02-17 05:45:00 | 400 釣り
先週の土曜日は友人に誘われて船釣りへ。狙いはタチウオとプラスアルファ。振り返れば昨年後半からタチウオの釣果はまずまずで、生まれて初めてドラゴンを釣り上げたこともあり、今年に入っても好調が続いていた。加えてバーナーによる炙りが手馴れてきていて、そのタタキの美味しさはまさに絶品。ただしさすがにシーズンも終盤。これが釣り納めかなと。

出船前に仕込みのために釣り道具屋へ向かう途中の会話。友人のひとりがタチウオのジグについての情報を提供してくれて。実は前回釣行した時に大物をつぎつぎと釣り上げていたのが彼。仕掛けをチェックすると、”団長ジグ”という商標の短めのジグを使用していた。これをシンプルなスローピッチで誘うのが昨シーズンからの流行らしい。しかもその”団長ジグ”に替わって最近は別のタイプのスロージャーク専用ジグが流行ってきているとか。うーん、ジギングの技術も進化しているなと。

このところ全く勉強不足の自分にとってはツライ話ではあったが、逆に励みにもなったかな。とりあえずジグと両刀使いをしているテンヤ用の冷凍サンマを買っていざ出船。このところの寒波で相当寒いと覚悟していたものの、その日には緩んできていて。天気も良く絶好の釣り日和。約1時間で魚場である鹿島沖へ到着。既にかなりの数の釣船が集結していた。

それでジグとテンヤの両方で釣り始めたもののアタリがほとんどない状態が続いて。外道のコウイカがポツポツ程度。その後数ヶ所場所を移動してみたもののいっこうに調子が上向かない。結局11時頃には諦めてメバル釣りへ変更。それからすぐに釣り上げたのがまずまずの良型。これは期待できるかなと期待が膨らんだものの、最後まで低調なまま14時に納竿。

たまたまその日の夕食はカミさんと二人だけだったけど、少ないながらもメバル、コウイカ、タチウオといった刺身三昧を堪能。サプライズは上の写真のメバル。その日のベストサイズの28cmをさばいたもの。まさにコリコリ、プリプリで食感といい味といい最高だった。ということで、今シーズンのタチウオ釣りもこれで終わり。十二分に楽しませてもらったのでよしとしなきゃ。



Dianne Reeves

2012-02-14 06:02:57 | 200 ジャズ
昨年からとりつかれたように女性ジャズヴォーカルのCDを買い漁る日々が続いていて。30枚ぐらいは買ったかな。そこで見つけた美人歌手、ジョアンナ・パスカル(Joanna Pascale)。彼女を聴くために、いや見るために昨年わざわざフィラデルフィアまで出かけたのは記憶に新しい。正直なところ自分の中ではアイドルに会いに行くオタク的な意味合いが強かったけど。

今日紹介するのは、まさに純粋に音楽を聴くため。現代のジャズ界において正統派女性ヴォーカルと言えば、まずはこの人、ダイアン・リーヴス。総合力でこの人の右に出る者はいないんじゃないかな。音域の広さ、ピッチの正確さ、ディクションやアーティキュレーションの素晴らしさ等等。欲を言えば、柔らかさとかゆとりとかが出てくればさらに懐が広くなると思う。

彼女は既に20枚以上アルバムをリリースしていて、どれも一定以上の水準をキープしているのでハズレは少ない。個人的には一般向けではなくマニア向けのアルバムに惹かれていて。マニア向けという意味は、選曲やアレンジが彼女自身の音楽の好みに忠実に従っていて、売れ線狙いじゃないってこと。その分ジャズを聴き慣れていないと、あまり楽しめないだろうなと。

そんな、所謂”通好み”のアルバムは最近では珍しく、自分にとっては貴重な愛聴盤になっている。紹介するのは次の4枚。年代順に、「I remember」(1991年)、「Ground encounter」(1996年)、「That day」(1997年)、「A Little moonlight」(2003年)。どれも素晴らしいのだけど、1枚だけと言われれば「That day」かな。これは持っている全ジャズCDの中でもトップ5に入るレベル。

個人的にはバラードに彼女の真髄があると感じていて、他のアーチストと比べて曲数も多い。それと共通して言えるのが録音の良さ。これらのアルバムの音のクォリティの高さは圧倒的。ジャズ好きのエンジニアならではの緻密な音作りが随所に感じられて、聴いていて思わずうなってしまう。そんな彼女のライブの様子がYouTubeにアップされていた。いつのかは分からないけど、パリにあるジャズクラブ「New Morning」での録音。聴いていると、なんか徐々に興奮してきて、こんな音楽をまたやりたいなという気分にさせてくれる。もう最高、素晴らしい。

   I RememberI Remember    Grand EncounterGrand Encounter

That DayThat Day     Little MoonlightLittle Moonlight

Quality Inn Lee

2012-02-09 05:57:08 | 870 米国紀行
米国旅行現地4日目の早朝にワシントンDCからボストンへ移動。さすがにアムトラックだと6、7時間かかるので飛行機を利用。これがマイレージで購入する最後のチケットになった。早朝にレーガン国際空港へ。ここにもPCを接続できるデスクが整備されてあり、しかもセパレートタイプ。出発まで他人の眼を気にせずしっかりDVDで映画を鑑賞できた。さすがに米国って感じ。

2時間弱のフライトでボストンのローガン国際空港へ到着。近くにあるハーツでレンタカーを借りて。目的地は140マイル程離れたマサチューセッツ州西部バークシャー郡レノックスにあるタングルウッド。空港からマサチュセッツターンパイク90号線に乗り、ひたすら西へ進む。土曜日の昼だったせいか、道路がかなり混雑していて。結局高速の2番出口まで約3時間かかった。

そこから20号線へ入り北上。のどかな田舎の風景を楽しみながら20分程走ると、その日の宿である「Quality Inn Lee」へ到着。事前にネットで予約したけど、この時期はバケーションでどのホテルも混み合っていた。ようやく予約できたのがここ。眺めの良い湖側にしたこともあって、なんと1泊17,000円。普段ならこの半額なのに。外観的にはホテルというより簡易ロッジだった。

受付でチェックインを済ませ部屋に入ると、古くはあったけど想像より広かったので一安心。テラスからの眺めも、いかにもリゾートって感じでまずまず。山側ではなく湖側の部屋にしたのが大正解。とりあえず今回の旅の最初で最後の洗濯を。ランドリーなんていうシャレた施設はないので、湯船に洗剤を入れて足でゴシゴシと。コンサートへ出かけるまでの時間を有効に活用。

結局ここでくつろいだのは洗濯後の1、2時間程度。すぐにコンサートへ出かけ、帰宅は真夜中。翌日も早朝にボストンへ向かったので、まさに寝るために泊まっただけ。まあカップルで来た訳でもないので文句を言う人がいなくて助かったって感じ。


White House

2012-02-06 06:16:47 | 870 米国紀行
米国旅行の現地3日目、プチ観光の最後がホワイトハウス。今更説明することもない米国大統領官邸。TVのニュースでよく出てくる日本の首相官邸がやけに味気ないと常々感じているだけに、この建物はしっくりきた。周囲が公園というのも景観を際立たせていたような気がする。すぐ傍の道路にはパトカーしか入れないということで、少し遠くに車を止めてもらって。

綺麗に整備された公園を通り抜けると、観光客、それも夏休みの小学生や中学生がキャーキャーはしゃぎながら見物を楽しんでいた。意外に人数的には少ないなと。それと、もっと警備が厳重なのかと思いきや、少なくともパトカーが1台止まっているのと、柵の周囲に数人警官がいる程度で、なんかフツーの観光地に毛がはえたぐらいの雰囲気。おいおい、大丈夫かよと。

しかし帰国して調べると、なんのなんの、ホワイトハウスそのものが要塞化しているのだとか。官邸内部の装備が凄くてさらに相当数の警護部隊が常駐しているらしい。例の9.11以降はさらに要員を強化しているということで、空からも陸からの攻撃に備えていて万全の体制だとか。まあ、そうだろうなあ。警備があまりにも騒々しかったら、観光客も引いちゃうだろうから。

そうそう、この建物は映画「ナショナル・トレジャー2(National Treasure)」の中にふんだんに登場していたのが記憶に新しい。一般開放される記念日を選んで主人公であるニコラス・ケイジとダイアン・クルーガーが、ここの学芸員をうまく利用して建物の内部へ潜入し、大統領執務室で財宝のありかを示す暗号が隠されているレゾリュート・デスクを調べるという設定。

だけど現実にはそんなことはあり得ないだろうなあ。まあそこが映画。ということで、夕日を浴びて黄金色に輝く白亜の建物を楽しんだ後で屋台でホットドッグを買い込みホテルへ。慌ただしかったけど、観光という点では、この旅行で最も充実した一日だったかもしれない。


ナショナル・トレジャー2 リンカーン暗殺者の日記 [DVD]ナショナル・トレジャー2 リンカーン暗殺者の日記 [DVD]

Washington D.C.

2012-02-02 05:53:32 | 870 米国紀行
米国旅行の現地3日目に、午前中フィリップス・コレクションとナショナル・ギャラリーという2つの美術館巡りをした後で一旦ホテルへ。とりあえず仮眠して、残りの時間でワシントンD.C.のプチ観光をしたいと思って。たまたまホテルまで利用したタクシーの運転手が、やけに愛想良く話しかけてきたので、これはうまく交渉すれば、観光地巡りを請け負ってくれるんじゃないかと期待して。

案の定、結果はOK。時間を指定して後で来てもらうことに。実は旅行の前に、何処にいくかはだいたい決めておいた。キャピタル・ヒル(アメリカ合衆国議会議事堂)、ワシントン記念塔、ジェファーソン記念館、リンカーン記念館、そしてホワイトハウス。せっかくワシントンD.C.まで来たのだから、有名どころは中には入らないまでも外からは眺めておきたいなと。

前回は約15年くらい前だったかな、仕事で1泊のみ。記憶に残っているのは、事務所があったロズリンの街並みとキーブリッジ橋、そしてジョージタウンにあるレニー・ホワイトが出演していたジャズクラブ「Blues Alley」ぐらい。いわゆる観光なるものをほとんどしなかった。最終日に空港に向かう途中でホワイトハウスにちょっと寄ってもらったぐらい。だからこそ、今回だけは王道を外さないようにと。

行きたい場所を書いたメモを運転手に渡して、後はおまかせ。まずはキャピタル・ヒル。ここはデイブ・グルーシンが音楽を担当した映画「Random Hearts」のラスト近くで出てきたのを憶えている。次が上の写真のワシントン記念塔。登ったことがあると運転手から聞いてビックリ。てっきり単なるコンクリートの塔だと思っていたから。それからジェファーソン記念館。この辺りは春の桜並木で有名。それからリンカーン記念館。やけに人が多かったなあ。ここは映画「National Treasure」の最初の方でアメリカ独立宣言書がらみで出てきた。

最後はホワイトハウスで、これは別の記事にするつもりだけど、とにかく2時間弱で5ヶ所というのは、いくらなんでも慌ただし過ぎたかも。さすがに疲れ果てた。当初は最後に何処かレストランへ行く予定だったけど、結局屋台でホットドッグを買ってホテルに帰りお手軽に済ませたから。でもまあこれも一人旅のなせる業。でも、今振り返れば、企画として間違ってはいなかった気はするけど。

キャピタル・ヒル
ジェファーソン記念館
リンカーン記念館