或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

メトロ

2009-05-29 06:16:49 | 830 パリ紀行
前回の記事でSNCFを紹介したのなら、頻繁に利用したメトロ(地下鉄)を外すわけにはいかない。と言いつつ既に何度か記事の中で取り上げてはいるけど。渡欧前にパリの地下鉄は最初に路線図を見た時、これは東京よりも規模的に大きいかなと思った。それくらい東西南北に駅がまんべんなく散らばっていたから。実際に利用してみて、それが間違いじゃなかったと納得。

メトロにはいくつか特徴があるけど、分かり易いので東京との比較で言えば、まずは運賃。1区間だけでも、どれだけ途中で乗り換えて何区間乗ろうとも運賃は全線均一で1.6ユーロ(約200円)。遠くまで乗れば乗るほどお得ってこと。だからだと思うけど改札口は乗る時だけ。降りる時はなし。これって慣れるまで面食らったかな。ついつい切符を捨てるタイミングを失うから。

実際に乗ってみて最初に驚いたのが、ドアが手動式だったこと。つまり降りる客が自分ひとりだと、自分でドアノブを操作してドアを開けなければならない。これがけっこう固くて、慣れないうちはあせったりもした。というより開けること自体を忘れてしまい慌てたことも。それと日本のシステムに慣れていると、なんか不衛生に感じたなあ。新型インフルエンザで過敏になりすぎか。

大きな違いはこの2点ぐらいだけど、何度利用しても間違いそうになったのが駅のホーム。自分の目的地に対して上りと下りのどちらで乗ればいいのか迷ってしまって。そのうちに路線図の最初と最後の駅名を確認するクセがついたけど。情けない話が3、4回は間違えたような。そんなこんなでミスを犯しながらも身についたノウハウがひとつ。これは東京も同じだけど、乗り換えは乗り入れの線が少ない駅を狙うこと。オペラとかレ・アルとかメジャーな駅だと、ヘタすると500mぐらい歩かされるから。

そうそう、メトロに乗って思うのが、さすがにパリは美人が多いってこと。スタイルも素晴らしいし。ファッションもねえ、いかにも洗練された都会って感じ。今でも鮮明に記憶に残っているのが、なんと学生らしき日本人。ちょうど席向かいになって。日本人だと分かったのは、彼女がバッグから取り出した村上春期の「スプートニクの恋人」(1999年)を読み始めた時。単行本の縦書きの文字が懐かしかった。声をかけたかって?いや、キレイすぎてビビッてしまって。まだこの小説読んでいないし。

スプートニクの恋人(単行本)スプートニクの恋人(単行本)   スプートニクの恋人(文庫本)スプートニクの恋人(文庫本)

SNCF

2009-05-27 05:44:33 | 830 パリ紀行
今回の旅行で利用した交通機関と言えば、空港から利用したロワシーとエールフランスの直通バス、前の記事で紹介したメトロ(地下鉄)、それと今日紹介するフランス国有鉄道、SNCF(Societe nationale des chemins de Fer francais)。利用した駅はサン・ラザール駅だけ。北駅、東駅、モンパルナス駅と他にもあったけど、ホテルに近かったし”モネの絵がらみ”だったから。

なんかねえ、良い思い出がないなあ、SNCFには。最初にモネゆかりのジヴェルニーに行こうとして、駅に入って左奥の切符売場へ行くと、「ここじゃない、対面の赤いランプがついているところ」と言われて。確かにあったけど、対面といっても駅の端から端までで200mぐらいあって、かなり歩いた。翌日ゴッホゆかりのオーヴェールに行く時に、自信満々で昨日利用した右奥の切符売場へ行くと、今度は「ここじゃない、対面の緑のランプがついているところ」と言われて。おいおい、また逆かよとガックリ。

どうも目的地がパリ近郊のイル・ド・フランスは左奥、それ以外は右奥と別れていたみたい。まるっきり逆をやったってこと。事前に調べたけど、そこまでは分からなかった。それで終わればまだ良かったけど、オーヴェールに行く時に窓口のおばさんにうまく行き先が伝わらなくて、結局乗り換えをするポントワーズ駅までの切符しか買えなくて。ところが心配は無用だった。なんと改札口がないんだから。切符がなくても列車に乗れてしまう。到着駅のオーヴェールは無人駅で出入り自由だし。

後で分かったけど、SNCFはコンポステという乗客がホームに設置されている機械に切符を入れて刻印する”性善説”ありきのシステムを採用していて。それじゃ無賃乗車やり放題かよと思うけど、たまにはコントロールと呼ばれる検査隊が列車に乗り込んでチェックするらしい。見つかれば切符があっても刻印がないだけで罰金を取られるとか。それにしてもルーズだなあ。

上の写真はオルセー美術館で撮ったモネの「サン・ラザール駅(La Gare Saint-Lazare)」(1877年)。事前に駅の構内で写真を撮っていたのでイメージはバッチリ。やはり特徴的だったのは100年以上経っても変わらない屋根の形かな。マルモッタン美術館にもこの駅で描いた別の作品があって、それもなかなかの出来だった。調べるとこの駅で10枚以上描いたらしい。他のも観てみたくなったけど。


トイレ

2009-05-25 06:21:24 | 830 パリ紀行
旅行中に言葉の次に困ったのがトイレ。パリでは無料で自由に使えるトイレが少なかった。事前に情報として知っていたとは言え、行ってみて実際にそれを実感。まあフランス語を喋れないことが、その不便さを増幅していたのは確かだけど。

最初に直面したのがサン・ラザール駅。列車に乗る前に済ませておこうと、売店で場所を聞いて行ってみると、なんと入口にゲートがついていた。その横にはおばちゃんが2人座っていて。イメージとしては、ちょうど銭湯の番台という感じ。それでシステムや料金が全く分からないので財布の小銭入れを広げて突き出すと、コインを取って中に入れと手で指示してくれた。そこで初めてコインを自分で投入する自動式じゃないことが分かって。それにしても、こんな公共施設で金を取るとはねえ。

最悪だったのが街角の公衆トイレ。そう、かつて佐伯祐三の「共同便所」(1928年)のモチーフにもなった。最初は有料かと思ったけど、たまたまそこは無料だった。ただし中に入ると、その強烈な匂いと汚さに絶句。日本の公園なんかにあるのよりもっとひどかった。それからはもっぱら美術館とカフェを利用。カフェについてはトイレに行くためにわざわざ入ったことも何度か。

”トイレつながり”で面白かったのがウォッシュレットの話。ホテルのトイレットペーパーの紙質がボロかったせいあるけど、ウォッシュレットを使わない生活が1週間以上続いたので痔になってしまって。あれって日本だけ普及率がやけに高いらしい。一般的に日本が軟水に対し海外では硬水が多いからノズルにカルシウムが詰まるからだとか。それだけじゃない気はするけど。

更に面白かったのが”水つながり”で味噌汁の話。今回も緑茶や柿の種、スルメといったおつまみに加えて、インスタント赤だしを持って行ったのだけど、どうもいつもと味が違う。調べると、味噌汁の”うま味”の元はグルタミン酸やアミノ酸で、硬水のカルシウムはこれらの成分と結合しやすく、せっかくの旨味がアクになってしまうのだとか。なるほどね、なんか勉強になった気がする。

WiFi

2009-05-22 06:36:13 | 830 パリ紀行
旅行するにあたり最も気を使ったのがパリのインターネット事情。わざわざ日本からネットブックを持参しても、インターネットに接続できなければまるで意味がない。観光スポットやレストラン等のアクセスチェックやブログの記事のアップロードには欠かせないから。調べると、パリではWiFi(ウィフィ)と呼ばれる無線LANのインフラが近年急速に整備されているとのこと。

マクドナルドや一部のカフェでは確実につながることが分かったので少し安心はしたけど、やはり作業の中心はホテル。ところがホテルによりWiFi環境にレベル差があり、たとえ”WiFi完備”とHPに記載されていても実際には電波が弱くてつながらないケースがあるとか。それとインフラそのものの利用は無料だけど、接続するには現地プロバイダとの契約が必要になることもあり、この場合は1時間10ユーロとか、ネットカフェ以上の接続費用が必要になったりするケースもあったりしてややこしい。

不安なので予約する前に直にホテルへメールを送って確認までした。するとラッキーにも今回利用した2つのホテルから接続完全無料との回答が。ただそれでも不安だったのは確か。到着後にフロントでパスワードを受け取り部屋で接続してみてようやく安心できたから。そう言えば最初のホテルは電波が弱く、別の部屋だったら接続できなかったのでは?とも思ったし。

ホテルで接続できたことに気を良くして他の場所でもトライしてみた。パリでは図書館や学校、駅等の公共施設でもWiFi環境の整備が進んでいて。機会が巡ってきたのが郊外へ遠出する時に利用したサン・ラザール駅の構内。ここでも簡単に接続できた、ただし駅が運営する情報サイトへのみ。他のサイトへの接続にはプロバイダとの契約が必要ということ。後で調べると、構内ではIDとパスワードが記載された時間従量制の”WiFiカード”なるものを販売しているらしかったけど。

当たり前と言えば当たり前か。それはともかくホテルでインターネットを無料でフルに利用できた意義は大きかった。そうそう、予想に反したのがドコモのiモード。海外からのメールを日本で受信できないことが分かって。日本のプロバイダ限定ってことか。


携帯用スピーカー

2009-05-20 06:20:50 | 830 パリ紀行
今回の旅行に持っていって良かったとつくづく感じているのが、写真のオンキョー製LX-1Jという携帯用スピーカー。旅行のためにわざわざ購入したもの。といっても在庫処分特価で2千円だったけど。AC電源と電池の両方が使えて、ネットブックにダウンロードした音楽ファイルをホテルの部屋で存分に楽しむことができた。時にはジャズ時にはクラシックと、その時の気分に合わせて。

渡航先が米国だと、無数のFM局の中からジャズやR&Bの専門チャンネルを選んで聴けるので苦労はない。ところが欧州となると、自分の趣味に合うものがなかなかなくて。それに今回泊まった2つホテルには、よくあるラジオ一体型の時計が設置されていなかったし。だからまさにうってつけ。音も上質とは言えないまでも、値段と利便性を考えれば十分すぎるくらいだった。

音楽と言えば現地でウケたのが、メトロ(地下鉄)がらみのストリートライブ。大きく分けて駅の通路でやっているやつと車両に乗り込んできてやるやつの2種類。音楽の種類も演奏スタイルも千差万別。加えて目的もいろいろ。つまり日銭稼ぎもいれば、金目当てではなく武者修行?的なのもある。通路で目立ったのがクラシックのアンサンブル。これには感激した。どこかの音大の学生らしき若者が10名程度。腕もまずまずだったけど、エコーのかかり具合が良かった。意外な場所での意外な音楽。

それに比べて車中は金目当てで、しかも車両ジャック的な要素が大きくて、最初は少し怖かった。だっていきなり自分のすぐ前で生演奏を始めるから。印象に残っているのが中東系の中年のアルト・サックス吹き。背中にカラオケ用のラジカセを背負っていて。風貌はなかなかで上手いのかなと期待したら、音色はまずまずながらフレーズは完全なシロウト。日本の高校生レベル。まあシチュエーションとして楽しみはしたかな。しかしデイブ・ブルーベックの”Take Five"は久しぶりに聴いたような。

毎日通勤している人は、「またかよ」と迷惑しているような気がするけど。

オンキョー LX-1J

フランス語

2009-05-18 06:15:03 | 830 パリ紀行
旅行中に一番困ったのが言葉。前回のパリ訪問で英語がほとんど通じないことは分かっていた。というのもメトロ(地下鉄)の切符売場で自分が英語で話し始めると、窓口の女の子がシラけた顔をしたから。結局その時は身振り手振りでしのいだけど。その反省があって、今回は行きの飛行機の中で、ずいぶん前に買ったアンチョコ本を利用してフランス語をにわか勉強。

しかし普段全く馴染みがないので困ったのが発音。そのアンチョコにはカタカナで発音が併記されていたけど、本当にそれで通じるのかどうかが不安でしょうがなかった。それを試す良い機会が訪れたのがシャルル・ド・ゴール空港からオペラ座へ向かうロワシーバスの車中。最後に飛び乗ってきた若くてキレイ系の女の子が、なんとたまたま空いていた自分の隣りの席へ。

「Parler vous l'anglais?(英語を話しますか?)」と聞くと「Oue(はい)」と答えてくれたので、「何処から来たの?」と英語で続けると、なんとパリ。今思えば旅行者じゃなくて空港関係者じゃなかったかと。でもこれはいいチャンスと、どうしても使いたい単語を見せてはフランス語で喋ってもらった。これって早い話がネイティブによるマンツーマンの語学学習。助かったなあ。

しかし喜んだのもつかの間。アンチョコに書いているカタカナと発音がかなり違う。例えば白ワイン(Vin Blanc)はヴァン・ブランじゃなくてヴァン・ブロン。赤ワイン(Vin Rouge)はヴァン・ルージュではなくヴァン・フージュ。ロゼワイン(Vin Rose)はヴァン・ロゼじゃなくヴァン・ホゼといった具合。3つ共に全部アンチョコと違ったのでかなりショックだった。案の定、後で不安は的中。

とにかく通じなかった、というのが旅行を終えた実感。最悪だったのが、とあるカフェ。自分のフランス語がほとんど通じず、相手をしてくれた若い店の女の子もイライラ。彼女は少しパニくっていたのか、自分が「ビエール(biere)」と何度言っても首をかしげている。すると横にいたフランス人の客が「ビエール」と繰り返し始めて。それで彼女はようやく気づいてくれた。おそらく英語を喋っていると勘違いしたのでしょうね。それにしても疲れた。今思えば、「ハイネケン」と言うのが一番通りが良かったような。

Hotel Elysee Montparnasse

2009-05-15 05:45:33 | 830 パリ紀行
前回の記事で、ホテルの場所は空港からの連絡バスのアクセスで決めたと書いたけど、パリで後半3泊したモンパルナスについては、かつて佐伯祐三が住んでいたからというのが、それ以上の理由かもしれない。それと、前半のホテルが生活し易かったものの派手さが全くなかったので、後半は少し気分を変えて遊び心が欲しいなと思ったのは確か。せっかくのパリだし。

最終的に決めたのがエドガー・キネのすぐ南に位置する「Hotel Elysee Montparnasse」。連絡バスの停留所があるモンパルナス駅にも近く、モノプリも至近距離にあり、今思えばここもベストロケーション。料金は3連泊でも1泊100ユーロちょっとしたけど、ビュッフェ形式のコンチネンタル朝食と完全無料無線LAN(WiFi)が含まれていると思えば基準はクリア。それと決め手になったのが洗練されたモダンな内装。

写真を見てもらえば分かるけど、このホテルの全室に大きな絵画のポスターが飾られていて。それが茶系のシックな内装とマッチして、ある意味で芸術的な雰囲気を漂わせている。部屋毎にポスターの種類は違っていて、自分が泊まった仏式2階の部屋にはクリムトの「扇と婦人」(1918年)が。なんとも艶やかで色っぽい女性がモチーフというのが男の一人旅にはピッタリ。

前半4泊したホテルとはだいぶ雰囲気が違っていて、レセプション横の待合ブースも広かったし、朝食を取るレストランも地階に独立して設置してあって広くて綺麗だった。コンチネンタルと言いながら、卵やハム、ソーセージの料理も少しはあったし。

だけど部屋の狭さは別として、難点は冷蔵庫と湯沸しポットがなかったこと。これじゃビールを冷やすことも、持参したインスタント味噌汁やお茶を作ることもできない。これって高級な路線を目指すこの手のホテルにありがちかもしれない。つまり電話一本で何でも対応するというサービス重視の姿勢。その意味ではそこそこゴージャスだし、新婚カップルには向くかもしれない。




Hotel Louvre Marsollier Opera

2009-05-13 06:27:18 | 830 パリ紀行
けっこういろいろ探したのがパリでのホテル。高級なところに泊まろうなんて気はさらさらなくて、とは言え部屋の鍵がかからない、シャワーの出が悪い、周辺の雰囲気が悪いとか、そんな基本的な領域で文句が出るような粗悪なところは避けたかった。

前回利用したのがホテルチェーンの ibs(イビス)。ここは内装等も規格化されており、その意味でハズレが少ない。今回もまずはここを確保。パリ市内だけでも数十ヶ所以上あるし、予約のキャンセルフィーが前日までは発生せず、とりあえず予約しておけるというのが最大のメリット。

それからはかなり悩んだかな。いろいろと調べていくうちに日本や欧州の代理店を通すより、自分で直接ネットから予約した方が、しかも3連泊という条件付きだとさらに割安な価格設定になっていることが判って。それで全7泊を4泊と3泊に分けて2ヶ所を予約することに。自分の中でのこだわりはいくつかあって、場所、価格、内装、無線LAN(WiFi)がその4大要素。

場所は前半がオペラ、後半がモンパルナスにすんなり決定。というのもシャルル・ド・ゴール空港から連絡バスの直行便が出ているのがこの2ヶ所。これは利用するにも費用でも有利。次が価格。朝食と無線LANの費用抜きで1泊100ユーロ未満にターゲットを設定。内装は乙女チックや派手なのだけは避けて、後は無線LANが完全無料で接続できるところ。これがねえ、共に人気地区だけになかなか難しかった。ハッキリ言って、これらの条件を全て満たしたのは今回利用した2つのホテルだけ。

前半の4泊は、オペラ座の南東に位置する「Hotel Louvre Marsollier Opera」。メトロ(地下鉄)のオペラ駅と日本人街のちょうど間にあって、他の2駅へも至近距離。コインランドリーやモノプリにも近く、驚くほど静か。今から思えばベストロケーション。部屋は仏式7階の東向きで、ビルの谷間から昇る朝日が望め、しかも冷蔵庫や湯沸しポットもついていて快適だった。

ただしカップルには向かない。狭くて古いし地味でゴージャス感はゼロだから。でも自分はひとりだし逆に落ち着いたかな。食べなかったけど、高くてまずそうな朝食を除けばオススメ。そうそう、このホテルはオスカー・ワイルドが晩年のパリ時代に1年ぐらい住んでいて、これは別の記事に。




Leon de Bruxelles

2009-05-11 06:18:28 | 830 パリ紀行
日本料理でもフランス料理でもないけど、同じ店を2度も利用したのがムール貝の料理で有名な「Leon de Bruxelles(レオン・ド・ブリュッセル)」。ここは絶対に外せなかった。自分の中のかすかな前回のパリ訪問の記憶の中で唯一記憶に残っているのがこの店。その時はシャンゼリゼ店だったけど、今回は2度ともオペラ店。大型チェーン店で、パリ市内に8、フランス全体では30近くも店舗を持っている。

店舗はグリーンを使ってまとめられており、通りを歩いていても遠くからすぐに分かる。店に入る前から注文する料理は決めてあって、下の写真のムール貝のバケツ入りの大盛り。ムール貝と言えばベルギーが本場で、この店もベルギーから欧州全土へ進出している。店内は、いわゆるファミレス有名店の雰囲気で、実に国際色豊か。もちろん英語もフツーに通用するし。

いよいよ料理が運ばれてきてバケツの中を覗くと、スープが透明ではなく白い。「あれっ」と思ってメニューを見直すと、一番上に載っていたのは季節のオススメで、食べたかった定番メニューではなかった。「しまった」と思ったけどもう遅い。でもクリーム系は苦手なんだよなと思いつつ貝を口に入れると、アクセントとして入っているセロリとのコンビネーションが美味しくて。

結局十分にムール貝を満喫。数えてみると50個ぐらいは入っていた。外観的にはバケツに入っているので量が多すぎると最初は思うかもしれないけど、ほとんどが殻なので、全部一人で食べても日本人にはちょうど良いぐらいのボリューム。「これだよ、これ」と満足しながらホテルへの帰路についたけど。周りを見回すと、だいたい客の半分はバケツを注文していたかな。

ところが旅程も半ばを過ぎた頃から、満足したはずなのに何処か引っ掛かっている自分に気づいて。「やはり定番を食べておかないと後悔しそう」と再訪。しつこいなあ。今度はメニューをしっかりチェックして、係りの人にもダメ押しで確認して白ワイン蒸しを注文。「これだよ、これ」とゆっくり味わいながら食べたけど。思ったより料金が高かったけど貝好きにはオススメです。


Domaine de Lintillac

2009-05-08 06:19:11 | 830 パリ紀行
前回の日本料理もそうだけど、フランス料理も十分に堪能したとは言えない。まあ気軽な一人旅だし、別に女性を誘って勝負する訳でもなく、経費削減のために最初から星付きの高級レストランは眼中になかった。とは言えちょっとだけ調べてはみたけれど、コース料理で1万円は軽く超えそうだったし。それで目をつけたのがB級の低価格系ビストロ。5、6軒はリストアップしておいた。

利用したのは3軒。手始めの1軒目は、オペラ座の少し東に位置するチェーン店「CHEZ PAPA(シェ・パパ)」(153 rue Montmartre, 75002)。2軒目はモンパルナス駅とエドガー・キネの間にある「La Cerisaie」(ラ・スリゼ)」(70 boulevard Edgar-Quinet, 75014)。どちらも安さがウリ。味は可もなし不可もなしといったところ。それでもメインだけで15ユーロ程度はかかった。

それでどうしても食べたかったのが、いわゆる鴨料理。中でも特にフォアグラとマグレ・ド・カナール(magret de canard)と呼ばれるフォアグラを取った後の合鴨の胸肉。ネットで見つけたのがオペラ座に近い写真の鴨料理専門店「Domaine de Lintillac(ドメーヌ・ドゥ・ランティヤック)」(10 rue Saint Augustin, 75002)。ここを予約したのが帰国前日の昼間。

ようやく希望の料理が食べられると期待して夜7時半に店に入ると、なんと客は自分ひとり。出迎えたスタッフは、どう見てもビストロ勤務とは思えないマドロス風の筋肉モリモリ系。しかもそれをアピールするかのようなラフなTシャツ姿。逆に店の内装で目立ったのが、彼らに全く似合わない赤いチェックのテーブルクロス。どうみてもセンスが良いとは思えない。おいおい、最後の最後に、またハズレかよ?と泣きを入れたくなったけど。蛇に睨まれた蛙状態で、次の客が入ってくるまでつらかった。

注文したのは、<食前酒>キール<赤ワインハーフボトル>Chateau la Caminade(シャトー・ラ・カミナード)<前菜>フォアグラのソテー<メイン>鴨のマグレとポテト<デザート>クレームブリュレで、占めて45ユーロ(約6000円)と安かった。肝心の味はどうだったかって?これが美味しかった。渋みとコクのあるワイン。柔らかな産地直送のフォアグラ、粗塩のシンプルな味つけのマグレット。表面のカリカリ感が本場を感じさせるクレームブリュレ。土壇場で嬉しいサプライズだったかな。