或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

バカラ タリランド

2006-04-05 06:16:32 | 520 アンティーク
バカラのグラスを何度か紹介してますが、今日は一番のお気に入りで1937年に作られた写真のタリランド(Talleyrand)。特徴は大胆なフラットカット。使っていると他のグラスと違うのがよく分かります。透き通るような白さ。まるでダイアモンドのよう。すぐに気がついたのがカミさん。いつもはこんなものにお金をかけてとあきれてますが、このグラスには一目置いている様子。

私が気に入っているのは、この光はもちろんですが実際の使用感。持ってしっくりくるから。バカラにはMとLと2サイズあります。でも、もともと外国人がつくったものなのでMといっても普通の日本人にはやや大きめ。それと種類によって同じMでも大きさが違う。例えばマッセナなんかはMでもえらくでかい。そんな中で一番小ぶりなのがこのタリランド。日本人向きでオススメです。

この名前は、フランスの外交官タレーランに由来してるとか。調べてみると、彼が最も活躍したのが1814年のウィーン会議。ナポレオンがライプツィヒの戦いに敗れて退位したあとのヨーロッパをどうするのか、国境線、政治体制・・・。各国の代表者が集まって議論したけど半年以上も続き難航。だけど一番立場の悪かったフランスは、タレーランがうまく立ち回って領土を確保。

彼はフランスを守るために「正統主義」という理屈を持ち出してたそうです。フランス革命以前のヨーロッパの姿が「正統」、つまり正しい状態。全てを革命前の状態に戻そうと主張。各国はこれに見事にだまされた。当時彼につけられたニックネームが、「変節と嘘と汚職の天才」、「冷徹で偉大な現実主義政治家」。でも外交官としては褒め言葉なんでしょうね。

それでこのタリランド。ウィスキーを飲む時によく使うんだけど、最近知らない間にグラスの周りが数箇所欠けてるのを1個発見。かなりショック。今悩んでます。捨てるべきか、捨てざるべきか、なんかハムレットの心境。ちょっと古いか。今日は感覚がどうも昔にタイムスリップしているようです。(笑)