或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

ツーリ・リー

2005-11-30 06:14:57 | 300 絵画
ちょっと前に広島三越から来ていたDMが下の写真の個展の案内。いいですね、こういうDMは。カスタマーリレーションもこういう風だと客も喜ぶだろうなあ。でもお金がないからもう買えないけど。(笑)

私が持っているのは、2年ぐらい前に開催された個展で購入した上の写真の油彩画。題名は「穏やかな日」。作者はツーリ・リー(Zili LI)という上海生まれの私と同世代の中国人。著作権の関係でやや斜め撮りしてます。

普段からいい絵はないかと画廊やデパートの個展に行っていろいろ探していて。フォービズムや印象派の流れをくむ絵画というのは、ありそうで意外と少ない。特に地方都市ではなかなか難しく、5年ぐらい探してようやく見つけたのがこの絵。

その日はたまたま街に出てふらっと三越に。この画家の名前は知らなかったけど、最初の作品を見たとたん私の感性がピクッ。それで購入した絵の前に来てこれはと思っていたら、別の客が購入しそうだったのでカミさんを強引に説得。そしてその場で購入。ちょうど彼も会場にいたので、一緒に写真を撮ったり、サインをもらったり。ミーハーですね。(笑)

彼はフランス在住で、フランスやイタリアの風景を中心に描いてます。絵の特徴は、その色彩感覚とタッチ。この絵はベニスで描いたもの。家々の赤茶色の壁と水面の緑色のコントラストが印象的でとても気に入ってます。

自宅の玄関に飾ってるので毎日帰宅する度に見てるんですが、いつも癒されます。世界でひとつしかないものを持っているという満足感は、絵画ならではのものですね。


アジ

2005-11-29 06:19:13 | 400 釣り
先週の土曜日、友人と遊魚船で瀬戸内海に釣りに行きました。好天で波も穏やか。絶好の釣り日和。船に乗って海の上を走ると気持ちが良かったなあ。場所は山口県大島近郊の片島周辺。釣果は上の写真で、25~35cmのアジが10匹、35cmのウマヅラハゲが2枚、そして思いがけなく釣れた40cmのイサキ1本とまずまず。

初めて使ったのが下の写真の電動リール。船用のリールは手動のものを3つ持ってますが、そろそろ電動が欲しいと思っていたら、最近ダイワから廉価版が発売されたので満を持して購入。道糸つきで3万5千円。安くていい買い物でした。

最近瀬戸内海も魚が減ってます。昔はアジも水深20m~30mぐらいの近場で釣れましたが、年々サイズも小さくなるし少なくなるしで、今では良型を求めて遠方の50~80mの深場に行くように。すると手動だと巻き上げに疲れて帰る頃には手首が腱鞘炎状態。まあ年のせいもありますけど。(笑)

今回電動の威力を十分に体感しました。もう手動には戻れない。車で言えばマニュアルからオートマチックに乗り換えた時のような感覚。釣り上げる時の感触は確かに手動の方がいいんだけど。

それで休日の夕食は魚三昧。まずは下の写真のアジとハゲのお造り。プリプリ感とシコシコ感が最高。この時期は日本酒がお供。その後がハゲ鍋。ハゲって味がフグによく似ていて、カキと共にこれからの時期の鍋には欠かせません。翌日はパスタの前菜にイサキのカルパッチョ。冷えた白ワインとの相性がピッタリ。久しぶりに新鮮な魚を堪能しました。(笑)



LD回顧(4)[システム手帳]

2005-11-28 06:19:51 | 800 観光
これまで記事にしてませんが、けっこう文房具好きです。今日はシステム手帳の話。全部で5個ぐらいあるかな。使い始めたのは1984年に日本にファイロファックス(Filofax)が入ってきてブームになった時。

友達が持って歩いているのを見て、カッコいいなあ、なんて感じて。すぐに購入したのが上の写真の定番の黒い牛革。当時4万円近くしたから、かなり高価。1985年のプラザ合意時点で為替が1ドル250円、その数年後に150円ぐらいまで円が切り上がりましたから、ちょっと買うのが早すぎたかもしれません。

ただ仕事では大助かり。スケジュール管理に加えていろんな情報を整理することで、ノウハウマニュアルみたいにも。中でも東京の路線地図。出張した時JRや地下鉄の乗り換えで重宝しました。

それと飛行機の座席表。チェックインの時に交渉すると意外といい席が選べるんです。飛行機でも新幹線でもそうですが、私は通路側が好き。何故かって?トイレとかに行く時に人の邪魔をせずに通路に出られるから。だから新幹線だったら基本は2列席の通路側のD席。カミさんは窓側が好きなのでこればかりはもめません。好みが違うのもこういう時はいいですね。(笑)

それで当時ボンドストリートにあった下の写真のファイロファックスの直営店でこの手帳を修理。日本で頼もうとしたら英国に返送すると言われて。そこまではと思い保留してました。

よくある不具合でファスナーの樹脂のキャップ割れ。これを新しいのに交換。接客がていねいで修理が無料。しかも店員の女性が知的で洗練された感じの金髪美人。以来ずっと良いブランドイメージが私の頭に形成されてます。(笑)


矢野沙織

2005-11-25 07:11:56 | 200 ジャズ
今日は久しぶりにマイッタ話。昨年DVDレコーダーを購入してから、毎週ものを何本か録画予約してます。デジタルってテープがいらないからホント楽。知らない間に録音してくれて。ちょっと見て興味がわかなければすぐ消せばいいし。

その中の一つがNHK教育テレビで毎週日曜日の夜7時から放映されている「トップランナー」。色々なジャンルで活躍している若手を紹介する番組。この間のゲストがアルトサックスプレーヤーの矢野沙織。名前はちょくちょく聞いてましたけど、顔をみるのも演奏を聴くのも初めて。最初なんか可愛い顔した今どきのキャピキャピ系の女の子だなあって見てたら演奏が始まって。

正直ぶっ飛びました。上手い。フィル・ウッズと大友義雄を足して割ったようないい感じの音色。いわゆる正統派でこれまでの日本人プレーヤーにいなかったタイプ。一番感心したのは音程。バッチリです。これってかなり凄い。

唯一の救い?がアドリブ。まあなにせ1986年生まれの19歳ですから。フェイクはまずまずだけどアドリブはねえ。ちょっと安心?ていうかこれからのお楽しみ。だってこの年で枯れたフレーズ吹かれちゃ、ベテラン男性陣は立つ瀬がないですから。(笑)

CDを調べたら最新盤が上の写真のジャケットの「PARKER’S MOOD」(2005年)。なんと米人リズム隊とのNYでの競演。参りました。キャンディ・ダルファーとか凄い女性サックス奏者が出てきたなあと思っていたら、日本にもいるんですね。

さらに古館伊知郎がキャスターを務める番組「報道ステーション」のオープニングテーマ曲“Open Mind”が同世代のピアニスト松永貴志と彼女のコラボであることを発見。イカしてると感じてたけど、まさか彼女の演奏とは。HPの“オープニングの舞台裏”で試聴できます。世の中変わったもんだ。

PARKER'S MOOD Live in New York

Open MindOpen Mind

いそしぎ

2005-11-23 06:18:31 | 350 映画
今日は映画の名作、エリザベス・テイラー主演の「いそしぎ(The Sandpiper)」(1965年)の紹介。相手役はリチャード・バートン。サンフランシスコの南、カーメルの近くのビック・サー(Big Sur)の海岸が舞台。

でもそんなさわやかなシチュエーションなのに、内容的にはどろどろした男と女の不倫の物語。いけませんねえ。結局印象に残ってるのは、場面毎にコスチュームが替わる彼女の色っぽさだけ。存在感あったなあ。1932年生まれだから、撮影時は30歳ちょっと過ぎ。それにしては老けて見えたけど。でも画面から滲み出る色気はどうよって感じ。

この手の人って、自分の魅力が良くわかっていて男を手玉に取るタイプ。飲み屋のママとかやらせたらピッタリ。まあ日本で言えば、往年の夏木マリ、今で言えばさしづめ叶姉妹ってところ。違うか。(笑)

このビデオを借りたお目当ては、ジョニー・マンデルが担当した音楽。イントロからキレイな海岸の景色がふんだんに出てきて、そこにメインテーマの”いそしぎ(The shadow of your smile)”が流れるもんだから、もうたまりません。この曲はこの年のアカデミー賞の歌曲賞を受賞。ジャズ界でも大人気。私も大好きな曲でよく演奏しました。

彼はミッシェル・ルグランやヘンリー・マンシーニに引けをとらないぐらい、その筋では有名な作曲家兼アレンジャー。この作品以外にもたくさん映画音楽やアルバムのアレンジを担当してます。それらはまた別の記事で紹介しますね。

写真は、上が映画の中にも登場した、タイトルにもなっているアメリカイソシギ(Spotted Sandpiper)で「鳥遍路写真館」(http://bird.incoming.jp/)、下が舞台となったビッグ・サーの風景で「Waves」(http://www.powerfloe.com/)からのフリー画像。


The Sandpiper: Original Sound TrackThe Sandpiper: Original Sound Track

広島(9)[宮島]

2005-11-22 06:19:51 | 890 広島
紅葉狩りの締めくくりとして、世界遺産として全国的にも有名な日本三景のひとつ“安芸の宮島”に行ってきました。タイミングをチェックしてましたが、先週末がベストという情報を得て。まさにその通り。紅葉谷という場所が紅葉の名所なのですが、ここは山の斜面でけっこう高低差があります。高いところはもう枯れていて、低いところはもうすぐ見頃ってところ。

実は自宅から宮島まで電車15分+フェリー10分ぐらいでホントご近所。まさに“灯台元暮らし”。何年ぶりだろう。普段道路を通れば普通に見えるし、いつも近くに釣りに行っているしで、わざわざって感じがするんですね。でも近いんだからもっとどんどん行かなきゃ。もったいない。(笑)

観光地っていいですね。フェリーの中でもみんな楽しそう。島に着いて名物の鹿が寄ってくると、なんだか気持ちが和んじゃって。それにしても人出が凄かった。毛利元就の厳島合戦の舞台となった要害山や千畳閣、五重塔を見た後、平清盛がこよなく愛した厳島神社へ。久しぶりに見た大鳥居は秋の日差しを浴びて綺麗だったなあ。

それで表通りのお店が混雑するのは分かっていたので、地元の通だけが知ってる“あなごめし”「和田」で昼食。前に紹介した「うえの」に優るとも劣らない味を堪能。でも店のおばさんの応対にはビックリ。席についても注文を聞かない。そのうちあなごめしが勝手に出てきて。それだけ。ノーコミュニケーション。愛想一切なし。確かにメニューはあなごめし一品のみ。でもねえ。(笑)

その後で紅葉谷へ。今年は冷え込みが少なかったそうで、紅葉の色づきはイマイチ。でもえんじ、赤、黄、緑の多彩な色が光と交錯して、幽玄な雰囲気が醸し出されていて。タイムスリップしたような感覚。歴史を感じさせる美しさでした。



佐伯祐三(2)

2005-11-21 06:28:34 | 300 絵画
今日は彼の略歴を紹介しておきます。1898年の大阪生まれで、裕福な寺の住職を父にもつ次男坊。1915年(17歳)頃から油絵を描き始め、1918年に東京美術学校に入学。そして1920年には、当時恋愛関係にあった池田米子と結婚。そしてその年に下落合にアトリエを新築。1922年には長女の弥智子が誕生。

まあ私生活でみれば、ひ弱でずぼらでわがままな感情に左右され易いボンボン、という感じ。そして1923年に卒業。その年の暮れに第1回目の渡欧。とにかく本場で絵を描きたくてしょうがなかったんでしょうね。ジャズで言えば、さしずめニューヨークで演奏したいってとこかなあ。

彼の大きな転機となったのが、渡欧後の1924年、フォービズムの巨匠ヴラマンクとの出会い。フランスのオーヴェール・シュル・オワーズに訪ねた時。「このアカデミスム!」と一喝された時から苦悩が始まります。今思うと、彼独自の画風を創りあげた後でも、結局死ぬまでこの苦悩が続いていたんじゃないかなあ。画家の宿命ですかね。

今日紹介するのはヴラマンクべったりの頃の作品。下の写真は「静物」と「オニー牧場」。なんか私は彼の弟子ですと宣言しているような画風。絵具の色から構図まで一緒のものがあります。

そして上の写真が「立てる自画像」。この絵は有名です。絵を否定されたショックがはっきり出ている作品として。つらかったでしょうね。彼の歴史の上では重要な位置づけにあるけど、絵の出来としてみると。正直言ってどうみても小学生レベル。でも別の見方をすれば、この時自分の過去のスタイルを捨てきれたようにも見えますね。そこが凄い。

静物(1924年)オニー牧場(1924年)


もし僕らのことばがウィスキーであったなら

2005-11-18 06:12:19 | 650 酒
めっきり冷え込んできましたね。夏にあれほどスプモーニとかリキュール系のカクテルを飲んでいたのに、いつのまにかウィスキーや日本酒に変わってる。夜がふけて自分の部屋で静かにジャズを聴きながら、アーモンドかピスタチオをつまんでシングルモルトウィスキーを飲む。そういう季節。

今日は村上春樹のエッセイ紀行&写真集「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」(1999年)の紹介。なんかどこかで聞いたようなコピーでしょ?誰が考えたんだろう?このタイトルだったら普通は読まないんだけど。(笑)

内容は彼と奥さんのシングルモルトウィスキーの蒸留所めぐりが中心。いわゆる聖地巡礼ってやつ。しかもスコットランドのアイラ島ってことで、アイラモルト好きの私としては見過ごせませんでした。実はAmazonで単行本の中古が150円だったこともあって。これが大きいかも。(笑)

読み終わった印象は意外に良かった。エッセイだとあのまわりくどい表現が少なくて読み易いし、奥さんが撮影した写真がいいアクセントになってる。スペースの使い方なんかもお洒落でいい感じ。これを読んでシングルモルトを飲み始める人もいるんだろうなあ。

それで読みながら飲んだのが、本の中でも紹介されていた上の写真のラフロイグ15年。前に10年物のシングルカスク、いわゆる樽出し品を紹介しましたが、この15年物はより熟成されたぶんコクがある。聴いたのがコルトレーンの初期の名盤「Soultrane」(1958年)。荒削りなところが男性的なラフロイグにピッタリ。ちょっぴり至福の時間を味わいました。

下の写真は”Scotlandview”からのアイラ島のフリー画像。建物の2枚はラフロイグの蒸留所です。


もし僕らのことばがウィスキーであったならもし僕らのことばがウィスキーであったなら

SoultraneSoultrane

吉水園

2005-11-16 06:17:55 | 890 広島
最近どうも紅葉づいてます。今日紹介するのは、先週の休日に行った「吉水園」(よしみずえん)。帝釈峡とか三段峡といった有名スポットじゃなくて、なんかいい所はとネットで調べていて偶然発見。広島に住んでいる人でもあまり馴染みがなく、市内から北に1時間ぐらい入った加計町にあります。

惹かれたのは、できたのが江戸中期の1782年と古く、個人所有で、年に春秋合計8日間しか一般公開されないところ。荒れていないそのままの自然があるような気がして。まさに隠れ家的。

行く途中、ちょうど“五サー市”という近所の商店街のお祭りをやっていて、昔ながらの通りをぶらぶらと。カミさんの話によると、つい最近TVでこの商店街の取材が放映されたそうで、私達が立ち寄った鯛焼き屋には行列ができてました。やはりTV効果って大きいですね。いい天気の下、道路に設けられた縁台でのんびり食事。

その後いよいよ吉水園へ。色づきがまだまだなのを除き想像通り。庭に入母屋造りで茅葺きのこじんまりした山荘。歴史を感じさせる雰囲気。特に一番景観の良い所に作られた2畳の間が、狭くてなんとも粋な感じ。こんな所で二人でしっとり酒を酌み交わせたらなあ、なんて想像して思わずいい気持ちに。勿論相手はカミさんですよ。(笑)

地元のボランティアの説明員に話を聞きましたが、この茅葺き屋根の修復には1千万円近い費用がかかっていて、維持管理も大変なんだとか。好きな時に来て酒を飲むとか、そんなお気楽なものじゃないんですね。

岸田劉生や東山魁夷夫妻も来たことがあるそうで、なんだかやんわり親近感が沸きました。



極楽島ただいま満員

2005-11-15 06:21:52 | 010 書籍
最近ジャズ評論家でエッセイスト兼作家であった亡き久保田二郎(1926-1995)の著書を買い集めてます。というのもほとんどが絶版になっていて中古本が値上がりしているから。今のうちにと。中古本って面白いですね。帯の有無で値段がえらく違ったり。私は邪魔なのですぐに捨てちゃう方。これからは取っておこうかなあ。(笑)

それで本題の彼の話。まあ昔からのジャズ好きしか名前を知らないでしょうね。私が知ったのは、ジャズ雑誌に掲載されたエッセイ。中学や高校の時、ジャズに夢中な私は毎月買って勉強してました。考えてみればネットがない時代だから、情報って雑誌からだけ。世の中変わったもんだ。

この人は、とにかく世の中を斜めからみてました。それも不真面目に。その目つきが私とよく似てる。そして快楽主義。享楽的な性格。あこがれましたね。私の人生観も結局こういうところから派生したのかなあ。ジャズつながりで。

彼の本で最初に読んだのが「極楽島ただいま満員」(1976年)。よく憶えているのが“史上最大の兵隊ごっこ”の話。彼は小さい頃近所の子供達とよく兵隊ごっこをして遊んだ。その時家にあった本物の襟章とかをつけた。そうすると近所の大人がそれを見て最敬礼した。なんてお馬鹿な話が満載。権力とか権威を茶化すのがホントうまかったなあ。

写真は“極楽島”つながりでフリー素材のカリブ海の小島。極楽島ってなんかこんな島を連想しませんか?これにピッタリのアルバムとして、デオダートの「Love Island」(1978年)を紹介しておきます。昔タイトル曲のカバーが東京FMの「田中麗奈のミュージックアリーナ」という番組のテーマになってました。ちょっと季節ハズレかも。まあいいか。(笑)

極楽島ただいま満員極楽島ただいま満員

Love IslandLove Island